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2019年秋フランスレストラン訪問記(9/9)(1):ヴァランス「ピック」(★★★)

約1年前にフランスを旅行した際の記録ですが、ようやく今回で最後のレストランとなります。忙しさにかまけて最初の記事からここまでとても時間がかかってしまい、お待たせした方々には申し訳なく思います。

この旅行では9軒の星付き店を訪れました。記事は評価の低い順から掲載してきました。振り返ると以下のような並びになります。

パリ「プロポ」(★)

パリ「ピエール・ガニエール」(★★★)

アメルシュヴィール「ジュリアン・ビンツ」(★)

ランス「フォッシュ」(★)

ランス「ラシエットシャンプノワーズ」(★★★)

オベルネ「ラ・フルシェット・デ・デュック」(★★)

カイゼルクベルク「オリヴィエ・ナスティ」(★★)

ヴァンジャン・シュル・モデ「ヴィラ・ルネ・ラリック」(★★)(1)
ヴァンジャン・シュル・モデ「ヴィラ・ルネ・ラリック」(★★)(2)

ヴァランス「ピック」(★★★)

必ずしも星の数と評価の高低が一致しないのがお分かりいただけると思います。あくまで私の主観による評価ですので、お気に召さない方がいらっしゃるのも重々承知です。ご了解下さい。

ひとまずこの順位付けは私だけの極めて個人的な評価として受け取って下さればと思います。記事をお読みいただけましたら何故低いあるいは高い評価をしているのかは、共感されなくとも一応御理解していただけるのではと思います。

前置きが長くなりました。本題の「ピック」ですが、言わずとしれたフランスの老舗レストランの中でも名門中の名門といえるお店です。現在のオーナーシェフ、アンヌ−ソフィ・ピック氏の祖父、父ともに同店のオーナーシェフとしてミシュラン三つ星の栄に浴しています。

フランスには築年数でいうと数百年ともなるような歴史的建造物をレストランに転用している場所がいくつもあり、外国から訪れる客からするとそうした建物が醸し出す独特の味わいにはやはり一つ大きな価値を感じます。

ただ三世代に渡って三つ星をとって今なお三つ星レストランとして営業しているお店はここ「ピック」くらいしか思い当たりません。これはこれでとても大きな価値であり、三つ星シェフの稀少さからいうと、歴史的建物が現存している以上に価値あることのように思えます。

ただもしトロワグロエーベルランといった代々同じ家のシェフが引き継いで三つ星を獲得してきた地方の老舗レストラン(エーベルランのお店は現在は二つ星に降格)に比べて知名度が劣るとしたら、おそらく祖父から父、そして父からアンヌ−ソフィ氏という各世代間に三つ星を獲得できなかった谷間のような時代があって、連続して三つ星を獲得し続けたわけではなかった点に理由があるかもしれません。

とはいえ「ピック」伝来の名物料理というのは現在も色々と提供されているようですので、そうした料理を頂けば店の歴史の一端を体感することができるのではないかと思います。

1995年のミシュランで三つ星を失って以降、アンヌ−ソフィ・ピック氏がシェフとして厨房を仕切るようになってからしばらく二つ星の時代が続いていましたが、2007年のミシュランで三つ星に到達して、それ以来その評価を現在まで維持し続けています。

代々家族経営でやってきた老舗レストランの星付き店となると、開拓者であった偉大な先代が得た大きな評価を維持できない下の世代という印象があるのですが(ブラスエーベルランなど)、アンヌ−ソフィ氏が三つ星シェフだった先代の父を亡くされたのはまだ自身が子供の頃だったはずで、ある意味たたき上げでここまでいらした方ですので、上の見方は必ずしも当てはまらないかと思います。

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レストラン・ホテル共通のエントランス


この入口を入って右手にあるレセプションは店の格や規模からすると少し小さい感じがしますが、奥に行くにつれて余裕あるスペース広がっていてくつろげるようになっています。

またレストランのサルに向かう廊下は別世界の入口のような独特な雰囲気があって、これから始まる食事への期待が高まる仕掛けになっているように感じました。以下の三枚の写真を見ていただいてイメージできるでしょうか。一枚目、二枚目の写真の奥を見ると次の間の模様だったり色合いだったりがほのかに見えているのがお分かりになると思います。少しずつサルに向かって奥に進んでいますが、写真のように少しずつ見える景色が変わっていきます。

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最後の写真の間を抜けるとそこが不規則な形のサルになっています。

この日はランチでの訪問で当然一人客としてそこにいましたが、奥のサルの隅にひっそりとした席を設けてもらっていて、人の往来がまあまああるのですが、落ち着いて食事できる環境で不満はありませんでした。

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この日は平日でしたがランチはほぼ満卓でした。世界中からお客さんがやって来ている印象ですね。


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卓上の光景(ランチコースを記載した紙片と食前酒、水のグラス)


ランチのコースをお願いすることにして、ここにチーズを追加しました。

三つ星のランチともなるとそれ相応の値段ではありますが、内容が充実しているため、食後には得した気分になれました。

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卓上のお花


サービスの方々は皆様親切であり、的確なサービスをして下さいました。若い女性のサービスの方もとてもしっかりしていたように思います。

また日本人のソムリエの方もいらして、お相手下さいました。少し余裕がない印象もあり、サービスマンとしてはどうだろうと思うところがなきにしもあらずでしたが、不快な印象はありませんでした。まあ異国の地で仕事をされるのは色々と大変でしょう。

飲物ですが、水はヴィッテルで、お酒はいずれもグラスで頂きました。

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ワインリストと食前酒のある卓上風景


グラスワインが結構充実していて、一人客でも十二分に楽しめるようになっていますね。

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グラスワインリスト(左ページ)


シャトーグリエもリストにありますね。一杯100ユーロは妥当な値付けでしょうか。

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グラスワインリスト(右ページ)


食前酒、白、赤だけではなく日本酒(松本酒造(京都)・守破離(五百万石)、小野酒造(広島)・5年熟成秘蔵老亀(八反錦))、各種デザートワイン(ミュスカやマデイラ、ポートなど)まで一通り以上に揃っています。食後酒はまた別のリストがあるのでしょうか。

食前酒はピックのアペリティフメゾン(特製カクテル)があるとのことでしたのでお願いします。アペリティフメゾンは特に置いていないお店も多いですが、もしあればお勧めに従って注文するようにしています。間違いなくそこでしか頂けない味なはずですから。

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Apéritif Maison
(食前酒)「ピック」特製食前酒
(ラム酒、レモンシロップ、蜂蜜シロップとシャンパンを使用したカクテル)

苦味を若干感じるものの、甘味や蜂蜜の自然な風味も感じられる素敵な一杯でした。大人の食前酒という風格があります。

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Condrieu domaine BOTT 2018
(白ワイン)コンドリユー ドメーヌ・ボット 2018年


まだ浅いのですが華やかな香りがあり、微かな蜜を感じさせるコンドリユーらしい素敵なワインでした。常温での提供に近かったのですが、個人的な好みではもう少し冷やしておいて欲しかったです。

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Condrieu « Candice » S. Montez 2016
(白ワイン(甘口))コンドリユー “カンディス” エス・モンテズ 2016年


日本人ソムリエの方によるとローヌのワインは2016年が当たり年とのことでした。気持ち良い甘みやコンドリユーらしい華やかな香りもあってこちらも大変気に入りました。

後半はお料理について書きたいと思います。


(いただいたもの)

ランチコース(チーズ、お茶は追加料金で)120€

L’AMUSE BOUCHE
アミューズブーシュ

LE CERFEUIL TUBEREUX
jaune d’œuf confit
crémeux de maïs à la reine des près
チャービル
玉子の黄身のコンフィ
トウモロコシのクリーム セイヨウナツユキソウの香り


LA LOTTE RÔTIE A LA CAMOMILLE
consommé de choux et cédrat
pomme de terre délicatesse confite
鮟鱇のロースト カモミール風味
キャベツと仏手柑のコンソメスープ
やさしくコンフィしたじゃがいも

FROMAGE FRAIS ET AFFINÉS
各種チーズ

LA POMME, LE GERANIUM ROSAT ET LA BAIE DES BATAKS
déclinaison de pomme et crémeux au géranium rosat
glace royale à la baie des Bataks
林檎、ニオイテンジクアオイ、バタクの実
林檎尽くし ニオイテンジクアオイの香るクリーム
バタクの実のアイシング

MIGNARDISES
小菓子

INFUSION
フレッシュハーブティー(ミント)


飲物(お酒はいずれもグラスで)

食前酒:
Apéritif Maison
「ピック」特製食前酒

白ワイン:
Condrieu domaine BOTT 2018
コンドリユー ドメーヌ・ボット 2018年

白ワイン(甘口):
Condrieu « Candice » S. Montez 2016
コンドリユー “カンディス” エス・モンテズ 2016年

水(Vittel)





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2019年秋フランスレストラン訪問記(8/9)(2):ヴァンジャン−シュル−モデ「ヴィラ・ルネ・ラリック」(★★)

前回に続いて、アルザス地方ヴァンジャン−シュル−モデにある二つ星店「ヴィラ・ルネ・ラリック」の写真をお届けいたします。

前回は外観や内装、しつらえ、サービスなどについて書きました。こちらからご覧下さい。

今回の記事ではお料理を中心に書きたいと思います。


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パンは3種類あって、カンパーニュ、雑穀ともう一種類でした。前の二つを頂きましたが、もう一種類のものは失念してしまいました。いずれのパンも大きなパンから切り分けて提供されていたように思います。

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パンについてくるバターもラリックらしい幾何学模様が施されていて、そんな細かいことでもラリックファンとしては気持ちが上がります。おそらくレストランのあるヴィラの形象と思われます。

さてお料理ですが、食前酒をより楽しむためのほんの導入であるシャンパンスナックから始まります。しかしさすが三つ星を志すシェフだけあって、単に焼いただけのものではなく、それぞれにとても細やかなお仕事が施されています。

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Eveil des Papilles
シャンパンスナック:(手前から奥へ)
タルティフレット、マンステールチーズ、鰻の燻製

タルティフレットはジャガイモとチーズを使ったサヴォワ地方の郷土料理です。一口に仕立てられていますが、しっかりとした味がしました。
マンステールチーズ牛乳から作るウォッシュタイプの、アルザス地方を代表する有名なチーズですね。クリーミーで濃厚な味でした。はじめは何故か柴漬けの香りがしてから、ウニのような濃厚な味がしました。
鰻の燻製は肝心の鰻の味を今一つ感じられず残念でしたが、小さかったので仕方ないのでしょうか。いずれにせよ、シャンバールでオリヴィエ・ナスティ氏の鰻料理を食べる前で良かったと思います。


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ミニトースト

L’Œuf parfait « Tosazu »
玉子のパフェ“土佐酢”風味 ミニトースト

今やアミューズの定番料理になっている観がある玉子料理ですが、これを始めたのは「アルページュ」のアラン・パッサール氏あるいはその師匠でしょうか。こちらのシェフの独創性は玉子の上の模様(バターにあったものと同じ模様)と脇に添えられた花や青物で彩られたミニトーストにあるといえるでしょう。

肝心の中味ですが、玉子の酸味、甘み、塩味の味付けのバランスが絶妙で、料理名にあるように日本料理の“土佐酢”が使われているのだと思いますが、その使い方が素晴らしいと思いました。サラダトーストの趣のミニトーストは塩味がしっかり効いています。


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Déclinaison de Potimarron et Saumon de Fontaine
ポティマロン尽くし 川鱒

タジンの方は川鱒とわかりにくかったため、タジン(タジン鍋として有名な北アフリカのお料理)と料理名にありながらも印象に残りにくい一皿でした。


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冷たいヨーグルトムース

こちらはとても地味な見た目ですが、温度管理が素晴らしく、美味しくいただけました。入っている豆がまた食感、味の点で良いアクセントになっています。


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フォワグラには定番のブリオッシュ

Terrine de Foie gras d’Oie, Envolée de Champignons de Paris, Crème de Citron
フォワグラのテリーヌ マッシュルーム レモンクリーム

アルザス地方はフォワグラが有名で、こちらのお店でもおそらくアラカルトに2,3品はフォワグラ料理を用意されていたようです。

このお料理は奇抜な見た目にまず目と心を奪われますが、フォアグラの質が滑らかで素晴らしく、ぺろりと食べられました。マッシュルームの質も抜群で、単なる装飾では終わっていません。

ガチョウ型のレモンチャツネですが、バターと考えてしまい、一緒に食べることをせずそこだけが残念でした。自分のミスなので致し方ないですね。

お腹がふくれてしまうとは思いつつ、あまりに美味しくて定番のブリオッシュも全て食べ切ってしまいました。

これまでのさほど多くはないフォワグラ料理の体験の中で、プラ氏に承継される前の「ラムロワーズ」のフォアグラが一番でしたが、それに並ぶ質と思いました。


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Emulsion de Pomme de Terre et Truffes
ジャガイモとトリュフのエミュルシオン(追加料金あり)

写真では分かりませんが、ジャガイモのムースの上にトリュフの薄切りがこれでもかと皿を覆うように敷き詰められています。食べるなりトリュフの香りが口の中で爆発します。トリュフを食べたと存分に感じられる一皿で幸せでした。

シェフのスペシャリテで、この日も後ほど頂くことになったトリュフ入りのカプチーノがあるのですが、サービスの方がそのカプチーノとの比較で、こちらの料理の方がより“ノーブル(高貴)”という表現をされていたのが印象的でした。


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スピッツェル ピジョンとミュスカードのブイヨン

スピッツェルはドイツ文化におけるショートパスタという紹介で正しいでしょうか。味付けは良質で優しかったですが、塩気が結構ありました。ただ、食べやすくて美味しいので食欲が進みました。ブイヨンが独特の香りがしていて、またそれでいて繊細で良かったです。


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ピニャコラーダの入ったさじ

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リゾットクレムー

Chartreuse de Homard bleu « Piña Colada »
青オマール海老のシャルトルーズ ピニャコラーダ

右上はパイナップルのチャツネです。リゾットクレムーが抜群の美味しさで、お腹いっぱいでも食べたくなりました。塩気はやや強めですが、チーズの力でしょうか。

まず左のピニャコラーダが入ったさじから食べるよう言われました。甘くて、ピニャコラーダのココナッツの香りで口と鼻腔が満たされます。

オマール海老の火入れは完璧でうっとりする美味しさです。泡がアニスの風味(シャルトルーズの風味)で、これも最近のオマール海老の一つ定番の味の組み合わせなのかと思いました。


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Intermezzo
箸休め:トリュフのカプチーノ

先ほどのトリュフ料理のところでも紹介したお料理です。同じシェフの前のお店、当時三つ星がついていた「ラーンスブール」でも出会った思い出の品です。

かつては磁器製のカプチーノカップに入っていたことを思い出ました。トリュフの薄切りがない分高貴さはやや劣るかもしれませんが、先ほどのトリュフ料理と同じようにトリュフは十分に香っているのでこれでも満足できました。


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Prélude gourmand
口直し(プレデセール):イチジク

イチジクの葉のアイスとイチジクのジャムです。一つの食材をテーマに異なる料理を複数構成するするこういうお料理の方向性は嫌いではありません。


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La Quetsche : Variation autour de La Quetsche, Crème glacée à l’Alma Mater
クエチ(すもも)のデセール アイスクリーム母校風

プレゼンテーションは新しい感じで攻めていますね。しかし結局は味が全てと思います。味は一定のレベル以上でしたが、この形はあまり好きになれませんでした。


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Signature Sucrée
小菓子(一番奥から反時計回りに):
ピエモンテのノワゼット
チョコ
カラマンシー
サクランボとギモーブ
ゆずのメレンゲ
フィナンシエ

シャンパンスナック以上にコンパクトかつ多彩な、ありきたりではない新しい感じの食後の小菓子に魅了されました。ここを楽しむためだけでも食事に行く意味があるとさえ思えました。どこかで見たことがある、いつでも出てくるという感じの小菓子ではないからです。

つれ合いがいたらまたここで話が弾むのだろうなと思います。


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食後のお茶(フレッシュハーブティー)

食後のお茶も充実していて、いつも通りのルーチンでフレッシュハーブティーを頂きます。今や珍しくなくなった南部鉄瓶での提供でした。

食後、タクシーをお願いしていて、タクシーが来ましたよなんて言われて外に出てみると、先ほどサルを仕切っていたメートルドテルのパトリックさんが運転席にいる車でした。駅まで彼が送ってくれるとのこと。

ここでは特別なサービスということではないようで、駅から電話をすれば迎えにも来てくれると言っていました。彼としても仕事終わりでお疲れだろうに車を出してくれて、なんと親切なんだろうと感激しました。

さらに短い駅までの道のりで少しだけ遠回りをしてラリック社の工房があった場所なども少し車から案内してくれたりして、言葉遣いにも職人さんへの敬意や配慮が感じられたりもして、良い方なんだなとしみじみ思いました。

そんなわけで美味しいお料理もさることながら、こうした気持ちのこもったおもてなしをしていただける場所ということでここのファンになりました。

フランスに行くたびにこちらに伺う機会があることを願っています。


(いただいたもの)

MENU CREATION (3 plats)
創造コース(3皿)

Eveil des Papilles
シャンパンスナック

L’Œuf parfait « Tosazu »
玉子のアミューズ

Déclinaison de Potimarron et Saumon de Fontaine
ポティマロン尽くし 川鱒

冷たいヨーグルトムース

Terrine de Foie gras d’Oie, Envolée de Champignons de Paris, Crème de Citron
フォワグラのテリーヌ マッシュルーム レモンクリーム

Emulsion de Pomme de Terre et Truffes
ジャガイモとトリュフのエミュルシオン(追加料金あり)

スピッツェル ピジョンとミュスカードのブイヨン

Chartreuse de Homard bleu « Piña Colada »
青オマール海老のシャルトルーズ ピニャコラーダ

Intermezzo
箸休め:トリュフのカプチーノ

Prélude gourmand
口直し(プレデセール):イチジク

La Quetsche : Variation autour de La Quetsche, Crème glacée à l’Alma Mater
クエチ(すもも)のデセール アイスクリーム母校風

Signature Sucrée
小菓子

食後のお茶(フレッシュハーブティー)





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2019年秋フランスレストラン訪問記(8/9)(1):ヴァンジャン−シュル−モデ「ヴィラ・ルネ・ラリック」(★★)

昨秋フランスに伺った際の記録を本当にゆっくりと掲載しています。読者様からも早く続きが読みたいとの激励を頂いております。遅れていて申し訳ありません。

すでに書いていますように、今回の旅で伺った星付き店について評価の良くないお店から掲載しています。今回のお店は9軒中8番目ということで個人的には今回の旅で2番目に良い評価のお店になります。

今回書くお店は記事が長くなりますので2回に分けて掲載することにしました。今回は主にお料理以外の点について書き、次回はお料理を中心に書くことにいたします。

さて、ピエール・ガニエール氏を尊敬し、かつてアルザス地方北方のバーレンタルの「ランスブール」にて三つ星を獲得されたこともあるジャン−ジョルジュ・クライン氏の新しいレストランがこちらのホテル・レストランです。

個人的にルネ・ラリックのガラス工芸作品が好きだったこともあって、ラリックの名を冠したこちらのレストランのシェフとしてクライン氏が迎え入れられたという話を聞いた時からずっと伺ってみたいと思っていました。

レストランのあるヴァンジャン−シュル−モデはアルザス地方の中心都市ストラスブールから電車で数十分移動した場所にあり、アクセス自体はさほど悪くはありません。ただ駅前には何もなく、駅からレストランまでは歩くと比較的距離があります。

レストランに伺う前段としてやはりラリック美術館訪問は必須であると思い、重い荷物を引きずりつつまずは美術館を目指しました。

美術館自体は正直日本にあるような大型のガラス工芸作品は少なく、どちらかというと香水の瓶であったり、あるいは小さな細工物が多かったことから満足感は高くなかったのですが、世界観にどっぷりと漬かれて充実した時間を過ごすことが出来満足でした。

美術館からレストランまでも歩きましたが、多少の上りはあるものの駅ほど離れてはいませんので苦痛ではありませんでした。

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クリスマス前ということで飾りがクリスマスを意識したものとなっています。

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正面入口を入ると早速ラリックの世界観に則ったきれいなガラス製品で美しく飾られていて感嘆します。

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受付の脇を下りて行くとトイレになっていて、脇にはモダンかつ広大なカーブがあり圧巻です。

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入口を入って右手に位置する、奥に人が見える空間全体がサルになっています。

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私が到着した時は全てのテーブルにお客さんがいて、すでに賑やかな雰囲気ができあがっていました。

サルは高台にあるヴィラ(別荘)にあって全面ガラス張りですので外の眺望がきれいに見えると同時に外からの光がサルに沢山入ってくるようになっています。そして結構な広さがあるサルの床はふかふかの絨毯が敷き詰められていて、美しい自然を望む空間でありながらグランドメゾンの豪奢も兼ね備えた素敵な空間です。

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サルの奥右手に一人用の空間を用意しておいて下さいました。一人でも気後れしないように絶妙な配置をして下さっているのかと思いました。

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席の方向が外の眺望に対してではなく内のサルの方を向いているために眺望は楽しめませんが、室内の賑わいを感じることができるので、これもまた良いと思いました。

卓上にはラリックの作風を感じられる小物が配されていて、ファンとしてはわくわくしてしまいます。

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飾り皿上のいるかの置物であったり、塩胡椒入れであったり、一つ一つに独特の世界観が見て取れます。

さて本題のお料理ですが、シェフが三つ星をとられた当時のお店に伺ったことがあり個人的には好きなお料理でしたので、どういうお料理を出すかは大体想像することが出来、今回やはり期待して伺いました。

「ルネ・ラリック」のオーナーの意向もあるせいなのかメニュー作りがかつてシェフが勤め三つ星を獲得された「ラーンスブール」とはまた違う雰囲気でした。ただ、スペシャリテとして出されるお料理はかつてお目に掛かったことのあるものもあったりして、お料理の本質自体は変わっていないと感じました。

ガニエール氏を尊敬されているだけあって、クラシックというよりは現代風のお料理で、軽やかに、素材の味を活かして調理する感じですね。

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今回は色々と選べて多彩な印象だったMENU CREATION(ムニュ・クレアション)にしました。

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写真を見ていただけるとお分かりかと思いますが、アラカルト表にはメニューに追加できるシェフのスペシャリテがいくつか掲載されていて、いずれも重たい料理ではないので、手軽にシェフの味を色々とお試しできるように工夫されています。

こういうところなどは「ラーンスブール」にはなかった試みで、よりお客さんが楽しめる工夫としてとても良いと感じました。

今回はMENU CREATIONの3皿のコースをお願いしてスペシャリテのトリュフ料理を追加注文いたしました。また、デザート前の小皿についてもトリュフ入りのジャガイモのカプチーノに変更してもらいましたので、今回はトリュフの香りが最後まで続いているような食事になりました。

サービスはまだお若い支配人のパトリック・マイヤー氏を筆頭に丁寧なサービスをしていただきました。

グランドメゾンですが、田舎の大らかさや優しさを感じる場面が最後にあり、そういう意味でもこのお店のファンになりました。



(いただいたもの)

MENU CREATION (3 plats)
創造コース(3皿)

Eveil des Papilles
シャンパンスナック

L’Œuf parfait « Tosazu »
玉子のアミューズ

Déclinaison de Potimarron et Saumon de Fontaine
ポティマロン尽くし 川鱒

Terrine de Foie gras d’Oie, Envolée de Champignons de Paris, Crème de Citron
フォワグラのテリーヌ マッシュルーム レモンクリーム

Emulsion de Pomme de Terre et Truffes
ジャガイモとトリュフのエミュルシオン(追加料金あり)

Chartreuse de Homard bleu « Piña Colada »
青オマール海老のシャルトルーズ ピニャコラーダ

Intermezzo
箸休め

Prélude gourmand
口直し

La Quetsche : Variation autour de La Quetsche, Crème glacée à l’Alma Mater
クエチ(すもも)のデセール アイスクリーム母校風

Signature Sucrée
小菓子

食後のお茶(フレッシュハーブティー)


飲物:

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(食前酒グラスシャンパン)Verre Champagne Villa René Lalique Deutz N.M.


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(グラス白ワイン)Verre Kaefferkopf « H » Gewurytraminer Schoech 2017


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(グラス赤ワイン)Verre Beaune 1er Cru 100 Vignes Domaine Arnoux 2013

水:エビアン


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星つきシェフイベント訪問記:二つ星シェフ、パスカル・バルデ氏賞味会

今はなき品川プリンスホテルにて行われた二つ星シェフ(当時)、ステファン・カラード氏の賞味会以来久しぶりに賞味会にうかがってきました。今回来日されたパスカル・バルデ氏は、世界でも指折りの名レストランである「ルイ・キャンズ」でシェフまで務められていた方なので技術への信頼や期待もありましたし、懐かしい思いもありました。

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ただ、厨房とお客さんをつなぐサービス陣が普段シェフの料理を運んでいる方々ではない点や長旅の末の慣れない厨房での調理からくる仕事の質の低下などが少し気がかりなところではありました。

プリンスホテルは正直にいうと業界でも一流とまではいえない位置にあるかと思うのですが、サービスもそれに見合ったそこそこなものでした。ただ大きく外したことはなく、最終的には色々な要素があって気持ちよくお店をあとにすることができました。

例えば後輩男性を君呼びする女性サービスの言葉遣いであったり、客一人一人に配られているメニューをやたらべたべたと触ってくる若いソムリエ氏など、個人的な資質や経験(不足)の問題が大きいのでしょうが、ちょっとおかしいなと思いました。このソムリエの方はお願いしたシャンパンをしっかり間違えて提供しようとしてくれました(もちろん途中で制止して変えてもらいました)。

また、運営をやりやすくするためとはいえ、客席近くにお会計票をまとめて置いておくなど、客から見た美観への意識に乏しい点など、グランドメゾンの自覚はないものと思わずにはいられませんでした。

また細かいですが、塗りがはげた椅子はおそらく30年以上前のスタイルのものでしょう。今回のシェフとは何の関係もないのですが、プリンスホテルにとって会場となった「ル・トリアノン」への意識はこの程度のものかと思わずにはいられませんでした。

それでも最終的に満足して帰れたのは、美味しいお料理もさることながら、チーフソムリエの方とワインについておしゃべりして色々と教えていただけたこと、お勧めのレストランを教えていただいたこと、シェフとごあいさつさせていただいたことなど、楽しい時間を過ごすことができた面があったからでした。

このチーフソムリエの方は、常温に近い温度で提供されたジュランソンセックやデキャンタされたカオールなどから、ワインを楽しむ文化を改めて思い出させてもらいました。お勧めされたレストランには是非近いうちにうかがいたいと思います。

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さて、お料理は厨房とサルに距離があったようで、またサービス陣が少しのんびりしていたせいもあって基本的にお料理が冷めてしまっていたのがとても残念でした。これで美味しさも半減していたでしょう。少しは覚悟していたこととはいえそこはやはりちょっと不満でした。

出されたお料理全てが素晴らしいということはなく、味のピントがぼやけていたり、量が少なすぎて満足できなかった皿もありました。

それでもシェフが自ら選んだフランスの食材で丁寧に調理されたお料理をそれなりの品数楽しむことができて総じて楽しい体験でした。この季節定番のアスパラは大きいものを2本まるまるモリーユ茸とともにいただけましたし、仔羊のお料理の火入れ加減と脂の美味しさが絶妙でよかったです。

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パスカル・バルデ

食後、お会計を済ませてお店を出る際にはシェフが出入り口のところにいらしてお客さん全員にあいさつしてくれていました。バルデ氏が「ルイ・キャンズ」にいらしたのは2007年からとのことでそれ以前にうかがっていた私は直接かぶることはなかったようですが、色々おしゃべりが楽しめて、最後にはお写真も撮らせていただいてとてもいい機会になりました。

機会がありましたら是非シェフの地元のお店にもうかがってみたいものだと思うのでした。


(いただいたもの)

パスカル・バルデの特選料理(ランチコース) 

*飲み物は別注文(水はアクアパンナを注文)。
*パン三種(カンパーニュ、バゲット、くるみ)とバターつき。


 食前酒(グラスシャンパン):マイイ グラン・クリュ エクストラ ブリュット
(→最初は生のフルーツを使ったカクテルを模索しましたが、桃がないとのことで断念し、普通にシャンパンをいただきました。)


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シャンパンスナック:亜麻のチュイル マスとタラの燻製のカナッペ
(→右はエリンギとズッキーニのベイニェで、温かく美味しいですが、普通の居酒屋のつきだしのようなものにしか思えませんでした。カナッペは思ったより酸味が感じられるつくりでした。亜麻のチュイルは見た目が面白いですし、味も雑穀を食べる趣で素朴ですが好みでした。)


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グリンピースのロワイヤル
(→二層になっていて、上の鮮やかなグリーンピースのすり流し状のものの下にロワイヤルがあります。ロワイヤルというと茶碗蒸しのイメージがありましたが、もっと固めなレアチーズケーキ状のペースのようなものでした。グリーンピースの青臭い感じを楽しめる一皿で良いと思いました。)


 グラスワイン(白):ドメーヌ・コアペ(ラ・カノペ) ジュランソン・セック 2015
(→以前の賞味会で美味しかったので今回もお願いしてみました。期待通り複雑な味わいのお酒で大変好みでした。チーフソムリエの方のお酒を選ぶセンスが私の好みに合っていました。)


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フランス ヴォージュ産 鶉のシュープレームとフォアグラのポワレ 黒トリュフのミジョテ
(→(左上から)もも肉、フォアグラ、ムース。とても期待していましたが、量が少なくて残念でした。さらに左上のもも肉はほぼ味がしませんでした。こちらも星つきシェフとしてはありえないレベルの味でした。下はムース状にされた鶉肉です。ただシェフの地元産のトリュフをふんだんにかけていただけたので(季節柄強いとはいえないとはいえ)香り、パフォーマンス両面では満足させていただきました。)


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グリーンアスパラガスとモリーユ茸のファルス
(→シンプルなお料理ですが、食材を存分に楽しめるのでこれで良いと思いました。初夏に入り、少しずれてきているかもしれませんが、フランスの春の二大食材(モリーユ茸、グリーンアスパラガス)を堪能できました。モリーユ茸に詰められているのは鶏肉のムースリーヌとのことでした。)


 グラスワイン(赤):シャトー・デュ・セードル カオール 2015
(→デカンタして提供していただきました。バランス良いカオールとのことでしたが、はたしてとても美味しく楽しめました。カオールはもっと安酒のイメージがありましたが、認識が改まりました。単に経験不足かもしれませんが。チーフソムリエの方の選択がやはり好みです。)


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メイン(魚か肉か選択):フランス リムーザン産仔羊背肉のロティ 季節の野菜添え
(→パセリやビートなどの緑の野菜を使っていて目にも鮮やかです。個人的には仔羊を食べる機会が久しぶりでそれだけで嬉しかったです。三隅に置かれた小さなペーストにはニンニクがしっかり入っていてとても香ばしいです。)


デザート:フォンダン・ショコラ ル・ジャンドロ スタイル
(→普通のフォンダンショコラではなくむしろムース状のチョコレートケーキといった感じです。ミントのアイスが載っていて、ミントのシロップをかけるので、口内調理でチョコミントになる仕掛けでした。なるほど、これがシェフのお店のスタイルなのでしょう。)


ミニャルディーズ:マンゴーとレモンのタルト、ヘーゼルナッツのフィナンシェ、メレンゲ ラズベリーのせ

ハーブティー(カモミールミックス)
(→普通にフレッシュハーブティーを用意していて欲しかったです。ミントを使ったデザートならなおさら、ミントティーは必須でしょう。こちらはフレッシュの葉も入っているようですが、ドライのものも入っているミックスとのことでした。)





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レストラン訪問記:日本橋兜町「アサヒナ・ガストロノーム」(新店)

先月23日に開業した朝比奈悟氏の新店へうかがってきました。

現在のミシュラン東京発刊時にはお店自体が存在していなかったので「未掲載」ではなく「新店」とさせていただきました。調査期間などを考えると今月末発刊予定のミシュラン東京2019への掲載は微妙でしょうか。あるいは新規掲載からの二つ星の快挙はあるでしょうか。

さて、シェフの朝比奈氏はジョエル・ロブション氏のもとで長らくお仕事をされ、恵比寿の「ターブル・ド・ジョエル・ロブション」でエグゼクティブシェフをされていた方になります。今回の独立、新規開業はプレスリリースでアナウンスされていてしばらく前に知った次第でした。

今回シェフとお目にかかることはないかと思っていましたが最後お見送りをしていただいてお会いすることができました。出際の一瞬だったのでゆっくりとお話することができませんでした。もし機会がありましたらお店の立地についてなど聞きたいなと後から思いました。

特定の地区にお店を構える理由はシェフそれぞれに色々な思いやご縁があったりして異なるのかと思いますが、こちらのある兜町は繁華街というよりは東京証券所がある関係から証券会社が多いオフィス街で、ガストロノミーレストランとして出店する点についてどのような意図や思いがあったのか気になった次第でした。

お店の立地は東京証券取引所の裏手に当たっていて、日本橋がかかっている川に面していることもあって人通りもまばらなまさに隠れた一画にあるという印象ですのでガストロノミーレストランとしての静謐さは十分に確保された環境ということができるかと思います。

サルは入口を入ったところからさらに重い扉を開けた先にありますが、基本的にサービスの方々が扉の開け閉めをして先導してくださいますので至って快適に出入りすることができました。

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店内の様子

お店の開始時間より少し前に入れていただいて、退店時間指定で少し急ぎ目にお料理を出していただきましたが、慌てる様子もなく丁寧にそれでいて時間がのびのびにならない絶妙なタイミングで速やかにお皿を提供して頂きました。

このあたりのサービスの質はガストロノミーレストランでは必須のものといえますが、その点でこちらのサービスは完璧でした。厨房とサービス、またサービス同士の連携が開店してまだ2週間程度というのにそれぞれきちんととれているのだと思います。

眼鏡をかけた支配人とおぼしき方がとても誠実そうな方で、安心してサービスを受けることができました。

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飾り皿

お料理はシェフの出自であるジョエル・ロブション氏の提供する現代風の装いのフランス料理という印象で、丁寧な調理技術で良質な食材の数々を美しいお料理に仕上げられていました。お写真を見ていただければ見た目の美しさなどはある程度おわかりいただけるものかと思います。

どうしても日本では外来の文化にあたるためか、ガストロノミーレストランを志向しつつもフランスほどがっちりとガストロノミー文化を追求していないお店が日本には多いかと思います。そんな中で最もフランスのガストロノミー文化にこだわっていると感じたのが「ナリサワ」でした。

こちらの「アサヒナ・ガストロノーム」も名前にガストロノミーに関連する用語を使っていることもあってか(「ガストロノーム」は「食通」あるいは「美食家」という意味で人を指す言葉で、同じく「美食家」の意味がある「グルメ」よりも「ガストロノミー(美食文化)を愛する人」というニュアンスが出ている気がします。)、ガストロノミーを日本に普及させたいとのお志があるものかと思いました。お料理を見る限り一皿一皿の丁寧な調理と完成度によってまさしくガストロノミーを日本で広めたいという思いが込められていることを感じることができました。

ただ少し細かいこととはいえ、よりガストロノミーを追求されるおつもりならば横並びの二名テーブルはない方がいいかと思いますし、トイレには手ふき用のハンドタオルを置く方がいいかと思います。食事とは全く関係ないところではありますが、フランスの星がつくガストロノミーレストランではそれらが標準装備となっています。二名テーブルは日本では当たり前ですが、フランスではあまり見かけませんね。空間を効率的に使えるのでお店としては便利で良いのでしょうが、非日常空間の演出を妨げるように個人的には思っています。

さて、ガストロノミーレストランのこだわりのレベルの話はこれくらいにして、より本質的なお料理のお話に移りたいと思います。

アミューズで出されたのが生の鰯でさらにその中にアンチョビが入っていて生臭さを感じさせかねないある意味危険なスタートではないかと率直に思いました。意表をつかれましたし、お料理そのものはもちろん美味しくもありましたが、その後出てくるお料理を邪魔しかねないという懸念が少しありました。

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実際その次に出されたのが生の帆立貝を使ったお料理で、明らかに鰯のアミューズの方が香りや癖があり、塩味も強いので同じような生の魚介類でも帆立の方が負けてしまっていたように思い、味や料理の連携という点からは少し残念な始まりになってしまっていました。

鰯もフレッシュアーモンドもジロール茸も食材自体は良いものをお使いでしょうに少しもったいないと感じました。

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また、帆立のお料理はとても美しく、芸術的ですらありましたが、魚醤を忍ばせたというクレソンのムースが独特の香りを発しすぎてしまっていて、中東の市場に連れて行かれたような気持になっていました。実際に私は中東に行ったことはありませんが、パリなどでアラブの人たちがいる時に感じる独特なエキゾチックな香りがしていました。

このように、食材もよく、お皿が美しくても、残念とまではいかなくても少し満足感が得難いような状態でお料理がアミューズから冷前菜へと進んでいきました。

しかしその後は温前菜からメイン料理へと続く流れの中で、見た目にも美しくかつ美味しいお料理が続いて、シェフのレベルの高さ、志の高さを感じ取ることができ気持ちは徐々に上向いていきました。

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パンについては常にしっかり温めて出して頂けるのは当たり前として、バゲットと黒パンの2種類があっていずれも美味しかったですが個人的にはバゲットが好みでした。

ただ、もう少しパンの種類が増えるなり、凝ったものが出てくると、よりガストロノミーレストランにふさわしい食事になるかと思いました。シェフの名前が黄色い字で表に刻まれたバターはやや少なめの提供でしたがランチの軽いコースでは丁度良い量でした。開店して間がないのでクリストフルの銀器がまだとてもきれいで輝いていました。

毛蟹のラヴィオリは甲殻類の美味しさを満喫できる一品でよかったですが、メインの鶏肉料理もとても良く、満足できました。メインは国産牛頬肉の赤ワイン煮と比内地鶏胸肉のスフレのいずれかを選ぶことができましたが、支配人の方にうかがったところスフレの方がシェフの個性が感じられるお料理とのことで迷わずこちらを選びましたがこれが正解でした。

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比内地鶏胸肉のスフレ

これらの温かいお料理についてはいずれもクロッシュ(皿カバー)を使ってくださっていましたが、伝統的な銀製ではなくて半透明なガラスでしょうか新しいものを使っていて私にとっては初見だったので印象に残りました。

ランチのメイン料理というとお値段の関係もあってかありきたりの食材、調理法に落ち着きがちですが、こちらは比内地鶏を使った各種部位を楽しめる一品になっていて、さらにメインはスフレにしてあってより手間のかかる料理を提供されています。これが美味しくなければ意味がないですが、胸肉、キノコのデュクセル、フォワグラやレバー、砂肝などのムースを三層にしたスフレはなめらかで食べやすく、とても美味しいものでした。

さらにそこにセップ茸で取ったお出汁を使った熱々のコンソメスープが添えられてきて、昨今なかなかコンソメを頂ける機会が少ない中これはとてもうれしいことでした。

最後のデザートはババということで典型的なババを想像していましたが、そこはロブション出身のシェフ、現代風のアレンジで軽やかなタッチの洗練されたデザートでした。濃厚なはずですが、いずれもさっぱりと食べられてこちらも満足しました。

ただババが少しラム酒に浸かりすぎていたようにも感じました。このあたりは好みが分かれるところかもしれず仕方ないですね。ただのババではなくラム酒に浸したスポンジをさらにチョコでコーティングしているので調整ができないため致し方ないかもしれません。ラム酒のアイスはいわゆるアイスクリームではなくて外がチョコで中にラム酒が入っている変則的なものでした。

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煮出している最中のハーブティー

最後のお茶はいつもどおりハーブティーをお願いしましたが、こちらでは追加料金がかかるとのこと。サイホンで煮出してとかなり凝ったことをしているので手間がかかるということのようでした。こちらがランチ料金に含まれていると完璧でしたが、良く煮出されたハーブティーで味がとてもよかったのでその点は満足しました。蜂蜜二種が少し添えられていて、お好みで入れて飲むようにとのことでした。

すべてのお料理を頂いてみて、軽々しく予想をすべきではないかもしれませんが、早い時期に二つ星までは駆け上がっていくお店ではないかと思いました。シェフの実績からすればそれもある意味通過点に過ぎないかもしれませんが。

おなじロブション出身シェフのお店ということでしたら、個人的には浅草の「ナベノイズム」よりもこちらをお勧めしたいと思いました。

今はお店が始まったばかりで手探りの中で食材選びや献立作り、値段設定などを模索されているところかと思います。いずれ星がついていくとなると現在のお値段が30〜40%は上がっていくことになるのかと思いますので、お値打ち価格の今の時期に一度行かれてみるのがお勧めかと思います。


(いただいたもの)

ランチコース(メニュー中の太字はお店で頂いたメニューを転記した内容)

アミューズ・ブーシュ:Amuse-bouche
鰯のマリネ セミドライのアンチョビ入り
ジロール茸 フレッシュアーモンド
サクランボのソース

冷前菜:Coquille Saint-Jacques
活き帆立貝 ガルムの香るクレソンのクーリと合わせて
そのチュイルにアボカドのワッカモーレを添えて

(北海道産活帆立貝のタルタルと帆立貝のチュイル、香川のおいり(球状の米菓)添え。)

温前菜:Ravioli
毛蟹のラヴィオリ スモークパプリカの香るソース ア・ラメリケーヌを現代的思考で

(トリュフソースを注入した卵黄添え(皿中央左手)、揚げ野菜のせ(皿中央右手)。)

メイン:Poulet
比内地鶏 胸肉をスフレにし
手羽先とソリレスのキャラメリゼ フォアグラの香るソースシュプレーム

(比内地鶏胸肉のスフレ(胸肉、キノコのデュクセル、フォアグラや砂肝、レバーなどのムースの三層構造)、球状のじゃがいも、セップ茸でとったキノコのスープつき。)

デザート:Baba au chocolat
オレンジ風味のチョコレートババ
濃厚なチョコレートクリームと合わせて、ダークラムのアイスを添えて

((左から右へ)チョコレートムース、ババ、ダークラムのアイス、ガナッシュ。写真はインスタグラムに掲載予定。)

お茶:Café ou Thé
フレッシュハーブティー(追加料金あり)

小菓子:Mignardises
ミニャルディーズ

((左から右へ)ブルーベリーのマカロン、柚子のパートドフリュイ、チョコレートクッキー。写真はインスタグラムに掲載予定。)







ASAHINA Gastronomeフレンチ / 茅場町駅日本橋駅人形町駅

昼総合点-


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Author:VV George VV

La marque "***", "**","*"
signifie des étoiles de
Michelin au moment de la
visite.

長期フランス滞在中、さる”グランドメゾン”(高級料亭)での午餐を契機に”ガストロノミー・フランセーズ”(フランス流美食)に開眼。
爾来、真の美食を求めて東奔西走の日々。

インスタグラム始めました!→https://www.instagram.com/george_gastro/

* お店の名前脇の★はミシュランガイドでの星による評価(訪問時のもの)に対応しています。

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