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レストラン訪問記:白金台「ルカンケ」(★)

さて、白金台は今一つご縁のない場所ではありましたが、今回こちらにうかがうために訪れました。白金台は小さなエリアに星付き店がひしめいているグルメゾーンのようです。

ミシュラン最新版が発刊されてこちらは無事星を維持されました。ご近所で星を失ったフレンチのお店がありました。うかがったことはありませんでしたが、メニューを見て興味をひかれていただけに残念です。

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こちらは階段を上って入るつくりで先客のお客さんがすでに店の前であるいは少し遠くで待っているようでした。昼は12時開始でその前の時間には扉が閉まっていて中に入ることはできません。

この日もランチの限られた時間での訪問でしたので扉の目の前で待って、扉が開くのと同時に店内に入れていただきました。退店希望時間をお伝えしていたこともあり、かなりいいペースでお料理を出していただけました。予約の電話の際にはちょっと話が通じにくい感じもした支配人の方ですが、この道のキャリアが長いであろう感じの細身の紳士で、いい具合に客あしらいをしている感じで手馴れている感じが見て取れました。もちろんきちんとした礼儀があります。

食事をしたのは階段を上って入った入口からさらに上に螺旋階段を上った小さなサルで、どちらかというとビストロやブラッスリといった雰囲気で隣の席との間もけっこう近い感じでした。

お食事は工夫を凝らした二品のアミューズ、というより一口スナックから始まります。シェフなりに物語を組み立てているようで楽しいですね。個人的には食べられない石や植物などを過剰に皿に盛りつける現代風のプレゼンテーションは今一つ好きにはなれないのですが、この日はあまり違和感がありませんでした。サービスの方がちゃんと説明してくれるからでしょうか。

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小石に見立てた黒いパンとシュー生地で包んだ甘いフォワグラのプチシューと続きましたが、個人的には後者の方がより味わいがあって好みでした。

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その後に一口スープが出てきました。大根のスープと聞いてぴんとこず今一つ期待もしていませんでしたが、大根と玉ねぎだけで出汁をとっているというスープは味わい深く、しかも器、スープとも熱々で出していただいて、とても美味しくいただきました。こういう小さな気遣い一つでお店やシェフへの評価がぐっと上がります。

さらにその後続いたさんま尽くしの冷菜は周りのお客さんもみな声を上げるくらいきれいなお料理で、さんまを食べつくす趣向がいい上、それぞれの味もまた良いのでこちらも好きになりました。

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フィレだけで作ったというテリーヌはただ身を寄せているだけのようですが、しっかりテリーヌとして完成されていて簡単にはほぐれないようになっていてシェフの技を感じます。さらに焼きナスと和えた中落ちは茄子の風味とさんまの脂があいまってとても美味しいです。

最近色々なところで焼きナスを使った前菜をいただきましたが、どうしても水分が料理を不味くしてしまう感じがありました。しかしこちらはその水分をいい具合に使って全体として調和のとれた美味しさを完成させていて満足度が高かったです。さらに肝を使ったペーストの美味しさは言わずもがなでしょう。セロリのプレゼンも含めて美味しく、美しく、楽しい一皿で満足でした。

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お魚はこの日はおぼだいのポワレでした。最近、「スブリム」でとても美味しい黄アラをいただいたり、「タストゥー」でも焼き加減が絶妙の尾長鯛をいただいたりしていてかなりハードルが上がっていたので、正直この日のお魚は凡庸にしか感じられませんでした。

最後のデザートは季節柄色々な場所で提供されることが多いモンブランでした。モンブラン好きです。いまどきは各店の各シェフが自分の個性を発揮されて、口内調理でのモンブランが流行っている感じですね。

この日いただいたものは栗のプリン、牛乳のアイスが添えられている上、軽やかなメレンゲを使いカシスクリームで酸味をほのかに忍ばせた軽い現代風の作りのモンブランでとても気に入りました。プレゼンテーションも軽やかでいいです。「スブリム」の素朴な作りのものもいいですが、デザート全体としてのレベルではこちらの方が上だと思いました。

支配人やサービスの方のご配慮で退店希望時間にはしっかり出ることができ、食事も大いに楽しめたので大満足でした。ただハーブティーを食後にいただきましたが、お代わりは別料金になるとのことでそれが残念でした。とはいえ一つ星クラスのお店でありながらかなりのお値打ち価格でお食事が楽しめるようになっているので多少のことは気にならないとも言えます。

支配人の方には最後お店の外の下(地上)まで見送っていただきました。角を曲がる際に振り向くとしっかりとそこにいらして、さすがプロと改めて感じ入りました。

カジュアルではありますが、光る料理がそこかしこに見られますので全体としてとても楽しめるレストランになっていると思います。平日でしたが小さなサルは満席で人気のほどもうかがうことができました。

お隣のご夫婦がワインペアリングのコースを楽しまれたりしていて、フォワグラに貴腐ワインを合わせるなどしていてとても興味をそそられました。
そんなこともあり、次回はもう少しゆっくりできる日にうかがいたいと思います。


(いただいたもの)

ランチコース

スナック1:小石と苔
(竹炭入りパン 豚肉リエット ケールの粉)

スナック2:フォワグラのシュークリーム
(カカオのシュー生地とチョコ フォアグラのクリーム入り)

スープ:大根のスープ
(玉ねぎと大根のみのお出汁、スパイスオイルかけ(コリアンダーシード入り)、クルトン)

前菜:さんま セロリ じゃがいも
(さんまの冷製前菜(フィレのみのテリーヌ、中落ちと焼きなす、さんまのわた)、シェリービネガーソース、燻製したじゃがいものピューレ)

メイン:鮮魚 マコモダケ ブールブラン
(おぼだいのポワレ かぼちゃ マコモダケ ムール貝 ムール貝などの泡 ブールブランソース(ハーブ入り))

デザート:栗 カシス ミルク(モンブラン風のデザート)

食後のお茶と小菓子:ミニャルディーズとカフェ(ハーブティー(レモングラスとハーブブレンド))





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ジャンル : グルメ

レストラン訪問記:赤坂「ブタリ」(新店)

夏以来2度目の訪問でしたが、幸いなことに郡司シェフもディレクターの女性も覚えていて下さっていました。

お店の評価も上々のようで少しずつ常連のお客さんもついてきているようでした。それでもまだ開店してから半年も経っていないのでまだまだ新規顧客開拓の余地がありそうです。

お料理は前回同様デザートまでの3品コースを頂いてきましたが、やはりコストパフォーマンスが良いと思わせてくれる丁寧なつくりのお料理を楽しめます。

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この日のメニュー

ランチでは他にも前菜とメインのコースもあって、ご近所勤めの方々が週末などに飛び込みでお食事されていくこともよくあるようですね。

色々な制約がある中でシェフが最大限工夫していいものを出そうとしているのが伝わってきます。シェフ自身が召し上がりたいものを出すのがコンセプトのようで客はそれによって十分に楽しませてもらえています。

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店内風景(2階)

前回は暑い盛りでしたが気温もぐっと下がった晩秋のこの頃にふさわしく、冷菜のサラダが温菜のコンソメロワヤルになり、同じ豚肉でもグリルから煮込み料理になりとメニュー構成の変化から季節の移り変わりを感じることができました。

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コンソメロワイヤルは洋風茶碗蒸しでしょうが椎茸や銀杏が使われていたせいかより日本の茶碗蒸しに近いイメージでした。最近はフランスでもあえて椎茸を使うレストランもあるようですからありでしょうが、ここは洋物のキノコ類を使うとよりフランス料理らしく感じられたかなと思いました。お出汁が洋風な分その方が頭が混乱しないように感じました。

ロワイヤルに入っていた帆立ですが、こちらは半生の絶妙の火入れ加減でシェフの技を感じます。

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メインの煮込みは20時間も煮込まれているとのことでしたが、ほろほろと崩れすぎることもなく柔らかいのに歯ごたえもあるという不思議な調理でした。もちろん美味しく仕上がっています。個人的には根セロリのピュレが独特の香りを放っていて、いいアクセントになっていました。食材の香りがしっかり感じられる調理、大切ですね。

デザートは前回やや物足りなさを感じたのですが、今回よりデザートを作り込んでいる感じで前回より高評価でした。黒イチジクをコンポートにしてさらにキャラメリゼして食べさせるデザートでしたが、フランス料理でしかなかなかお目にかかれない食材と出会えるとうれしいものです。

メニューは2週間に1回更新されていくとのことで、この日はその丁度変わり目の日に当たっていたようでした。

パリの本店がキャヴィアのテースティングを提供している関係から、東京のお店でもそれを行っていて、ランチでも追加料金で気軽にキャヴィアが楽しめるとのことでした。また季節柄12月22日〜25日まではクリスマスメニューも用意されています。

この日初めてトイレを借りて2階に上がりましたがトイレにはハンドタオルが用意されていて感動しました。カジュアル店ながらこちらはやはりサービスへの意識が高いと思います。

ディレクターの女性はまだお若いのに日本代表とのことで、重責を負われていますがなかなかしっかりとサービスなど差配されていてシェフ共々お店をしっかり支えられているのがわかります。

ミシュラン掲載があればいいなと個人的に思っていますが、どうでしょうか。今のところそれらしき人(調査員)は来ていないようです。それとは関係なしに私自身は引き続き定期的に訪問したいと改めて思いました。


(いただいたもの)

ランチコース(デザート付き)

前菜:帆立のポワレとコンソメロワイヤル

メイン:豚肩ロースのマデラワイン20時間煮込み

デザート:黒イチジクのコンポート キャラメリゼ





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レストラン訪問記:浅草「ナベノイズム」(★)

先日掲載した「アサヒナ・ガストロノーム」より前に訪問した浅草のお店の訪問記を掲載いたします。両店舗ともジョエル・ロブション氏のレストランで中枢を担われていたシェフが独立して開業されたお店という点で共通しますが、ロケーション、お料理などやはりそれぞれにシェフの個性が出ていて違いが感じられました。

フランスレストランウィークで通常とは異なるショートコースの提案があったためこちらを選んでうかがってきました。浅草という多少都心から離れた立地のために通常のコースでは時間がかかりすぎるのでなかなか行く機会が見つけられませんでした。

この日は都営線が止まっていたため浅草橋から歩いて浅草を目指します。その道すがらお店の場所を確認して少し浅草観光をしてお店に戻ってきました。
浅草寺には天候が良くない日だったにも関わらずけっこうな人出がありますね。多くは外国人観光客ということだと思います。しかしその人出もあいまって浅草寺の境内には独特のにぎわいがあります。本当に久しぶりに浅草を訪れて少しだけ観光気分を味わうことができました。

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お店には時間より早く到着して早め早めにサービスをしてもらうようにお願いしました。
まずはオーナーシェフの渡邊氏が一階にあるガラス張りの厨房からあいさつに出てこられました。テレビで拝見した通りとても気さくな方という印象です。ジョエル・ロブション氏のもとで彼を支えたシェフということだけで個人的には好感度が高くなります。

サルは上層の2階、3階部分を使っていて広くはないですが高級店の落ち着いた雰囲気が漂っています。

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サービスの方はみなプロフェッショナルで質問にも丁寧に答えてくれますし、基本的に手厚いサービスをしていただいて不満なところはほとんどありませんでした。

この日は一番乗りで3階のカウンター席をいただきました。天気はあいにくでしたが窓が大きくとられているので隅田川、スカイツリーが一望できる素晴らしいロケーションです。

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高級店でカウンターというとちょっと安っぽいイメージをもたれるかもしれませんが、落ち着いた黒色の石材を用いた大きなカウンターで不思議と落ち着く空間ができていました。
1人なら当然カウンターで気楽に景色を眺めながらランチを楽しむのでよいでしょうし、2人でも楽しく食事できること請け合いだと思います。実際この日サルはほぼ満席でお隣のカウンター席には有閑マダムお二人が楽しそうにシャンパンでランチを楽しまれていました。

これまで同店では比較的皿数が多いコースをお昼にも提供してきたようですが、この夏から少し短めのコースも出すようになったようで、今回のレストランウィークのコースと皿数としては同じものかもしれません。アミューズ、前菜、メイン、デザートとお茶という内容でいずれもおまかせというコースがこの日いただいたものでした。

料理全体の感想をまず述べると、それぞれに丁寧な調理がされていてさすが名だたるお店でシェフをされてきた方のお料理と感じることができました。窓から降り注ぐ光に映えてお料理もとてもきれいでした。

一方で味は繊細で美味しいのですが、味付けが淡白なものが多くて、またどこかありきたりな感じもして印象に残りにくいとの感想をもちました。言葉は良くないですが、素材や調理技法のエネルギーが感じにくかったといえばよいでしょうか。

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アミューズは浅草の職人さんに敬意を表した内容になっていて個人的には雷おこしとフランス産バターにアンチョビが載ったものが塩気と魚介の香り、バターのこく、かりっとした食感それぞれがいいバランスでできていて好きでした。ただ、アミューズそれぞれには多少の調理が施されているものの、既製品を使っている部分が多く少し手抜きしている感があったのは残念でした。

また茄子のブルーテについてはさらさらとなめらかで美味しかったのですが、スプーンではなく器を両手でもって飲み干すというかなり斬新な方法を強制されていてこのあたりも少し違和感を感じました。器や道具によって味が変わると思いますが、ここはコードを破らずにスプーンを提供して欲しかったです。

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サーモンについては可もなく不可もなく、美味しく上質なことはわかりましたがインパクトが少なかったです。

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メインの豚肉料理はコンフィにしてあって提供の温度は低めでした。黒コショウのオイルと一緒にいただくと丁度いい具合の味になったように思います。
つけあわせそれぞれが凝っていてさすがと思いました。温かい栗粉のベイニェは美味しいですし、フルムダンベールのクリームと洋梨をアンディーブに載せたものは味が濃厚でチーズの前味を楽しむことができました。ただロブション風というかぼちゃのピュレは身質がじゃがいもと違うかぼちゃを同じ調理法で調理しても同じような美味しさにはならないと感じてちょっと残念でした。ロブション風とついているとどうしてもロブション氏のジャガイモのピューレをイメージしてしまうので期待が高まってしまう分残念感の方が大きかったです。

デザートについてはコースが安いコースだったためか、現代風から古典に逆戻りしたような郷土菓子で少し物足りなさを感じました。
とはいえいちじくのコンポートは自然な甘味でいちじく自体の質もよいのでしょう、美味しくいただけました。

お茶はフレッシュハーブティー(ミント、レモングラス、大葉)をお願いします。先日の「スブリム」ほどの感激はないですが、美味しくお代わりまでいただいてきました。
小菓子として出されたのが現代風のクレームブリュレでこれは面白い趣向でした。デザートの古典から一気に現代に引き戻された気がしました。

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最後になりますが、こちらはフランスから種を輸入しているというパンの美味しさがすばらしいです。さらに気前よく盛られたポワティエ産の芳醇なバターもさらにパンを美味しくしてくれました。温めてパンを出すお店は多いですが、こちらでは熱々で提供してくれますのでさらにおいしく感じました。パンは結局4ついただいて、パンだけでもかなりおなかがふくれてしまいました。

色々と小言も書きましたが、最後もシェフがお見送りをしてくださり、感じるところがありました。次回はより真価がわかるであろう長めのコースで再訪問できればと思います。


(いただいたもの)

ランチコース(フランスレストランウィーク特別メニュー)

アミューズブッシュ:
長茄子を素揚げにし、コクのある貝のブイヨンで温かいクリアヴルーテに焼茄子のタルタルを潜ませ、生姜の香るターメリックのエキュームを浮かべて
近隣老舗(大心堂、種亀)とのコラボスナックとアントナン風グリーンオリーヴのマリネ

サーモン(前菜):
ニュージーランド産オーラキングサーモン、マリネして竹本油脂太白オイルコンフィ
ウォッカの香る自家製イクラとシャインマスカットを散らしヴェロニック風に、鮭魚醤入り冷たいソースオゼイユとアネットのピストゥーを添えて

ポー(メイン):
栃木県産ハーブ豚ロース、純米酒でマリネし64℃でしっとりと加熱
バッハコーヒーの香るなめらかな栗カボチャのピュレ ジョエル・ロブション風
薫り高いジュ・ド・ポーとマダガスカル産生黒胡椒オイルをアクセントに
アンディーヴとポワール、フルムダンベールのサラダ添え

デセール:
ブルターニュ伝統菓子ファー ブルトン
黒イチジク、スパイスと赤ワインでコンポートにし、
セルゲランドでアクセントをつけた磨き白胡麻のグラスと共に

カフェ:
フレッシュハーブティー(ミント、レモングラス、大葉)





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レストラン訪問記:麻布十番「スブリム」(★)

少し体調がすぐれない中でしたが、しばらく前から予約を入れてあったこちらでランチをいただいてきました。

つい先日まで暑い日々が続いていましたが、この日卓上に置かれたメニュー内容を見て秋の到来をはっきりと感じることになりました(訪問は9月下旬)。

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入店時の卓上の様子

そこには典型的な秋の食材が並んでいて、まだまだ走りといえるようなものもあれば少し前からすでに手に入る食材まで多彩でした。おまかせ料理では和食でなくても季節の食材を多く使って欲しいと思っているのですが、こちらの食材選びはその思いに叶っていてそれだけでうれしい気持ちになりました。

現代風北欧料理のテーストが入ったお料理というのはおそらくほとんど食べたことがなく、この日が初めてだったように思います。より自然を尊重した簡素なプレゼンテーションであったり、シンプルな料理というイメージがありましたが、この日のお料理は果たしてそのイメージに多く合致するものでした。

個人的には、食べられないものをプレゼンテーションの道具として皿に盛りつけたり、飾り付けるのは、和食で用いる草花のちょっとしたあしらい以外はあまり好きになれないのですが、こちらのお料理にはそういう余計なものが一切なく潔く食べられるものだけが器に盛られていてその点とても好感がもてました。

お店は麻布十番が最寄り駅だと思いますが、入口が半地下になっていてさらに奥まっているので少しわかりにくいつくりです。通り過ぎようとしたらスーツの男性が透明のガラスの向こうに立っていて目に留まり、店名を認めることができたのでなんとか入店できました。

店内は木製でその板目がむき出しにされた内装で、カーペットの類で豪勢な空間を作り出すガストロノミーレストランとは少なくとも内装においては対極をなしていると感じます。特別感はないものの木のぬくもりが感じられて不思議と落ち着く空間になっています。それはおそらく内装だけではなく、奥のガラス窓一面に広がる緑のおかげというのもあるかもしれません。他のお客さんがいたりして写真を撮ることはできませんでしたが、店の適度な大きさも含めていいバランスです。

また使われている器も磁器よりは陶器というイメージが強く、木材むきだしの内装とあいまって素朴な優しい食卓のイメージが強く感じられる環境でした。これも北欧流なのでしょうか。

最初に店内に案内してくれたスーツの方が支配人でしょうか。笑顔がなく硬い感じでしたが、こちらの硬さが伝わったのかもしれません。それでもサービスマンから笑顔を見せて欲しいのが本音の所です。

肝心のお料理は最初に少し書いたように、食材に多くの秋が見つけられて一つ一つの食の体験が楽しく、また時に興味深いものでした。

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ベルガモット柚餅子

ベルガモット風味をつけた柚子味噌を使った柚餅子から始まりますが、ほんのり香る柚子の風味がとても気持ちよい一口でした。シェフのおばあちゃんが作られていたという柚餅子をモチーフにしているとのことで、最近はそうした自分の出自をきっかけにした温故知新の料理創作が流行っているのかもしれません。

物語性があるところには魅力がありますし、単に料理を美味しいと感じるだけではなく、なぜその料理なのかについて納得することができて料理の魅力が増すとも感じます。

シェフが自ら山に入って採ってきたという松茸は日本風のお出汁(昆布と鮪節)でいただく趣向なのでこれって北欧料理でもフランス料理でもないじゃないと思ってしまいましたが、いただくと松茸の香りがほのかにしてお出汁とともに美味しくいただくことができました。松茸を最後に口に運ぶための小さな木のさじまで用意されていて、食べ手への配慮あるサービスに好感がもてます。

ムール貝はほんの一口ベイニェにしてありました。付属のピクルス類やジャガイモの細切り揚げと一緒に食べるものかよくわかりませんでしたが、ムール貝自体は旨みが濃かったです。

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秋刀魚/青茄子/紫蘇

秋刀魚は半生で供されていて、こちらは先日の「ラミティエ」でいただいたハチビキの半生に感じた違和感を感じることはありませんでした。秋刀魚は現代の日本では生で食べることも当たり前になってそういう文化があるからでしょうか。

茄子が中に入っていましたがこちらは少し水っぽくて残念でした。その点では「スリオラ」で感じた思いと同じでしたが、こちらでは秋刀魚や他の塩味、油分とともにいただく趣向だったためか合わせていただくと美味しいと思えたのでぎりぎり大丈夫でした。ただ茄子の調理はもう少し水気を抜く工夫ができるのではないかと素人ながら思いました。

発酵マッシュルームはこちらのスペシャリテとのことで、生のマッシュルームにマッシュルームから抽出した液を使ったクリームスープを注いでいただくお料理でした。

マッシュルームもいいものなのでしょう。不快な苦みや臭いなどはなくマッシュルームの香りを楽しみつついただくことができました。スープはやや塩気があるのですがそれを中和させるために中に温泉玉子が入っています。

ただちょっと量が多めに感じました。キノコ類やマッシュルームがあまり好きではない人にとってはもしかしたらしんどいかもしれません。

メインまでにこれだけのお料理が出てきましたが、これらのお料理は前菜というよりは質の高いアミューズを連続して出して頂いた感じでした。ここまでの流れで秋の味覚が色々な角度から楽しめたので、フランス料理のサービスのコードに縛られない自由な提供の仕方でしたが個人的にはむしろ好感がもてました。自分らしさがお料理やサービスの仕方で表現できていてそれに成功している場合には個人的には評価が高くなります。

続くメインは魚1種、肉2種からの選択でした。すでにジビエが出始めているようで天然の猪ロース肉(鳥取産)にとても惹かれましたが、一方でお魚も黄アラ(和歌山産)と珍しそうなもので悩みました。追加料金がかからなければジビエにしたかもしれません。

結果的には一期一会と感じたお魚にしましたがこれが大正解でした。先日の「ラミティエ」での半生がやはり少し気になったので火入れについて確認したところ、丁度いい絶妙な焼き加減で提供する(=生ではない)とのことでしたのでシェフの腕に信頼してみようと思い、おまかせの焼き加減でお願いしました。

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メインの魚料理:黄アラ

出てきたお魚は大きな魚体から切り取ったと思われるそれなりにボリュームある大きさでぷりぷりとした身質です。これはシェフの技なのでしょう。ナイフを入れてみると確かに生ではないのですがかといって火が入りすぎた硬さではなく弾力があって絶妙な焼き加減であることが外から触れただけでもわかりました。

口に運ぶと上品な白身の味が口に広がり、おそらく炭火で仕上げているその香りが鼻に抜けていきます。本能的にうまいと感じるお魚料理でした。これまで食べたお魚料理の中でも相当レベルが高い料理だと感じ、その瞬間大げさではなく目が覚める思いがしました。

さらにつけ合わせのフランス産のキノコもしゃきしゃきと歯ごたえがしっかり残った絶妙の炒め加減で美味しいですし、苦みのあるアンディーブに似たお野菜のローストがまたいい味わいです。

ソースも酸味あるエルダーフラワーのピクルスとディルのハーブオイルを使った目にも鮮やかなブールブランソースでお魚料理にいいアクセントを添えてくれていました。

これを食べられただけでも今回のランチは自分にとって収穫だったと思えたほど美味しかったです。

これでいよいよデザートですが、いい和栗が入ったとのことでそれを使ったモンブラン風のデザートでした。緩い造りのモンブランといっていいでしょうか。口内調理でモンブランが完成します。

上にかかったミルクのエスプーマのせいかケーキとして完成されているモンブランよりも軽い作りですし、さくさくと美味しく食べ進めることができました。シンプルですがとても美味しくて好みのデザートでした。

お茶の時間に栗のはちみつを使った熱々のフィナンシェが出されました。こういう気遣いはとても好ましいですね。デザートと栗つながりというのもおしゃれです。

こちらではフレッシュハーブティーにも力を入れられているようで入るハーブは日替わりのようでした。この日はマジョラム、マリーゴールド、ペパーミント、レモンバウム、レモングラス、ベルベーヌなど8種類のハーブが入ったものでした。二杯分は取れる容器で提供されていてそのあたりの心遣いもやはり良いです。

時間がない中でしたが貴重なハーブティーなので入れて頂いた分はすべて飲んで店を後にしましたが、その日はその後一日中体調が比較的落ち着いていたように感じられてハーブティーの力を実感しました。

サービスは基本的に誠実で、これまでいくつか書いたように食べ手のことを考えた配慮がそこかしこに見て取れて好感がもてました。

支配人の方とは最初は少しぎこちなさがありましたが、話しかけて下さっていくつか話をする中で少しは打ち解けられたように感じました。

お店を出るときにはありがたいことに支配人、シェフ共々玄関までお見送りをして下さいました。

色々な食材がシェフのもとに集められているように感じましたし、季節の変化や仕入れの状況によっても料理の多彩な変化が楽しめるであろう個人的にはとてもわくわくするお店だとわかりましたので今後も折に触れて楽しみにうかがってみたいと思います。


(いただいたもの)

ランチコース
(北欧風のライ麦パン?と焦がしバター、バターミルク、ヨーグルト、塩のホイップつき)

ベルガモット柚餅子(静岡が実家とのことでその思い出から)
高知産ベルガモット風味の柚餅子
マスカルポーネチーズ 自家製マヨネーズ(ポルチーニクリーム?)入り

松茸(シェフが山で採ってきた松茸)
昆布と鮪節のお出汁かけ

ムール貝
ムール貝のベニエ シトロンキャビア
加賀太きゅうりコールラビのピクルス
ポテチ細切り揚げ
蓮の実(生)

秋刀魚/青茄子/紫蘇
秋刀魚炭火あぶり(ほぼ生)
しそ各種かけ(しそ新芽など)
なす素揚げ ピマンデスプレットかけ
熟成トマトジュースかけ

発酵マッシュルーム(スペシャリテ)
ソテーしたマッシュルーム 生のマッシュルーム 温泉玉子
乳酸発酵させたマッシュルームの汁と別に炊いたマッシュルームの汁と生クリームなど合わせたスープかけ

メインの魚料理:黄アラ(ソテー)
白ワイン バター エルダーフラワーのピクルスのブールブランソース ディルのハーブオイル使用
フランス産キノコ炒めとアンディーブ添え

デザート:奥伊予和栗(現代風モンブラン)
バニラ風味をつけたミルクのエスプーマかけ
エルダーフラワーのベリー
和栗のクランブル

フレッシュハーブティー:マジョラム、マリーゴールド、ペパーミント、レモングラス、レモンバーム、ベルベーヌなど8種のハーブのブレンド

小菓子:栗の花の蜂蜜(栗のフィナンシェ)





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レストラン訪問記:赤坂「ブタリ(Boutary)」(未掲載)

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この店のご近所にある一つ星和食店でランチをした際に偶然見かけて気になったのでお店を調べて予約をしてランチにうかがってきました。

開店が今年の7月12日ということで今日でちょうど開店一ヶ月目を迎えたということになります。

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一人ということでカウンターでの食事でしたが、新しい店らしく店内のしつらえはぴかぴかでカウンターや調理場などとてもきれいで清潔な感じが伝わってきます。

店頭の舌代によるとパリの人気店が東京初進出とのことでしたが、事情の疎くてパリに本店があるこのお店のことは全く知りませんでした。ミシュラン最新版を見たところ、パリに二店あるうちのパリ6区の本店が星なし、ビブグルマンなしで掲載されていました。

キャヴィアを扱うお店が出しているレストランということで東京のお店でもそうですが、キャヴィアのテースティングが常時できるようになっているようです。また最近のミシュランは料理ジャンルも記載されていますが、現代風料理ということでした。東京店の店頭に掲げられたメニューを見て何となくビストロとのイメージをしていましたが、どうも違うようでした。

そのイメージと現実のギャップは最初のお料理を提供された時点ではっきり認識することができました。

前菜としてこの日書かれていたのはフランス産のムール貝を使ったというサラダ仕立てのお料理でした。サラダにムール貝という取り合わせはあまり聞いたことがなく、オリジナルな料理なのかなくらいに軽く考えていましたが、出されたお料理の美しさにまずびっくりして不意打ちをくらった感じになりました。

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ビストロ料理…ではないのは明らかですね。星を志すお店(シェフ)ということなのかと感じ入り、食事が俄然楽しくなりました。

食後に郡司一磨シェフに話しかけていただいてちょっとだけおしゃべりすることができました。銀座の二つ星店で仕事をしたり、その姉妹店である一つ星店の立ち上げにも関わったご経験があるなど料理人としてのご経歴はしっかりとした方のようです。

シェフ自身、食材へのこだわりがかなりあるとのことで、夏に旬を迎えているお野菜がきれいに盛りつけてあり、それぞれが小さいながらもどれも丁寧に調理されていて、これまた季節のムール貝が与えてくれるほどよい塩気で美味しくいただくことができました。フランス料理ではなかなかお目にかかれない茗荷なども入っていました。またソースは繊細な泡もありましたが、濃いめのソースにはカレー風味が忍ばせてあったりとこちらも多彩でした。

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メインもお決まりで、ある意味ランチの定番の豚肉料理でしたが脂身がとても甘くて美味しいお肉で苦味やほのかな甘味があるビーツのピューレやケールなどのつけ合わせとともにさらに美味しくいただくことができました。お皿もきちんと温めて提供されています。

デザートのティラミスはありきたりで、またもう少し量も欲しいとの不満を多少感じましたが、繊細かつ適量のヨーグルトのソルベがシェフのレベルを感じさせてくれていたようにも思いました。

まだ開店後一ヶ月も経っていない段階での訪問で、食べログの投稿どころか評価すら一件もない中、シェフやサービスの方のそれぞれのプロフェッショナルとしてのスキルが遺憾なく発揮されていて現時点でかなり完成度の高いレストランであると感じました。

ビストロ料理店と考えると料理の選択ができないことなどもあわせて考えるとお値段が多少高く感じるかもしれませんが、サービス料をとらない中で最初の冷たいおしぼりから布製のナプキンの提供、常に温かくお客さんが必要な分だけふんだんに提供していただけるお店のオーダーメイドという美味しいパン、完成度の高い緻密で美味しいお料理といったことを考えるとむしろとてもお値打ちに感じられると思います。

今はデザートなしのコースも提供されていますが、そのうち人気が出てくるとそちらも込みのコースのみになったり、お値段が上がったりということが考えられるのかなとも思います。お店の経営が立ちゆかなければ元も子もないのでそれも致し方ないかと思います。逆にいうと今はお客さんがとてもお得にお気軽に味わえる期間ともいえるかと思います。

強いて不満を挙げるとすればランチのお料理が全く選択できない点で、ランチの内容が基本的に月替わりな点でしょうか。常連になりたいと思っても月替わりだと月一の来店頻度になってしまいますのでお店としてもその点は考えどころかもしれません。

とはいえ、お料理を一本化しているからこそこの抑えめのお値段で、高品質のお料理を提供できる面もあると思うのでその点は仕方ないのかもしれません。

お店がさらに発展してお客さんが増えて、常連さんもついて、各種ガイドなどでも評価をされていって、いざ料金を値上げするという段階になったらその当たりは是非考えて欲しいところだと思います。

パリから東京へ進出するのはなかなかの冒険だと思うのですが、本店経営者の才覚や人徳もあるのでしょうか、良き人材を得て東京店はすでに成功への道を歩んでいると思います。

今後、季節の変化に合わせてどのような食材が提供されていくのか今から楽しみでなりません。


(いただいたもの)

ランチコース
(パンとオリーブオイルつき)

前菜:季節野菜とフランス産ムール貝のサラダ仕立て

本日のメイン:せせらぎポークのロティ ビーツのピューレ

デザート:シェフお手製ティラミス ヨーグルトのソルベを添えて

食後の飲み物:ハーブティー(ドライのミント)






BOUTARYフレンチ / 赤坂駅赤坂見附駅溜池山王駅

昼総合点-


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Author:VV George VV

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Michelin au moment de la
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長期フランス滞在中、さる”グランドメゾン”(高級料亭)での午餐を契機に”ガストロノミー・フランセーズ”(フランス流美食)に開眼。
爾来、真の美食を求めて東奔西走の日々。

インスタグラム始めました!→https://www.instagram.com/george_gastro/

* お店の名前脇の★はミシュランガイドでの星による評価(訪問時のもの)に対応しています。

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