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レストラン訪問記:伊賀市(島ヶ原駅)「レチュード」(★)


読者様のお気に入りのお店に、このたび初めて伊賀国一宮の旅の文脈の中で訪れることができました。一つ星は、ミシュラン愛知・岐阜・三重2019特別版の評価になります。今回記事が相当長いので読んでくださる方は是非お覚悟ください。

人気店であると認識していましたので、予約受付開始日にお電話をして席をお願いしてありました。安定の一人旅でしたが、気持ち良く予約を受けてくださいました。平日のお昼だったため、比較的予約が入りやすかったかもしれません。


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伊賀国一宮敢国神社

お店に伺う前に伊賀国一宮敢国神社参拝をし、その後、御墓山古墳まで歩いて見学していたために結構長時間歩いていました。歩いた分、美食がさらに美味しくなると思い、楽しみに店に伺いました。敢国神社は小さい境内でしたが、否応なく癒やしの境地に置かれる文句なしのパワースポットでした。きれいな紋の蝶が群れて蜜を吸う光景にであうことができました。

さて、お店へは今回島ヶ原駅から歩いて伺いました。駅からお店までの道のりはいくつもあるようですが、どの道を通っても徒歩5分強といったところです。今回は大きな道は工事で通れないかもしれないとの丁寧な御案内を事前にマダムからお電話で頂いていました。そのようなわけで今回は線路沿いを行き、店の脇に出る道で店に着きました。

これまでエントランスを読者様の写真で見ていたのですが、実際に着いてみると小さい印象でした。写真で見る時に、両脇にさらに菜園が広がっているイメージを勝手に抱いていたからでした。


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お店の外観

建物に向かうと前からこちらに気付いていたと思われるマダムが笑顔で迎えてくださいました。名前を告げるまでもなく何者であるかが伝わっていました。お客さんが多くないでしょうからさもありなんと納得です。

広めのサルしかないと思っていたのですが、入って右手に個室があり、この日は個室に通していただきました。特別扱いしていただいているのかなといぶかりましたが、お一人様の場合には個室が多いとのことでした。本当かな?私にとっては気楽に過ごせる分、とても有り難いのは間違いないのですが。

ただ最初扉を全開放していたところ、不躾に中をのぞき込むお客さんがいて辟易しました。個室はサルからトイレへの途中にあるため、トイレに行く人の目につくのは分かるし、私のことが視界に入っても、また何なら目が合っても、さっと通り過ぎてくれれば気になりませんが、その人はトイレを出てサルに帰る際にわざわざ振り返って個室の中を覗き込んできたので良い気分ではありませんでした。そんなわけで、それ以来、扉を半分以上閉めてもらっていました。私が必要以上に神経質ではなかったことを、マダムに御理解いただきたいと思ってあえて書かせていただきました。

今回はかなり前置きが長いですが、基本的に気に入ったお店についてはじっくりと、あったことや感想を書きたいタイプです。熱心な、あるいは賢明な読者様はすでにお気づきかもしれませんが、個人的に評価していないお店についてはあっさりと文章だけで本文を綴る一方で、評価するお店については本文中に写真を多くちりばめつつ、そこで感想を述べるというスタイルをとっています。

さて、個室ですが、一人にしてはとても広い場所で、快適でした。最大6名くらいは入るのでしょう。親密な会にはもってこいの場所ですね。


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テーブルセッティングとこの日のメニュー

個室に入ると、テーブルセッティングがされていますが、そこにその日のメニュー内容が印刷された紙が用意されていて、日付も打ってあります。こうした準備はお店としては結構な手間だと思うのですが、客からすると、次はどんな料理が出てくるのかとメニューを見ながらわくわくする時間がもてる分、とても有り難いものです。だから、客ごとにオーダーメイドで用意されていると思われるこのメニュー表のサービスは素晴らしいサービスだと思います。大変でしょうが、今後も是非続けていただきたいと思います。今回の私宛のメニュー表も大切に持ち帰ってきました。


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卓上のお花

席に着いてしばらくするとマダムがまた来てくれて、飲物のオーダーの時間です。酒類提供ができない時期でしたので、ワインペアリングやシャンパーニュなどはなしで、ソフトドリンクから色々と選ぶことになります。

正直ソフトドリンクを頼むイメージが店に伺う前にはなかったのでお水で通すのかなと思っていたので、こちらのドリンクの揃えに驚きました。もっと揃えているところはあるかもしれませんが、おそらくシェフやマダムがテイスティングされて、お料理や世界観と合うもので、お客さんが喜ぶものを幅広く用意するという意識で揃えられたと思われるこだわりのラインナップのように感じました。


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ソフトドリンクのラインナップ

このように、きれいにボトルを並べて説明してくださいました。この写真の右の二本以外はボトル売りの、シャルドネやメルローなどのセパージュごとに違う種類のジュースとして作られている「アラン・ミリヤalain milliat)」というフランス産のぶどうジュースです。右の二本はコーラ、ジンジャエールですね。他に、和歌山産の梅を使った飲物を炭酸で割って氷を入れた梅サワーやストレートの黄桃ジュースなどもありました。

料理とジュースのペアリングというのもそれなりに行われるようになっているのはなんとなく知っていましたが、個人的にはジュースの甘味が料理とは今一つ調和しないのではないかなと思っていましたので、これまで積極的に試そうとは思えませんでした。

ただ、今回は飲むとしたら水かジュースなので、色々と組み立てを考えて、結局、最初はさっぱりするために梅サワーをもらいつつ、alain milliatのぶどうジュースの一種類試して、最後桃のデセールに桃のジュースを合わせようと思い、その旨マダムに伝えました。しかし後で、桃だと思っていたのは私の読み間違いで、デセールは梨を使ったものでした。それとは関係なく、結局思った以上にぶどうジュースをゆっくり飲んでいたので、桃のジュースは飲むことがありませんでした。マダムの御配慮に感謝でした。


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梅サワー

梅サワーはこちらが注文をすることなく氷が入っていました。これがデフォルトなのでしょう。確かに、居酒屋さんなどでは大量の氷が入っています。不思議と氷なしのイメージだったので、その時は面食らいましたが、そちらの方が普通と後から思い直しました。個人的には冷えてさえいてくれれば満足でした。味はもちろん本物の梅の風味がしっかりして、爽やかな炭酸が長いこと歩いてきた身にしみて美味しく、癒されました。

おしぼりはまさに指先をきれいにするための小さいものが用意されていて、マダムがクロモジを煮出した汁をかけて大きくしてくれたものを使用しました。


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グジェール

お食事の始めはシャンパンスナックにあたるグジェールからです。こちらは写真では何度も拝見したことがあるものでした。ブロッコリーが入っているとのことで、中にはベーコンクリームが入っていて濃厚な味で美味でした。思った以上に食べ応えがあり、これからの食事への期待が高まります。


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バターナッツカボチャのポタージュ

次に出てきたのが、こちらのお店ではアミューズの位置づけになっているスープでした。季節的には少し早い印象ではありましたが、バターナッツカボチャのスープでした。味はなめらかで、中央の泡もきれいで良いです。スープの質も高いです。カボチャの香りは控え目ですが、スープの下に玉ねぎのムースが忍ばせられていて、その二層で滑らかさが足されてより食べやすくなっています。泡の上の砕いたコーヒー豆が食感、味覚ともにアクセントを加えてくれて良かったです。量も少なすぎず、また多すぎず、そのあたりのセンスも素晴らしいです。


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ぶどうジュース(alain milliatのシャルドネ)

スープを食べ終えたタイミングでサワーが終わりになり、ぶどうジュース(alain milliatのシャルドネ)になりました。色を見ていただいてお分かりいただけるように、シャルドネジュースはきれいな琥珀色で、味としても蜂蜜のテーストがあるとのことでしたが果たしてその通りでした。こちらは自分からお願いして氷を入れてもらいました。濃厚な分、氷を入れるくらいで丁度良かったです。自然な甘味の飲物で、食事ともそれなりに合っていて、最後まで美味しく楽しめました。


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真鯛の燻製

鯛の身は生でありながら、軽い燻製にしてあり、安易にカルパチョという命名をしないところにシェフのこだわりを感じました。鯛の身を口に含んだ時に鼻に抜ける燻製の香りが良いです。とはいえ、これは甘味と酸味の競演が主眼のお皿だったのではないかと思いました。

日本では角のない、まろやかな味が好まれる分、酸味を前面に押し出すお料理はあまり受けないのはないかと思うのですが、それを気にせずに柑橘の酸味や甘味をしっかりとお皿に載せていくことができるのは、シェフのフランスでの経験がなせる技なのかと思いました。甘味もありつつも、酸味が強いみかんのソースがかなり主張していました。


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パン(そば粉入り)

また、パンはこのお料理が出るタイミングで提供されました。二種類あるようでしたが、最初はそば粉入りのカンパーニュで、次は普通のバゲットのようでした。バターやオリーブオイルといったものの提供や用意はありません。


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枝豆のリゾット

しっかりとチーズが感じられて、アルデンテで、リゾットとして普通に美味しいです。見た目も美しいです。その一方で、胡椒とチーズの香りがやや勝ちすぎていて、繊細な枝豆の甘さやうまみ、こくなどを感じにくかったのは残念でした。ただ、一すくいするたびにチーズせんべいがスプーンに収まるようにするなど、工夫や食べ手への配慮がしっかりしてある点は良いです。


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本日のお魚料理(ほうぼうのポワレ)

シェフは魚の調理が上手いです。お魚自体の新鮮さもあり、適切な火入れも相まって、とても美味しい料理に仕上がっていました。ほうぼうは火を入れるとこわばるように硬くなる身質が特徴だと思うのですが、美味しく食べられる具合に火が入っていて、火入れについて不快に感じさせる要素がありませんでした。旬の野菜類もまたそれぞれにいいお味を出していて、特に苦みを感じさせるお野菜も採用されているのが良かったです。さらに、ソースの色合いがきれいで、全体の統一感もあり、食べていて見た目に楽しく、美味しく、より健康になれる感じでした。


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伊賀牛もも肉のロースト

その身の多くが赤身でありながら適度にサシがあり、食べ応えがあって普通にとても美味しかったです。きのこもごぼうもそれぞれ別々に美味しく調理されています。黒ニンニクのソースは甘辛で、焼肉のタレ(の役割)ですね。白ニンニクをキタアカリ(じゃがいも)のピュレに入れるのも好きでした。


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白鳳梨のスープ

優しい甘味で美味しいし、好きな果物である旬の梨が主役で嬉しかったです。しかし、色々な味を盛り込んでいるため少し味が混線している感じもしていました。それぞれのパーツの質の高さは文句のつけようがないです。また、ガラス皿だからなおさら目立ったのでしょうが、複数の指紋が付いていたのは少し残念でした。マダムは手袋をされていたのでシェフが仕上げる際についたものでしょう。

食後のお茶は高槻市のコーヒー問屋さんに特注してブレンドしてもらっているコーヒーか、近くの月ヶ瀬の和紅茶からの選択でした。新茶のイメージから和紅茶にしたのですが、新茶のシーズンは過ぎていたようで、夏のお茶が提供されていました。


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紅茶と小菓子

食後のお茶菓子はマダムのお手製とのことを帰り際に教えていただき、ちょっと驚きました。そんなキャリアがあったのかなとか、謙遜してでしょうが、(料理に比して)質が落ちるというようなことを言われていて、そんなこと自ら言わなくても良いのにと思ったりしていました。

手作りとは意外な感じがしたのですが、手作り菓子が食後の穏やかな時間に人の温かさを運んでくれるのではないでしょうか。ただお菓子は一度に沢山作らざるをえず、どうしても作り置きになってしまうのかなとは思っていました。

マダムについては、以前読者様から頂いたお写真に写っていたことがあり、イメージとしては天然なほんわかした方だったのですが、実際にお目にかかってみるといたずらっぽく笑うチャーミングな方で、ほんの少しイメージと違っていました。

もとは別のお仕事(美容関係)と読者様から伺っていましたが、適切に押さえるべきところをしっかり押さえつつ、客人に対する配慮が感じられる温かみのあるサービスをされていて、最初から最後まで安心して過ごせました。

お料理については、上で詳細にコメントしましたが、全体的にとても良かったです。しばらく遡りますが、浅草の「オマージュ」や広島の「ルカドゥ」、奈良の「アヴォートルサンテ」などと共に私のお気に入りリストにリストオンしました。

ただ、シェフがさらに上を目指すとしたら、よりシェフの個性が発揮されたお料理、伊賀の食や食文化あるいはその他文化の料理への反映、コース全体の流れのめりはりなどを意識されていくとと良いのかなと素人ながら勝手に思っていました。

コースはこれまでにシェフが習得された技術を遺憾なく発揮されて旬の食材に向き合っていて、それだけで素晴らしいのですが、昔習った技術の再現に留まっている面もあるのかなと感じました。美しいお皿で、美味しい料理で、何の文句があるのかといわれれば、反論もあまりしたくないのですが、一皿一皿にシェフならではの輝きや工夫、思いがけない展開のようなものが見えてくると、さらにすごいことになっていくのかなと感じました。今は型を作って、安定させているところかもしれませんね。

またスープやデセールで感じたのですが、多彩な食材が使われているゆえに、味覚がどこに向かえば良いのか分からなくなることがあったように思いました。それぞれの食材が出す味は抜群でも、全体として何を示したいのかちょっとぼやけてくる感じがありました。

また、めりはりについて書いたのは、最初のグジェールから次のスープの流れで、グジェールの中身とスープの下のムースとで同じようなクリーム系の味が続くのが少しくどいと感じる人もいるかもしれないと思ったからでした。

苦言を呈した形になり恐縮ですが、これもお店やシェフに対する大きな期待のゆえと感じていただければと嬉しく思います。

このお値段で、これだけの質と量のお料理を出せるお店はそうそうないと思いますので、これからも自信を持って良いお料理を提供し続けていただきたいです。

次回はもう少し季節が進んだ頃に、是非ジビエを食べに伺いたいと思っています。


(いただいたもの)

ランチコース(魚・肉両方を楽しめるコース)

グジェール
小さなシュー生地にベーコンとブロッコリーのクリームを詰めて

バターナッツカボチャのポタージュ
玉ねぎのムース ピスタチオオイル

真鯛の燻製
みかんのソース ズイキのマリネ ツルムラサキ

枝豆のリゾット
キャベツの軽いソース サフラン風味

本日のお魚料理
ホウボウのポワレ 白ワインソース

伊賀牛もも肉のロースト
イチジクのキャラメリゼ 黒ニンニクのソース

白鳳梨のスープ
レモンのブランマンジェ スダチのジュレ ベルベーヌのアイス

紅茶
月ヶ瀬・岩田さんの有機紅茶

お茶菓子(カボチャのマドレーヌとファーブルトン)


* 以上のメニュー表記は、お茶菓子の括弧内の記載以外はすべてお店で頂いたメニュー表の記載を忠実に転載したものです。口頭で説明されたために記載されていない情報が多数あります。



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レストラン訪問記:姫路市「サンヴェルジェメゾン」(掲載なし)

今回は兵庫県姫路市に伺ってフランス料理を頂いてきました。ミシュラン兵庫特別版2016に掲載すらないお店ではありますが、箱だけみると立派なグランドメゾンです。

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ミシュランは、星の付与をするかはともかくも、こういう各地の老舗にあたるようなお店は掲載するイメージでしたが、それはフランス版だけでしたか。

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アールヌーボー調の調度品で統一された店内で、時間の経過による古びた感じがまた良い味を出している、そんなサルでした。

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サービスは最初お一人でしたが、時間が経つにつれてメンバーが揃ったようです。メートルドテルと思しき初老男性が、なかなかいい味を出していて、粗相があったと感じた場面もありましたが、全体としてはおおらかにおもてなししていただけたと感じていて、また来ても良いかなと思いました。他のサービスの方も嫌みもなく、適切にサービスをしてくれていましたね。安心して食事ができました。

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肝心のお料理は、グランドメゾンクラスとはいえないもので、星がつかない、あるいは掲載すらないのはある意味正当な評価なのかなと感じました。ビストロ料理ではなく、ブラッスリの料理といった感じです。

まず、前菜として出されたのが豆乳のテリーヌで、食材のインパクトのなさや味の淡泊さ、量の少なさなど、前菜としてメニューに掲載するのはいかがなものかという料理で、大変残念でした。仮にアミューズとして出されていたとしても微妙な品でした。

次に、メインで選んだお魚の付け合わせのお野菜に難がありました。野菜を硬めに火入れするのは、ある意味フランス料理の常道なのかもしれませんが、あまりに硬すぎて、想定通りの咀嚼ができなかったせいで豆がさやから外れて下に落ちるということがありました。

食べ手に無用なストレスをかけている時点で、上質なフランス料理とはいえません。カジュアルな食べ物ならば、そういったことがあっても何の問題はないのですが。

ただ、お魚はやや塩気が強く、焦げ目があったりしたものの、新鮮で、熱々で美味しかったです。といっても、ここのお料理は先ほど書いたように、ガストロノミーではないとしてもビストロというわけでもなく、どこかブラッスリで出てくるような素材をシンプルに調理しただけのお料理という印象でした。お魚料理やデセールがまさにそんな感じでした。

先ほどサービスについて比較的肯定的なコメントを書きましたが、食後のお茶を頂いていた時に、メートルドテルの方から、お代わりはいかがですかとお勧めしていただき、もう一杯紅茶を頂くことができました。

どこのお店も経営は大変なはずですが、こうした気遣いは有り難いもので、食後に少しゆったり過ごせますし、こうしたもてなしを受けると、次回の再訪するかについて考える際も前向きな方向に働くのは間違いないです。

お代わりの件だけではなく、各所にメートルドテルやサービスの方が、客がくつろげるように動いてくれていたように感じることができたので(例えばトイレに立った後にもおしぼりを換えてくれていた)、また訪問しても良いかなと思えたのでした。

ただ、前菜として豆乳のテリーヌを一切れだけ出すというのはもうやめた方が良いでしょう。コスト以上に、お客さんをカットすることに直結するおそれが高いです。結局はお店のためになりません。アミューズとして出されても微妙な味と量でしたから、これを前菜として認める人はいないでしょう。私が頼んだのは一番軽いコースでしたが、もっと重厚なコースを注文していた他のテーブルの人にも同じ物が前菜として提供されていたので、大丈夫かとお店のために心配になったくらいでした。

2階もあって、そこでは御家族連れがおそらく貸切りの会食をされていたようで、ここは何かの記念日にちょっとおしゃれして外食する時に市民が目指すお店の1つなのだろうなと感じました。料理はともかくとしても、ここにはそれにふさわしい器があります。箱やサービスは悪くないので、お料理の内容をそうしたお客さんのためにもう少し改善できるとお店もさらに良い方向にいくのかなと思いました。


(いただいたもの)

ランチハーフコース


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パン 温めたバゲット
オリーブオイル
(→パンは温めて提供してくれます。もっちりしていて普通に美味しいです。軽いコースではバターの提供はなく、コースによりバター提供があるようでした。お店の自由とはいえ、こうした違いを設ける点は少し疑問でした。)


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前菜:豆乳のテリーヌ


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スープ:とうもろこしのポタージュ
(→少なかったですが、濃厚で美味しかったです。)


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メイン:スズキのグリエ 茄子のマリネ添え
(→味については既述です。お皿を温めてあるのは良いことですね。)


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デセール:ムースシトロン シャインマスカット添え
(→メートルドテルがデセールを運んできたのですが、私に出す直前に皿を放置して他の客の接客へ行ってしまいました。仮に大事な客としても、ひとまず目の前の仕事を完結してから次の仕事をするべきでしょう。この動きは大変感じが悪かったです。デセール自体はとてもシンプルですが、旬のシャインマスカット(種なし)を使っていて良かったです。デセールになったタイミングでおしぼりの交換がありました。)

食後のお茶:レモンティー
(→お代わりを頂いたのは既述の通りですが、追加のレモンも持ってきてくれました。気が利いていました。)

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レストラン訪問記:西宮市(夙川駅)「ル・ベナトン」(掲載のみ)

ミシュラン兵庫2016特別版に掲載のみされているフランス料理店で食事をする機会がありました。


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料理も、店の雰囲気も悪くなく、できれば再訪したいと思いましたが、この日はついていなかったのか、料理、サービス両面でとてもよろしくない経験をしてげんなりでした。


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料理については、グレープフルーツを使ったサラダ風の前菜に小虫が入っていて、食材の上で元気に踊っているところに遭遇したことでした。

私が見つけて取り出した時にはグレープフルーツの上で暴れていましたが、写真を見ると、しっかり別の食材(鱧)の上にダイブしているところが写っていました。

恐らく、外国から運んでくるグレープフルーツは、いくつも詰めた形で箱に入れられていて、そこに虫が入り込んだり、生み付けられた卵がかえったりして、虫が発生しやすい環境なのだと思います。

そのあたりを経験上知っていれば、客に出す前に気づけたと思うのですが、料理を仕上げるシェフも、皿を運ぶサービスも気づかないのはとても残念なことでした。さすがに、両名のいずれかが気づいていて出したとは思いたくないです。

私もやり直しをお願いすればよかったのでしょうが、そこまで頭が回りませんでした。珍しく人と一緒にいたからというのもあったかもしれません。

次に、サービスのミスです。この日は、私がお勘定をすることになっていました。そこで、食後、トイレに行く時にわざわざサービスの方に、私が払うから、私が用を済ませた後にテーブルに会計をもってくるようにと、はっきりと意思表示をしておきました。

それにも関わらず、トイレから出てみると、私がトイレから出る前にのこのこ会計をもっていってしまっていたようで、同席者が支払った後でした。

こうして私の配慮をないがしろにして、ある意味その日の客に支払いをさせることで私の顔を完全に潰してくれたわけです。子供のお使いではありません。事前に、そういうことがないように注意をしていただけに罪は深いです。

お金だけの問題ではありません。同席者は、比較的近い立場の人なので、つきつめれば大過はないともいえるのですが、もしこの日の会食が重要な接待等だったら取り返しがつかないことです。

事前に細心の注意を払ってお願いしているのに、平気でそれを無視するかのように行動する。プロフェッショナリズムはそこにありません。大変残念でした。

それでも再訪を思うのは、料理の構成や店内の雰囲気は悪くないからです。


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季節のジビエ料理があったり、日替わりの前菜が複数あったりと興味深い献立でした。


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ただ、もしここのシェフが、ミシュラン一つ星を目指しているとすれば、”前日の残り物ではない、その日仕入れた(焼いた)パン”を、”温めて”客に出すことと、”バターを用意すること”は最低でも押さえ、できればもう少しデセールに華やぎをもたせたいところです。

あとは、上述の二つの問題が起きない体制をきちんと作ることでしょう。同じようなことが次回あったら、料理がどんなに美味しくても二度と行くことはありませんので、是非よろしくお願いいたします。


(いただいたもの)

ランチコース

パン類:コカ(アンチョビとローズマリーを練り込んだ堅くて薄いパン)、丸パン、バゲット


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アミューズ:緑パプリカのムース 赤パプリカのサブレ


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前菜:水茄子のサラダ


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兵庫県産鹿の心臓のロースト(追加料金発生)


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クレームキャラメルとヴァニラアイスクリーム


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食後のお茶:ハーブティー(ヴェルヴェーヌ)
小菓子(写真は二名分)




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レストラン訪問記:神戸市(三宮駅)「La Tachi(ラ・ターチ)」(未掲載)

今回、神戸三宮に伺い、カウンター主体のフランス料理店を訪ねてきました。


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小さくて、少しイレギュラーな三角形の形をしたサルですが、白を基調とした内装で、窓はそう大きくはないものの外の光がしっかり入ってくる造りで、とても落ち着いた雰囲気です。

正面のオープンキッチンではシェフと助手の若い女性がきびきび動いていて、ライブ感が溢れる感じでもありました。

主にサービスを担当されるのはマダムでしょうか、落ち着いた接客で安定感がありました。また、シェフもカウンターに座った一人一人にきちんと目を見て挨拶をされていて、こういうことを大切にする方はいい仕事をするよなと最初から好感触でした。

サービス料として5%が加算されますが、それに見合うお仕事をきちんとされていると感じましたので、むしろ安く感じたくらいでした。具体的には、一組一組に提供したお料理の説明をきちんとされていたことや、パン皿が空いている状態の時に、客にあえて尋ねたりせずにこれまで通り温めた新鮮なパンをさりげなく提供してくれたことはとても良かったです。

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また、カトラリーも最近流行りの右側にまとめて置くタイプでしたが、料理ごとに使用するものをちゃんと取り替えていて、そんなところからも、きちんと客や料理のことを考えてくれているのが伝わってきました。

手抜きのために、これうちのスタイルですからなどといって、客が食事をする楽しみについて全く考えもしないで、10皿もの料理で同じカトラリーを使わせる広島の某店とは大違いです。

お料理は予約時点で希望したおまかせコースで、着席してすぐにスタートしていきます。このお店の定番のつきだしからのスタートでした。


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岡山産完全無農薬のニンジンのピュレと弓削牧場のフロマージュフレです。フロマージュフレはいわゆるフロマージュブランでしょう。しっかり酸味を感じました。

ニンジンは甘くて酸味のあるフロマージュフレと良いバランスです。最後はフロマージュが多くて酸味をより感じましたので、次回は食べる際に工夫したいと思います。

続いてのアミューズは、一口タルトでした。食用花を使っていて見た目にいかにも美しい一品でした。


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予想外に甘い一品でしたが、ハーブ類の複雑な香りが楽しめて面白かったです。ただ、意外性があって楽しいのは良いのですが、料理が始まっているのだから塩味がした方がよりしっくりいったとは感じていました。

それ以下に続いたお料理も、それぞれのお皿が丁寧に調理されていて、どれも良かったです。中でも一番心に残ったのはやはり、魚介類を使ったサラダでした。


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これはシェフの出身である御影の一つ星店「ジュエンヌ」のスペシャリテでもあるようです。

それぞれにきちんと調理された美味しいお野菜が、同じくちゃんとした火入れがされ、味付けされた帆立貝やたこ、剣先烏賊と共にきれいに並べられています。

大皿なので結構なボリュームがあり、インパクトも大きいです。ただ、お皿の4分の1におおよその食材が載る形なので、この4分の3のサイズくらいで量的には丁度良いかなと思ったりもしました。

メインは、お魚で、この日は真魚鰹のローストでした。


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最初にこの料理が出てきた時には、日本料理かと思わずつぶやいていました。お魚が小さい点は少し寂しかったですが、上等な魚である真魚鰹を頂けて有り難かったです。

火入れが良く、繊細な身質がちゃんと活かされており、美味しく食べられました。皮にも脂がしっかりあり、美味しさに貢献していました。

このこのソースは、ナマコの卵巣であるこのこの自然の旨みに乗ってしまっている点で手抜きの面がありますが、複雑な旨みがあるので、全体として料理としてはひとまず完成していて、美味しくて文句はありません。

デセールに入る前に締めの一品として炭水化物のお皿を出すのがここの決まりのようです。この日はカレーライスでした。


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写真だけ見るとつまらないという感想になるかもしれませんが、神戸牛のコンソメや地元神戸のトマトを使ったりしていて、とても上質な味わいの欧風カレーでした。具が入っていない分、お出汁の美味しさを存分に味わえる一品に仕上がっていました。

お米(神戸市西区産ミルキークイーン)は炊飯器で炊いたものを適当に盛りつけたものではなく、おそらくお鍋でちゃんと時間などを計算して炊きあげたもので、米の性質上もやや粘りがある炊きあがりでしたが、粒の立ち方が炊飯器で炊いたものとは明らかに違いました。

デセールは、小さな一品が時をおいて三品出るという少し変わった形でした。ただ、雑な三種盛りよりははるかにシェフの思いがこもっている感じがして好ましかったです。


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まずは、「今年収穫された天然はちみつとヴェルヴェーヌのアイスクリーム スペイン産エクストラヴァージンオリーブオイルがけ」でした。

なめらかでほんのり香るヴェルヴェーヌのアイスクリームはとても美味しくて、一口でファンになりました。手作りのアイスクリームは本当に上質だと改めて思いました。

続く一品は、南高梅のデセールで、季節の梅を堪能する一品でした。種があることをちゃんと客に注意喚起していて、改めてきちんとしたサービスに感心していました。


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甘くも、少しだけ酸味がある旬の梅がいい具合にデセールになっていました。先ほどは神戸産フロマージュフレでしたが、こちらではフランス産フロマージュブラン使用でした。

最後のお菓子は、抹茶のクーランと説明を受けました。「ミシェル・ブラス」オリジナルで今や世界的にポピュラーになったデセール、フォンダンショコラの元になったとの説明がサービスの方からあり、シェフの出自が気になりました。

ちなみにサービスの方が言われたのは「フォンダンショコラの元になった」というところだけで、「ミシェル・ブラス」云々は私がここで書き加えた情報になります。


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後で、マダムに聞いたところ、シェフはブラスでの修業経験があるという訳ではなかったようでした。

お味は、とろけた抹茶風味のチョコレートが入った焼き菓子で、形態はブラスのフォンダンショコラとは違いましたが、これ自体でお菓子としてとても美味しかったです。

食後のお茶としてハーブティーをお願いしたところ、無農薬バジル科トゥルシーのハーブティーを用意してくれました。


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ハーブティーはその時々によって違うようでしたが、トゥルシーが多いとのことでした。

フレッシュではないものの、ちゃんとした味わいのあるハーブティーを淹れて下さって最後まで楽しむことができました。

シェフを始めとしておもてなしの心が感じられましたし、料理も丁寧な調理がされていて、感心しました。今回いただいたのは三種類あるランチコースのうち一番皿数が少ないものでしたが、提供されるお料理の質やサービスの的確さを考えるとかなりお値打ちな感じがあり、また再訪したいと思わせてくれました。

ただ残念だったのは、店内が比較的狭いにも関わらず、全ての席を埋めるように客を入れていたことでした。

アクリル板を設置しているとはいえ、狭い店内の全席に客を入れるのは、この御時世にあっては社会的な理解は得られないのではないでしょうか。実際この日も後半に入店した複数名の客が普通に談笑していました。お気持ちは分かりますが、今の状況だとマスクなしで話している人達はどうしても気になりますね。経営的にはそうしないとやっていられない状況というのは理解できますが。

そのようなわけで、この日は平日なのに満席で、店の人気ぶりから、以上のような点が皮肉にも気になった次第でした。

以上のような理由から、次回訪問はコロナ禍が去った後の方が良いかなと思っています。


(いただいたもの)

ランチコース

アミューズ⑴:岡山産完全無農薬のニンジンのピュレと弓削牧場のフロマージュフレ

アミューズ⑵:花と野草のタルト

前菜:有機野菜のサラダ 宮城産帆立貝 明石産小ダコ 長崎産剣先烏賊

魚料理:真魚鰹のロースト このこ(ナマコの子)のソース ウイキョウとセルフィーユのスプラウト 丹波篠山産完全無農薬赤玉葱

締めの一品:カレーライス(神戸牛のコンソメと神戸市西区産トマト使用。米は同区産ミルキークイーン)

デセール三種:
今年収穫された天然はちみつとヴェルヴェーヌのアイスクリーム スペイン産エクストラヴァージンオリーブオイルがけ
南高梅のコンポート フロマージュブラン 南高梅のフリーズドライ 梅のコンフィチュール 青じそのスプラウト
抹茶のクーラン

食後のお茶:無農薬バジル科トゥルシーのハーブティー
小菓子:なし




テーマ : グルメ情報!!
ジャンル : グルメ

レストラン訪問記:生駒(菜畑駅)「アヴォートルサンテ」(★)

今回、奈良でフランス料理を頂いてきました。結論からいうと、まだまだ良くなる余地はあると感じたものの、とても良いお店でした。


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近鉄生駒線菜畑駅から徒歩で約4分ほどの場所にある一軒家が目指すレストランでした。

食事をしに行く以上お料理が美味しいことはもちろん大切ですが、それと同じくらいサービスやしつらえ、シェフのもてなしの心が大切であることを改めて感じる機会となりました。

最高位では二つ星までいったローヌアルプ地方の名店「ミシェル・シャブラン」の先代の時代にそこで修業されたというシェフがこのレストランでやろうとしていることは、日本のお客さん向けに、料理も、お酒も、雰囲気も含めてフランスの地方にある名料理店を再現することとお見受けしました。

サービスは各人きちんと動かれていますし、愛想もあります。そしてお料理について質問をしても、かなり詳しいところまで分かっていて、シェフに尋ねに厨房に行くなどということはありませんでした。サービスの方が、自信をもって説明して下さる安心感は大切ですね。シェフのお料理を店全体できちんとお客に届けようという高い志につながることですから。

間合いが合わない時もありましたが、ゆったりと笑顔でいてくれるのでこちらは気持ち良くお料理に集中できました。必要があってサービスに合図するために手を振ってももちろん、うるさい、黙っておけなどという態度はもちろん取られることはありませんでした。


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客席正面の写真です。隅の席を頂けたおかげで、店内を見回すことができました。正面奥にはきれいなお花が活けてあるのが見えます。

店内のしつらえには、梁の通った天井やタイル張りの床のおかげでしょうか、昔フランスで体験した懐かしい雰囲気を感じていました。

フランスの地方を旅していると、星がついていなくてもこぎれいにした雰囲気の良い、ビストロとは明らかに違った“レストラン”が一つの町や村に一軒はあるもので、そういうお店を意識した作りなのだと感じました。サルの床のタイルであったり、天井の梁であったり、フランスで食事しているような気分を味わわせてくれます。この内装は適当に業者に発注して出来上がったものではなく、意識的にシェフが細部までこだわって注文してできあがったものに違いないと思いました。


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この写真で店内の広さが分かるかと思いますが、かなり小さいです。それでも不思議と狭いという感じがしません。


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ここで卓上にパンくずでしょうか、かなり細かいのですがくずが2つほど落ちていて、その辺りの行き届かなさは少し残念でした。


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しかし各卓上に生花が活けられていて、とても気持ちが良いです。シェフを始めとするお店の心意気を感じました。お店の前の菜園で摘んだお花かと思いました。


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最初の豚肉のリエットはほんの小手調べといった感じでしょう。バターナイフで塗ってとのことでしたが、これだと後に食べることになるバターとリエットの味が混じってしまうので、本当なら専用のナイフを用意しておくべきでしょう。細かいことではありますが、そこが少し気になりました。

この日は食後の予定も大してなかったこともあり、久しぶりにお酒を頂きました。リストに自家製果実酒を見つけたので、アペリティフメゾン(お店オリジナルの食前酒)と勝手に位置づけて、こちらを食前酒に所望しました。この日の果実酒はフランボワーズの果実酒で、果実をつけ込んだお酒を炭酸で割ったものでした。こうした、星付き店で修業されたシェフ手作りのお酒が不味いわけもなく、香り高く、とても美味しく頂きました。フランボワーズの実も入っていて、飲み干す時に頂きました。お値段も抑えめで、それも含めて最初から満たされて食事が始まりました。

さて、その後のお料理ですが、気取りのないメニュー表示からはどんな料理が出されるのか分かりませんでしたが、一皿目の前菜が出てきて、丁寧な調理がされているのがわかり、「取り合わせ」などというふんわりした言葉遣いをしているには、あえて専門用語を使わず、気取らない、気負わせないお料理として提供しているシェフなりの優しさと感じました。ちゃんとしたお料理を出していれば、名前なんかいいじゃないかという思いです。


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シェフの出すお料理というものは自分が修業をした時代に主流だったもの、自らが多く学んだ作風というかそういうものをずっと背負っていくものと思っていて、こちらのシェフの出すお料理(例えばこの「アボカドとずわい蟹の取り合わせ」)も、今のお料理の流行のようなものとは一線を画す少し前のスタイルかもしません。それでも美味しいものを丁寧に作っていることが伝わるお料理で、優しく繊細で美味しいですし、ややオールドなスタイルも含めて私は好きでした。取り合わせに入っているじゃがいもからはほんのかすかにカレーの風味を感じ取ることができました。


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真上からの写真で分かるかと思いますが、手前の緑のソースがホウレン草のソースで、取り合わせの向こう側にカリフラワーのムースが敷かれていて、生臭い感じが残ったムースが逆にいいアクセントになっていて良かったです。

前菜は他に、この日は、「サラダリヨネーズ(リヨン風野菜いっぱいサラダ)」かメニューにはない「パテ」が選べました。


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次のスープは、「セロリラーブ(根セロリ)のポタージュスープ」で、見た目の通りシンプルですが、優しくてこくがあり、素材の香りが感じられて美味しいです。意味もなくチーズなどを入れて、味を淀ませるよりははるかに良いと思います。

メインは、「市場のお魚料理(イサキ)」、「ハンガリー産小鴨胸肉のロースト」、「スペイン産イベリコ豚のロースト」、からの選択で、小鴨を選びました。


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鴨の焼き加減はレア(ロゼ)で、ローストビーフよろしくあらかじめ薄く切ってあって、とても食べやすかったです。こういうところにシェフの客を思う心遣いを感じました。せっかくのラギオールのナイフもほとんど出番はありませんでした。お昼でもちゃんとラギオールを出されていて、その点も感服しました。

肉質はもしかしたらフランス産の方が良いかも知れませんが、臭みなどもなく、きちんと美味しく頂くことができました。小鴨の赤いソースは赤ワイン、ポートワイン、ヴィネガーを使ったソースとのことで、甘辛くて美味しかったです。

これで食事が終わり、デセールとなります。三種選択するということで、メニューを見せてもらいました。この日はメニューに加えて、オレンジのスフレグラッセも選択できるとのことでした。


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そのオレンジのスフレグラッセ、季節のタルト(アプリコット)、パリブレストを選択しました。スフレグラッセは要はオレンジのアイスクリームで、とても丁寧な作りでした。タルトは安定の美味しさです。パリブレストは、クリームに気持ちがいきますが、上に載ったナッツが香ばしくて予想外の美味しさでした。

ランチだから、こうして軽めに三種の小菓子でデセールとしているのだろうと納得していたら、なんとこれは導入に過ぎず、この後メインのデセールが到着しました。

これには驚きでした。このお値段で、ここまでしてくれて、お店は大丈夫だろうかと余計な心配までしてしまいました。


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メインのデセールは、「マスカルポーネチーズのムース 蜂蜜のアイスクリーム」とのことでしたが、食べ進めると、ムースの中に終わりつつあるとはいえ今が旬の苺が食べやすくカットされて忍ばせられているのが分かりました。苺はとても好きなのでこれもまた嬉しいサプライズでした。苺自体美味しい苺でしたね。ランチで、この価格なのにこの丁寧な調理とボリューム、味、全て兼ね備えられていて、素晴らしいです。

今回は食前酒の後も実は白、赤のグラスワインを飲んでいて、リストのグラスワインの種類は二種類ずつで多くはなかったものの、自分が好きなセパージュであるヴィオニエ、シラーがそれぞれ一番お値頃のワインとしてリストオンしていたこともあり、お試しの気分で注文したのでした。ワインの価格設定もとても良心的で、ペアリングにするとさらにお得になるようでした。私の今回の果実酒、ヴィオニエ、シラーの組み合わせはペアリングより安かったので、ペアリングには手を出しませんでしたが、次回はありと思いました。

これらのグラスワインの作り手は同じ「モンターニュノワール」というところで、もう一つの赤ワインのグラスもローヌのお酒で、シェフが修業された「ミシェル・シャブラン」近くの地方のワインということで、シェフにとっては昔からなじみ深いお酒たちで、その美味しさを良く知っていて、扱いやすい商材なのだろうなと推察しました。


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食事中はパンとバターを提供してくれますが、パンは自家製ライ麦パンで、毎回必ず熱々で提供してくれます。このパンがまたとても美味しいです。その日に焼いたものを熱くして提供されているようです。昨日の残りのパンを今日も、しかも冷えたまま出しているレストランには猛省してほしいですね。

ちなみに美味しくてパンを3回お代わりしましたが、バターがなくなった2回目のお代わり以降は、注文をしなくてもバターをまた提供してくれました。追加料金なしです。

お酒を飲んで、パンを待ったりした時間もあったりしたこともあり、想定以上の長い滞在になってしまいましたが、久しぶりにフランス料理店で美味しい食事を頂いて、とても楽しい時間を過ごすことができて幸せでした。

平日のお昼でしたが、この日は満卓で、お店には予約の電話がしばしばかかってきていました。これだけの質のレストランで、これだけ良心的な価格設定ならばさもありなんです。こういうお店は是非頑張って長く営業を続けてほしいと思います。

フランスの地方の名料理店の味や雰囲気を味わいたいならここがあるよということで、また必ず伺いたいと思いつつ、お店をあとにしました。


(いただいたもの)

ランチコース(メイン一皿のみのコース)

自家製ライ麦パン(バター付き)

シャンパンスナック:豚肉のリエット

前菜:アヴボカドとずわい蟹の取り合わせ カリフラワーのムース ほうれん草のソース

スープ:セロリラーブ(根セロリ)のポタージュスープ

肉料理:ハンガリー産小鴨胸肉のロースト ジャガイモ キノコ ほうれん草 赤ワインとポートワイン、ビネガーのソース

アヴァンデセール:小菓子3種(オレンジのスフレグラッセ季節のタルト(アプリコット)パリブレスト

デセール:マスカルポーネのムース(苺入り) 蜂蜜のアイスクリーム 牛乳の泡

食後のお茶:コーヒー
小菓子:なし


お酒:
・ アペリティフメゾン:サンテ自家製果実酒フランボワーズの果実酒炭酸割り)
・ グラス白ワイン(IGPペイドック ヴィオニエ2019(モンターニュノワール))
・ グラス赤ワイン(IGPペイドック シラー2018(モンターニュノワール))





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Author:VV George VV

La marque "***", "**","*"
signifie des étoiles de
Michelin au moment de la
visite.

長期フランス滞在中、さる”グランドメゾン”(高級料亭)での午餐を契機に”ガストロノミー・フランセーズ”(フランス流美食)に開眼。
爾来、真の美食を求めて東奔西走の日々。

インスタグラム始めました!→https://www.instagram.com/george_gastro/

* お店の名前脇の★はミシュランガイドでの星による評価(訪問時のもの)に対応しています。

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