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レストラン訪問記:奈良市「テラス・イリゼ」(未掲載)

しばらくブログ記事更新が滞り、少数の読者様には申し訳ない思いでした。3月末からこれまでの間、身分に多少の変化があり、それでも旅行に出ることもそれなりにありましたので、相変わらずせわしなく過ごしておりました。

さて、ミシュラン奈良特別版2022が発刊された直後ということもあり、まだ記事が書けていない1月末以降訪問のお店から、奈良のお店を掲載したいと思います。

今日は、まずフランス料理店のこちらから。今回のミシュラン奈良特別版2022にて、一つ星が新たにつきました。訪問時は、未だ評価がついていませんでしたので、未掲載としています。シェフの鷦鷯氏は、スイス・バーゼルの三つ星店に在籍されていた御経歴をお持ちで、以前は、神戸の「メゾンドグラシアンニ」のシェフも務められた方のようです。読者様から教えていただいて、しばらく前からお店のことは知っていて、今回の訪問となりました(2月上旬訪問)。

さて、お店についての評ですが、正直あまりいい印象がもてませんでした。

シェフの御経歴は御立派ですが、おそらく雇っている会社の方針なのか、料理があまりに平凡です。


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卓上からの眺め
(→池に面していて眺めは悪くないです。)

テーブルクロスなどもしっかりして、アミューズも凝ったりしていて、一見するとガストロノミー店と見えますが、お料理を食べていくうちに、ここの料理は結局ビストロ料理だと気付く、そんなお店でした。

京都で「よねむら」に行く機会がありましたが、こちらも期待外れもいいところで、こうした見かけ倒しのお店は、アミューズとプティフールは結構凝ったものを出すというところが共通していると、そのプレゼンの狡獪さに気付きました。

さらに客層も残念で、コロナ禍全盛期にあって、黙食、マスク会食が叫ばれる中、堂々とマスクなしで大声での会話を続ける中年女性二人組がいて、食事の気分が台無しでした。

その後、お店の人が二人を注意して、一方はさすがに悪いなという雰囲気で発話が減りましたが、その分の隙間をもう一方の老女が私が埋めるいわんばかりにはりきってしゃべるようになったので、注意前よりさらにうるさくなって、より害悪をまき散らしてくれて、最低でした。


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サルの様子

最後にシェフがわざわざ挨拶に来て、詫びてくれましたが、台無しになった時間は帰ってきません。好き放題飛沫を飛ばした二人は、自分達の好きなように過ごせて、満足したのでしょうか。

ファミレスと同じような意識でレストランに入ってくる教養のない身勝手な客。そして、そんな意識の客をきちんと統制しきれない、ある意味意識の低いお店。料理もガストロノミーを装ったビストロとなれば、再訪する理由が全くありません。

料理がビストロというのは、一度行けば分かっていただけるはずです。ビストロだから悪いということはなく、ビストロではなくガストロノミーを装っているのが、たちが悪いということです。

鰤大根の変化形など、色々なところで見かけましたが、ここで頂いたものが、美味しさがなく、発想として一番浅く、思想が感じられない変化形でした。まだ記事を作成していませんが、千葉県佐倉市の「プレゼンテスギ」の鰤大根の変化形が、荒削りではありましたが、今季頂いた中で一番美味しく、また思想も感じられたお料理でした。

レストランで提供するメニューは当然会社の意向が大きく働いているのでしょうから、シェフもこのような意識の低い会社を早く離れて、故郷で本格的なガストロノミーレストランを開いたら良いのにと思っていました。


(いただいたもの)

ランチコース6500
(飲み物は別注になります。)

食前酒:ロゼシャンパン2600
(→ロゼは久しぶりで、封切りが嬉しいです。また、なみなみ入れてくれるのも良いです。)


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アミューズ
鴨のタルト(→鴨が存在感発揮していて、味つけも濃いめで美味しいです。ネギクリームと良い相性でした。)
サーモン(→チーズ使用だが味付けはあっさりです。)
れんこん(→温かいのが良かったです。味は淡白で、野菜の香りが効いていました。)


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鰤の冷前菜
(→運ばれて来た時にゆずの香りがしていました。魚は今ひとつ新鮮でなく、素晴らしい鰤大根を「プレゼンテスギ」で頂いていることもあり、全く感動がありませんでした。正直バナル(平凡)な品です。野菜のちょび髭が跳ねているし、蕪でくるんだものがフォークで刺すと中身が飛び出てしまうなど、とても食べにくいし、食べ手のことを全く考えておらず、メニュー考案者の社員あるいはシェフにセンスが感じられませんでした。)


ここでパンが提供されました…


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麻炭パン(→温めての提供です。パンはもっちりで美味しいです。お代わりの時はバターも出してくれて、それは有り難かったです。)
柚子味噌バター(→やや甘口です。)
普通のバター(→あまり脂がありませんでした。)


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温前菜:宇陀の金ごぼうのスープ
(→熱々で提供されたのは良かったです。皿もしっかり温めてありました。ただスープが肝心の牛蒡の香りより、生クリームやらベーコンの風味の方が勝っていて、その点ではスープのレベルとしては今一つでした。)


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魚:鱈のポワレ ガルビュール
(→運ばれてくると胡麻油の香りがしてくる。カイワレがここでも邪魔でした。存在価値がない無意味な食材を入れるセンスを疑います。魚は鱈というだけでテンションが下がります。そのがっかりを裏切るだけの美味しさがあれば良いのですが、当然のようにそんなことはありまsんでした。6500円もコース料金をとっておいて魚が鱈はないでしょう。火入れは良いのですが、鱈の良さは全く感じませんでした。さらに、最近、魚料理にナイフがなくスプーンだけというお店が多いのですが、切らなければいけない魚に、ナイフの用意がないのはありえないです。最近のサービスマンは、古典的なサービスを学んだことがないのでしょうか。あるいは食べ手のことを何も考えないのでしょうか。)


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肉:牛頰肉煮込み
(→皿は温めて提供されます。お肉はさすがにとろけて美味しいです。しかし一人大声で喋り続け、飛沫を近距離で飛ばしまくっている老女のせいで、食事が楽しくなくなっており、お肉の美味しさが半減していました。)


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アヴァンデセール:あかしそのグラニテ
(→なぜあかしそを使うのかよく分かりませんでした。)


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デセール:フォンダンショコラ みかん ほうじ茶のアイス
(→アイスは美味しいです。デセールはビストロのそれで、全く工夫も努力も感じられません。全体として美味しいのですが、感動がなく、バナルとしか言えないです。)


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食後のお茶:ハーブティー(ドライ)
(→野菜をアピールしておきながら、ハーブティーがドライというのもちぐはぐ(メニュー開発者の意識が低い)としか思えませんでしたが、ドライのハーブティーは味が濃く、出ていてそれは良かったです。)

プティフール
古都華のタルト(→古都華は奈良の高級苺ですね。ショートケーキと同じ趣向で、これは文句なしに好きでした。)
フランボワーズのマカロン(→クリームが入っていて美味しいです。また、焼き加減も良かったです。)
フランス産チョコレート(→フランボワーズでしょうか、パットドフリュイが入っていました。)





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レストラン訪問記:大阪市(天満橋駅)「イデアルビストロ」(★)

秋の紅葉の頃にランチで訪れたこちらで、年末ディナーを頂いてきました。読者様が推しているお店ということで、やはり他のお店よりは興味関心が高かったです。ランチは内容に制約がある感じですから、シェフの真価はやはり夜に訪ねなくては分からないと思い、早々の再訪となりました。

抑えめのお値段で日替わりと思われる質の高いお料理が提供される点で、とても良いお店だと思いました。


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店内の様子

この日も真鴨をリクエストしていて、他のお店ではコース料金にエクストラチャージがかかるのが普通でしたが、こちらでは通常のディナーコースのお値段で提供していただけたりもして、食材を確保するルートも含めてシェフの力量を感じると共に、有り難いことでした。

ただここはやはり小さい町場のレストランで、店名にあるようにビストロ寄りの内装、サービスで、高級料亭や瀟洒なレストランでの食事を期待することは得られません。そういったものを食事に求められる方にはお勧めできません。ただ純粋に皿の上の楽しみだけを求める方にはとてもはまるお店といえると思います。

サービスはつかず離れずで、やや素っ気ない面もありますが、“ビストロ”である以上そんなものでしょう。ただ、最後にシェフと話した際に、少し一方的な会話になってしまっていて、こちらの伝えたことが宙に浮いてしまったのが残念ではありました。私としては、フランスで食事した体験などを自慢話として話すことはこれまでも、これからもなく、純粋にそういう体験をしたことから、自分は一客として今日の食事をこう感じた、という程度のコミュニケーションのきっかけとして自分のフランスでの食体験を伝えたのですが、マウントを取られたように誤解されたようで、そこはとても残念でした。

この日の一番はやはりリクエストをかなえてくださった真鴨(スコットランド産)のパイ包み焼きでした。


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肉料理:スコットランド産コルベール 真鴨 とフォワグラのピティヴィエ

また、他にも美味しいものが並びました。ペアリングのワインも個性がある自然派ワインが並んで、楽しかったです。

食事をする場所の快適さもまた一つの要素と思っていますので、次回訪問があるとしてもしばらく先になるかなと、今は率直に感じています。ここは一人でもテーブル一つを用意してくださるのですが、狭めのカウンターでももっと落ち着いて楽しく食事ができるレストランもあったりして、単純に個人の感じ方の問題に過ぎないのですが、レストラン作り、レストラン経営はなかなか難しいものだと感じる次第です。


(いただいたもの)

ディナーコース(デセール付き)9460
ワインペアリング6050
*以下のメニュー表記は基本的にはお店で頂いたメニュー表を転記したものです。


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アミューズ:カリフラワーのヴルーテ ホタテとヘーゼルナッツ
(→泡はアーモンドの泡です。皿は温めての提供でした。ヘーゼルナッツの香ばしい香りがします。帆立は薄切りが2枚で、半生の絶妙な火入れです。スープは熱さが微かにあって、カリフラワーの良い香りがして美味でした。)

シャンパン(レコルタンマニピュラン):Bruno Michel


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冷前菜:ズワイガニのカクテルと紅くるり ショーソン仕立て トマトクリームのエスプーマ
(→大根の辛味と白ワインの香りが合っていました。切ってもこぼれない作りになっていて、食べ手のことを考えているのはレベルが高いです。大根のおかげでさっぱりします。クリームも入っていて、さっぱりしながらも美味しく楽しめます。大根は甘味もあったのでそこも良かったです。)

グラス白ワイン:シチリア IGT
(→以前飲んだことがあり、懐かしい味でした。独特の香りがします。微発泡です。このワインは好みでした。)


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温前菜:ホロホロ鶏のバロティーヌ マッシュルームと黒トリュフ
(→地味ですが、フランス産黒トリュフが香っていて素敵な一皿になっています。バロティーヌの質も高いですし、フォアグラがやはり美味でした。)

グラス白ワイン:コートドークセールAOC(ブルゴーニュ) 2018
(→高貴なスミレの香りがする美味しいワインでした。微かな甘みがフォアグラとぎりぎり合っている感じで、良いマリアージュでした。)


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パン(ライ麦パン)


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魚料理:金目鯛 トマトバター焼き ベルモットソース
(→オリーブ、菜の花と苦味が主役の一品です。ソースは帆立の香り、ファンネルの香りがしていました。帆立が2回出てきましたが、かぶりはできるだけ避けて欲しかったのが本音でした。また、最近魚料理でナイフを省きスプーンだけ出すところがままありますが、食べ手からすると切る道具がないためとても食べにくく、ここでもナイフがなく残念でした。)

グラスロゼワイン:コートデュローヌAOC ドメーヌ・シャルヴァン 2019
(→牛蒡の香りが感じられました。お魚料理に合わせられたロゼですが、赤い色味のつながりでロゼが選ばれたのでしょうか。)


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肉料理:スコットランド産コルベール 真鴨 とフォワグラのピティヴィエ
(→鴨肉自体は、やはりアルザスの「オリヴェエ・ナスティ」で頂いた濃厚なライン河の鴨の味の記憶が強く残っているためでしょう、ややあっさりめに感じました。パイが優しく包んでくれてふんわりして料理自体は美味です。根セロリのピュレは甘くて良いお味です。)

グラス赤ワイン:テラスデュラルザックAOC(ラングドック) 2018
(→グルナッシュ、シラーなど三種のブレンドでした。やや軽めでフルーティーです。重めの、マルベック主体のカオール2014とこちらのどちらかを選ぶ選択でした、好みからこちらにしてみました。軽めですがはっきりと分かる香りがあり良い選択でした。)


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デセール:苺のパブロワ
(→苺、メレンゲ、ホワイトチョコのアイスで構成されています。チョコのデセールとの選択でした。)


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食後のお茶:アールグレイ
(→ハーブティーは選択肢にないため、紅茶を選択しました。香りが良く美味しいお茶でした。小菓子はありません。)





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レストラン訪問記:神戸市(三宮駅)「ぺるしえ」(掲載のみ)

三宮のカジュアルフレンチのお店で食事をしてきました。

シェフは、かつてアラン・サンドランス時代の、元三つ星店「ルカ・カルトン」でちょっとした研修をした経験があるようで、トイレにその証明書が飾ってありました。「ルカ・カルトン」に伺った際に頂いてきたメニューにあったロゴと同じものがその書面の上に記載されていて、当時を懐かしく思い出していました。

さて、こちらはカウンターのみのこぎれいな空間で、殺風景とも言えるのですが、カジュアルな雰囲気の中で気楽に食事が楽しめる場所とも言えます。


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テーブルセッティング

お料理は完全にビストロあるいは手料理といって良いくらい気取りがないものでした。ビストロと思って伺う分にはありでしょうが、味付けに少しだけ甘味が感じられたりしていて、私の舌には合わなかったようです。

それでも食材はそれなりに良いものを使っているようにも思いましたので、合う方もいらっしゃると思います。

今回は魚と肉がつく比較的重いコースでしたが、日替わりと思われるメニューの中から一番軽いものをまず食べてみて自分に合うか判断されるのが良いでしょう。


(いただいたもの)

ランチのフルコース5280


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つきだし:クレープ スモークサーモン 玉ねぎ ホワイトソース
(→素朴な風貌と味です。それでも温かいのは嬉しいです。サーモンが入っているので安定の美味しさがあります。ただ、生地は繊細さが全くなく、ビストロ料理と理解しました。持って食べる間に、中の汁がこぼれてしまうのは、工夫が足りないと感じてしまいました。)


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前菜:コンソメジュレ かぶらのムース 天草産雲丹
(→清々しいお味でした。かぶらのムースは甘くて良いです。雲丹が入っていますが、ややさっぱりしたお味でした。ジュレもあっさりです。天草のウニはそれでも濃厚でした。ただ、おそらくシェフのスペシャリテなのでしょうが、寒い季節なのに、冷たいお皿を出すのはどうなのかと思いました。食べ手のことを考えたらもう少し工夫が欲しいですね。)


パン 
(→温めないでの提供ですが、バターはありました。もちっとした食感のほんのり甘みのある全粒粉のパンで、悪くないです。あっさりのバターとよく合っていました。)


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前菜:サラダ 鰆、ハリイカの炭火焼き ズワイガニ(紅ズワイガニ?)のパプリカ詰め からすみ  他野菜各種
(→サラダなので全体としては冷たいお皿ですが、魚は炭火で焼いた後でやや温かいです。色々な食材がごった煮のように盛り込まれていて、ビストロ料理と思いつつも、正直あまりセンスを感じませんでした。ただお魚や蟹、からすみ、お野菜それぞれはいい味でした。)


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スープ:新玉ねぎとセコガニのスープ
(→熱々のスープがようやく登場です。温かいの待っていました。これを一発目に出して欲しかったです。新玉ねぎは良い香りですがだが、セコガニは感じられませんでした。)


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魚料理:馬面はぎの炭火焼き 菊芋のフォンダン サフランのソース むかご
(→下に一面に敷かれた菊芋はやはり香っていました。魚は、弾力があるのですが硬くなりすぎてはおらず、半透明に仕上がっていて、いいお味でした。)


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肉料理:和牛頰肉の赤ワイン煮込み
(→苦味が先行していました。素材も調理も良いはずですが、素直に美味しい!と思えないのが不思議でした。こちらの体調に問題があったのでしょうか。もしかしたら味付けがいまひとつだったかもしれません。要は口に合わないということでしょう。)


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デセール:プリン ミカンのソルベ 苺のマリネ コーヒーのチュイル
(→デセールは、ソルベが濃くて美味しく、プリンもなめらかで美味しいです。ただ、単体では美味しいデセールも、盛り方が小さい皿にごちゃっと盛っていて、あまり美味しそうに見えませんでした。そういうところがやはり残念な気がします。)


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食後のお茶:紅茶
小菓子 紅玉のミニタルト

(→ハーブティーの用意はありませんでした。タルトはリンゴが旬で良いのでしょうが、アップルパイを美味しいと思えない人間なので、特に美味しく感じられませんでした。これはこちらの問題ですね。)





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レストラン訪問記:神戸市(三宮駅)「シェローズ」(掲載のみ)

ミシュラン兵庫2016特別版に掲載のみされているこちらで、フランスレストランウィークの特別コースを頂いてきました。


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神戸北野ホテル


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東天閣

神戸北野ホテルの斜め前、歴史的建造物として目を引く東天閣の並びにあるという、神戸らしい素敵な立地にあります。


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お店の開始時間は12時からで、少し早めに着いて店の前で写真など撮っていると、お店のマダムがにこやかに出てきて下さって、まだ時間になっていませんでしたが、店内に入れてくださいました。気持ちの良い接客に、最初から心が掴まれます。


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この日は急な用事が入ったりして、少し急ぎ目でお料理を出していただきましたが、気持ち良く対応して下さって助かりました。その点も好感度が高かったです。


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御覧のように、きちんとテーブルクロスがかけられていて、飾り皿まで置かれ、ナプキンは紙ではなく布製です。そして、お店の人から言わせれば当然でしょうか、カトラリーも料理ごとに交換してくださいます。さらに卓上に生花があり、おしぼりもちゃんとしたものが提供されていました。

大げさと思われるかもしれませんが、レストランとしての誇りをもって営業されていることをこれらのことから感じられて、こういったところも好印象でした。


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パンはライ麦パンでしょうか、味は普通でしたが、熱々で提供されていてこちらもいいですね。

バターナイフがあるけれど、バターの提供はなかったので残念と思っていましたが、単純に忘れられていたようで、後から出てきてほっとしました。

その後のマダムのフォローが素晴らしくて、後からバターが出てきた分、バターがあまり気味になったと見て取ったマダムから、いいタイミングで、さらにパンのお代わりの提案をしていただきました。とても気が利いていますね。


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前菜は、魚介のサラダでした。サラダに入っている、鱧、蛸、帆立はそれぞれに調理してあって、鮮度も良くて美味しいです。帆立は温かく、蛸は半生でしょうか、柔らかくて味が良いです。

野菜は少なめですが、新鮮で味が良かったです。神戸のフレンチはどこが発祥か分かりませんが、魚介のサラダというと、こういう形のお料理が出てくることが多いように思います。


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メインは魚か肉二種(栗豚又は鴨)から一つ選べましたが、魚が甘鯛と伺って、魚にしました。甘鯛の松笠焼き、すだちバターソースです。

松笠焼きと言いつつ、少し焼きすぎの印象で、クルスティヤンな感じでした。またお魚が少し臭っていて、鮮度の問題か、魚の質の問題か分かりませんが、これは少し気になりました。

ただ、かりかりの甘鯛をバターソースで美味しく食べられましたので良かったです。栗,里芋を含めて、添えられた季節のお野菜もまた嬉しいです。


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デセールは葡萄のタルトレットと蜂蜜のアイスでした。小さいのは残念ですが、お味は良くて満足しました。蜂蜜のアイスも味が良く、アイスが頂けて嬉しかったです。


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最後のお茶は、ハーブティーが好みのものがなく、レモンティーを頂きました。レモンも神戸市西区で栽培されているものだそうで、価値がありますね。

また、小菓子として小さなレーズンバターサンドがついてきます。バターサンドは小さいですが、塩味が効いていて美味しく、手作りのためか充実した味でした。

今回、お試しで伺ったのですが、気持ちの良い接客と安定した調理で是非また機会があれば再訪したいと思いました。少し慌ただしい滞在でしたが、この機会に良いお店に出会えて嬉しかったです。


(いただいたもの)

フランスレストランウィークランチ特別コース

パン:ライ麦パン? バター


魚介と神戸西区の有機生野菜

アマダイの松笠焼き すだちバターソース

葡萄のタルトレット 蜂蜜のグラス

食後のお茶:レモンティー

お茶菓子のホワイトチョコクリームをはさんだバターサンド

(以上の記載は、パンとお茶の箇所以外、お店で頂いたメニュー表を転載しました。)




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レストラン訪問記:芦屋市「北じま」(★)

今回は芦屋市にお邪魔して、ミシュラン兵庫特別版2016で一つ星評価されているレストランで食事をしてきました。

結論からいうと再訪はないです。リヨン郊外ミオネ村にかつてあった「アラン・シャペル」で修業されたシェフのお店ということで、同じお店でガストロノミーに初めて触れた身としては、御縁を感じ、期待するところもそれなりにあっただけに残念でした。

再訪はないと思った理由は二つあって、それらは分かちがたく結びついています。

まず一つ目の理由ですが、お昼でもそれなりの金額をとるコース一本でやっているのにも関わらず、その金額から一般に期待される店のレベルには全く到達できていないことが挙げられます。

一つ星店であり、ランチでも魚も肉も入ったフルコースを食べることを全ての客に求めている以上、客としては当然そこがガストノミーを楽しませる場所であることを期待して伺います。しかし、残念ながらここはガストノミーを楽しむことができる場所ではありません。料理の内容からも、しつらえからもビストロあるいは下手をするとしつらえなどはカフェや喫茶店のレベルに留まっています。

頂いたお料理の中で、シェフの技術を感じさせるお料理があったのは確かですが(例えば甘鯛のきれいな鱗焼きなど)、全体としてはメニュー構成やコースに組み込まれたお料理の内容が、陳腐なものに感じられました。

私はミオネ村の「アラン・シャペル」では一度しか食べていませんが、こちらのシェフのお料理に、そこで感じた感動や喜びはみじんも感じられませんでした。

前菜を意欲的に創作するという意識が感じられず、サラダやスープといった型に逃げ込んで、とりあえず今ある食材を器用にあるいは適当にまとめて出しているくらいの意識しか感じられませんでした。

例えばスープに旬の食材であるとはいえる蓴菜が入っていました。透明で涼感を与えることに本領があるといえる蓴菜を濁ったスープに入れることで、蓴菜の素材としての上述の良さを完全に殺していました。さらには、蓴菜のゼリー部分(ほぼ無味の水分)がスープを食す時に味を薄める効果を発揮して、スープの味をも殺してしまっていました。そんなスープが結果として美味しいはずもありません。

手元にこんな食材がある、だから使ってみたというレベルのメニュー作りをしているだけのようにしか感じられず、印象が良くなかったです。シェフは試食をしないのでしょうか。

次に二つ目の理由ですが、価格設定に対してパフォーマンスがあまりに悪いということです。

先ほど、この店をビストロと評しました。まず、狭い空間に喫茶店で使うようなぺらぺらの薄い木材の安いテーブルが置かれていたことや、そのテーブル上にテーブルクロスはなく、飾り皿もなくて代わりに置かれていたのが、いかにも安っぽそうなランチョンマットだったことがその理由として挙げられます。さらには、カーテンなどもないことから外から丸見えで、下手をしたら昭和の喫茶店で食事をしているような気分にさえなるさえない内装も、別の理由として挙げられます。

相応の金額を払って、特別な食事の時間を楽しんでいるという高揚感がないどころか、むしろ、お金を無駄遣いしてしまったような情けない思いにさせられる内装、しつらえなのです。

その点でいえば、奈良県生駒市の一つ星店である「ア・ヴォートル・サンテ」の内装は、フランスの地方にある小さくも珠玉のような星付きレストランを再現していて、両店シェフの意識の差は歴然としています。かつて二つ星だった「ミシェル・シャブラン」で修業されたシェフが営む奈良のお店は、リーズナブルな価格設定ながら、そのようなところに、フランスのガストロノミーを再現しようとする志を感じることができる名店でした(その時の訪問記はこちらから)。

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奈良県生駒市「ア・ヴォートル・サンテ」(★)内装

このお店のランチで最低限支出することを要求される金額を出したら、それ相応の特別感がある食の体験をさせてもらえるお店はいくらでもあります。一つ星がつくということはそれだけの期待を客がもつということでもあり、あぐらをかいていてはあっという間に客はいなくなります。

こちらは、一つ星を獲得されて以降値上げがあったことを知っています。しかし中身が伴わないままに値上げをした結果、ちぐはぐさが強調されることになり、皮肉にも店としての魅力が大きく損なわれる結果にもなってしまったように思われます。もっと安価なコースがあればしょぼい内装でもある程度は我慢できたでしょう。

ちなみに先ほど挙げた奈良のお店は、ここのほぼ半額の値段でお昼のコースを提供されています。それでいて、こことは比べものにならないくらいしっかりした内装、しつらえで、味も一定レベルを保っていることから、お得な感じがして、好感度がとても高いです。

また、この店のランチの値段をとるならウェイティングスペースがあってしかるべきでしょう。先ほどから比較対象として挙げている奈良のお店には、小さいながらもそれがありました。

さらに言うと、暑い最中、開店前の客が何組も店の外で立って待っている光景は異常です。ビストロでも、気の利いた店なら中に入れてくれるでしょうし、無理でも入口脇の椅子などに座らせてくれるでしょう。ただの喫茶店で待たされているということならこんな文句も出ないのです。

また、ここも狭い店内に満席になるように客を入れていました。コロナがある以上、そこも配慮して欲しいところでした。

ただ、サービスについては、料理の説明をきちんとしてくれましたし、パンも温めて提供してくれて、バターも含めてお代わりも気持ち良く追加提供してくれたり、ミネラルウォーターと思われるお水をふんだんに注いでくれたりと、みな一様に感じが良く、そこだけは評価できました。


(いただいたもの)

ランチコース(1種類のみ。スープ、肉の選択次第では追加料金が発生。)


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アミューズ:はじまりの一品(ボタン海老のサブレ、清水白桃とオマール海老のマリネ)
(→サブレは温かく、ほのかに海老の香りもして美味しいです。オマール海老の火入れは良く、柔らかいのですが、甘味と酸味の調和が今ひとつで料理としては微妙な出来でした。)


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前菜:海の幸と有機野菜のサラダ(剣先烏賊・帆立貝・丹波篠山産完全有機栽培のお野菜とスイカのガスパチョ、本鮪と北海道産毛蟹・茄子とパプリカのお寿司仕立て)
(→ガスパチョを平皿に盛るセンスに閉口です。)


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スープ:本日のスープ(冷たいじゃがいものスープ)


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本日の魚料理:山口産天然甘鯛の鱗焼き 徳島産サザエ 京都産賀茂茄子
(→火入れは良く、鱗が美しいですね。同じ物をランチで出してきたグラシアニより調理は上で、唯一星つきであることを感じられる料理でした。しかし脇にサザエ、下に賀茂茄子で、魚を切る場所がなく、とても食べにくかったです。くぼみのある皿に入っていることで、食べにくさが増していましたね。さらに言うと、サザエの殻が邪魔でした。センス感じないですね。)


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本日の肉料理:ランプ肉
(→赤身肉。柔らかみがあり食べやすいです。可もなく不可もないです。)


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デセール⑴:生姜のグラニテ
(→グラニテの存在理由は本来魚と肉の間の橋渡し、お口直しにあったはずですが、ここではしれっとデザートのような顔をして出されていてとても違和感がありました。グラニテ自体は生姜の香りが立っていて良かったです。)


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デセール⑵:本日の自家製デザート(桃のアイスクリーム 巨峰と桃のコンポート レモンバームの花 ミント 和三盆のメレンゲ)
(→2,30年前に街角に一軒あったカジュアルレストランの盛り合わせデセールを思い出させます。質が悪いわけではないですが、洗練も、工夫もなくてがっかりです。)


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食後のお茶:ミントティー
小菓子:自家製お茶菓子(レモンのマカロン)



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パン:バゲットとバター



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飲物:100%リンゴ(フジ)ジュース
(→美味しいですが、量が少なすぎます。)





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Author:VV George VV

La marque "***", "**","*"
signifie des étoiles de
Michelin au moment de la
visite.

長期フランス滞在中、さる”グランドメゾン”(高級料亭)での午餐を契機に”ガストロノミー・フランセーズ”(フランス流美食)に開眼。
爾来、真の美食を求めて東奔西走の日々。

インスタグラム始めました!→https://www.instagram.com/george_gastro/

* お店の名前脇の★はミシュランガイドでの星による評価(訪問時のもの)に対応しています。

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