レストラン訪問記:広島「中土」(未掲載)
たまたまWEBニュースでヤニック・アレノ氏のインタビューを見ていましたが、系列で15の星をもっているというアレノ氏がロンドンに進出されたとのことです。パリに続いて、カジュアルラインの「パヴィヨン」をロンドンに開店させています。この「パヴィヨン」はパリの他にもモンテカルロにもあるとのことですね。
さて、今回のお店の記事は昨年2月上旬に訪問した時の記録になります。こちらのシェフはボーヌの一つ星店「ル・ベナトン」で修業されたとのことでした。それだけではなく、独学で研鑽されているようにもお見受けしました。お料理は変化に富んでいて楽しめました。
ただ、サービスでいただけない点が多々あって正直また行きたいとはとても思えませんでした。シェフはワインの説明などもきちんとしてくれて誠実な印象でしたし、サービスの若い男性もきびきび動いて、丁寧で良かったので、最初の印象は良かったのですが。
例えば、パンはすぐなくなりましたが、お願いしないと持ってこないのはどうでしょう。お代わりは冷めたままというのもまた評価が下がります。
また、デザート前の卓上のお掃除は必須だと思うのですが(そのサービスに慣れているということ)、それが無く、ビストロなら良いのですが、サービス料取るならそこははずせないでしょうと思って掃除を待っていましたがありませんでした。そんなこともあり、お店がカウンター主体ということもあり、こちらのお店の分類はビストロになろうかと思います。
また、最後、こちらが会計をお願いしていないのに勝手に会計をもってくるのもとても印象が悪いですね。無用に長尻な迷惑客だったならともかく、数分の差もないでしょう。店から会計を出されると追い出されている印象になり感じが悪いです。客の出が重なることに配慮して待つ客もいようというものなのに、そんなところにも頭がいかないのでしょう。
決定的だったのは、こちらがお願いしてもいないし、選択してもいないのに、メインのお肉の部位が他の客と別の物だったこと。堂々と別の部位を出していました。個人的にはそっちの客が食べている部位を食べたかったよと思いましたが、隠さず差別されるとむしろすがすがしさすら感じて、了解二度と来ないよ、と笑顔で思っていました。
食材の大きさや管理、ロスを無くすため等と店側に色々と言い訳はあるでしょうが、同じ値段を出しているのですから、別の物を勝手に出すのはアウトです。私は少なくともそう感じて、悪い印象しかもちませんでした。
目先の利益を取るか、客からの信頼とリピート客を得るかの選択で、それは経営者の自由でしょうが、長期的に前者はじり貧になること必定だと思っています。一人客を断る店も、人口が減っていく定めのこの世界にあって結局は経営が成り立たなくなると信じています。さらに別の視点からの話を書き加えると、食文化の違いや担い手(シェフや店)、客の食文化における成熟度の違いもあるでしょうが、フランスではグランドメゾンといわれる高級店でも一人での予約を断られたことは一度もありません。
さて、今回の会計ですが、資料が手元に残っていないため正確な金額が出せないのですが、訪問時はランチコースが1万円前後だったと記憶しています。これに飲み物は別途料金が発生していますので1万5千円はいかないくらいだったのではないかと思います。
(頂いたもの)
ランチコース

テーブルセッティング

ジュース:愛媛梶農園 ブラッドオレンジ(モロ種)のジュース
(やや酸味がありますが重厚で美味でした。ただ、もう少し冷たいといいですね。)

大野産あさりのアルギン酸カプセル
(お猪口を一口で頂く趣向です。味はピザやタルトフランベのホワイトソースの味。あさりの成分で体に良いとのことでした。)

野菜サラダ ビーツ、広島県産レモンのソース オリーブ油の粉
(約40種の野菜で作られています。水耕ではないマイクロリーフは力強い味でした。ザーサイなども入っています。すべて調理されていてそれぞれに個性がありました。芽キャベツなどの焼き野菜が良かったです。)

香川県産白アスパラガス
(ガストロパックで皮の味がしみたアスパラが美味しいです。麺状はやや食べづらかったです。穂紫蘇とからすみ(自家製)のおかげで和食に感じます。紫蘇の香りはオランデーズソースの濃厚さをサッパリさせてくれるので良かったです。)

カワハギの刺身と肝
(一夜干しの要領なので味が濃縮されてワンランク上の刺身になっていました。肝ももちろん美味しいです。夏はおこぜで、冬は天然フグを使うとのことでした。)

首折れ鯖の寿司 りんご他 広島菜巻き 広島菜パウダー
(手が込んでいました。苦味、旨味があり、複雑ですが、美味しかったです。郷土料理から発想を得ているのは好感でした。発酵を最大利用したお寿司で、こちらもワンランク上の食べ物と感じました。)

瀬戸内柑橘のスパークリングウォーター
(ハーブのような香りがします。生姜他各種スパイス入りとのことでした。甘さ控えめで、サッパリして良かったです。)


鮑
(マッシュルームが香り、良いですね。鮑は柔らかく、味も染みていて素晴らしいです。火の入ったマッシュルームもまた美味しいです。最後のソースがまた濃厚です。流行りの発酵マッシュルームでしょうか。)
ハーブパン ライ麦パン 発酵バター
(すべて自家製とのことでした。パンは温めて提供されます。ハーブパンは適度な油があり、美味しいです。パンというよりフォカッチャでしょうか。ライ麦パンは素朴で、酸味は抑え目で食べやすいです。バターはややあっさりめです。)


シェフのスペシャリテ:イカ イタリア産トリュフ パルメザンチーズ トリュフソース(下に敷いてある)
(トリュフ入りカルボナーラでした。塩気がしっかりあります。トリュフの香りが堪能でき嬉しい一品でした。)


牡蠣(小町)のベニエ焼き 山口県産筍焼き ピスタチオベースのソース ピスタチオがけ パクチーのスプラウト
(皿を温めていないのが少し残念でした。揚げてから焼いたもので、牡蠣の旨味が存分に引き出されていました。牡蠣は濃厚で美味いです。また、シトロンキャビアも良いアクセントです。二度の手間をかけている分美味しくなるのは必然と言えましょう。)

お口直し 広島レモン ローズレッド、カモミール、ビンデンガワー ハーブのグラニテ
(きめ細やかな現代風のグラニテ。ほんのり甘いです。)

魚:鰆 ほうれん草
(皿は温めて提供されていました。ガストロパックで骨の味染み込ませています。火入れはしっとりで、脂が感じられて美味しいです。炭焼きした香ばしさも特に皮を頂く時に感じました。日本酒賀茂鶴の純米酒を煮詰めたソースのおかげで香り高くリッチなテーストになっていました。)

肉:いぶさな牛 パニス 豆のスプラウト 牛の油の粉 黒胡椒 燻製塩
(年間14頭の生産で、たけのつる牛と和牛の交配のおかげで3年ほど生きさせられるため赤身が美味しいとのことでした。赤身が美味しい肉とのことです。パニスは味がないので豆腐のように感じ、正直あまり美味しいと思えませんでした。)
ここでちゃんとしたおしぼり提供

アヴァンデセール:柑橘のグラニテ
(ごちゃごちゃ色々入っていてピントがぶれている印象でした。)

デセール
(デセールは弱いですね。皿を冷やしていない点でまず甘いです。何をやりたいか分かりにくいこういうデセールは苦手です。苺は好きですが。)

食後のお茶:水出しフレーバーティー
小菓子:黒糖のカヌレ
(お茶は、最初バナナの香りがして、飲むとジャスミンと分かりました。もちろん甘味は無いです。レモングラス主体のハーブティーはミント主体に変えるべきでしょう。ただ、香りが良くてスッキリして良かったです。温かいともっと良かったかもしれません。個人的な好みです。)
さて、今回のお店の記事は昨年2月上旬に訪問した時の記録になります。こちらのシェフはボーヌの一つ星店「ル・ベナトン」で修業されたとのことでした。それだけではなく、独学で研鑽されているようにもお見受けしました。お料理は変化に富んでいて楽しめました。
ただ、サービスでいただけない点が多々あって正直また行きたいとはとても思えませんでした。シェフはワインの説明などもきちんとしてくれて誠実な印象でしたし、サービスの若い男性もきびきび動いて、丁寧で良かったので、最初の印象は良かったのですが。
例えば、パンはすぐなくなりましたが、お願いしないと持ってこないのはどうでしょう。お代わりは冷めたままというのもまた評価が下がります。
また、デザート前の卓上のお掃除は必須だと思うのですが(そのサービスに慣れているということ)、それが無く、ビストロなら良いのですが、サービス料取るならそこははずせないでしょうと思って掃除を待っていましたがありませんでした。そんなこともあり、お店がカウンター主体ということもあり、こちらのお店の分類はビストロになろうかと思います。
また、最後、こちらが会計をお願いしていないのに勝手に会計をもってくるのもとても印象が悪いですね。無用に長尻な迷惑客だったならともかく、数分の差もないでしょう。店から会計を出されると追い出されている印象になり感じが悪いです。客の出が重なることに配慮して待つ客もいようというものなのに、そんなところにも頭がいかないのでしょう。
決定的だったのは、こちらがお願いしてもいないし、選択してもいないのに、メインのお肉の部位が他の客と別の物だったこと。堂々と別の部位を出していました。個人的にはそっちの客が食べている部位を食べたかったよと思いましたが、隠さず差別されるとむしろすがすがしさすら感じて、了解二度と来ないよ、と笑顔で思っていました。
食材の大きさや管理、ロスを無くすため等と店側に色々と言い訳はあるでしょうが、同じ値段を出しているのですから、別の物を勝手に出すのはアウトです。私は少なくともそう感じて、悪い印象しかもちませんでした。
目先の利益を取るか、客からの信頼とリピート客を得るかの選択で、それは経営者の自由でしょうが、長期的に前者はじり貧になること必定だと思っています。一人客を断る店も、人口が減っていく定めのこの世界にあって結局は経営が成り立たなくなると信じています。さらに別の視点からの話を書き加えると、食文化の違いや担い手(シェフや店)、客の食文化における成熟度の違いもあるでしょうが、フランスではグランドメゾンといわれる高級店でも一人での予約を断られたことは一度もありません。
さて、今回の会計ですが、資料が手元に残っていないため正確な金額が出せないのですが、訪問時はランチコースが1万円前後だったと記憶しています。これに飲み物は別途料金が発生していますので1万5千円はいかないくらいだったのではないかと思います。
(頂いたもの)
ランチコース

テーブルセッティング

ジュース:愛媛梶農園 ブラッドオレンジ(モロ種)のジュース
(やや酸味がありますが重厚で美味でした。ただ、もう少し冷たいといいですね。)

大野産あさりのアルギン酸カプセル
(お猪口を一口で頂く趣向です。味はピザやタルトフランベのホワイトソースの味。あさりの成分で体に良いとのことでした。)

野菜サラダ ビーツ、広島県産レモンのソース オリーブ油の粉
(約40種の野菜で作られています。水耕ではないマイクロリーフは力強い味でした。ザーサイなども入っています。すべて調理されていてそれぞれに個性がありました。芽キャベツなどの焼き野菜が良かったです。)

香川県産白アスパラガス
(ガストロパックで皮の味がしみたアスパラが美味しいです。麺状はやや食べづらかったです。穂紫蘇とからすみ(自家製)のおかげで和食に感じます。紫蘇の香りはオランデーズソースの濃厚さをサッパリさせてくれるので良かったです。)

カワハギの刺身と肝
(一夜干しの要領なので味が濃縮されてワンランク上の刺身になっていました。肝ももちろん美味しいです。夏はおこぜで、冬は天然フグを使うとのことでした。)

首折れ鯖の寿司 りんご他 広島菜巻き 広島菜パウダー
(手が込んでいました。苦味、旨味があり、複雑ですが、美味しかったです。郷土料理から発想を得ているのは好感でした。発酵を最大利用したお寿司で、こちらもワンランク上の食べ物と感じました。)

瀬戸内柑橘のスパークリングウォーター
(ハーブのような香りがします。生姜他各種スパイス入りとのことでした。甘さ控えめで、サッパリして良かったです。)


鮑
(マッシュルームが香り、良いですね。鮑は柔らかく、味も染みていて素晴らしいです。火の入ったマッシュルームもまた美味しいです。最後のソースがまた濃厚です。流行りの発酵マッシュルームでしょうか。)
ハーブパン ライ麦パン 発酵バター
(すべて自家製とのことでした。パンは温めて提供されます。ハーブパンは適度な油があり、美味しいです。パンというよりフォカッチャでしょうか。ライ麦パンは素朴で、酸味は抑え目で食べやすいです。バターはややあっさりめです。)


シェフのスペシャリテ:イカ イタリア産トリュフ パルメザンチーズ トリュフソース(下に敷いてある)
(トリュフ入りカルボナーラでした。塩気がしっかりあります。トリュフの香りが堪能でき嬉しい一品でした。)


牡蠣(小町)のベニエ焼き 山口県産筍焼き ピスタチオベースのソース ピスタチオがけ パクチーのスプラウト
(皿を温めていないのが少し残念でした。揚げてから焼いたもので、牡蠣の旨味が存分に引き出されていました。牡蠣は濃厚で美味いです。また、シトロンキャビアも良いアクセントです。二度の手間をかけている分美味しくなるのは必然と言えましょう。)

お口直し 広島レモン ローズレッド、カモミール、ビンデンガワー ハーブのグラニテ
(きめ細やかな現代風のグラニテ。ほんのり甘いです。)

魚:鰆 ほうれん草
(皿は温めて提供されていました。ガストロパックで骨の味染み込ませています。火入れはしっとりで、脂が感じられて美味しいです。炭焼きした香ばしさも特に皮を頂く時に感じました。日本酒賀茂鶴の純米酒を煮詰めたソースのおかげで香り高くリッチなテーストになっていました。)

肉:いぶさな牛 パニス 豆のスプラウト 牛の油の粉 黒胡椒 燻製塩
(年間14頭の生産で、たけのつる牛と和牛の交配のおかげで3年ほど生きさせられるため赤身が美味しいとのことでした。赤身が美味しい肉とのことです。パニスは味がないので豆腐のように感じ、正直あまり美味しいと思えませんでした。)
ここでちゃんとしたおしぼり提供

アヴァンデセール:柑橘のグラニテ
(ごちゃごちゃ色々入っていてピントがぶれている印象でした。)

デセール
(デセールは弱いですね。皿を冷やしていない点でまず甘いです。何をやりたいか分かりにくいこういうデセールは苦手です。苺は好きですが。)

食後のお茶:水出しフレーバーティー
小菓子:黒糖のカヌレ
(お茶は、最初バナナの香りがして、飲むとジャスミンと分かりました。もちろん甘味は無いです。レモングラス主体のハーブティーはミント主体に変えるべきでしょう。ただ、香りが良くてスッキリして良かったです。温かいともっと良かったかもしれません。個人的な好みです。)