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レストラン訪問記:祇園「味ふくしま」(★)

定期的に京都に訪れるようになってからしばらく経ちました。懐かしい思い出も沢山ありつつ、新しいスポットができていたり、見知らぬ史蹟などにも思いがけず出くわしたりするので、京都はいつ行っても飽きることがありません。

京都のカジュアルな料理店にももちろん興味があるのですが、限られた機会ということもあり、よほど観光に時間が取られるというような場合でない限りはやはり和食店に足が向きます。

今年の花の季節から、「京料理藤本」、「祇園かじ正」、「悠々」とミシュラン一つ星で5000円未満で懐石のコースが(まがりなりにも)頂けるお店で食べてきました。

もう一軒、西陣にある「ふじ義」さんが上記設定でコースを提供されているようだったので、電話したところ、二名様から受付とのことで断念しました。コスト計算などあるでしょうが、一人でも客がありがたいはずの時代にあって潔ぎ良すぎるなあとかえって感心しました。京都には星の数ほど和食店がありますから、こちらとは今は少なくとも御縁がなかったものと納得しました。

そのようなわけで今回、5000円未満でランチコースを設定している最後の一つ星店としてこちら「味ふくしま」さんで食事を頂いてきました。こちらはランチはこの一つのコースしか用意されていません。


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某グルメサイトで比較的高めの点が出ていることから少々警戒していったのですが、そんな評価とは関係なく、真面目な料理人の方が誠実にお仕事をして、良いものを提供されているお店でした。祇園の花街の中という素敵な立地にあり、しつらえも良く、とてもくつろぐことができ、美味しい食事とあいまって大満足しました。

警戒対象には、たびたびこのコロナ禍で傍若無人にマスクをせずに大声でしゃべり続ける客の存在というものも含まれていたのですが、この日は平日だったこともあってか小さめのカウンターは他に客はおらず貸切り状態で、それも杞憂に終わりました。


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午前中に寺社参拝は終えていて、午後には寺社に伺う予定がなかったため、久しぶりにビールをお伴にお料理を頂きました。


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お酒は各種美味しそうなものが並んでいました。「風の森」、「松の司」など好みです。一合のお値段を伺いましたが、とてもリーズナブルな値付けでした。


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卓上には簡素な折敷が置かれていました。清潔なおしぼりも気持ちが良いです。


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先付け:毛蟹 ゆば そうめんかぼちゃ

先付けは、湯葉、そうめんカボチャ、毛蟹を和えた一品で、繊細な一品です。それでいて、広島の某フレンチ店と違って、味もしっかり分かり、かつ量もあって満足できました。

湯葉の優しいこくとわさびの辛味、花紫蘇の爽やかな香りが絶妙なバランスで、似た食感の毛蟹やそうめんカボチャと良く絡んでとても美味しく頂けました。


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お椀:鱚と叩きオクラ

懐石の華であるお椀は鱚(店の人も産地不明)と叩きオクラでした。お出汁はやや淡泊な印象でしたが、しつこさがない分とても気持ち良く頂けました。鰹の香りが立っていたように思います。ただ、お椀が少し地味だったのと、お椀の上の方が少しだけ欠けていたのが残念でした。客が少ない(あるいは一人な)のだから、欠けのないお椀を使うこともできただろうにとの思いでした。


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お造り⑴:淡路産鱧の炙り 梅肉 二倍酢

続いてお造りが二種出ます。最初に出てきたのが、旬の鱧で、梅雨が進むにつれて脂が乗ってきているとのことでした。淡泊な鱧ですが、焼き霜にすることで味が少しでも濃縮されるため、より繊細な脂を楽しめました。定番の二種のたれがありましたが、個人的にはさっぱりした二倍酢が好きでした。梅肉がよりポピュラーかもしれませんが、梅肉は香りが強くてそちらが勝ってしまう印象です。


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お造り⑵:瀬戸内産めいたがれいの大間産うにまき 塩 醤油

夏が旬の淡泊なカレイで雲丹を巻いた一品でした。分かりやすいお味で濃厚な雲丹が白身の美味しさを増していました。白身には塩を合わせるのが好きですが、雲丹の濃厚さがあることから、ここで御用意くださったように醤油で頂くのが正解だったように思います。


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炊き合わせ:大阪産丸茄子の揚げ煮 さやえんどう

個人的にはこちらが一番好きなお料理でした。旬の大阪の丸茄子を丁寧に揚げ浸しにしていますが、家庭料理を超越した繊細な味付けで、一口一口が尊い、そんな美味でした。


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おしのぎ:青瓜の寿司

季節の青瓜の浅漬けのお寿司でした。頂いて、口の中も、気持ちもまたさっぱりとしました。


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そろそろお食事かな、でもこの値段だったらあと二品は出るかな、等と考えていたら、目の前に蓋がついたこの籠が置かれ、店員さんが、お弁当ですと言って去っていかれました。

一般的な懐石の流れでは、最後に締めのお食事ということになるので、どんなご飯が出るのだろうと考えていましたので、これは予想を裏切られて、ちょっとした良い方の驚きでした。

ただ籠の隙間から、中身がかすかに垣間見え、なにやら色々なお料理が入っていそうなので、これはもしかして宝箱のようなものかと思って蓋を取ってみました。


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お弁当:鱧と胡瓜の酢の物、カマスの幽庵焼き、生麩田楽、蒸し鮑、枝豆、山桃の蜜煮、大根漬けと昆布、新生姜入り俵むすび、出汁巻き、トウモロコシのかき揚げ、アマゴの南蛮漬け、胡瓜で巻いた錦糸巻き

すると、多彩なおつまみがぎっしり詰まった、文字通り贅沢なお弁当になっていて、一気に気持ちが上がりました。

食事の最初に、八寸としておつまみを出すのが懐石の流れでは定番だと思っていましたが、こうした変化球もまた面白いと思います。流れを知っていたら、もう少しビールを残していたかもしれません。それは次回以降に向けての教訓にしましょう。

青紅葉で飾られたお弁当には、左上から、鱧と胡瓜の酢の物、カマスの幽庵焼き、生麩田楽、蒸し鮑、枝豆、山桃の蜜煮、大根漬けと昆布、新生姜入り俵むすび、真ん中の上から、出汁巻き、トウモロコシのかき揚げ、アマゴの南蛮漬け、胡瓜で巻いた錦糸巻き(アマゴの下。写真では見えず。)がぎっしり詰まっています。

いずれも丁寧に調理されていて美味でした。鮑は柔らかくて味も染みていました。焼いたお麩を食べられたのも良かったです。ただ、トウモロコシのかき揚げは、揚げ立てて出してくれていて美味しかったのですが、火入れにむらがあるせいか少し焦げ付いた部分があったりして、最後まで詰め切れていなかったところが見られたのは残念でした。


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水菓子:長崎の枇杷のコンポート 山梨のさくらんぼ

長崎産枇杷のコンポートと山梨産サクランボが食事の最後に提供されました。枇杷のコンポートはとても甘かったです。またサクランボも甘くて美味しかったので満足でした。


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食後は番茶を2杯頂いてお店を出ました。

店主はとても穏やかな方で、おかげでとても落ち着いて心静かに食事を楽しむことができました。最後はお見送りまでしていただいて恐縮でした。

祇園の真ん中という立地と、落ち着く簡素なしつらえ、店主のおもてなしの心と丁寧に調理されたお料理とで、総じて満足し、安心して家族、友人と訪れることができる名店と認識しました。

また機会がありましたら是非再訪したいと思います。


(いただいたもの)

ランチコース

先付け:毛蟹 ゆば そうめんかぼちゃ

お椀:鱚と叩きオクラ

お造り二種:
・淡路産鱧の炙り 梅肉 二倍酢
・瀬戸内産めいたがれいの大間産うにまき 塩 醤油

炊き合わせ:大阪産丸茄子の揚げ煮 さやえんどう

おしのぎ:青瓜の寿司

お弁当:鱧と胡瓜の酢の物、カマスの幽庵焼き、生麩田楽、蒸し鮑、枝豆、山桃の蜜煮、大根漬けと昆布、新生姜入り俵むすび、出汁巻き、トウモロコシのかき揚げ、アマゴの南蛮漬け、胡瓜で巻いた錦糸巻き

水菓子:長崎産枇杷のコンポート 山梨のさくらんぼ





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レストラン訪問記:北大路「悠々」(★)

最近京都に伺う機会が増えています。京都に行けばまず和食を食べたいのですが、一方でその他ジャンルでも興味深い食事が色々あって、なかなか追いつけません。ゆるゆると訪問し、また少しずつこちらで記事にしていければと思っています。

さて、今回は北大路駅近くのこちらの和食店に行きました。正直再訪はないでしょう。味がそんなに悪いとも、店主のもてなしがさほど悪いとも思いませんでしたが、色々と違和感があり上記結論になりました。

一番気になったのは、緊急事態宣言下の京都でしたが、酒類提供店については休業が要請されているにも関わらず、平然とお酒を提供されていたことでしょうか。

酒類提供とコロナ感染拡大に関連なしという主の主張は理解できなくはないのですが、この状況で酒類を提供したまま営業を続けることの見栄えの悪さに思いがいかないところに厳しい沙汰をせざるを得ません。少なくとも一流のお店の対応ではありません。


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次に、この日の予約は私だけだったのですが、のれんが外側に掛けられておらず、あたかも閉店しているかのような外観で、さらに、最初店内が照明を消していたようで、すごく暗かったことが気になりました。一人でも客がいるのだし、営業もしているのだから、もてなす姿勢をきちんと見せてほしかったです。

最後に、これは細かいことですが、冷たいお茶として有料のお茶を勧められましたが、これもやはり嬉しくないです。

冷たいほうじ茶を用意されていて、お客さんの好みに合わせて(無料で)どちらかを提供して下さる「京料理 藤本」さんのお心遣いが素晴らしすぎるのかもしれませんが、まずお金のことを考える店と思えてしまい、どうしても印象が悪くなってしまいます。


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全体として味は悪くないのですが、お食事のところで追加料金が発生する仕組みと知らず(上の写真参照)、ちょっと意表を突かれました。3000円台のランチでのパフォーマンスを測る機会として伺っていて、4000円を超えるお会計にはしたくなかったので、そのラインをぎりぎり超えない範囲で、自分の好みに合う鯖寿司をお願いしました。浅めに締めた鯖は脂が美味しく、こちらを選んで正解でした。

ただ、お椀もお造りもなくこの値段(3900円(=コース3300円+鯖寿司の追加料金600円))はパフォーマンスとして不十分ではないかと思ってしまいます。「京料理 藤本」さんがすごすぎるのかもしれませんが(同店を3月に訪れた際の記事はこちらから)。

ミシュランの星付き店で、比較的安価なランチの設定をしているお店の一つとして今回こちらを選びましたが、結果としては冒頭のような結論になりました。

しばらくその線で星付き店のランチコースを試していこうと思っています。ゆったりとしたペースにはなりますが、今後も楽しみにお待ち下さい。


(いただいたもの)

ランチコース


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先付け(左下から反時計回りに):
名残りのほうれん草 錦胡麻 食用ツツジ
愛知県加藤農園のフルーツトマト うすい豆のペースト
かます 梅肉和え 食用ツツジ
(→かますは梅肉が勝ちすぎてすっぱい。季節感はあるが。あぶったと思われるかますの刺身は美味ではありました。フルーツトマトはやや甘い程度です。柏の葉やツツジ、梅肉に季節感がありました。)


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揚げ物ホタルイカ(名残り)と美山産野生こしあぶらの天ぷら
(→山菜は独特の香りがあり良かったです。また、ホタルイカはわたが弾けるので旨味が抜群です。)


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炊き合わせ:大原産タコタコの子
(→上品なお出汁で美味しく炊き上がっているますが、ほんのり甘い出汁で京都では珍しい印象です。タコは硬すぎということはないが、ものすごく柔らかいとまでは言えません。タコの子はとても上品な味で美味しいです。木の芽の香りが全体を引き締めて良いお仕事していました。ただ、汁を吸う料理に陶器は、口や舌にざらついて合わないかもしれません。筍も例年5月いっぱい楽しめるとのことでしたが、今年はこれでおしまいとのことでした。)


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お食事鯖寿司(10種類から選択)
(→赤出汁付き。キュウリの漬物は古漬けという感じで独特の香りがしました。)


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水菓子日向夏と長崎産枇杷
(→いずれも甘くて、良いものを吟味されていると思いました。)





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レストラン訪問記:新町通御池「京料理 藤本」(★)

花に誘われて京都、奈良を巡った旅でお食事した最後のお店です。こちらでは直近の広島での悪夢を払拭する素晴らしいお食事を頂くことができました。

必ずしもいつも良い出来事ばかりが起こるというわけではありませんが、京都に行くと、何かいつもわくわくすることに巡り合えます。お花の季節で人々の心が浮き立っている季節ならなおさらのことです。


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カウンターには二種類のお花が飾られていました。私の席に近いところにはよく花がついた啓翁桜が活けられていました。

この日はお花真っ盛りの時季でしたがお客さんは私だけで、その意味でも飛沫や喧噪から解放されて、くつろぐことができとても快適な時間でした。


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お料理一つ一つに丁寧な仕事がされています。先付け、お椀と続いて、それぞれに旬の食材の香りが立っていて、食材の組み合わせがありきたりでないところもあったりして楽しく、食べていてとても気持ちが良かったです。


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寺社巡りの途中でもあり、食中はアルコールは飲まずにお茶を所望しました。熱いお茶ももちろんありますが、冷たいお茶も(ノーチャージで)御用意くださっています。そこまでしなくても良いかもしれませんが、これからどんどん暖かくなるのですからお客さんにはとても優しい配慮で、おもてなしの心を感じます。脱帽です。


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例えば、この先付けは、今回巡った3店ともホタルイカを使ったぬたという点で共通していましたが、中に入っているお野菜がうるい、ねぎといった定番の枠を超えて、グリーンピースやホワイトアスパラガスなどが入っていて、より楽しめました。肝心のお味噌も辛子味噌ではなく、お味噌から感じられた木の芽の香りが素晴らしく、私はこちらの方が好みでした。


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続いて出てきた懐石の華、お椀ですが、自家製の胡麻豆腐の香りの良いこと。平目が入っていますが、主役は胡麻豆腐でした。吸い地もとても繊細ないいお出汁です。


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お造りもランチだと二種類くらいのところが普通ですが、こちらは少量で他品種を出して下さいます。どちらが好みかは人それぞれかもしれませんが、私は色々な味が楽しめる方が嬉しく、お皿が出された時点ですでにときめいていました。


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焼き物については、あえて皮をとって串で焼いているのでしょうか。こちらについては、同じ桜鱒でも、皮付きで焼いていた「祇をん かじ正」さんの方が脂が楽しめて美味しかったです。ただそれ以外の点では、あらゆる点でこちらの方が圧倒的に上でした。


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ご飯には氷魚が載っていて、ただの白いご飯で終わらないところに、店主の心意気を感じることができました。季節を考えつつ、個性を示そうとされる姿勢が素敵です。


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最後のデザートはこの日は5種類から好きなものを選べる形でした。食べ放題ではないですが、全種類をお願いできます。もちろん私も全種類お願いしました。ただ作り置いたものを器に盛るだけではなく、目の前でちゃんと最後の仕上げをして整えてくださいます。その心配りも素晴らしいです。


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こちらがカウンターの反対側に置かれていたお花です。

今回も前回同様素晴らしい食の体験ができた奈良桜井市の「味の風 にしむら」さんとの比較においても、先付けやお椀の胡麻豆腐で感じさせてくれた素材の風味のおかげで、こちらの方が上と思いました。

ただ、お造りについては、「にしむら」さんは二種類だったとはいえ、寝かした明石の鯛はやはり特別に美味しく、両者甲乙付けがたいです。

焼き物については奈良の朝掘りの筍を贅沢に味わえた点で「にしむら」さんの方が良かったですが、最後のデザートの充実ぶりもあり、さらにお値段もより控え目ということもあって、やはり最終的にはこちらのお店での食体験が上という感想に落ち着きました。

お料理の質と量、そして最後の圧巻のデザート群で驚きの価格設定です。また折に触れ、季節の食材を愛でにこちらに伺いたいと思います。


(いただいたもの)

ランチコース
(一番お値打ちのコース。他にも希望により各種コースを御用意して下さるとのこと。)

先付け:
富山湾産ホタルイカと春野菜(ホワイトアスパラ、せり、グリーンピース、菜の花など)のぬた 
木の芽味噌あえ

お椀:
明石産平目 自家製胡麻豆腐
しめじ つるな(葉っぱ)
花柚子

お造り:
七尾産天然本鮪
北海道産甘海老

長崎産しめ鯖(炙り) タスマニア産粒マスタード
長崎産剣先烏賊
明石産桜鯛


焼き物:
福井産桜鱒 白味噌幽庵焼き 大根おろし

お食事:
白いご飯 氷魚(鮎の稚魚)の生干し
味噌汁
香の物

デザート:全5種類から選択
アールグレイのシャーベット
赤ワインのシャーベット オレンジとキュウイ
黒糖くず餅
イチゴのミルク餅(道明寺粉)ホワイトチョコの練乳がけ
生クリームとグレープフルーツのミルフィーユ



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レストラン訪問記:桜井「味の風 にしむら」(★)

今回は、桜旅で伺ったお店の二軒目です。奈良のお店なので評価は2017年Web限定特別版でのものになります。

かなり前に初めて伺って、気に入って二度目の訪問をしたのが7年前でした。それまでは個人的な課題にかまけてなかなか旅に出ることができませんでしたが、今回は大神神社に伺い登拝した帰りに寄らせていただきました。

しばらくぶりでしたが、前回色々とお話をしたので主の西村さんはこちらのことを覚えていてくれました。

以前いらしたお弟子さんは独立されたとのことで、調べてみると近くの畝傍・八木西口で「割烹 森本」を開かれているようでした。こちらはHPもあり、献立が「にしむら」と同じで価格はより抑えめです。こちらにも一度は伺ってみたいと思いました。ミシュランで主と同じ一つ星の評価がついています。


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さて、今回ほぼ同じような時期に和食店を訪れたということもあってか、食材のかぶるところがいくつもありました。それでも各店主の個性が分かるので食べ比べの感覚で楽しめました。


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一番分かりやすかったのは、先付けで出されたぬたでしょうか。基本的にうるいとホタルイカを使っていて、お出汁であったり、お味噌であったり、他のお野菜であったりといったところに違いが出ていました。

こちらの先付けは典型的なうるい、ホタルイカを使った辛子味噌のぬたでした。お出汁がジュレになっているところに、食べ手のことを考えた優しさがあるように思いました。「かじ正」では単に水状だったので、お出汁なのか野菜から出た水分なのか分かりませんでした。


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お椀は美しい螺鈿を配したものでした。吸い地には貝の良いお出汁が出ています。貝の火入れは絶妙で、貝が甘かったです。海苔も新海苔ということでしょうか。季節の香りが堪能できる幸せな一品でした。


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中の大根が細い免状になっていたりするところなども、新しいことを取り入れようとする主の姿勢を感じることができて、その点も良かったです。


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特にこだわりがあるとお見受けする明石の真鯛のお造りは、時によって違うかもしれませんが、今回は3日寝かせて旨みを引き出したもので、お造りが二種類でも大満足できました。


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共通する食材が多いと書きましたが、京都の二店では、焼き物がいずれも桜鱒でした。こちらでは今回、明日香村の朝掘りの筍を焼き物としてふんだんに食べさせてくれて、大満足いたしました。

甘辛だれな味が絶妙です。ホクホクして、みずみずしさもあり、旬を味わう喜びがありました。ややえぐみがありましたが、許容範囲の中で、うまいうまいと頬張れる美味しさです。素揚げにして焼いている分、かすかな油分が筍をより美味しくしていたように思います。

季節的には筍の季節ではありますが、やはり地元の食材を楽しめるのは旅先での食事ならではの楽しみです。


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お食事は白いご飯に繊細なちりめん山椒をかけたものです。ご飯はやややわらかめでした。これに自家製の香の物、お味噌汁がつきます。


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香の物では、菊芋のぬか漬けが珍しかったです。また、大根の漬物が絶妙な甘み加減でこれまた美味しかったです。


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お味噌汁は贅沢にお出汁を使っていて鰹節の香りが立っていて、家庭で食べるものは明らかに違います。地味ですが、とても贅沢なお料理ですね。


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ちゃんと甘い物の用意もあります。道明寺を夜桜に見立てた、季節を感じさせる水羊羹でした。手作りなのでとても純粋なお味で、最後まで楽しめました。水出しの煎茶が良い香りで心地よかったです。

サービスですが、ご年配のお客さんにはお造りを小さく切りましょうかと提案していたり、心配りが行き届いています。

最後まで頂いて、昼も夜も同じ情熱でお仕事されていて、お客さんにいいものを提供しようとする姿勢が以前と変わらず感じられて、また伺えて良かったと思いました。

特に、お昼はお値段抑えめで、奈良のお野菜や河岸の上質なお魚を使った、手作りの良いお料理を提供してくれます。今回は軽いコースでしたが、上のコースには真鯛のあら炊きがついているようでした。

お店のある桜井周辺には、大神神社、長谷寺、室生寺、談山神社、文殊院など、見所も多いので、近くに行かれた際には立ち寄られることをお勧めします。


(いただいたもの)

ランチコース(二種類のうち軽いコース)

先付け:
ホタルイカ
わけぎ うるい 辛子味噌
ジュレがけ

お椀:
はまぐり 大根
せり のり 柚子胡椒

お造り:
明石の鯛 和歌山産ケンケン鰹
黄韮 こごみ
塩 わさび

焼き物:
明日香村産朝掘り筍 素揚げして焼いたもの
かつお節

お食事:
白いご飯 ちりめん山椒
香の物(菜の花、菊芋、大根)
お味噌汁

デザート:
水羊羹〜道明寺を夜桜に見立てて散らして〜
水出し煎茶





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レストラン訪問記:祇園「祇をん かじ正」(★)

花に誘われて京都、奈良に伺っていました。お花見といっても桜のある場所を、束の間花を愛でながら通り過ぎるだけです。それでも季節が良く、河原沿いで、車窓から、寺社仏閣の境内でと、様々な桜の花を楽しむことができました。

各所でお昼ご飯を頂いてきましたが、いずれも和食でした。個人的に評価の低いお店から、読者様の寄稿記事を挟みつつ、三店続けて紹介いたします。

こちらは祇園の中という風情ある最高の立地で、店内はやや狭いものの奥が深くまであり、それなりに落ち着ける空間でした。

しかしながら残念な出来事が立て続いたため、お店としては全く評価ができませんでした。

まず、入店時のことですが、カウンターに着席する際にカウンター内に3人も料理人がいて特に何の作業をしているわけでもないに、そのうちの誰からも挨拶を頂けませんでした。普通人と人が近づいて、お互いに認識をしたら自然と挨拶の言葉が出るものではないでしょうか。お客商売をしているならなおさらです。あれだけ近い距離で接近しているのにあまりに不自然で、驚きました。お客以前に、人間として無視されたように感じてしまいました。とても残念でした。

次に、着席後の注文の際、こちらがお茶と言って、明らかに食中の番茶を所望しているのに、女将は何度も烏龍茶?烏龍茶?と聞いてきます。和食の食事中に所望する「お茶」といえば普通にノーチャージの番茶でしょう。それくらい知っています。

女将の、できるだけ有料の注文へ誘導しようという下品な根性が丸見えで正直うんざりしました。こちらの無知(と先方が思っているだけですが)につけ込んで、できるだけお金を稼ごうという根性は、それを客に気取られた時点で客は興醒めして二度と来ないことが分からないのでしょうか。

この女将は、冷たいお茶なら烏龍茶といって有料に誘導しようとしていましたが、後日記事を書く「京料理 藤本」では、ノーチャージの番茶についてもお客さんのために冷えたものを用意されていました。それこそもてなしの心というものでしょう。本当はそこまでする必要はないかもしれませんが、やっているお店に会うと、やはり評価がぐっと上がります。客をもてなす心が伝わるからです。

そうして出てきたこちらの熱いお茶は、スモーキーすぎて正直食事を邪魔する印象を持ちました。

その後食事が進む中で、また嫌なことがありました。主人はまだしも女将には品格が感じられず、そんな女将に引き寄せられたような常連さんが我が物顔でカウンターを占拠していて、例のごとくノーマスクの飛沫拡散大会となっていました。

連れもいることですし、多少のおしゃべりは仕方ないと思うのですが、女将が話しかけて煽るので、この老女は調子に乗ってどんどんしゃべるのです。このような時期、店の側がコロナ感染拡大に協力してはいけないでしょう。

わが子(娘?)の就活自慢で、東大病院と偉そうに語っていましたが、受験するなら誰でもできるでしょう。母校を拝め奉られて悪い気はしませんでしたが、周りを圧倒する意図だとしたら論外です。東大の権威はあなたに何の関係もないでしょう。しかも食事も完全に終わっているのにノーマスクで、その話さっきも聞いたよというその話を何度も何度も繰り返す。勘弁して欲しかったです。

さらに言えば、その老女は私が丁度食べる時に、意味もなくカウンターを両手で叩いて振動を生じさせていました。自分がここの主だというアピールと理解しました。マントヒヒの要領です。自分が世界の中心にいて周りが何も見えていないのでしょうか。

お店の人が何かした訳でもないですが、これでお店の評価が良くなるわけがありません。

また、若いサービスの女性が、食事の真っ最中でこちらが丁度ものを口に入れたタイミングで何かを問うてきたこともありました。未熟ゆえ致し方ない面もあるかもしれないですが、センスの問題でもあり、また教育の問題でもあるでしょう。

色々とちぐはぐで、祇園で和食というワードから想像される、落ち着いた、美味しく楽しい食の体験からはほど遠い世界に連れて行かれてしまっていました。

さらに、食後のことですが、お食事が終わって間があるなあと思っていましたが、お食事を頂いた後に、以上で終わりと店の人が言わないので、デザートが出ると思って待っていました。しかしあまりに時間が流れるので店主に聞くと、もう終わりとのことでした。それなら食事を下げるタイミングでちゃんと終わったことを告げるべきでしょう。

デザートを五品も出す「京料理 藤本」のパフォーマンスが良すぎる面もあるかと思いますが、ちょっとしたものが出ることを期待してもおかしくない値付けをしているのです。これじゃあまともなお客さんは寄らないよと思います。

お料理自体はさほど悪いとは思いませんでしたし、店主自体は人が良さそうな方でしたが、女将が全てを仕切ってしまっているのでしょう。先述のような客を常連にしてしまったり、店員の教育ができていなかったりする、その徳のなさから、二度と寄りつこうと思えませんでした。

こんな店を一つ星として掲載するミシュランは罪深いとまで思ってしまいました。抜けた調査員が複数いて、こぼれ落ちて間違って掲載されてしまったのでしょうか。

お値段については先ほど触れましたが、今回訪ねた中で最も高かったですが、お椀もデザートもなく、内容的に一番貧相でした。また、カウンターとはいえ、客がいる時に、客の目の前で皿洗いをするのはどうなのでしょう。目に見えていなくても、恐らく洗っている水、下手したら洗剤が飛んできていますよね。そう想像させる時点でアウトだと気付いて欲しいです。

ただ、残念な体験があってこそ珠玉の体験が輝くともいえるので、まあ色々と勉強になったと自分に言い聞かせて帰路に就きました。


(いただいたもの)

ランチコース


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先付け:
ホタルイカ 赤貝のぬた
うるい ネギ
お酢
(→水分気になると思ったら出汁入りのお酢でした。ホタルイカも赤貝も質は良いですが、産地も教えてほしかった。味噌は少し辛味を感じる比較的粘りの少ないサラッとしたもの。)


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お造り:
本鮪 シマアジ
(→刺身の質は良いです。本鮪は中トロでしょう。しかし二種は少しさみしかったです。)


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の利休餡がけ
(→皮がついていて食べにくいのが残念でしたが、脂がありこの点だけは「京料理 藤本」より上でした。)


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桜蒸し 
(→餡のため熱々ですが、梅干しがついてくるこの料理の良さが分かりません。蕪蒸しなら分かるのですが。鯛は産地も分かりませんし、火が入りすぎてあまり美味しくなかった。)


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お食事:
ご飯 香の物 だし巻き玉子
(→至って普通ですが、ちゃんと作っているのでどれも美味しいです。出汁巻き玉子がこちらの名物のようでした。)


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Author:VV George VV

La marque "***", "**","*"
signifie des étoiles de
Michelin au moment de la
visite.

長期フランス滞在中、さる”グランドメゾン”(高級料亭)での午餐を契機に”ガストロノミー・フランセーズ”(フランス流美食)に開眼。
爾来、真の美食を求めて東奔西走の日々。

インスタグラム始めました!→https://www.instagram.com/george_gastro/

* お店の名前脇の★はミシュランガイドでの星による評価(訪問時のもの)に対応しています。

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