レストラン訪問記:京都・東山区梅本町「新門前 米村」(★★)

二つ星もついているとさすがに期待が高まるものですが、最後かなり残念な思いで店を出ることになりました。訪問はやはり昨年で、3月のことになります。
私の正直な感想は、洋食料理しかできないシェフになぜイノベーティブで二つ星がつくのかというものでした。洋食だからだめということはもちろんないのですが(熊本に世界で唯一洋食で星がつくお店があります)、調理も取り立てて繊細な技が使われているということもなく、私にはこの店のお料理の良いところが分かりませんでした。美味しいお料理ももちろんありましたが、フランス料理やらイノベーティブやらを期待できるお料理はここにありません。
言葉が悪いですが、シャンパンスナックやらアミューズや、最後の小菓子をそれなりに充実させておけばなんとか体裁を繕えるところがあって、こちらはそれを上手く使ってプレゼンすることで、私から見れば実情に見合わない高評価を頂いているように感じてしまいました。
シェフの料理には面白い食材の取り合わせも、あっと驚くような料理も、思いがけない食材の提案も何もありません。古いスタイルのフレンチでも良いのです。フランス料理の技法や思想から作られたお料理を期待していましたし、そういうものが食べたかったです。単なる洋食が直線的に進化しただけの見てくれだけの料理ではなく、しっかりしたフレンチが食べたかったのですが、叶いませんでした。

卓上の様子
サービス陣はみな気持ちよく、特にソムリエはしっかりしている印象でした。また、料理人もカウンター越しにみなキビキビ仕事していて、そういうところは印象が良かったです。ただカウンターはとても狭いですね。食事をしていてもあまり落ち着かなかったです。また、席を立った時にはトイレに案内して欲しかったです。
パンがメイン前に撤去されるという前代未聞の経験をしました。ありえないです。改めて持ってきてもらいましたが、こういう珍事が起きてしまうのはビストロ以下ですね。
さらには、シェフの最後のお見送りは形だけでした。こちらに感動がなく、脱力して店を出ることがさすがにシェフにも伝わっていたのでしょう。まあお互い残念な出会いということでした。
今回のお会計は、ランチコースが1万円、シャンパンが2900円、ペアリングが6000円でした。お酒は色々と楽しめて楽しかったですね。訪問時の2022年3月のものになります。投稿日現在、ランチの安いコースは1万2000円になっているようです。
(頂いたもの)
ランチコース10000
グラスシャンパン2900
(ロートシルトのものでした。瓶の最後の方だったため、泡が少なかったのが残念でした。)


シャンパンスナック(左上から時計回りに):白エビのトマトファルシー、ペコロスのピクルス、抹茶ブリオッシュのサンドウィッチ、イカ墨リゾット、フリット
(トマト 水分が多すぎて白海老の香りが全く感じられず、駄作でした。
ピクルス 玉ねぎのようで、ペコロスとのことです。こちらもブリオッシュ同様外れてしまう作りなので今ひとつです。
ブリオッシュ サンドイッチなので上下が分かれる作りですが一見して分からず落としてしまいました。食べ手のことなど全く考えておらず、まさに見てくれだけ。センスがないでしょう。味は美味しいが普通です。
イカリゾット もっと米が欲しかったです。量のバランスが悪いですね。センスが今ひとつ足りないです。パクチーのマイクロリーフは広島「中土」でも頂きました。季節ものでしょうか。
フリット 温かいのは良いですが、至って普通です。)

平目、マグロ、サワラのカルパッチョ
(食べにくかったですね。海苔のおかげでお寿司を食べている気分になりました。チーズ、柿、サワラのじかやきは甘みと炭の良い香りがまずします。その後、ハムのこくのある美味しさなどが一体となって楽しめました。美味しいのですが、食材をやたらと盛り込みすぎではないでしょうか。味が渋滞しています。)

旬野菜いろいろ
(皿は温めて提供されました。正直あまり面白くないです。大した発想ではないでしょう。柚子と蕪のムースもバナル(陳腐)で、あまり濃くもないです。)

パン
(温めて提供されます。バターもお代わりをくれます。これは良いですね。)
グラス白:アルザスリースリング 2019



蟹(紅ズワイガニ)の冷製パスタ
(色々と具材が入っていて味が分からなくなりました。海苔のせいで、素麺に感じてしまいました。そこは反省すべきではないでしょうか。普通に美味しいのですが、料理としては物足りなかったです。)
グラスシャンパン:ブランドブラン グランクリュ
(封切りのブランドブランでした。泡強く、スッキリしていて美味しいシャンパンで上等でした。バターやアプリコットのニュアンスがありました。)

松葉蟹のクリームコロッケとオニオングラタンスープ
(オニオングラタンスープは普通に美味しいのですが、何故ここに山菜が入るのか意味が分かりません。濃い味付けでは山菜の香りなど普通は楽しめないでしょうに。また、松葉蟹はコロッケになってしまっているので今ひとつ味が分かりませんでした。美味しいですが、洋食仕立てですので、特別感はゼロです。つまらないです。)
グラス白:チリのシャルドネ
(樽が効いている感じで美味しいです。しかしこれも最後の一滴だったようです。)

もずく酢 パッションフルーツのアイス ドライマイクロキュウイ
(アイスのおかげで甘み酸味一体で冷たくて、お口直しとしては悪くないです。)


お肉:ローストビーフ(鹿児島産和牛のカイノミ)
(海老芋はトリュフ香ります。菜の花は味が優しく美味しいです。お肉は上質で美味でした。メインは、他にハンバーグも選べました。)
グラス赤:ジブレイシャンベルタン
(味はまあまあですが、このクラスを出してくれたことに感謝でした。)

お食事:カレー
(硬めに炊いた白米に欧風カレーでした。サラッとしていて様々な味があり美味しいです。かなりスモーキーな冷たいほうじ茶がお伴でした。)

デザート盛り合わせ(左上から時計回りに中心に向かって):金柑のコンポート バニラアイスとココアのジェノワーズ、イチゴのパンナコッタ、ちょっとかためのシュークリーム、琥珀糖、レモンのマドレーヌ、本日のケーキ、シャンパンとイチゴのソルベ
(マドレーヌを食べてしまってから写真を撮っています。悪しからず。)
デザートワイン3種
グラス白(デザートワイン):アイスワイン
(独特の香りがありますね。控えめな甘さで美味しかったです。)
グラスシェリー酒
(アイスと合わせるとのことでした。チョコケーキも良いと思います。アイスにかけても頂きました。)
グラス黒龍貴醸酒(=日本酒)
(マスカットの香りがします。チーズケーキと合わせるとのことでした。)

食後のお茶:紅茶