エノテカノリーオ(四ツ谷・愛住町)



四ツ谷の静かな住宅街にたたずむリストランテへ。
何となく知っていたお店でしたが、今回家族と初めての訪問となりました。
場所は思った以上に静かな環境にあって、二階にあるサル(メインダイニング)からは廃校になった小学校が望めるようになっています。一階部分はバーとなっています。
二階にあって周りに視界を遮るものがほとんどないこともあってサルには光がしっかりと差し込んで気持ちの良い空間。こぢんまりとしたサルの大きさもまた隠れ家的な雰囲気を醸しています。
卓上に置かれた小さな花に店主の心意気を感じます(写真下)。さりげなく、美しい。食事を楽しむ心がまた気持ちよく、明るくなります。
平日といえど安いパスタランチなどはなく、あくまでコースのみのメニュー構成。
この日は前菜、パスタ、メインのコースを選択。デザートは別料金になります。
お料理は食材を大切にしたひねりなしの正統派イタリアンといった感じ。
正直なところもう少し旬を前面に出したメニューが好きなのですが、こちらはそれよりも良い食材に焦点を当てている風です。
お皿の盛りつけは、光溢れるサルの良さを強調するかのように、ミニマルですがとてもきれい。
料理人の指の跡が皿の脇にちらりとでも見えたりするとげんなりとしてしまうものですが、こちらのお皿は至って清潔な印象。これはあまり気の届かないところではありますが、とてもポイント高いです。
写真ではわかりにくいのですが、例えばデザートの写真(写真上)などを見れば皿の上の清潔感がわかって頂けるのではないでしょうか。
このデザートのシャーベットもまた手作りなのですが、控えめな味ながら、本物で、小さいながら大満足です。
食後、何故かかつてのパリのブノワ(当時一つ星)での食事を思い出していました(「かつての」と書いたのは、このお店が現在はデュカスのグループに買収されてしまったため…お店は現在もあるようですが、その心はきっと失われてしまったことでしょう。東京にブノワを作るくらいですから。)。
話を戻して、パリのブノワは地元の上流の方々が日常食として食べに通う古き良き伝統を受け継ぐビストロという位置づけだったようですが、そこで出されるお料理はいわゆるクラシックでありつつもお皿の上はとてもきれいで、お料理自体が洗練されているのです。
ジャンルは違えど、エノテカノリーオの目指すところはそんなお店と同じなのかなと思ったのでした。
イタリアのいわゆる郷土料理とでもいうようなクラシックなお料理が出てくるけれど、それが洗練されていて、とてもきれいな盛りつけで、かつ美味しい。
コースのお値段も出てくるものと比べると妥当なもの。
一皿一皿の完成度を見る限り、ランチはむしろ頑張っている印象かもしれません。
グラスワインは白、赤とも三種類ずつから選択出来るようになっていて、きちんとしたものを出してくれている印象でした。
パンは作り置きでおそらく前日のもの。またナプキンは紙。こちらは少し残念な要素でした。これもあえて書かせて頂きます。
サービスは若い女性陣で、ややプロ意識に欠けるところが見受けられますが、苦痛なほどではありません。もう少し頑張って欲しい、そんな感じではありましたが。あなた方の役割は皿を持ってきて、空いたら下げるだけにとどまるものではありません。
こういうお店には毎日来てゆったり食事出来るような身分になれればそれはそれは幸せなことでしょうね。毎日食べても体によいものを出してくれるお店だと思います。
家族、友人との気の置けない食事で、少し上質な時間を過ごしたいという時に一番ぴたりとくるお店ではないでしょうか。
(いただいたもの)
プリフィクスコース(Bコース)
・前菜:吉田牧場のモッツァレラのサラダ
・パスタ:芝海老とズッキーニのリングイネ(写真中)
・メイン:スペシャルポークと豆の煮込み
・デザート(別料金):シャーベットの盛り合わせ(洋梨、フランボワーズ)(写真上)
・お茶:カモミールティー
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