リストランテ・シチリアーノ(銀座六丁目)



正式な名前は「リストランテ・シチリアーノ・マッシュー・銀座」。長い、ということで略称失礼。銀座には珍しい(?)シチリアに的を絞ったイタリアンになります。
雑居ビルの二階、極小のスペースとロケーションとしては今ひとつですが、開店してまだ一年ほどの店内はそれなりにきれいに整っています。椅子が籐を編んだもので、まるでリゾート地のよう。珍しいですが、なかなかいいですね。
開店と同時に入店し、その時は私と友人だけでしたが時間が過ぎ店内はほぼ満席に。銀座の土曜日、これだけ客が入るのは大したもの。きっと常連もつきはじめ、口コミその他で評判が広まっているのでしょう。
照明暗めの店内、卓上のキャンドルと構えは明らかにカップル向け。男子二人はなかなか肩身が狭いものですが、マネージャーの藤巻さん(最初のあいさつで名乗って頂けます!)を筆頭に、店の人は積極的にお客とコミュニケーションするタイプのサービスで、狭い店内と相まってわきあいあいの雰囲気が生まれます。
ほっておいて欲しい向きにはちょっと居心地悪いかもしれませんが、礼節をわきまえた大人ならきっと店の人との会話も楽しめるはず。押しつけがましいところはなく、にこやか。カップルならきっと男子を立ててくれることでしょう。
食材にこだわったいいお店はちらほらとあるようですが、ここはそうしたこだわりに加えて一皿の量もあり、楽しめます。アラカルトはないようで、その日のおすすめのコース一本のみ。とてもわかりやすいです。最初にコースの内容を説明してくれ、もし苦手な食材があれば取り替えてくれるようです。
お味は日本にいるアドヴァンテージを最大限活かしてシチリアの料理を提供し、成功を収めていると言えるでしょう。つまりはお魚を沢山使っていて、かつそれぞれがとても新鮮なのです。
一つ一つのお皿は繊細で、かつ美味しく、コースの流れもまたよし。量も充分すぎるほどでした。
量が充分すぎるには理由があり、メインのお肉の後に20グラムから好きなだけトマトソースのスパゲティを注文するスタイルになっているのです。メインまでである程度余裕のある方もここで100グラムほど頼めばまあ満腹になるでしょう。私もそのようにし、美味しく最後まで食べることができました。
ワインはややお高くつくのでご自身で注文の仕方を工夫されるといいでしょう。ボトルもありますが、グラスも色々と面白いものを開けているのでそちらでも良いかもしれません。
シチリアの2003年ものというスプマンテを最初出してもらいましたが、これがまた濃厚で独特な味で、大変気に入りました。
コースにはデザートが付いてきませんが、リーズナブルなお値段で注文可能です。お茶もまた別注になります。
途中からシェフの方とはおしゃべりしていましたが、最後の方、わざわざお名刺もってきてごあいさついただき恐縮でした。またマネージャーの方からも別にお名刺をいただき、これは最初の方にアルケッチァーノの名前を出したから…?なんて思っていました。マネージャーの方も近いうちに是非行きたいとおっしゃっていました。
銀座でこの内容で、この値段ということでコストパフォーマンスの良さはとびきりで、何より、美味しい料理に圧倒され、大満足でお店をあとにしました。こういうお店は是非常連になりたいもの。
ここに連れて行ってもらったら女性もさぞ嬉しいことでしょうし、連れて行く男性の株が上がること間違いないでしょう。
純粋に美味しいものが食べたい方、デート向きなお店をさがしている方にお勧めいたします。
(いただいたもの)
アミューズ:鮪のタルタル、焼き茄子、アンディーブ+千葉産青柳貝とうるいのマリネ(写真下)
(両方ともとても鮮度の良い魚介。鮪のタルタルは二日ほどマリネしたとかでとろけます。またお茄子との相性抜群。)
前菜:秋田産真鯛のカルパッチョと温かい春野菜(春菊、万願寺唐辛子、菜の花、月山筍、まこも茸、葱、ラディッキオなど)
(真鯛はまことに新鮮で、肉厚で美味。沢山盛られた春野菜達がまた感涙もの。)
前菜2:蛸のインウミド(シチリア風柔らか煮?)
(名物料理とのことです。とても柔らかく美味。)
スープ:マッコ(シチリア名物のそら豆のスープ、パスタ入り、ルッコラチーズのオーブン焼き入り)(写真中)
(今が旬ということで本来なら乾燥ものを使うそら豆ですが、生を使っているということでした。濃厚です。)
パスタ:黒鯛のラグー、手打ちのパッパルデッレ
(卵ごといれたという黒鯛が入っています。太い手打ち麺と良く絡んでいます。)
メイン:庄内豚フィレ肉のオーブン焼き(ピスタチオの衣で)
(フィレ肉にピスタチオの粉の衣で包み、オーブンで焼いた一品。ソースに鮪の唐墨が使われていて濃厚そのもの。がつんと食べ応えあります。)
締めの一品:トマトソースのスパゲティ(100g)
(20gからお好きなだけ食べられます。女性はたいてい40gほど注文されるとのこと。過去最高の記録は160gとか…。)
デザート:リコッタチーズのムース(?)(写真上)
(リコッタチーズの独特の香りが活きています。また上には砕いたピスタッチオが。これシチリア料理では肝なのでしょう。他に3種類ほどのデザートがあり、それぞれとても美味しそう。)
ワイン
食前酒:シチリアのスプマンテ(2003年もの)
白ワイン(ボトルで):シチリアの自然派(セパージュ:グレカニコ種)
赤ワイン(グラスで):ヴィノポリチェッラ
パン二種類(蛸のお料理の時にソースをすくうためという感じで出されました。)
* こちらのお店はその後残念ながら閉店となり、シェフとマネージャーは横浜の「サローネ2007」というお店に移られたようです。こちらはよりガストロノミーを追究した高級店のようですね。
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