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レストラン訪問記:代々木上原「ル・ボークープ」(ビブグルマン)

代々木上原は都心から少し離れますが住所でいえば渋谷区のはずれにあり、小田急線、地下鉄千代田線の二線が乗り入れるとても便利なエリアです。今は使い勝手の良い駅ビルができていて以前よりも更に便利になっているようです。

そんな代々木上原の駅から5分ほど歩いた場所にある小さなビストロに行ってきました。最短距離で行こうとするとちょっとした坂を上ることになります。このあたりは山と谷が入り組んだ地形で歩くとなかなか大変ですね。駅の裏もすぐ坂になっていたりします。

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開店してまだ3年という比較的若いお店ですが、ビブグルマンを獲得していて口コミサイトの評価もそこそこ高く人気のお店というのがうかがえます。

店に入ると若い女性サービスの方がにこやかに気持ちよく迎え入れてくれました。こうしたきちんとしたレストランでのサービス業は色々と気遣いすることが多くて若い方にとっても大変でしょうし、お店が(お客が)求めるレベルに達するには辛抱も必要かと思いますが、こちらの若いサービスの方はきちんとされていて感心しました。何より自然な笑顔があるサービスがこちらを穏やかに落ち着かせてくれました。教育もあるのでしょうが、本人の(サービス向きの)性質、意識(の高さ)もあるのでしょう。

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店内は床がうちっぱなしでありながらきちんとテーブルクロスがされたテーブルにグラス、飾り皿がセッティングされていてカジュアルながらもきちんとしたレストランという雰囲気が漂っています。カウンター席もありますが、こちらは席が高めでもしかしたら窮屈な感じがするのかもしれません。

サービスを締めているのはこちらの女性支配人の方で、きちんとしたスーツを着られていて、サービスの要所要所を押さえている感じでした。

お料理は全体として満足しましたが、個人的にはデザートが特によかったです。

こちらの一番の売りはなんといっても多彩なお料理が選べることでしょう。また盛りつけの美しさよりも、美味しいものをふんだんに食べてもらおうという意志を感じる気前の良いお料理で、お店はレストランのようでありながら、上質な創作料理を提供するビストロというのがより正しい分類のように思います。

さらにいうとシェフはお野菜にもこだわりがあるようで、この日も栃木や秋田の野菜類がふんだんに使われていて、たしかにメイン料理のつけ合わせの野菜はどれも土の香りが強く感じられて特別な感じがしました。

この日は前菜からデザートまで16種類の主にシェフの創作になるお料理がずらりと並んでいて、他のお店よりも選ぶ楽しみがありました。さらには、料理以外にも追加で厚岸産の生牡蠣を注文できるとのことでした。

使われている食材も、この季節のカルパッチョの定番は例えばスズキだったりすると思うのですが、高級な白身のハタであったり、デザートのブランマンジェには加賀野菜の加賀太きゅうりを使ったりしていて、食材への意識の高さを感じずにはいられませんでした。

またこちらのシェフは果物を前菜に、野菜をデザートにと普段は使わないような組み合わせで料理をするのがお好きなようで、いただいた加賀太キュウリのブランマンジェもそんなコンセプトの一皿で、かつシェフのスペシャリテとのことでした。

加賀太きゅうりといってもその中の白い部分だけを贅沢に使うやり方でブランマンジェを作っていて、ほのかな瓜、メロンの香りがしています。さらに薬草リキュールのシャルトリューズのジュレが涼しげで、濃厚なフロマージュブランの滑らかなソルベがさらに旨みとこく、さらにチーズの酸味によるさわやかさももたらしてくれて夏にぴったりのデザートという感じで美味しく、心の琴線に触れるデザートでした。見た目もシンプルではありますが涼しげで美しいたたずまいです。まだ暑い季節が続きますので気になったら是非お試しください。

こちらでもパンはしっかりと温めてほのかな酸味が美味しい田舎パンを提供してくれましたし、バターもついてきます。ただ、パン皿が空いている時は客に尋ねずにパンを入れて欲しいのが本音でした。パンの無駄をなくす配慮なのでしょうが、美味しくて私には少なくとも残す発想はありませんでした。

アミューズは至って普通で感動はありませんでした。むしろリエットを入れている器が甘いタルト生地で正直なところ少量のリエットと風味が調和しているのか微妙だと感じました。

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今回は前菜二皿にしましたが、ハタは期待通りの上品な甘味のある美味しいお魚でそのマリネ料理はつけ合わせを含めて美味しく頂けました。ハタもただ切ってあるだけではなく、当たり前ですが下準備がしっかり施されていると感じる味でした。

二品目の前菜については今回時間の関係上、注文したかった温前菜が注文できなかった(テリーヌをいただきたかった)こともあり、正直大満足とはいきませんでした。ただお料理自体は現代風の解釈によるガスパチョで、トマトのブランマンジェはとても質が高くきわめて濃厚で、ジュレといただいて口内調理でガスパチョとなる趣向は楽しかったです。

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メインはランチ時には良く提供される豚肉で今回はベルギー産の豚肉でした。ロゼの焼き加減が良く、つけ合わせのお野菜も味が濃厚で満足できました。

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食後のお茶はあるときはほとんどハーブティーをいただくことにしていますが、こちらのハーブティーは独特な色合いで驚きます。さらにいうとレモンを搾ることで色の変化も楽しめる遊び心がある一杯でした。こちらの写真は是非インスタグラムでご覧ください。

お支払い時、カードは本来5000円以上でないと受けつけないとのことでしたが、現金の持ち合わせがなく、気持ちよくカードでの支払いを受けていただきました。

そのようなわけで支払に関してお互いストレスがなかったのですが、ミシュランはそういった細かいルールは載せきれないつくりになっていますし、お店のホームページ、メニューにもその旨の記載が一切ないので、その点はしっかりさせておいた方が結局はお店のためではないかと思いました。

最後は支配人の方とお話ししながら外に出て、そのままお見送りしていただきました。角で私が視界から去るまできちんと立って見送って頂いていたようで、ちょっと申し訳ない気持ちにもなりましたがこちらのお店のサービスの的確さを改めて感じました。きちんとした人のところにきちんとした人材が集まってくるということなのだろうと最初に迎え入れてくれた若いサービスの方のことも含めて考えていました。


(いただいたもの)

ランチコース(4皿)
(○がこの日選んだお料理)

前菜:
(冷前菜)

○鮮魚(ハタ)のマリネと夏野菜のマリネ

アジと帆立貝、トウモロコシのタルタル ペコリーノロマーノとセルバチコとともに(追加料金あり)

○口の中で完成するガスパチョ

本日のスープ(トウモロコシの冷製スープ)

(温前菜)

和歌山県産鮎と黄ズッキーニ、フロマージュブランの温かいテリーヌとサラダ

モンサンミシェル産ムール貝と冬瓜のロワイヤル


メイン:
産地直送天然の鮮魚料理(真鯛のポワレ)

○ベルギー産オリーブポーク肩ロースのロースト ピリッと辛いエピス風味のソース

仏ロゼール産仔羊のココナッツカレー風味煮込み

十勝より自然飼育和牛のサーロインステーキ(追加料金あり)

チーズ・デザート:

チーズ盛り合わせ

白桃のコンポート、そのジュレとグラニテ 珈琲アイス添え

○加賀太きゅうりのブランマンジェ、シャルトリューズのジュレとフロマージュブランのソルベ

本日のデザート(無花果のコンポート)(追加料金あり)

本日のデザート(マスカルポーネチーズのチーズケーキ)(追加料金あり)

シャーベット、アイスクリームの3種盛り

食後のお茶:ラベンダー香る青いハーブティー





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Author:VV George VV

La marque "***", "**","*"
signifie des étoiles de
Michelin au moment de la
visite.

長期フランス滞在中、さる”グランドメゾン”(高級料亭)での午餐を契機に”ガストロノミー・フランセーズ”(フランス流美食)に開眼。
爾来、真の美食を求めて東奔西走の日々。

インスタグラム始めました!→https://www.instagram.com/george_gastro/

* お店の名前脇の★はミシュランガイドでの星による評価(訪問時のもの)に対応しています。

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