レストラン訪問記:白金台「ルカンケ」(★)
さて、白金台は今一つご縁のない場所ではありましたが、今回こちらにうかがうために訪れました。白金台は小さなエリアに星付き店がひしめいているグルメゾーンのようです。
ミシュラン最新版が発刊されてこちらは無事星を維持されました。ご近所で星を失ったフレンチのお店がありました。うかがったことはありませんでしたが、メニューを見て興味をひかれていただけに残念です。

こちらは階段を上って入るつくりで先客のお客さんがすでに店の前であるいは少し遠くで待っているようでした。昼は12時開始でその前の時間には扉が閉まっていて中に入ることはできません。
この日もランチの限られた時間での訪問でしたので扉の目の前で待って、扉が開くのと同時に店内に入れていただきました。退店希望時間をお伝えしていたこともあり、かなりいいペースでお料理を出していただけました。予約の電話の際にはちょっと話が通じにくい感じもした支配人の方ですが、この道のキャリアが長いであろう感じの細身の紳士で、いい具合に客あしらいをしている感じで手馴れている感じが見て取れました。もちろんきちんとした礼儀があります。
食事をしたのは階段を上って入った入口からさらに上に螺旋階段を上った小さなサルで、どちらかというとビストロやブラッスリといった雰囲気で隣の席との間もけっこう近い感じでした。
お食事は工夫を凝らした二品のアミューズ、というより一口スナックから始まります。シェフなりに物語を組み立てているようで楽しいですね。個人的には食べられない石や植物などを過剰に皿に盛りつける現代風のプレゼンテーションは今一つ好きにはなれないのですが、この日はあまり違和感がありませんでした。サービスの方がちゃんと説明してくれるからでしょうか。

小石に見立てた黒いパンとシュー生地で包んだ甘いフォワグラのプチシューと続きましたが、個人的には後者の方がより味わいがあって好みでした。

その後に一口スープが出てきました。大根のスープと聞いてぴんとこず今一つ期待もしていませんでしたが、大根と玉ねぎだけで出汁をとっているというスープは味わい深く、しかも器、スープとも熱々で出していただいて、とても美味しくいただきました。こういう小さな気遣い一つでお店やシェフへの評価がぐっと上がります。
さらにその後続いたさんま尽くしの冷菜は周りのお客さんもみな声を上げるくらいきれいなお料理で、さんまを食べつくす趣向がいい上、それぞれの味もまた良いのでこちらも好きになりました。

フィレだけで作ったというテリーヌはただ身を寄せているだけのようですが、しっかりテリーヌとして完成されていて簡単にはほぐれないようになっていてシェフの技を感じます。さらに焼きナスと和えた中落ちは茄子の風味とさんまの脂があいまってとても美味しいです。
最近色々なところで焼きナスを使った前菜をいただきましたが、どうしても水分が料理を不味くしてしまう感じがありました。しかしこちらはその水分をいい具合に使って全体として調和のとれた美味しさを完成させていて満足度が高かったです。さらに肝を使ったペーストの美味しさは言わずもがなでしょう。セロリのプレゼンも含めて美味しく、美しく、楽しい一皿で満足でした。

お魚はこの日はおぼだいのポワレでした。最近、「スブリム」でとても美味しい黄アラをいただいたり、「タストゥー」でも焼き加減が絶妙の尾長鯛をいただいたりしていてかなりハードルが上がっていたので、正直この日のお魚は凡庸にしか感じられませんでした。
最後のデザートは季節柄色々な場所で提供されることが多いモンブランでした。モンブラン好きです。いまどきは各店の各シェフが自分の個性を発揮されて、口内調理でのモンブランが流行っている感じですね。
この日いただいたものは栗のプリン、牛乳のアイスが添えられている上、軽やかなメレンゲを使いカシスクリームで酸味をほのかに忍ばせた軽い現代風の作りのモンブランでとても気に入りました。プレゼンテーションも軽やかでいいです。「スブリム」の素朴な作りのものもいいですが、デザート全体としてのレベルではこちらの方が上だと思いました。
支配人やサービスの方のご配慮で退店希望時間にはしっかり出ることができ、食事も大いに楽しめたので大満足でした。ただハーブティーを食後にいただきましたが、お代わりは別料金になるとのことでそれが残念でした。とはいえ一つ星クラスのお店でありながらかなりのお値打ち価格でお食事が楽しめるようになっているので多少のことは気にならないとも言えます。
支配人の方には最後お店の外の下(地上)まで見送っていただきました。角を曲がる際に振り向くとしっかりとそこにいらして、さすがプロと改めて感じ入りました。
カジュアルではありますが、光る料理がそこかしこに見られますので全体としてとても楽しめるレストランになっていると思います。平日でしたが小さなサルは満席で人気のほどもうかがうことができました。
お隣のご夫婦がワインペアリングのコースを楽しまれたりしていて、フォワグラに貴腐ワインを合わせるなどしていてとても興味をそそられました。
そんなこともあり、次回はもう少しゆっくりできる日にうかがいたいと思います。
(いただいたもの)
ランチコース
スナック1:小石と苔
(竹炭入りパン 豚肉リエット ケールの粉)
スナック2:フォワグラのシュークリーム
(カカオのシュー生地とチョコ フォアグラのクリーム入り)
スープ:大根のスープ
(玉ねぎと大根のみのお出汁、スパイスオイルかけ(コリアンダーシード入り)、クルトン)
前菜:さんま セロリ じゃがいも
(さんまの冷製前菜(フィレのみのテリーヌ、中落ちと焼きなす、さんまのわた)、シェリービネガーソース、燻製したじゃがいものピューレ)
メイン:鮮魚 マコモダケ ブールブラン
(おぼだいのポワレ かぼちゃ マコモダケ ムール貝 ムール貝などの泡 ブールブランソース(ハーブ入り))
デザート:栗 カシス ミルク(モンブラン風のデザート)
食後のお茶と小菓子:ミニャルディーズとカフェ(ハーブティー(レモングラスとハーブブレンド))
ミシュラン最新版が発刊されてこちらは無事星を維持されました。ご近所で星を失ったフレンチのお店がありました。うかがったことはありませんでしたが、メニューを見て興味をひかれていただけに残念です。

こちらは階段を上って入るつくりで先客のお客さんがすでに店の前であるいは少し遠くで待っているようでした。昼は12時開始でその前の時間には扉が閉まっていて中に入ることはできません。
この日もランチの限られた時間での訪問でしたので扉の目の前で待って、扉が開くのと同時に店内に入れていただきました。退店希望時間をお伝えしていたこともあり、かなりいいペースでお料理を出していただけました。予約の電話の際にはちょっと話が通じにくい感じもした支配人の方ですが、この道のキャリアが長いであろう感じの細身の紳士で、いい具合に客あしらいをしている感じで手馴れている感じが見て取れました。もちろんきちんとした礼儀があります。
食事をしたのは階段を上って入った入口からさらに上に螺旋階段を上った小さなサルで、どちらかというとビストロやブラッスリといった雰囲気で隣の席との間もけっこう近い感じでした。
お食事は工夫を凝らした二品のアミューズ、というより一口スナックから始まります。シェフなりに物語を組み立てているようで楽しいですね。個人的には食べられない石や植物などを過剰に皿に盛りつける現代風のプレゼンテーションは今一つ好きにはなれないのですが、この日はあまり違和感がありませんでした。サービスの方がちゃんと説明してくれるからでしょうか。

小石に見立てた黒いパンとシュー生地で包んだ甘いフォワグラのプチシューと続きましたが、個人的には後者の方がより味わいがあって好みでした。

その後に一口スープが出てきました。大根のスープと聞いてぴんとこず今一つ期待もしていませんでしたが、大根と玉ねぎだけで出汁をとっているというスープは味わい深く、しかも器、スープとも熱々で出していただいて、とても美味しくいただきました。こういう小さな気遣い一つでお店やシェフへの評価がぐっと上がります。
さらにその後続いたさんま尽くしの冷菜は周りのお客さんもみな声を上げるくらいきれいなお料理で、さんまを食べつくす趣向がいい上、それぞれの味もまた良いのでこちらも好きになりました。

フィレだけで作ったというテリーヌはただ身を寄せているだけのようですが、しっかりテリーヌとして完成されていて簡単にはほぐれないようになっていてシェフの技を感じます。さらに焼きナスと和えた中落ちは茄子の風味とさんまの脂があいまってとても美味しいです。
最近色々なところで焼きナスを使った前菜をいただきましたが、どうしても水分が料理を不味くしてしまう感じがありました。しかしこちらはその水分をいい具合に使って全体として調和のとれた美味しさを完成させていて満足度が高かったです。さらに肝を使ったペーストの美味しさは言わずもがなでしょう。セロリのプレゼンも含めて美味しく、美しく、楽しい一皿で満足でした。

お魚はこの日はおぼだいのポワレでした。最近、「スブリム」でとても美味しい黄アラをいただいたり、「タストゥー」でも焼き加減が絶妙の尾長鯛をいただいたりしていてかなりハードルが上がっていたので、正直この日のお魚は凡庸にしか感じられませんでした。
最後のデザートは季節柄色々な場所で提供されることが多いモンブランでした。モンブラン好きです。いまどきは各店の各シェフが自分の個性を発揮されて、口内調理でのモンブランが流行っている感じですね。
この日いただいたものは栗のプリン、牛乳のアイスが添えられている上、軽やかなメレンゲを使いカシスクリームで酸味をほのかに忍ばせた軽い現代風の作りのモンブランでとても気に入りました。プレゼンテーションも軽やかでいいです。「スブリム」の素朴な作りのものもいいですが、デザート全体としてのレベルではこちらの方が上だと思いました。
支配人やサービスの方のご配慮で退店希望時間にはしっかり出ることができ、食事も大いに楽しめたので大満足でした。ただハーブティーを食後にいただきましたが、お代わりは別料金になるとのことでそれが残念でした。とはいえ一つ星クラスのお店でありながらかなりのお値打ち価格でお食事が楽しめるようになっているので多少のことは気にならないとも言えます。
支配人の方には最後お店の外の下(地上)まで見送っていただきました。角を曲がる際に振り向くとしっかりとそこにいらして、さすがプロと改めて感じ入りました。
カジュアルではありますが、光る料理がそこかしこに見られますので全体としてとても楽しめるレストランになっていると思います。平日でしたが小さなサルは満席で人気のほどもうかがうことができました。
お隣のご夫婦がワインペアリングのコースを楽しまれたりしていて、フォワグラに貴腐ワインを合わせるなどしていてとても興味をそそられました。
そんなこともあり、次回はもう少しゆっくりできる日にうかがいたいと思います。
(いただいたもの)
ランチコース
スナック1:小石と苔
(竹炭入りパン 豚肉リエット ケールの粉)
スナック2:フォワグラのシュークリーム
(カカオのシュー生地とチョコ フォアグラのクリーム入り)
スープ:大根のスープ
(玉ねぎと大根のみのお出汁、スパイスオイルかけ(コリアンダーシード入り)、クルトン)
前菜:さんま セロリ じゃがいも
(さんまの冷製前菜(フィレのみのテリーヌ、中落ちと焼きなす、さんまのわた)、シェリービネガーソース、燻製したじゃがいものピューレ)
メイン:鮮魚 マコモダケ ブールブラン
(おぼだいのポワレ かぼちゃ マコモダケ ムール貝 ムール貝などの泡 ブールブランソース(ハーブ入り))
デザート:栗 カシス ミルク(モンブラン風のデザート)
食後のお茶と小菓子:ミニャルディーズとカフェ(ハーブティー(レモングラスとハーブブレンド))
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