2019フランスレストラン訪問記(2/9):パリ8区「ピエール・ガニエール」(★★★)
私が最も敬愛するシェフ、ピエール・ガニエール氏のお店にうかがうことが今回の旅の一つの目的でした。
タイミングとしてはフランスへの到着当日夜の食事という最悪のコンディションでの訪問となりましたが、それでも洗練されたシェフのお料理をいただければ目が覚めるような体験ができるに違いないと信じていました。
しかしその期待はすでにレストランの入口から裏切られることになりました。まずは、ドアマンが自分のスマホを見ていてこちらに気づくのが遅れるという失態があったのです。三つ星に勤めている誇りをもってそこはきちんと仕事をしていて欲しいものです。

エントランスの光によるガニエール氏のトレードマーク
そして、お料理をいただいてさらにその期待が大きく裏切られることになりました。
この日シェフは不在で、ロンドンに行かれているとのことでした。
シェフの不在がお料理に影響しているのかわかりませんが、やはり少しは影響があるでしょう。でもそれ以前のメニューの組み立てが今ひとつ理解できないもののオンパレードで正直迷路に迷い込んだような感さえ受けていました。

当日のテーブルからの店内風景

卓上の風景
これまで3度こちらを訪れていますが、いずれの訪問でも各種小さな前菜やメインのお料理をいただくたびに目で見て感嘆し、舌で味わって感動するという体験をしていました。
しかし今回の訪問では正直わくわくするような気持ちに一度もなれませんでした。

アミューズ全景1

アミューズ全景2
ご覧のように、前菜やアミューズなどが小皿で多種提供されるスタイルは以前と変わりません。ただ、趣旨がよくわからないお料理やら食材やら味やらで、全体としてまとまりに欠けていて、雑然とした中で心が落ち着かないままに食事をすることを強いられているように感じました。
この日の食前酒は少し目先を変えてロゼシャンパンでした。銘柄はメジャーどころのランソンでした。辛口で気持ち良く美味しいお酒でその点は満たされました。

バター1

バター

パン1

パン2
バターは多種類提供されていて、これは最近のトレンドなのでしょうか、別の香辛料や食材などを練り込んだバターが含まれています。一番上のものは見るからに濃厚そうで、農業大国フランスの面目躍如といった感じの味でした。
またバターでいうと燻製にしたバターもまたトレンドのように感じました。
パンは上質な素材を使用されているのでしょうが、以前に感じたような感動はありません。

ビーツを使用したアミューズ

ムール貝を使用したアミューズ

野菜を使用したアミューズ

貝類を使用したアミューズ

アミューズ
アミューズ用の説明書があってそれを受け取りましたし、当日サービスの方が丁寧に説明をしてくれたりもしましたが、今ひとつ何を提供したのか定かとは言いがたく、今までにガニエール氏のお料理から感じる鬼気迫るようなものを全く感じなかったです。
牡蠣の風味のする葉なんてそのままで調理とは到底言いがたく、うちはこんな食材まで使っているよ、というただの自慢にしか思えずかえって印象が悪かったです。
お腹は長旅で比較的常に満たされていて、あまり食物を受け付ける状態ではありませんでした。そんなわけでこの日はメイン一皿をアラカルトでお願いしました。
訪問時の旬の食材ということもあって、白トリュフのリゾットを以前一つ星店でいただいたものと比較するという観点からもお願いしてみます。

白トリュフ

白トリュフのリゾット

イカとモルタデッラ(ハム)の炒め物
値段からすると一つ星で食べたリゾットの3倍以上のお値段です。正直シンプルなリゾットが私の希望でしたが、ガニエールのものは色々と具材が載っていてお値段としては不当とまではいえないようでした。
それでも、今までのガニエール氏のお料理だったらもう少しお皿の上がきれいにまとまっていたり、意表を突くようないい意味で型破りのたたずまいを見せたかと思うのですが、この日のリゾットは単に豪勢な周辺アイテムを散らしただけのようにしか思えず、またお味も今ひとつ気配りが足りず正直失望しました。これもシェフ不在のせいなのでしょうか。
たっぷりとかけていただいた白トリュフはさすがにしっかりと香っていますが、海老やらビスケットやら余計な物が色々と載っているためか白トリュフの本質に迫りきれなかったという印象を受けました。
リゾット自体もそうでしたが、リゾットに添えられていたいかの炒め物は塩気が強すぎました。こうまで味付けが雑になるのかと悲しくなります。どこかで飛び入りした安食堂ならともかく、ここは天下の三つ星で、しかもガニエール氏のお店なのですから。
味に失望したのと全く別の話になりますが、最近のトレンドの一つでしょうか、円形状のものを丸皿のお料理に配するというプレゼンをいくつかのお店で見かけました。
この日私が頼んだお料理でいうと、リゾットの上に丸い枠状に焼かれた栗のビスケットが配されていて、さらには透明の膜になっていますが柑橘類の果汁でしょうかそれをゼラチンで固めたような丸形のシートもまた上に載っていました。

最後はお勧めの自家製フレッシュハーブティーで締めます。小さいプティフールがお伴です。以前プティフールはもっと個性的でしたが、どこででも見かけるようなものになっていました。

とにかく色々なものが時の移ろいと共に変わっていくというのがよくわかりました。三つ星店もいつまでも同じ星の数が保障されていると考えるのはあまりに無邪気だと理解した方が良いでしょう。
(いただいたもの)
アラカルトで…
アミューズ各種
白トリュフのリゾット
自家製フレッシュハーブティー
お酒:シャンパーニュ ロゼ(ランソン)
タイミングとしてはフランスへの到着当日夜の食事という最悪のコンディションでの訪問となりましたが、それでも洗練されたシェフのお料理をいただければ目が覚めるような体験ができるに違いないと信じていました。
しかしその期待はすでにレストランの入口から裏切られることになりました。まずは、ドアマンが自分のスマホを見ていてこちらに気づくのが遅れるという失態があったのです。三つ星に勤めている誇りをもってそこはきちんと仕事をしていて欲しいものです。

エントランスの光によるガニエール氏のトレードマーク
そして、お料理をいただいてさらにその期待が大きく裏切られることになりました。
この日シェフは不在で、ロンドンに行かれているとのことでした。
シェフの不在がお料理に影響しているのかわかりませんが、やはり少しは影響があるでしょう。でもそれ以前のメニューの組み立てが今ひとつ理解できないもののオンパレードで正直迷路に迷い込んだような感さえ受けていました。

当日のテーブルからの店内風景

卓上の風景
これまで3度こちらを訪れていますが、いずれの訪問でも各種小さな前菜やメインのお料理をいただくたびに目で見て感嘆し、舌で味わって感動するという体験をしていました。
しかし今回の訪問では正直わくわくするような気持ちに一度もなれませんでした。

アミューズ全景1

アミューズ全景2
ご覧のように、前菜やアミューズなどが小皿で多種提供されるスタイルは以前と変わりません。ただ、趣旨がよくわからないお料理やら食材やら味やらで、全体としてまとまりに欠けていて、雑然とした中で心が落ち着かないままに食事をすることを強いられているように感じました。
この日の食前酒は少し目先を変えてロゼシャンパンでした。銘柄はメジャーどころのランソンでした。辛口で気持ち良く美味しいお酒でその点は満たされました。

バター1

バター

パン1

パン2
バターは多種類提供されていて、これは最近のトレンドなのでしょうか、別の香辛料や食材などを練り込んだバターが含まれています。一番上のものは見るからに濃厚そうで、農業大国フランスの面目躍如といった感じの味でした。
またバターでいうと燻製にしたバターもまたトレンドのように感じました。
パンは上質な素材を使用されているのでしょうが、以前に感じたような感動はありません。

ビーツを使用したアミューズ

ムール貝を使用したアミューズ

野菜を使用したアミューズ

貝類を使用したアミューズ

アミューズ
アミューズ用の説明書があってそれを受け取りましたし、当日サービスの方が丁寧に説明をしてくれたりもしましたが、今ひとつ何を提供したのか定かとは言いがたく、今までにガニエール氏のお料理から感じる鬼気迫るようなものを全く感じなかったです。
牡蠣の風味のする葉なんてそのままで調理とは到底言いがたく、うちはこんな食材まで使っているよ、というただの自慢にしか思えずかえって印象が悪かったです。
お腹は長旅で比較的常に満たされていて、あまり食物を受け付ける状態ではありませんでした。そんなわけでこの日はメイン一皿をアラカルトでお願いしました。
訪問時の旬の食材ということもあって、白トリュフのリゾットを以前一つ星店でいただいたものと比較するという観点からもお願いしてみます。

白トリュフ

白トリュフのリゾット

イカとモルタデッラ(ハム)の炒め物
値段からすると一つ星で食べたリゾットの3倍以上のお値段です。正直シンプルなリゾットが私の希望でしたが、ガニエールのものは色々と具材が載っていてお値段としては不当とまではいえないようでした。
それでも、今までのガニエール氏のお料理だったらもう少しお皿の上がきれいにまとまっていたり、意表を突くようないい意味で型破りのたたずまいを見せたかと思うのですが、この日のリゾットは単に豪勢な周辺アイテムを散らしただけのようにしか思えず、またお味も今ひとつ気配りが足りず正直失望しました。これもシェフ不在のせいなのでしょうか。
たっぷりとかけていただいた白トリュフはさすがにしっかりと香っていますが、海老やらビスケットやら余計な物が色々と載っているためか白トリュフの本質に迫りきれなかったという印象を受けました。
リゾット自体もそうでしたが、リゾットに添えられていたいかの炒め物は塩気が強すぎました。こうまで味付けが雑になるのかと悲しくなります。どこかで飛び入りした安食堂ならともかく、ここは天下の三つ星で、しかもガニエール氏のお店なのですから。
味に失望したのと全く別の話になりますが、最近のトレンドの一つでしょうか、円形状のものを丸皿のお料理に配するというプレゼンをいくつかのお店で見かけました。
この日私が頼んだお料理でいうと、リゾットの上に丸い枠状に焼かれた栗のビスケットが配されていて、さらには透明の膜になっていますが柑橘類の果汁でしょうかそれをゼラチンで固めたような丸形のシートもまた上に載っていました。

最後はお勧めの自家製フレッシュハーブティーで締めます。小さいプティフールがお伴です。以前プティフールはもっと個性的でしたが、どこででも見かけるようなものになっていました。

とにかく色々なものが時の移ろいと共に変わっていくというのがよくわかりました。三つ星店もいつまでも同じ星の数が保障されていると考えるのはあまりに無邪気だと理解した方が良いでしょう。
(いただいたもの)
アラカルトで…
アミューズ各種
白トリュフのリゾット
自家製フレッシュハーブティー
お酒:シャンパーニュ ロゼ(ランソン)
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