2019年秋フランスレストラン訪問記(5/9):ランス「ラシエット・シャンプノワーズ」(★★★)
しばらく中断していましたが少しずつまた昨秋のフランスレストラン訪問記を再開させて参りたいと思います。
さて、今回9軒の星つきレストランを訪ね、すでに4軒についてはブログ記事を掲載しています。以下がその4軒です(それぞれの記事にリンクが貼ってあります)。
・パリ「プロポ」(★)
・パリ「ピエール・ガニエール」(★★★)
・アメルシュヴィール「ジュリアン・ビンツ」(★)
・ランス「フォッシュ」(★)
すでにお伝えしているように、評価が低い順から掲載しています。
ガストロノミーからは遠い世界のビストロである「プロポ」が一番最初にくるというのは理解しやすいかと思いますが、その次に三つ星の「ピエール・ガニエール」がきているのはよく分からないという方も多いかと思いますが、記事をお読みいただければ私の言わんとするところを御理解いただけるかと思います。
今回の旅では一つ星、二つ星、三つ星それぞれ3軒ずつ訪ねましたが、5つめの記事ですでに二軒目の三つ星が登場となります。まだ二つ星の記事を一つも掲載していませんので、こちらの三つ星はそれら3軒の二つ星より私の個人的な評価が低かったということになります。
三つ星ともなるとあらゆる点で期待が高い分、ほんのわずかな、でも大切な部分が疎かにされているとかなり印象が悪くなって個人的な評価に大きく影響します。
お料理が絶賛されているこちらの「ラシエット・シャンプノワーズ」はシェフの心意気も良く、またお料理も実は素晴らしかったですが、残念ながらサービスがちぐはぐでこちらの心を捉えることはありませんでした。
とても良くもてなして下さったシェフの悪口を言うようなことはしたくないですが、結局のところトップであるシェフの意識の低さのようなものが下々のサービスの質に表れている(スタッフの人選から教育、監督まで含めて全て)のだろうと思っています。
形はきちんと整えようとしているのはわかるけれど、その中味の意味を分かっているのか疑問になるような場面がたびたび見られて、結局こちらには先方にもてなしの心がないのではないかという残念な思いを残してしまっていて、その点が彼らの大きな失敗だと思います。
とはいえ、せっかくうかがって何枚か写真も撮ってきていますので、皆様の参考になるようなコメントを入れることを意識しつつ以下に頂いたお料理やお酒などに書いていきたいと思います。

まずパンですが、中の味は普通のパンでしたが、外のカリカリが香ばしくて特別感あり職人が焼いたという感じでした。

バターはこちらにも燻製バターが置いてあり、トレンドのようなものを感じました。

ここからお料理に入ります。

食事始めの食前酒として頂いたのが定番かもしれませんが、クリューグのグランドキュベでした。

最初のシャンパンスナックですが、指が汚れたり、中味が落ちそうになるなど、お客の利便を考えた作りではなかったのが残念でこちらのお店らしいと思ってしまいました。ただお味自体は良いですね。

中でも雛豆のもの(茶色)が一番美味しいですが、塩気が濃い目でした。

味噌を使ったものもあり、日本の影響があるお皿は理屈抜きでうれしいものです。

次にアミューズ。セップのヴルーテにはトリュフの香りあり美味でした。上にカリッとしたクッキーのような焼き生地を置くスタイルはガニエールのリゾットでも、後日記事を書くピックでも見かけたのでこれもまたトレンドなのでしょう。

シャンパーニュ地方ということでシャンパンはこちらの食事では欠かせないアイテム。食中酒の最初の飲物として、シャンパーニュのブランドブラン(シャルドネ100%で醸すシャンパン)をいただきました。フルーティでありつつ辛口の美味しさがあり良かったです。
ソムリエの方によるとこちらにはドゥミセック(中甘口)のシャンパンは置いていないとのこと。邪道という認識かもしれませんが、シャンパーニュ地方の三つ星でありながら客の選択肢が減るという意味で片手落ちの感が否めず、こういったところもお店への評価が上がらない原因となりました。

前菜はニョッキですが、ただのニョッキではなく白トリュフをふんだんに使ったものでした。奇しくも最初と最後の三つ星店で白トリュフ料理を頂いたわけですが、ガニエールよりはよりシンプルに白トリュフを楽しめたのでこちらの方が評価としては格段に上でした。

サプライズとして提供されたのが青オマール海老のお料理でした。お料理が始まる前にシェフとお話して以前六本木のフェアでお目にかかったことがあることなど話してちょっとしたお土産もお渡ししましたのですが、そうしたことがあったからか、シェフからのプレゼントとして提供していただきました。
ちょっとした一皿ではなく普通にオマール海老のお料理一皿(おそらくハーフポーションでしょう)が提供されました。その気前の良さにはさすがに驚きました。
そしてこのオマール海老の調理の丁寧なこと。殻の外し方が新しいのでしょうか。とてもきれいにはずれていました。また火入れが難しいはずの甲殻類ですが、さすがに完璧な火入れです。甲殻類の甘みある香りが感じられて、ほのかな苦味も感じることができました。
お料理の質にも、シェフの気前の良さにもシャポーでした。

この後、お肉に合わせる赤ワインとして頂いたのがシャンパーニュ地方の赤ワイン、ブジ(Bouzy)でした。せっかくシャンパーニュ地方に来たということで味わっておきたかった一杯でした。
100%ピノノワールを使用したワインで、味はエレガントですね。他の地方(例えば一番分かりやすいのがブルゴーニュ地方)のピノノワールには感じられない苦味のようなものも感じられました。

そして最後のメイン料理がリドヴォー(仔牛の胸腺肉)でした。アラカルトで頼むとこの迫力、初めて見た巨大なポム・ドゥ・リドヴォーでした。ポムとはリンゴという意味が元々の意味でしょうが、(リンゴ大の)塊というような意味ですね。
外がカリッとしていて、中はふわりという食感で白子と同じような食感と濃厚さを感じました。しかしその一方で淡白でもあり、優しい肉の風味が感じられてなんとも美味ですし、珍味といっていいでしょう。
つけ合わせのお野菜(セロリ)がさっぱりして良いですね。イタリアの有名なコロナータラードもありましたがこれは少し重めでした。
初めての体験が色々あって、美味しさを堪能できただけではなくてとても勉強にもなりました。

デザートはレモンを使ったもので酸味がやや強かったものの、最後にさっぱりできて良かったです。

こちらはデザートに付属のアイスですね。
さて、その後が問題でした。
デザート後のミニャルディーズ(小菓子)が出てきましたがお腹がいっぱいでとても食べられる状態ではなく、また食事のスタートが遅かったこともあり、お店を出る必要があるという感じになっていました。
サービスの方がバーの方でお茶を飲めると言っていて、当然目の前にある小菓子類をバーに持っていってくれるものと思っていました。しかしバーに行ってみるとお茶だけの提供になっています。
それなら一言言うべきだったのではとの思いが起きてきて、満腹でほぼ食べられる状態ではなかったとはいえ、最後の最後でとても残念な思いになってしまいました。
連絡ミスや意識の低さその他色々な原因があるのでしょうが、夢のような体験を求めて三つ星を選ぶという発想でお店を選ぶのであれば、ここは選んではいけない場所だと感じた次第でした。
(いただいたもの)
アラカルトで…
CÉPE / Persil
セップ/パセリ
GNOCCHIS / Crème de coquillages / Truffe blanche d’Alba
ニョッキ/貝のクリーム/アルバ産白トリュフ
HOMARD BLEU / Hommage à mon papa
青オマール海老/お父さんへのオマージュ
RIS DE VEAU / Céleri confit / Jus de veau
リー・ドゥ・ヴォー/セロリのコンフィ/仔牛の肉汁ソース
CITRON M.BACHES / Aloé vera
レモンのデザート/アロエヴェラ
食後のお茶と小菓子
(飲物)
Champagne Krug Grande Cuvée
シャンパーニュ クリューグ グランド・キュベ
Champagne Bergeronneau-Marion Blanc de Blanc
シャンパーニュ ベルジュロノ・マリオン ブランドブラン
Georges Remy Bouzy Rouge Les Vaudayants 2015
ジョルジュ・レミ ブジ ルージュ レ・ヴォーデイヤン 2015年
水:トノンレバン
さて、今回9軒の星つきレストランを訪ね、すでに4軒についてはブログ記事を掲載しています。以下がその4軒です(それぞれの記事にリンクが貼ってあります)。
・パリ「プロポ」(★)
・パリ「ピエール・ガニエール」(★★★)
・アメルシュヴィール「ジュリアン・ビンツ」(★)
・ランス「フォッシュ」(★)
すでにお伝えしているように、評価が低い順から掲載しています。
ガストロノミーからは遠い世界のビストロである「プロポ」が一番最初にくるというのは理解しやすいかと思いますが、その次に三つ星の「ピエール・ガニエール」がきているのはよく分からないという方も多いかと思いますが、記事をお読みいただければ私の言わんとするところを御理解いただけるかと思います。
今回の旅では一つ星、二つ星、三つ星それぞれ3軒ずつ訪ねましたが、5つめの記事ですでに二軒目の三つ星が登場となります。まだ二つ星の記事を一つも掲載していませんので、こちらの三つ星はそれら3軒の二つ星より私の個人的な評価が低かったということになります。
三つ星ともなるとあらゆる点で期待が高い分、ほんのわずかな、でも大切な部分が疎かにされているとかなり印象が悪くなって個人的な評価に大きく影響します。
お料理が絶賛されているこちらの「ラシエット・シャンプノワーズ」はシェフの心意気も良く、またお料理も実は素晴らしかったですが、残念ながらサービスがちぐはぐでこちらの心を捉えることはありませんでした。
とても良くもてなして下さったシェフの悪口を言うようなことはしたくないですが、結局のところトップであるシェフの意識の低さのようなものが下々のサービスの質に表れている(スタッフの人選から教育、監督まで含めて全て)のだろうと思っています。
形はきちんと整えようとしているのはわかるけれど、その中味の意味を分かっているのか疑問になるような場面がたびたび見られて、結局こちらには先方にもてなしの心がないのではないかという残念な思いを残してしまっていて、その点が彼らの大きな失敗だと思います。
とはいえ、せっかくうかがって何枚か写真も撮ってきていますので、皆様の参考になるようなコメントを入れることを意識しつつ以下に頂いたお料理やお酒などに書いていきたいと思います。

まずパンですが、中の味は普通のパンでしたが、外のカリカリが香ばしくて特別感あり職人が焼いたという感じでした。

バターはこちらにも燻製バターが置いてあり、トレンドのようなものを感じました。

ここからお料理に入ります。

食事始めの食前酒として頂いたのが定番かもしれませんが、クリューグのグランドキュベでした。

最初のシャンパンスナックですが、指が汚れたり、中味が落ちそうになるなど、お客の利便を考えた作りではなかったのが残念でこちらのお店らしいと思ってしまいました。ただお味自体は良いですね。

中でも雛豆のもの(茶色)が一番美味しいですが、塩気が濃い目でした。

味噌を使ったものもあり、日本の影響があるお皿は理屈抜きでうれしいものです。

次にアミューズ。セップのヴルーテにはトリュフの香りあり美味でした。上にカリッとしたクッキーのような焼き生地を置くスタイルはガニエールのリゾットでも、後日記事を書くピックでも見かけたのでこれもまたトレンドなのでしょう。

シャンパーニュ地方ということでシャンパンはこちらの食事では欠かせないアイテム。食中酒の最初の飲物として、シャンパーニュのブランドブラン(シャルドネ100%で醸すシャンパン)をいただきました。フルーティでありつつ辛口の美味しさがあり良かったです。
ソムリエの方によるとこちらにはドゥミセック(中甘口)のシャンパンは置いていないとのこと。邪道という認識かもしれませんが、シャンパーニュ地方の三つ星でありながら客の選択肢が減るという意味で片手落ちの感が否めず、こういったところもお店への評価が上がらない原因となりました。

前菜はニョッキですが、ただのニョッキではなく白トリュフをふんだんに使ったものでした。奇しくも最初と最後の三つ星店で白トリュフ料理を頂いたわけですが、ガニエールよりはよりシンプルに白トリュフを楽しめたのでこちらの方が評価としては格段に上でした。

サプライズとして提供されたのが青オマール海老のお料理でした。お料理が始まる前にシェフとお話して以前六本木のフェアでお目にかかったことがあることなど話してちょっとしたお土産もお渡ししましたのですが、そうしたことがあったからか、シェフからのプレゼントとして提供していただきました。
ちょっとした一皿ではなく普通にオマール海老のお料理一皿(おそらくハーフポーションでしょう)が提供されました。その気前の良さにはさすがに驚きました。
そしてこのオマール海老の調理の丁寧なこと。殻の外し方が新しいのでしょうか。とてもきれいにはずれていました。また火入れが難しいはずの甲殻類ですが、さすがに完璧な火入れです。甲殻類の甘みある香りが感じられて、ほのかな苦味も感じることができました。
お料理の質にも、シェフの気前の良さにもシャポーでした。

この後、お肉に合わせる赤ワインとして頂いたのがシャンパーニュ地方の赤ワイン、ブジ(Bouzy)でした。せっかくシャンパーニュ地方に来たということで味わっておきたかった一杯でした。
100%ピノノワールを使用したワインで、味はエレガントですね。他の地方(例えば一番分かりやすいのがブルゴーニュ地方)のピノノワールには感じられない苦味のようなものも感じられました。

そして最後のメイン料理がリドヴォー(仔牛の胸腺肉)でした。アラカルトで頼むとこの迫力、初めて見た巨大なポム・ドゥ・リドヴォーでした。ポムとはリンゴという意味が元々の意味でしょうが、(リンゴ大の)塊というような意味ですね。
外がカリッとしていて、中はふわりという食感で白子と同じような食感と濃厚さを感じました。しかしその一方で淡白でもあり、優しい肉の風味が感じられてなんとも美味ですし、珍味といっていいでしょう。
つけ合わせのお野菜(セロリ)がさっぱりして良いですね。イタリアの有名なコロナータラードもありましたがこれは少し重めでした。
初めての体験が色々あって、美味しさを堪能できただけではなくてとても勉強にもなりました。

デザートはレモンを使ったもので酸味がやや強かったものの、最後にさっぱりできて良かったです。

こちらはデザートに付属のアイスですね。
さて、その後が問題でした。
デザート後のミニャルディーズ(小菓子)が出てきましたがお腹がいっぱいでとても食べられる状態ではなく、また食事のスタートが遅かったこともあり、お店を出る必要があるという感じになっていました。
サービスの方がバーの方でお茶を飲めると言っていて、当然目の前にある小菓子類をバーに持っていってくれるものと思っていました。しかしバーに行ってみるとお茶だけの提供になっています。
それなら一言言うべきだったのではとの思いが起きてきて、満腹でほぼ食べられる状態ではなかったとはいえ、最後の最後でとても残念な思いになってしまいました。
連絡ミスや意識の低さその他色々な原因があるのでしょうが、夢のような体験を求めて三つ星を選ぶという発想でお店を選ぶのであれば、ここは選んではいけない場所だと感じた次第でした。
(いただいたもの)
アラカルトで…
CÉPE / Persil
セップ/パセリ
GNOCCHIS / Crème de coquillages / Truffe blanche d’Alba
ニョッキ/貝のクリーム/アルバ産白トリュフ
HOMARD BLEU / Hommage à mon papa
青オマール海老/お父さんへのオマージュ
RIS DE VEAU / Céleri confit / Jus de veau
リー・ドゥ・ヴォー/セロリのコンフィ/仔牛の肉汁ソース
CITRON M.BACHES / Aloé vera
レモンのデザート/アロエヴェラ
食後のお茶と小菓子
(飲物)
Champagne Krug Grande Cuvée
シャンパーニュ クリューグ グランド・キュベ
Champagne Bergeronneau-Marion Blanc de Blanc
シャンパーニュ ベルジュロノ・マリオン ブランドブラン
Georges Remy Bouzy Rouge Les Vaudayants 2015
ジョルジュ・レミ ブジ ルージュ レ・ヴォーデイヤン 2015年
水:トノンレバン
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