2019年秋フランスレストラン訪問記(6/9):オベルネ「ラ・フルシェット・デ・デュック」(★★)
昨年秋にフランスにうかがった際の写真掲載が遅々として進んでいませんが最近少しずつ余裕が出てきましたので残り4軒の記事を順次上げていきたいと思います。
前回記事を上げたランスの「ラシエット・シャンプノワーズ」は三つ星ですが、シェフの心意気は素晴らしかったもののサービス全体が今ひとつということで個人的な評価がこれから記事を書く3軒の二つ星店より全体の評価が落ちるという判断になりました。
あくまで私の主観的な判断ですのでご参考程度に聞き流していただければと思います。
こちらのお店は、アルザス地方の中心都市であるストラスブールから電車で30分ほどの場所にある小さな町オベルネの駅から歩いてすぐの立地で、比較的行きやすいお店だと思います。駅前に小さなホテルがありますのでこちらに泊まれば夕食後も楽でいいでしょう。
さらにいうと、以前テレビで見かけたのですが、日本で和菓子の修業をされたフランス人女性の方がマルシェで和菓子を販売している町でもあります。現在も同じ業態でされているのか、また別の場所に移られたかなど知りませんが、タイミングが合えばフランスで日本仕込みの和菓子に出会えるかもしれません。


さて本題のレストランですが、こちらは小さなアルザス風の家をお店にしていて入口からとても雰囲気があり、サービスの方とシェフが丁重に迎え入れてくれました。
シェフは写真で見ていた印象ではアグレッシブな方かと思っていたのですが物静かで繊細な印象の方でした。

クリスマス直前ということで入口に飾られていたクリスマスツリーがとてもきれいでした。

テーブルの間隔もしっかりあり、とても落ち着いた重厚な空間です。それでも地方の独特な造りの家であるためか堅苦しさはあまりなく、温かみのあるとてもいい雰囲気がありました。
サービス全体もかっちりしていてプロフェッショナルです。

お料理は、前衛的な現代風のお料理が食べられるお店と勝手に思って期待していたのですが、郷土料理を丁寧な調理で提供するスタイルのお店で、サルの雰囲気といい、メニュー内容といいよりクラシック寄りで、地域に根差している雰囲気でした。その点はちょっと期待外れで、その分個人的な評価は下がってしまいました。それでも、もちろん二つ星の洗練が感じられる名店でした。

食前酒はアルザス地方に来たということでシャンパンではなく白ワインから始めました。やや甘口のヴァンダンジュタルディブ(遅摘みワイン)です。自然な甘味が好みで、アルザスでは是非飲みたい一杯でここから始められて幸せでした。

シャンパンスナック(手前から奥に向かって):
キャベツのスナック、サーモン、フォアグラのコーン
キャベツのスナックは酸味がありました。サーモンは見てくれはいいのですが、卵が硬いのが今一つでした。フォアグラのコーンはとろけて美味ですし、ナッツとの相性も良かったですね。

アミューズ:
8種ハーブのクリーム(手前)
フレッシュハーブ入りクリーム、アボカド、ボードプロバンスのオリーブ油のケーキ風(奥)
アミューズはやや苦味がありました。同系統の2種類のアミューズを同時に提供するあたりには残念ながらセンスを感じませんでした。
お料理はアラカルトでお願いしました。

Potimarron & Truffe
Raviole de Purée de Potimarron à l’Amaretti
Crème de Truffe et Beurre Noisette
カボチャとトリュフ
カボチャのピュレのラビオリ アマレッティ風味
トリュフと焦がしバターのクリームで
熱々の皿で美味しさが倍増していました。ここまで熱い皿はおそらく初めてでしたが、温度管理の大切を実感しました。ニンニクやトリュフの香りが爆発していて食欲がそそられます。思いがけずセップも食べられて幸せでした。

添えられたブリオッシュのパンはバターたっぷりという感じでとても美味しいです。

Lièvre
Lièvre « à la Royale », Gnocchis de Pomme de Terre
リエーブルアラロワイヤル ジャガイモのニョッキ添え
メインは秋冬の定番ジビエ料理のリエーブルアラロワイヤルでした。
とても上品に仕上げられていますが、血を使っているために濃厚です。ごろっとしたフォアグラが入っているのは分かったのですが、トリュフは切り身を見つけたものの正直全く香りがなくなっていてそこはちょっと残念でした。周囲を飾っていたのはジャガイモのニョッキとパネのマッシュでした。

こちらは別皿で提供されたトリュフの添えられたジャガイモクリームです。

メイン料理のリエーブルアラロワイヤルに合わせてソムリエの方が提案してくださったのが、ポルトガルのポートワイン(10年物)でした。ソムリエの方曰く、血のソースとの相性から勧めているとのことでした。確かにこのマリアージュはなかなか良く、初めての体験で楽しい時間となりました。

(デセール全体像)

(デセール切開後の図)
Glace & Sorbet
Vacherin Glacé, Meringue à la Verveine,
Glace Vanille Bourbon et Sorbet Fruits Rouges
アイスクリームとシャーベット
ヴァシュラングラッセ ヴェルヴェーヌ風味のメレンゲ
ブルボンヴァニラのアイスクリームと赤い果実のシャーベット
デザートはアイスとシャーベットという簡素な名前だったので正直皿盛りのアイス類が出てくるのだと思っていましたが、ちゃんときれいなデセールが登場して注文と違うものが出てきたと勘違いしてしまいました。
バシュラングラッセにホイップクリームと赤い果実のソース、そしてメレンゲが添えられていて、中にはバニラアイスが入っていました。軽やかでするすると口の中に、そして胃の中に入る美味しさです。
外観の美しさもあり、ここはデセールのレベルがとても高いと感じました。前菜も良かったと思いましたが、デセールの出来がさらに突出していました。

ミニャルディーズ(小菓子)はクラシックな品揃えで大変充実していました。

お腹が一杯だったので控え目にチュイル、フィナンシエ、トリュフチョコを少しずついただきました。

お茶はミントのハーブティーだったと思います。鉄瓶での提供も最近は定番になっていますね。

キリストの生誕をクリスタル人形で再現した飾りが店内にあったので、最後にその写真を載せておきます。
(いただいたもの)
アラカルトで…
シャンパンスナック(手前から奥に向かって):
キャベツのスナック、サーモン、フォアグラのコーン
アミューズ:
8種ハーブのクリーム(手前)
フレッシュハーブ入りクリーム、アボカド、ボードプロバンスのオリーブ油のケーキ風(奥)
前菜:
Potimarron & Truffe
Raviole de Purée de Potimarron à l’Amaretti
Crème de Truffe et Beurre Noisette
カボチャとトリュフ
カボチャのピュレのラビオリ アマレッティ風味
トリュフと焦がしバターのクリームで
パン:ブリオッシュ
ジビエ料理:
Lièvre
Lièvre « à la Royale », Gnocchis de Pomme de Terre
リエーブルアラロワイヤル ジャガイモのニョッキ添え
デザート:
Glace & Sorbet
Vacherin Glacé, Meringue à la Verveine,
Glace Vanille Bourbon et Sorbet Fruits Rouges
アイスクリームとシャーベット
ヴァシュラングラッセ ヴェルヴェーヌ風味のメレンゲ
ブルボンヴァニラのアイスクリームと赤い果実のシャーベット
ミニャルディーズ(小菓子):チュイル、フィナンシエ、トリュフチョコ
ハーブティー:ミント
飲物:
水:エビアン
食前酒(グラス白ワイン):
Charles Frey Alsace Grand Cru (Pinot Gris Vendanges Tardives) 2015
シャルル・フレイ アルザス・グラン・クリュ(ピノグリ ヴァンダンジュタルディヴ(遅摘み))2015年
グラス赤ワイン:
Porto Ramos Pinto Tawny 10 anos
ポートワイン ラモス・ピント トーニー 10年もの
前回記事を上げたランスの「ラシエット・シャンプノワーズ」は三つ星ですが、シェフの心意気は素晴らしかったもののサービス全体が今ひとつということで個人的な評価がこれから記事を書く3軒の二つ星店より全体の評価が落ちるという判断になりました。
あくまで私の主観的な判断ですのでご参考程度に聞き流していただければと思います。
こちらのお店は、アルザス地方の中心都市であるストラスブールから電車で30分ほどの場所にある小さな町オベルネの駅から歩いてすぐの立地で、比較的行きやすいお店だと思います。駅前に小さなホテルがありますのでこちらに泊まれば夕食後も楽でいいでしょう。
さらにいうと、以前テレビで見かけたのですが、日本で和菓子の修業をされたフランス人女性の方がマルシェで和菓子を販売している町でもあります。現在も同じ業態でされているのか、また別の場所に移られたかなど知りませんが、タイミングが合えばフランスで日本仕込みの和菓子に出会えるかもしれません。


さて本題のレストランですが、こちらは小さなアルザス風の家をお店にしていて入口からとても雰囲気があり、サービスの方とシェフが丁重に迎え入れてくれました。
シェフは写真で見ていた印象ではアグレッシブな方かと思っていたのですが物静かで繊細な印象の方でした。

クリスマス直前ということで入口に飾られていたクリスマスツリーがとてもきれいでした。

テーブルの間隔もしっかりあり、とても落ち着いた重厚な空間です。それでも地方の独特な造りの家であるためか堅苦しさはあまりなく、温かみのあるとてもいい雰囲気がありました。
サービス全体もかっちりしていてプロフェッショナルです。

お料理は、前衛的な現代風のお料理が食べられるお店と勝手に思って期待していたのですが、郷土料理を丁寧な調理で提供するスタイルのお店で、サルの雰囲気といい、メニュー内容といいよりクラシック寄りで、地域に根差している雰囲気でした。その点はちょっと期待外れで、その分個人的な評価は下がってしまいました。それでも、もちろん二つ星の洗練が感じられる名店でした。

食前酒はアルザス地方に来たということでシャンパンではなく白ワインから始めました。やや甘口のヴァンダンジュタルディブ(遅摘みワイン)です。自然な甘味が好みで、アルザスでは是非飲みたい一杯でここから始められて幸せでした。

シャンパンスナック(手前から奥に向かって):
キャベツのスナック、サーモン、フォアグラのコーン
キャベツのスナックは酸味がありました。サーモンは見てくれはいいのですが、卵が硬いのが今一つでした。フォアグラのコーンはとろけて美味ですし、ナッツとの相性も良かったですね。

アミューズ:
8種ハーブのクリーム(手前)
フレッシュハーブ入りクリーム、アボカド、ボードプロバンスのオリーブ油のケーキ風(奥)
アミューズはやや苦味がありました。同系統の2種類のアミューズを同時に提供するあたりには残念ながらセンスを感じませんでした。
お料理はアラカルトでお願いしました。

Potimarron & Truffe
Raviole de Purée de Potimarron à l’Amaretti
Crème de Truffe et Beurre Noisette
カボチャとトリュフ
カボチャのピュレのラビオリ アマレッティ風味
トリュフと焦がしバターのクリームで
熱々の皿で美味しさが倍増していました。ここまで熱い皿はおそらく初めてでしたが、温度管理の大切を実感しました。ニンニクやトリュフの香りが爆発していて食欲がそそられます。思いがけずセップも食べられて幸せでした。

添えられたブリオッシュのパンはバターたっぷりという感じでとても美味しいです。

Lièvre
Lièvre « à la Royale », Gnocchis de Pomme de Terre
リエーブルアラロワイヤル ジャガイモのニョッキ添え
メインは秋冬の定番ジビエ料理のリエーブルアラロワイヤルでした。
とても上品に仕上げられていますが、血を使っているために濃厚です。ごろっとしたフォアグラが入っているのは分かったのですが、トリュフは切り身を見つけたものの正直全く香りがなくなっていてそこはちょっと残念でした。周囲を飾っていたのはジャガイモのニョッキとパネのマッシュでした。

こちらは別皿で提供されたトリュフの添えられたジャガイモクリームです。

メイン料理のリエーブルアラロワイヤルに合わせてソムリエの方が提案してくださったのが、ポルトガルのポートワイン(10年物)でした。ソムリエの方曰く、血のソースとの相性から勧めているとのことでした。確かにこのマリアージュはなかなか良く、初めての体験で楽しい時間となりました。

(デセール全体像)

(デセール切開後の図)
Glace & Sorbet
Vacherin Glacé, Meringue à la Verveine,
Glace Vanille Bourbon et Sorbet Fruits Rouges
アイスクリームとシャーベット
ヴァシュラングラッセ ヴェルヴェーヌ風味のメレンゲ
ブルボンヴァニラのアイスクリームと赤い果実のシャーベット
デザートはアイスとシャーベットという簡素な名前だったので正直皿盛りのアイス類が出てくるのだと思っていましたが、ちゃんときれいなデセールが登場して注文と違うものが出てきたと勘違いしてしまいました。
バシュラングラッセにホイップクリームと赤い果実のソース、そしてメレンゲが添えられていて、中にはバニラアイスが入っていました。軽やかでするすると口の中に、そして胃の中に入る美味しさです。
外観の美しさもあり、ここはデセールのレベルがとても高いと感じました。前菜も良かったと思いましたが、デセールの出来がさらに突出していました。

ミニャルディーズ(小菓子)はクラシックな品揃えで大変充実していました。

お腹が一杯だったので控え目にチュイル、フィナンシエ、トリュフチョコを少しずついただきました。

お茶はミントのハーブティーだったと思います。鉄瓶での提供も最近は定番になっていますね。

キリストの生誕をクリスタル人形で再現した飾りが店内にあったので、最後にその写真を載せておきます。
(いただいたもの)
アラカルトで…
シャンパンスナック(手前から奥に向かって):
キャベツのスナック、サーモン、フォアグラのコーン
アミューズ:
8種ハーブのクリーム(手前)
フレッシュハーブ入りクリーム、アボカド、ボードプロバンスのオリーブ油のケーキ風(奥)
前菜:
Potimarron & Truffe
Raviole de Purée de Potimarron à l’Amaretti
Crème de Truffe et Beurre Noisette
カボチャとトリュフ
カボチャのピュレのラビオリ アマレッティ風味
トリュフと焦がしバターのクリームで
パン:ブリオッシュ
ジビエ料理:
Lièvre
Lièvre « à la Royale », Gnocchis de Pomme de Terre
リエーブルアラロワイヤル ジャガイモのニョッキ添え
デザート:
Glace & Sorbet
Vacherin Glacé, Meringue à la Verveine,
Glace Vanille Bourbon et Sorbet Fruits Rouges
アイスクリームとシャーベット
ヴァシュラングラッセ ヴェルヴェーヌ風味のメレンゲ
ブルボンヴァニラのアイスクリームと赤い果実のシャーベット
ミニャルディーズ(小菓子):チュイル、フィナンシエ、トリュフチョコ
ハーブティー:ミント
飲物:
水:エビアン
食前酒(グラス白ワイン):
Charles Frey Alsace Grand Cru (Pinot Gris Vendanges Tardives) 2015
シャルル・フレイ アルザス・グラン・クリュ(ピノグリ ヴァンダンジュタルディヴ(遅摘み))2015年
グラス赤ワイン:
Porto Ramos Pinto Tawny 10 anos
ポートワイン ラモス・ピント トーニー 10年もの
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