2019年秋フランスレストラン訪問記(7/9):カイゼルクベルク「オリヴィエ・ナスティ」(★★)
アルザス地方第二の都市コルマールからバスで北西方向に移動した先にある小さな村アメルシュヴィールのさらに少し先にある町がカイゼルクベルクです。
コルマールからアメルシュヴィールを経由してカイゼルクベルクを目指していくバス路線は、アルザスワインを醸す傾斜にできたぶどう畑の脇をバスが通り抜けていくのでフランスらしい美しい景色も楽しめるルートになっています。
バス停から歩いてすぐに町の入口ですが、その入口脇に構えているのがオリヴィエ・ナスティ氏の二つ星店兼ホテルの「シャンバール」です。

ホテルを含めた奥は広そうですが、入口付近は小さくて控え目なために目立たない感じです。

正面入口から入店して右手に小さなサルがあり、その隅の席に通していただきました。最初サルに背を向けるような不自然な位置の席があったのでお願いしてサルが見渡せるように変えてもらいました。

ちょうどクリスマスシーズンに入っていく待降節の季節のせいか、サルの入口には巨大なトナカイのオブジェがあって、素材や雰囲気もあってか威圧感がなくとても優しい雰囲気でサルになじんでいたのが印象的でした。

今回はアラカルトの中に魅力的なお皿があったのでアラカルトでいただくことにしました。帰りのバスの時間の関係もあり、結果的にはデザートをいただく時間はありませんでしたがお料理やワインを堪能でき満足しました。

ソムリエは複数いらっしゃりましたが、お一人はどこかの大会でナンバーワンにまでなられた方とのことでした。比較的若い構成のサービス陣で、少し距離があるというかドライというか、それでいて適切なサービスをしていただいたように思います。あまり嫌な思い出は残っていません。
ワインはアルザスを中心に揃っていて、相談すれば的確に自分の飲みたい風味のワインをお勧めしてくれるでしょう。お勧めに従った結果としてアルザスの美味しいワインを飲めて良かったです。

グラスでシャトーオーブリオンを提供されていて、もちろん相応の値段ではありましたが一人での食事が続く中で貴重な体験と思ってお願いしてみました。

クレマンダルザス

アルザス白ワイン(マルセル・ダイス)
食前酒として飲んだクレマンダルザスも、アルザスの白ワインもとても美味しくて、お酒については満足感が高かったです。
お料理はシャンパンスナック各種から始まります。

西洋山葵のムース入り人参のコーン ブロシェ(川カマス)の玉子

エスカルゴのクロメスキ パセリ風味

ジャガイモのスフレ

トゥリュッテル(鱒の子)のフリット リヴェッシュ風味のマヨネーズで

(左上から時計回りに)
・ライン河産鰻入りクサンスフレ
・シュークルートガルニのマカロン
・アルザス産鵞鳥のフォワグラのペルル(真珠)
小さいがそれぞれに独特な味わいがあり素敵です。アルザス名物料理を巡る趣向もまた良いです。
鱒の子を揚げたものはリヴェッシュ(マルバトウキ)というハーブ風味のマヨネーズですが、塩気がやや強めでした。

アミューズとして提供されたのはすでに使い古された趣向かもしれませんが、現代風解釈のタルトフランベでした。タルトフランベの物理的形状はどこにもありませんが、味だけで言えばしっかりとタルトフランベになっています。
さて、次は前菜ですが、鰻はフランス料理の一般的な食材ではないものの、一定の地方では食べられていることとベルギーなどの北方ではある程度メジャーな食材ということで調理方法や味など含めて興味をもちましたのでアラカルトで鰻料理を頼んでみました。

L’anguille du Rhin « au vert »
Légèrement fumée et laquée aux agrumes
ライン河産天然鰻 緑煮
軽く燻製して柑橘類を塗って

こちらはシェフのスペシャリテとのことで、鰻はライン河で獲れたものでもちろん天然ということでしょう。脂が乗っていますが、軽い感じもありそこが天然の良さでしょうか。素材の質ももちろんですが、調理方法もあいまって素晴らしい美味しさです。燻製の良い香りでより食べやすくなっていますね。
通年提供されるスペシャリテとのことでしたが、寒さが増え脂が多いこの時期(訪問は11月下旬)に食べられて幸せだと感じました。
メイン料理として季節のジビエに食指が動きます。ジビエのアラカルトはこんな感じでした。

各種ジビエが幅広く揃えてあって大変魅力的です。

La chasse d’automne 2019 par Olivier Nasti
Le canard colvert des bords du Rhin,
berawecka et dragée en croquant
オリヴィエ・ナスティによる2019年秋のジビエ料理
ライン河畔産コルヴェール鴨(青首鴨)
かりかりのベラヴェカ(アルザスの郷土菓子)とドラジェ

コルベールはおそらく初めての体験でした。血の濃さなのか味が濃いです。小さく切ってあって、肉を切るストレスがなくとても食べやすい。一口一口存分に楽しめて、最後まで同じ美味しさで終えることができました。
味はしっとりしていて、普段食べている鴨よりもより濃厚な鴨肉を食べている感じの美味しさでした。こういう体験ができることがとても幸せだと感じます。
もも肉はコンフィにされて提供されました。こちらも食感や味が違い、コルベールをより楽しめました。つけ合わせは整形されたポレンタクレムーでしょうか。
ナスティ氏のお料理は地元食材や郷土料理を大切にしながらも現代風の調理や盛り付けを志向されているように感じられ、自分の好みに合いました。季節に応じて変化して行くであろう食材やお料理の内容を他の季節でも楽しんでみたいと思わせてくれました。
短い期間でしたがアルザスを巡ってみて、この店にはアルザスで久々の新三つ星待望の声があるように感じられました。サルが小さいことさえ目をつむればかなり快適に美味しいお食事が楽しめる場所と思いますので、近い将来の三つ星昇格もあるかもしれませんね。
アルザス訪問の際にはまた定期的に伺ってみたいレストランだと感じ、いい思い出とともに店を後にしました。
(いただいたもの)
アラカルトで…
シャンパンスナック各種
アミューズ
前菜:
L’anguille du Rhin « au vert »
Légèrement fumée et laquée aux agrumes
ライン河産天然鰻 緑煮
軽く燻製して柑橘類を塗って

パン:クグロフ型のカンパーニュ

バター三種(軽い、クラシック、練り込み系)

スープ:ブイヨンデコワン
(→柑橘類のコワン(かりん)のブイヨンスープでした。渋みや苦味をかすかに感じさせつつ、甘みも感じ取れました。複雑な風味で大人の味ですね。)
メイン:
La chasse d’automne 2019 par Olivier Nasti
Le canard colvert des bords du Rhin,
berawecka et dragée en croquant
オリヴィエ・ナスティによる2019年秋のジビエ料理
ライン河畔産コルヴェール鴨(青首鴨)
かりかりのベラヴェカ(アルザスの郷土菓子)とドラジェ




食後の小菓子各種
飲物(ワインはいずれもグラスで)
食前酒:
Crémant d’Alsace Albert Boxler
クレマンダルザス アルベール・ボクスレ
白ワイン:
2012 Alsace, Gruenspiel Marcel Deiss
2012年アルザス、グリューエンスピール マルセル・ダイス
赤ワイン:
2003 Pessac Léognan, Grand Cru Classé Château Haut-Brion
2003年 ペサック・レオニャン グラン・クリュ・クラッセ シャトー・オ・ブリオン


食後のお茶:フレッシュミントティー
コルマールからアメルシュヴィールを経由してカイゼルクベルクを目指していくバス路線は、アルザスワインを醸す傾斜にできたぶどう畑の脇をバスが通り抜けていくのでフランスらしい美しい景色も楽しめるルートになっています。
バス停から歩いてすぐに町の入口ですが、その入口脇に構えているのがオリヴィエ・ナスティ氏の二つ星店兼ホテルの「シャンバール」です。

ホテルを含めた奥は広そうですが、入口付近は小さくて控え目なために目立たない感じです。

正面入口から入店して右手に小さなサルがあり、その隅の席に通していただきました。最初サルに背を向けるような不自然な位置の席があったのでお願いしてサルが見渡せるように変えてもらいました。

ちょうどクリスマスシーズンに入っていく待降節の季節のせいか、サルの入口には巨大なトナカイのオブジェがあって、素材や雰囲気もあってか威圧感がなくとても優しい雰囲気でサルになじんでいたのが印象的でした。

今回はアラカルトの中に魅力的なお皿があったのでアラカルトでいただくことにしました。帰りのバスの時間の関係もあり、結果的にはデザートをいただく時間はありませんでしたがお料理やワインを堪能でき満足しました。

ソムリエは複数いらっしゃりましたが、お一人はどこかの大会でナンバーワンにまでなられた方とのことでした。比較的若い構成のサービス陣で、少し距離があるというかドライというか、それでいて適切なサービスをしていただいたように思います。あまり嫌な思い出は残っていません。
ワインはアルザスを中心に揃っていて、相談すれば的確に自分の飲みたい風味のワインをお勧めしてくれるでしょう。お勧めに従った結果としてアルザスの美味しいワインを飲めて良かったです。

グラスでシャトーオーブリオンを提供されていて、もちろん相応の値段ではありましたが一人での食事が続く中で貴重な体験と思ってお願いしてみました。

クレマンダルザス

アルザス白ワイン(マルセル・ダイス)
食前酒として飲んだクレマンダルザスも、アルザスの白ワインもとても美味しくて、お酒については満足感が高かったです。
お料理はシャンパンスナック各種から始まります。

西洋山葵のムース入り人参のコーン ブロシェ(川カマス)の玉子

エスカルゴのクロメスキ パセリ風味

ジャガイモのスフレ

トゥリュッテル(鱒の子)のフリット リヴェッシュ風味のマヨネーズで

(左上から時計回りに)
・ライン河産鰻入りクサンスフレ
・シュークルートガルニのマカロン
・アルザス産鵞鳥のフォワグラのペルル(真珠)
小さいがそれぞれに独特な味わいがあり素敵です。アルザス名物料理を巡る趣向もまた良いです。
鱒の子を揚げたものはリヴェッシュ(マルバトウキ)というハーブ風味のマヨネーズですが、塩気がやや強めでした。

アミューズとして提供されたのはすでに使い古された趣向かもしれませんが、現代風解釈のタルトフランベでした。タルトフランベの物理的形状はどこにもありませんが、味だけで言えばしっかりとタルトフランベになっています。
さて、次は前菜ですが、鰻はフランス料理の一般的な食材ではないものの、一定の地方では食べられていることとベルギーなどの北方ではある程度メジャーな食材ということで調理方法や味など含めて興味をもちましたのでアラカルトで鰻料理を頼んでみました。

L’anguille du Rhin « au vert »
Légèrement fumée et laquée aux agrumes
ライン河産天然鰻 緑煮
軽く燻製して柑橘類を塗って

こちらはシェフのスペシャリテとのことで、鰻はライン河で獲れたものでもちろん天然ということでしょう。脂が乗っていますが、軽い感じもありそこが天然の良さでしょうか。素材の質ももちろんですが、調理方法もあいまって素晴らしい美味しさです。燻製の良い香りでより食べやすくなっていますね。
通年提供されるスペシャリテとのことでしたが、寒さが増え脂が多いこの時期(訪問は11月下旬)に食べられて幸せだと感じました。
メイン料理として季節のジビエに食指が動きます。ジビエのアラカルトはこんな感じでした。

各種ジビエが幅広く揃えてあって大変魅力的です。

La chasse d’automne 2019 par Olivier Nasti
Le canard colvert des bords du Rhin,
berawecka et dragée en croquant
オリヴィエ・ナスティによる2019年秋のジビエ料理
ライン河畔産コルヴェール鴨(青首鴨)
かりかりのベラヴェカ(アルザスの郷土菓子)とドラジェ

コルベールはおそらく初めての体験でした。血の濃さなのか味が濃いです。小さく切ってあって、肉を切るストレスがなくとても食べやすい。一口一口存分に楽しめて、最後まで同じ美味しさで終えることができました。
味はしっとりしていて、普段食べている鴨よりもより濃厚な鴨肉を食べている感じの美味しさでした。こういう体験ができることがとても幸せだと感じます。
もも肉はコンフィにされて提供されました。こちらも食感や味が違い、コルベールをより楽しめました。つけ合わせは整形されたポレンタクレムーでしょうか。
ナスティ氏のお料理は地元食材や郷土料理を大切にしながらも現代風の調理や盛り付けを志向されているように感じられ、自分の好みに合いました。季節に応じて変化して行くであろう食材やお料理の内容を他の季節でも楽しんでみたいと思わせてくれました。
短い期間でしたがアルザスを巡ってみて、この店にはアルザスで久々の新三つ星待望の声があるように感じられました。サルが小さいことさえ目をつむればかなり快適に美味しいお食事が楽しめる場所と思いますので、近い将来の三つ星昇格もあるかもしれませんね。
アルザス訪問の際にはまた定期的に伺ってみたいレストランだと感じ、いい思い出とともに店を後にしました。
(いただいたもの)
アラカルトで…
シャンパンスナック各種
アミューズ
前菜:
L’anguille du Rhin « au vert »
Légèrement fumée et laquée aux agrumes
ライン河産天然鰻 緑煮
軽く燻製して柑橘類を塗って

パン:クグロフ型のカンパーニュ

バター三種(軽い、クラシック、練り込み系)

スープ:ブイヨンデコワン
(→柑橘類のコワン(かりん)のブイヨンスープでした。渋みや苦味をかすかに感じさせつつ、甘みも感じ取れました。複雑な風味で大人の味ですね。)
メイン:
La chasse d’automne 2019 par Olivier Nasti
Le canard colvert des bords du Rhin,
berawecka et dragée en croquant
オリヴィエ・ナスティによる2019年秋のジビエ料理
ライン河畔産コルヴェール鴨(青首鴨)
かりかりのベラヴェカ(アルザスの郷土菓子)とドラジェ




食後の小菓子各種
飲物(ワインはいずれもグラスで)
食前酒:
Crémant d’Alsace Albert Boxler
クレマンダルザス アルベール・ボクスレ
白ワイン:
2012 Alsace, Gruenspiel Marcel Deiss
2012年アルザス、グリューエンスピール マルセル・ダイス
赤ワイン:
2003 Pessac Léognan, Grand Cru Classé Château Haut-Brion
2003年 ペサック・レオニャン グラン・クリュ・クラッセ シャトー・オ・ブリオン


食後のお茶:フレッシュミントティー
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