雲林(淡路町)



この日は嵐と言われながら急に設定された友人との新年の宴に東京へ。
以前からランチで行っていた淡路町(神田藪そば至近)の中華料理店へ。場所は地味ですが、本格的な料理を出してくれる隠れた(?)名店です。日記の中では中華が連続してしまいましたが、合間に他のジャンルも色々と食べています。
こちらの夜はアラカルト、コース両方を備えおり、普段はコースも3つほど設定があるようですが、年初ということもあり、新年の一コースとアラカルトということでした。この日は時間が遅めであらかじめコースをお願いしていました。
予約の際に閉店時間が早めになっていると言われ、遅い時間での予約をすんなりと受け付けてもらえませんでした。それでもオーナーに聞いてからお返事するとのことで当日朝のお電話で大丈夫との確認をいただきました。
予約の電話は一方通行になりがちですが、こうしてきちんとコミュニケーションをとれる方がフロアを仕切られているのはとてもポイントが高いでしょう。お任せするのに安心感があります。
さてお料理ですが、ここでの夜の食事は初めてでしたが、二人で充分に堪能させてもらいました。
友人とも話していたのですが、食べ進めるうちに、ここは居ずまいを正して美味を楽しみに来るところだと感じ入りました。お酒のためにどんちゃんやる場所の対極にあります。
お料理の味付けが全皿きちんと異なっていて、繊細で味わい深く大いに楽しめます。珍しい食材も色々と使われていて勉強にもなりました。
現代フランス料理式のサービス(一皿一皿出して下げるという形)でお皿が提供される、いわゆる”ヌーベルシノワ”(最近ちらほら耳にする和製仏語ですが文法的には間違い)になります。
また旬の食材、旬のイベントにあくまで敏感にコースを組み立てていくあたりにこの店の真価を感じます。懐石の心とでも言えるものでしょうか。
それでいて味付けはあくまで中華料理で、かつそれが多彩。お店の看板としては上海料理店とのことですが、きっと中国の色々な地方の味付けなども使い分けているのではないでしょうか。
この日の主役はなんといってもメインのジビエ、”猪”でしょう。今年の干支を食べるのはなんとなく縁起のよい感じがいたします。
ランチもいいと思いつつも夜のこの華やぎには到底かないません。出しているお代が違うからと言ってしまえばそれまででしょうが。
食後、フロアのマネージャーの方がわざわざ挨拶にきて下さり(その前も色々とおしゃべりはしていたのですが)名刺交換をいたしました。まだお若いのにしっかりとした方で、彼女がいると店内のサービス流れきりっと引き締まりますね。
中華のサービスには文句しかでないことが多いのですが、こちらはその点でもレベルが高いかと存じます。
お店を出る頃には嵐もどこかに過ぎ去って静かな東京の夜でした。この日は嵐のせいか我々が入った直後にお客さんが一組出て行って以降は貸し切り状態で、その意味でもとても贅沢な夜となりました。
(いただいたもの)
?お正月限定コース?
・本日のアミューズ(カシューナッツの甘衣、蝦夷鹿の煮こごり):煮こごりは味付けが八角を効かせた中華風でこの一口でこれからのお料理に期待が高まります。
・お楽しみ前菜六品盛り(写真下)(一番上から時計回りに):
花弁茸(はなびらだけ)と海松貝(みるがい)、わかさぎ、山ウド(海老の卵和え)、鶉の薫製、押し豆腐と菜の花の湯葉巻、自家製干肉とこごみ
・フカヒレの姿煮、七草と五穀のお粥添え(写真中):
姿煮は実は初めて。食感が楽しめ、濃厚なソースと合います。七草がゆとこのソースの相性もよいです。
・大正海老と冬タケノコの”塩漬けアヒルの卵”炒め(写真上):
独特の味わいのアヒルの卵がとてもいい味を出しています。
・トウミョウと娃娃(わーわー)菜”中国白菜”の上海蟹あんかけ:冬はやはり根菜の天下でしょう。白菜の甘さが楽しめます。上海蟹あんかけもとても上品な味付け。
・冬の味覚ジビエ”いのししロース肉”と旬野菜の竹皮巻きオーブン焼き:こごみ、ヤングコーン、空豆が付け合わせ。猪は臭みなく柔らかく抜群のうまさ。紹興酒との相性の良さを発見。最高です。
・伊達鶏と菊花大根の蒸しスープ:丁寧なお出しで化学調味料に慣れた舌には淡泊すぎるかも。鶏は出汁用で味はあまりありません。菊花大根が美しい。
・身アンコウ唐揚の炒飯(麺・ご飯ものを選択可):
淡泊なアンコウは唐揚げになって美味しくいただけます。
・本日の自家製デザート三品盛り(杏仁豆腐、マンゴープリン、金木犀のアイス):杏仁豆腐は最高のでき。前回頂いたこともあるきんもくせいのアイスもまたよかったです。
神田 雲林 (上海料理 / 淡路町、新御茶ノ水、小川町)
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