レストラン訪問記:車道(名古屋)「ボン吉」(未掲載)
昨年秋、東海地方に御縁があって、一昨年伺った岐阜の「ミツバチ食堂」さんに行こうと思いましたが、シェフが変わられて以前のコース料理はもう提供されていないとのことで、今回は岐阜を諦め、名古屋でお店を探してみました。
名古屋といえば、さらに何年か前に「ビストロ ダイア」で雷鳥を頂いたことがありました。ジビエの季節にはこの地方に御縁があるようです。
今回は、最新版のミシュラン名古屋特別版発刊より後に出来たであろう新店を偶然見つけて予約して伺ってきました。
車道駅は繁華街というよりは住宅街がメインの駅になるのでしょう。裏道を歩いて行きましたが、普通に住宅が広がっていて静かでした。
そんな中にかわいらしい外観のお店が現れます。

簡素なナップからして店内はどちらかというとビストロのような雰囲気ですが、食事を進めるうちにここはビストロを装った正統派古典料理のレストランということが分かりました。
盛り付けやお味など見る限り、お料理の質はとても高いですし、大ぶりのテーブルで隣席との距離もそこそことられていて落ち着くしつらえで、清潔感ある行き届いたトイレも含めるとそこは否みがたいです。
ご夫婦でされていて、ワインなどを勧めてくださる奥様のサービスは的確で、つかず離れず、こびることのない気持ちの良い接客でした。
お料理については、先ほど正統派古典料理と書きましたが、デュカスに買収される前のパリの星付きビストロ「ブノワ」のお料理と同じような感じがしました。旧「ブノワ」よりはシンプルな料理ですが、多彩な食材がシェフの腕を感じさせてくれるアラカルトメニューでした。
今回のお目当てはやはりジビエで、真鴨を用意してもらっていました。鹿児島のものだそうです。実はこの数日前にも東京で新潟産の同じく野生の真鴨を頂いたのですが、鴨の肉質については新潟の方が脂があって良かったように思いました。
ただ「ボン吉」さんでは四分の一ではなく半身も頂けたということもあり、たっぷりと内臓も含めて二種のお料理を楽しめて大満足でした。
そんな中あえて苦言を呈するとすれば、二種の大皿料理がほぼ同時に提供される形になって、二皿が同時に卓上に置かれるという掟破りのサービスがされました。フランス料理店を名乗るならば、そこは時間差をおいて一皿ずつ提供していただきたかった。
客が大皿を卓上で移動させることになると、どうしてもカトラリーを割ったり、落としたりするリスクが高くなって、お互い気持ち良く食事ができなくなるリスクが高いです。そういうことを客に考えさせている時点で、サービス失格でしょう。
出る時間に合わせるようにお願いしていて、時間を節約するために二皿を同時に出してくださったのかとも思いましたが、お料理が冷めるという意味でも、メインとなる胸肉とささみのローストは厨房で適当に保温した上で、一皿目のサラダ風のお料理を食べてから出すのが常道といえます。
今回はシェフと相談して、鴨を半身頂くことになるので、前菜と魚料理を抜いた形で、おまかせのお値段はそのままにしてもらいました。シェフによれば、これからジビエのハイシーズンに入っていくにつれて価格もより手が届きやすくなるとのことでした。こちらでは臨機応変に対応してくださるようなので、希望を述べて納得いくまでご自分なりのコースを作られた上で行かれることをお勧めいたします。
こちらでは定番と思われる生の米から作るリゾットも、たっぷりの秋トリュフとあいまってとても美味しかったです。こちらはコースから削らずにお願いしておいて良かったと思えた一品でした。

またパンは自家製とのことで、素晴らしく美味しいです。提供も必ず温めてくれる気遣いがありました。ただ、パンのお代わりは有料になりますので、そこは理解した上でお願いしましょう。バターのお代わりも当然有料になるでしょうね。
少なくともフランスでは、ビストロでもレストランでもパンのお代わりが有料という文化はないので、面食らいましたが、とても美味しいパンですし、サービス料もとらずに気持ちを込めて毎回温めて提供して下さるので文句を言う気にはとてもなれません。
ただ、メニューにお代わりは有料と書くなり、お代わりの要望を受けた時点で有料である旨客に伝えた方が良心的ですね。ちゃんとしたサービスには対価が伴って当然と思いますので、堂々と有料であることを言って欲しいです。伝えられないのは有料であることへの引け目があるからでしょう。そのあたりの立場が少し揺らいでいるようで、もっと堂々としていて欲しいと思いました。
ジビエの季節にまた伺えるかは微妙ですが、違う季節にでも新しい食材との出会いを求めてまた伺うことが出来たらと思いつつ帰路に就きました。
(いただいたもの)
ディナーコース(セミオーダーメイド)
パン:自家製パン(カンパーニュ)(ただし2個目からのお代わりは有料)とバター

口取り(左上から時計回りに):タラのブランダード(ジャガイモ)、人参のポタージュ、ミモレット24か月 柿のペースト パンデピス

前菜:牡蠣と帆立のクネルのフリカッセ フランス産天然キノコ マッシュルームのスープ

リゾット:フランス産秋トリュフとセップ茸のリゾット



メイン:鹿児島産真鴨(2回のサービスで提供)
・手羽先と内臓のサラダ
・胸肉とササミのロースト フォンドボーと鴨のジュのソース かぶ、人参、サツマイモのピュレ

デザート:プリンとバニラアイス


食後のお茶:コーヒー
小菓子:塩チョコサブレ、紅茶のフィナンシェ、メレンゲ
飲物:
・食前酒グラス:キールロワイヤル風(クレマンドリムー使用)
・白ワイングラス:ボルドーブラン 2018(100%セミヨン)
・赤ワイングラス:コートデュローヌ Les P'tits Gars(封切り)
名古屋といえば、さらに何年か前に「ビストロ ダイア」で雷鳥を頂いたことがありました。ジビエの季節にはこの地方に御縁があるようです。
今回は、最新版のミシュラン名古屋特別版発刊より後に出来たであろう新店を偶然見つけて予約して伺ってきました。
車道駅は繁華街というよりは住宅街がメインの駅になるのでしょう。裏道を歩いて行きましたが、普通に住宅が広がっていて静かでした。
そんな中にかわいらしい外観のお店が現れます。

簡素なナップからして店内はどちらかというとビストロのような雰囲気ですが、食事を進めるうちにここはビストロを装った正統派古典料理のレストランということが分かりました。
盛り付けやお味など見る限り、お料理の質はとても高いですし、大ぶりのテーブルで隣席との距離もそこそことられていて落ち着くしつらえで、清潔感ある行き届いたトイレも含めるとそこは否みがたいです。
ご夫婦でされていて、ワインなどを勧めてくださる奥様のサービスは的確で、つかず離れず、こびることのない気持ちの良い接客でした。
お料理については、先ほど正統派古典料理と書きましたが、デュカスに買収される前のパリの星付きビストロ「ブノワ」のお料理と同じような感じがしました。旧「ブノワ」よりはシンプルな料理ですが、多彩な食材がシェフの腕を感じさせてくれるアラカルトメニューでした。
今回のお目当てはやはりジビエで、真鴨を用意してもらっていました。鹿児島のものだそうです。実はこの数日前にも東京で新潟産の同じく野生の真鴨を頂いたのですが、鴨の肉質については新潟の方が脂があって良かったように思いました。
ただ「ボン吉」さんでは四分の一ではなく半身も頂けたということもあり、たっぷりと内臓も含めて二種のお料理を楽しめて大満足でした。
そんな中あえて苦言を呈するとすれば、二種の大皿料理がほぼ同時に提供される形になって、二皿が同時に卓上に置かれるという掟破りのサービスがされました。フランス料理店を名乗るならば、そこは時間差をおいて一皿ずつ提供していただきたかった。
客が大皿を卓上で移動させることになると、どうしてもカトラリーを割ったり、落としたりするリスクが高くなって、お互い気持ち良く食事ができなくなるリスクが高いです。そういうことを客に考えさせている時点で、サービス失格でしょう。
出る時間に合わせるようにお願いしていて、時間を節約するために二皿を同時に出してくださったのかとも思いましたが、お料理が冷めるという意味でも、メインとなる胸肉とささみのローストは厨房で適当に保温した上で、一皿目のサラダ風のお料理を食べてから出すのが常道といえます。
今回はシェフと相談して、鴨を半身頂くことになるので、前菜と魚料理を抜いた形で、おまかせのお値段はそのままにしてもらいました。シェフによれば、これからジビエのハイシーズンに入っていくにつれて価格もより手が届きやすくなるとのことでした。こちらでは臨機応変に対応してくださるようなので、希望を述べて納得いくまでご自分なりのコースを作られた上で行かれることをお勧めいたします。
こちらでは定番と思われる生の米から作るリゾットも、たっぷりの秋トリュフとあいまってとても美味しかったです。こちらはコースから削らずにお願いしておいて良かったと思えた一品でした。

またパンは自家製とのことで、素晴らしく美味しいです。提供も必ず温めてくれる気遣いがありました。ただ、パンのお代わりは有料になりますので、そこは理解した上でお願いしましょう。バターのお代わりも当然有料になるでしょうね。
少なくともフランスでは、ビストロでもレストランでもパンのお代わりが有料という文化はないので、面食らいましたが、とても美味しいパンですし、サービス料もとらずに気持ちを込めて毎回温めて提供して下さるので文句を言う気にはとてもなれません。
ただ、メニューにお代わりは有料と書くなり、お代わりの要望を受けた時点で有料である旨客に伝えた方が良心的ですね。ちゃんとしたサービスには対価が伴って当然と思いますので、堂々と有料であることを言って欲しいです。伝えられないのは有料であることへの引け目があるからでしょう。そのあたりの立場が少し揺らいでいるようで、もっと堂々としていて欲しいと思いました。
ジビエの季節にまた伺えるかは微妙ですが、違う季節にでも新しい食材との出会いを求めてまた伺うことが出来たらと思いつつ帰路に就きました。
(いただいたもの)
ディナーコース(セミオーダーメイド)
パン:自家製パン(カンパーニュ)(ただし2個目からのお代わりは有料)とバター

口取り(左上から時計回りに):タラのブランダード(ジャガイモ)、人参のポタージュ、ミモレット24か月 柿のペースト パンデピス

前菜:牡蠣と帆立のクネルのフリカッセ フランス産天然キノコ マッシュルームのスープ

リゾット:フランス産秋トリュフとセップ茸のリゾット



メイン:鹿児島産真鴨(2回のサービスで提供)
・手羽先と内臓のサラダ
・胸肉とササミのロースト フォンドボーと鴨のジュのソース かぶ、人参、サツマイモのピュレ

デザート:プリンとバニラアイス


食後のお茶:コーヒー
小菓子:塩チョコサブレ、紅茶のフィナンシェ、メレンゲ
飲物:
・食前酒グラス:キールロワイヤル風(クレマンドリムー使用)
・白ワイングラス:ボルドーブラン 2018(100%セミヨン)
・赤ワイングラス:コートデュローヌ Les P'tits Gars(封切り)
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