レストラン訪問記:岐阜市「開化亭」(★)
今回、飛騨一宮の旅の途上で岐阜市に立ち寄りこちらで食事をしてきました。かなり前のことでしたが以前にテレビでこちらの特集を見たことがあり、初めての訪問となりました。

テレビでの取り上げ方は、地方の中華の名店で三つ星シェフ(おそらくピエール・ガニエール氏)も絶賛するすごい店、すごいシェフという感じでした。近所の勤め人に対して普通のランチを提供しているカウンターの奥で、料理を予約した客にだけ特別なコースを提供するというお店の姿勢も独特で、印象的で記憶に残っていました。
それから10数年は経ったかと思います。店舗の改装があったようですが、平日ランチには普通の麺類、ご飯類を提供されていて、そこは変わっていませんでした。
大きな変化があったことといえば、テレビ撮影当時店を仕切っていた店主が東京に出たことでしょうか。しかし、特別コースの提供は息子さんの責任の下継続されていました。
前置きが長くなりました、感想を求められていると思うので、正直に答えると、そんなに大騒ぎしてもてはやすようなお店でもないのかな、という感想になります。
誤解のないように言いますと、旬や地元の食材を使った名物料理を含むコースはどれも美味しかったですし、店員さんも予約の段階から高ぶった感じもなく丁寧で、食事中もしっかり対応して下さったので好印象でした。
ただ、特別なお店が岐阜にあるというよりは、ちょっと他と違う工夫をした料理をコース仕立てで提供したところ話題になっていって、特別な料理、特別なシェフ、特別なお店ともてはやされるままに有名になってしまったお店(シェフ)なのかなという印象でした。
このようなコースを始められた先代は東京に出て高価なコースのみの人気店を経営されていますが、ミシュランでは全く評価されていません(掲載すらなしです)し、そこは御本人も不本意としているところなのではないかと推察いたします。野心溢れていたからこそ東京に出たわけでしょうし、出たならやはりミシュランなど権威がある(と思われている)ところで評価されたいと考えるのが普通だからです。
そのような結果(が出ていない事実)からしても、御本人が少し舞い上がりすぎたのかなと勝手に思ってしまいました。
カウンター奥の比較的落ち着いた場所とはいえ、それでも目の前に慌ただしく動く調理人達がいるカウンターでの食事になることから、ガストロノミーを堪能するという環境からはほど遠く、かなりラフな格好で行って大正解だったということになりました。
また、味は良かったのですが、料理の丁寧さ、繊細さという点でいうと他の星付き店には及ばない印象でした。和食、フレンチといったジャンルが違うお店でも、一つ星店ともなれば、一皿一皿の完成度のようなものはある程度高い水準に保たれていて、その点は共通しているように思われるのですが、こちらはその点で少し物足りなかったのが正直なところでした。
中華料理でガストロノミーを期待する方がおかしいと言われればそれまでですが、先日の「北じま」の投稿でも書いたように、ある程度のお値段を払っている以上は、快適な空間やサービスをどうしても期待するのであって、騒然としたカウンターでの食事ではどうしても評価が落ちてしまうものです。
こうしたロシア式サービスで出すコース仕立ての中華料理は今時全く珍しくもないはずで、他の大都市に行けば同じようなレベルの、より洗練された料理をより快適な空間で頂けるのではないかと思うと、こちらのお店の評価は地方の良店(名店には及ばない)くらいの評価が妥当かなと思ってしまうのでした。
岐阜に寄ったら行くかもしれないけれど、忘れてしまっていても仕方がないかなという程度の御縁しか感じられませんでした。
ただ、こちらでは名物料理の鮎の春巻きを食べることが目的でもあったので、それは果たせて満足いたしました。サービスで提供される美味しい鉄観音茶をたっぷり頂いて、美味しくて楽しい食事、丁寧なサービスありがとうございました、という心地よい気持ちでお店を後にしてきました。
(いただいたもの)
ランチコース

先付け:雲丹と帆立のひとくち揚げ餃子 バターソース
(→濃厚な雲丹やバターの香りが口の中ではじけてとても美味しいです。帆立の香りもまたいい味付けに貢献していました。)

前菜盛り合わせ(左下から時計回りに):
・ピータン豆腐
・(手前)焼き豚、(奥)牛すねの香料煮
・(手前)タコの紹興酒煮、(左)サーモンのジャスミン茶の燻製、(右)クラゲと胡瓜の甘酢漬け
(→ピータン豆腐は全体に濃厚で美味しいです。タコや鮭は独特の香りがあり楽しいです。タコは柔らかいですね。焼き豚も上品な中華の香りがしました。)


スープ:上湯スープ(海老、冬瓜、キヌガサタケ)
(→上品な味わいで、香りが濃いです。金華ハムでしょうか動物系のお出汁も感じられました。)


揚げ物:鮎と太胡瓜の春巻 スダチ
(→名物料理ですね。内臓の苦味が美味で、べたですが胡瓜との相性が抜群に良かったです。そのままでもいけますが、塩やスダチと頂くのもありです。)


炒め物:愛知産鰻とインゲンの甜麺醤炒め
(→鰻がさくさくで歯ごたえが良く、美味しいです。鰻の脂のり良いですね。)



肉料理:フランス産鴨肉の甘酢ネギソース
(→火入れが良くて、さくさくの衣が美味しいです。ソースは上品な甘酢でした。お肉がやや冷めているのが残念ではありましたし、お皿の上の指などの汚れも少し気になりました。でも、メインを張れる存在感があるお肉料理で満足しました。)




締めのお食事:汁なし担々麺(汁なし選択ゆえ追加料金あり)
(→蟹チャーハンか担々麺かを締めに選べます。追加料金をお支払いして、汁なしを選びました。なんならコース後に単品追加しようかと思っていたくらいなので結果的に汁なし担々麺に締めでありつけてラッキーでした。やや赤みがかった山椒粉が見えますでしょうか。見るからにしびれがすごそうで、実際結構しびれていました。味はごく普通で、自然なおいしさです。特に感動はありませんでしたが、自分好みの細麺でそこは好きでした。)

デザート:杏仁豆腐 頭頂烏龍茶のシャーベット
(→烏龍茶のシャーベットはおそらく初めてでしたが、烏龍茶の気高い香りが鼻に抜けて独特な美味しさがあります。正直なところ、もっと食べたかったです。杏仁豆腐はとても上質で安心して美味しく頂きました。)

テレビでの取り上げ方は、地方の中華の名店で三つ星シェフ(おそらくピエール・ガニエール氏)も絶賛するすごい店、すごいシェフという感じでした。近所の勤め人に対して普通のランチを提供しているカウンターの奥で、料理を予約した客にだけ特別なコースを提供するというお店の姿勢も独特で、印象的で記憶に残っていました。
それから10数年は経ったかと思います。店舗の改装があったようですが、平日ランチには普通の麺類、ご飯類を提供されていて、そこは変わっていませんでした。
大きな変化があったことといえば、テレビ撮影当時店を仕切っていた店主が東京に出たことでしょうか。しかし、特別コースの提供は息子さんの責任の下継続されていました。
前置きが長くなりました、感想を求められていると思うので、正直に答えると、そんなに大騒ぎしてもてはやすようなお店でもないのかな、という感想になります。
誤解のないように言いますと、旬や地元の食材を使った名物料理を含むコースはどれも美味しかったですし、店員さんも予約の段階から高ぶった感じもなく丁寧で、食事中もしっかり対応して下さったので好印象でした。
ただ、特別なお店が岐阜にあるというよりは、ちょっと他と違う工夫をした料理をコース仕立てで提供したところ話題になっていって、特別な料理、特別なシェフ、特別なお店ともてはやされるままに有名になってしまったお店(シェフ)なのかなという印象でした。
このようなコースを始められた先代は東京に出て高価なコースのみの人気店を経営されていますが、ミシュランでは全く評価されていません(掲載すらなしです)し、そこは御本人も不本意としているところなのではないかと推察いたします。野心溢れていたからこそ東京に出たわけでしょうし、出たならやはりミシュランなど権威がある(と思われている)ところで評価されたいと考えるのが普通だからです。
そのような結果(が出ていない事実)からしても、御本人が少し舞い上がりすぎたのかなと勝手に思ってしまいました。
カウンター奥の比較的落ち着いた場所とはいえ、それでも目の前に慌ただしく動く調理人達がいるカウンターでの食事になることから、ガストロノミーを堪能するという環境からはほど遠く、かなりラフな格好で行って大正解だったということになりました。
また、味は良かったのですが、料理の丁寧さ、繊細さという点でいうと他の星付き店には及ばない印象でした。和食、フレンチといったジャンルが違うお店でも、一つ星店ともなれば、一皿一皿の完成度のようなものはある程度高い水準に保たれていて、その点は共通しているように思われるのですが、こちらはその点で少し物足りなかったのが正直なところでした。
中華料理でガストロノミーを期待する方がおかしいと言われればそれまでですが、先日の「北じま」の投稿でも書いたように、ある程度のお値段を払っている以上は、快適な空間やサービスをどうしても期待するのであって、騒然としたカウンターでの食事ではどうしても評価が落ちてしまうものです。
こうしたロシア式サービスで出すコース仕立ての中華料理は今時全く珍しくもないはずで、他の大都市に行けば同じようなレベルの、より洗練された料理をより快適な空間で頂けるのではないかと思うと、こちらのお店の評価は地方の良店(名店には及ばない)くらいの評価が妥当かなと思ってしまうのでした。
岐阜に寄ったら行くかもしれないけれど、忘れてしまっていても仕方がないかなという程度の御縁しか感じられませんでした。
ただ、こちらでは名物料理の鮎の春巻きを食べることが目的でもあったので、それは果たせて満足いたしました。サービスで提供される美味しい鉄観音茶をたっぷり頂いて、美味しくて楽しい食事、丁寧なサービスありがとうございました、という心地よい気持ちでお店を後にしてきました。
(いただいたもの)
ランチコース

先付け:雲丹と帆立のひとくち揚げ餃子 バターソース
(→濃厚な雲丹やバターの香りが口の中ではじけてとても美味しいです。帆立の香りもまたいい味付けに貢献していました。)

前菜盛り合わせ(左下から時計回りに):
・ピータン豆腐
・(手前)焼き豚、(奥)牛すねの香料煮
・(手前)タコの紹興酒煮、(左)サーモンのジャスミン茶の燻製、(右)クラゲと胡瓜の甘酢漬け
(→ピータン豆腐は全体に濃厚で美味しいです。タコや鮭は独特の香りがあり楽しいです。タコは柔らかいですね。焼き豚も上品な中華の香りがしました。)


スープ:上湯スープ(海老、冬瓜、キヌガサタケ)
(→上品な味わいで、香りが濃いです。金華ハムでしょうか動物系のお出汁も感じられました。)


揚げ物:鮎と太胡瓜の春巻 スダチ
(→名物料理ですね。内臓の苦味が美味で、べたですが胡瓜との相性が抜群に良かったです。そのままでもいけますが、塩やスダチと頂くのもありです。)


炒め物:愛知産鰻とインゲンの甜麺醤炒め
(→鰻がさくさくで歯ごたえが良く、美味しいです。鰻の脂のり良いですね。)



肉料理:フランス産鴨肉の甘酢ネギソース
(→火入れが良くて、さくさくの衣が美味しいです。ソースは上品な甘酢でした。お肉がやや冷めているのが残念ではありましたし、お皿の上の指などの汚れも少し気になりました。でも、メインを張れる存在感があるお肉料理で満足しました。)




締めのお食事:汁なし担々麺(汁なし選択ゆえ追加料金あり)
(→蟹チャーハンか担々麺かを締めに選べます。追加料金をお支払いして、汁なしを選びました。なんならコース後に単品追加しようかと思っていたくらいなので結果的に汁なし担々麺に締めでありつけてラッキーでした。やや赤みがかった山椒粉が見えますでしょうか。見るからにしびれがすごそうで、実際結構しびれていました。味はごく普通で、自然なおいしさです。特に感動はありませんでしたが、自分好みの細麺でそこは好きでした。)

デザート:杏仁豆腐 頭頂烏龍茶のシャーベット
(→烏龍茶のシャーベットはおそらく初めてでしたが、烏龍茶の気高い香りが鼻に抜けて独特な美味しさがあります。正直なところ、もっと食べたかったです。杏仁豆腐はとても上質で安心して美味しく頂きました。)
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