レストラン訪問記:高知市(入明駅)「balloon」
先日記事にした「とくさん」で食事をした日に徳島に一泊して、翌日、眉山山頂に久しぶりに上り、讃岐白鳥の白鳥神社に参って日本で一番低い山である御山に登頂後、高松経由で夜に高知入りしました。
高知も、徳島同様お城巡りの旅で以前来たことがありましたが、駅舎などすっかり変わってしまっていました。
さて、こちらはゴーミヨー日本版に掲載されていてその存在を知ることができました。ただ、ゴーミヨーでの扱いは点数がつかない、popのカテゴリーです。また、店名からは分かりにくいですが、フランス料理のお店になります。
口コミサイトを見ると、口コミ数が一つだけで、点数もついておらず、点数ハンターがこのお店にたどり着くことは絶対に不可能です。また、日本各地の美食家が、食材の豊かな高知をこれまで頻繁に訪れていてもおかしくはないはずですが、口コミがない以上は、おのずと訪問の優先順位は落ちるでしょうから、地元民ではない人間がここにたどりつくことは、やはり難しいでしょう。

結論から言うと、私はとても気に入りました。お料理はフレンチの技法を駆使しつつも、高知や近隣の良い食材に光を当てて、高知の食文化をフレンチで解釈するとどうなるかという試行錯誤をされていることが、メニュー構成から伺えました。
その姿勢が個人的には好ましく、まだまだこれから進化し、変化し、深化していくという期待をもたせてくれるお料理でした。つまり、今後も定期的に訪れて、季節ごとの食の楽しみや料理の変化を楽しんでいきたいと思えました。

照明が暗めの店内は、カジュアルな作りで、カウンターが主体ですが、カウンター上は広く、空間も広いので席の間に余裕があり、落ち着いて食事ができる環境です。サービスについても、つかず、離れずでありながら、心がこもった丁寧な接客で不満なところはありませんでした。
シェフはあまり積極的におしゃべりする方ではなく、黙々ときっちり自分の仕事を全うされる誠実な方という印象でしたが、訪問した日のお客さん構成のバランスもあって、後半、結構おしゃべりする機会があり、食材や御経歴のことなど色々と教えていただけてとても有益でした。

この日は真ん中のコースをお願いしてありました。デセールと食後のお茶が別料金という、今時珍しい価格設定ですが、デセール又は(及び)お茶が要らないという人からすると、柔軟で助かるでしょうね。
一皿目は、ゴーミヨーでもスペシャリテとして紹介されているフォアグラ芋けんぴでした。
下に紙が敷かれていて、下から両手でフォアグラ芋けんぴを包むように持って、ハンバーガーを頂く要領でかぶりつくように言われました。二口で食べるイメージです。芋けんぴは通常拍子木状にカットされていますが、こちらはサンドするために変形した円形になっていて、食べ手のために工夫がしてあります。


カラメルの要領で甘辛苦いバルサミコソースがフォアグラに抜群に合い、芋けんぴとフォワグラと一体となり、とても美味しいです。
芋けんぴは高知の名物菓子で、その変化形、進化形のお料理は高知で食べてこそのものでしょう。甘味と合わせるフォアグラ定番料理のきれいな応用形でした。
ワインのペアリングを提案されていたので、乗ってみました。単純にグラスワインを足していくよりぐっとお得に提供してくれていたように思います。出てくるワインからすると、お値段はとても良心的です。

ペアリング一杯目は、フランチャコルタのロゼでした。これがまたとても美味しいです。甘味はあまり感じませんが、それでもフォワグラ料理と合っていました。
二皿目は、ハマチのお刺身を使った、ハマチと野菜のマリネでした。


多種多様な野菜とキノコが入っていて、野菜と言いつつ、後で聞くと梨も入っていたとのことでした。コリアンダーの実が香りの良いアクセントになっていました。これがあることで、奥行きというか、料理に深みが出ていたように思います。コリアンダーの実は初めて頂いたかもしれません。全体に塩気をしっかり浸透させてあり、まさにマリネ料理で、美味しく食べられました。美しくかつ美味しさもある一品です。

パンがこのタイミングで提供されました。ライ麦パンとのことでした。温めて提供してくれて、お心遣いが嬉しいです。普通に美味しいですね。バターやオリーブオイルの提供はありません。
三皿目に、またも高知といえばという食材あるいは調理法を使ったお料理が出てきてこれも嬉しかったです。鰹と焦がし玉ねぎのムースです。


焦がし玉ねぎのムースと食べることでフレンチの技法による鰹のたたきという新しいお料理を提案していただいたようでした。これはこれでとても美味しいです。
藁で燻した鰹のたたきがフレンチになっていても違和感はありません。たたきにした鰹は厚みが絶妙で、厚すぎず、薄すぎず、しっかりと主役を張っていて、存在感がしっかりありました。
たたきという伝統的な調理法に光を当てると共に、また、それをうまく利用してフレンチに仕上げるシェフの技法やセンスが素晴らしいと思います。
ここでペアリング二杯目のワインが提供されました。二杯目はイタリアのモンテプルチァーノダブルッツォのロゼ(2020年)でした。鰹の赤い身に、濃いめのロゼのタンニンが合っていたように思います。
四皿目は、ブーダンノワールと人参のピューレです。

こちらは、焼きリンゴが入っていて、ある意味ブラッスリ、ビストロでの定番料理ですね。ただ、単純にソーセージ状の通常のブーダンノワールとは違い、調理した形で提供しているのがやはりレストランの料理です。
実は、シェフの御経歴を伺った時に、「オーバカナル」での修業経験が長くて、そこで基礎を学んで、人脈やその後の経歴でも結構オーバカナル出身者と交流する機会が多かったようなお話をされていて、そういう御経歴がこの料理に表れているのかなと思っていました。
動物の血を使うブーダンノワールは好みが分かれる食材かもしれませんが、高校生の時に初めて食べて以来、好きな食材で、今回も美味しく頂きました。
ここで、ペアリング三杯目のワインです。またもイタリアのもので、エミリヤロマーニャのオレンジワイン(白ワイン)でした。香りとしては焼きリンゴと合っている感じでした。
続いて、いよいよメインに入ります。まずお魚ですが、この日はなんと甘鯛でも一番美味しいとされる白甘鯛でした。



瀬戸内の新鮮な魚を入手できるお話をされていましたので、おそらく愛媛のものなのでしょう。先日、神戸の「鮨かねさか」で愛媛の白甘鯛をお寿司で頂いています。今回は、火入れありでイカ墨のソースと一緒でした。
鱗焼きは結構派手に鱗を逆立てる調理が多いように思いますが、こちらはきれいに収まっていて、それでいてちゃんと火が入っていて、シェフの技量やセンスの良さを感じました。
ペアリングの基本は4杯で、ここまで3杯、泡、ロゼ、オレンジと飲んでいて、赤を飲むことは確定していたことから、メインのお魚に合わせてさらに一杯プラスするペアリングの提案をしていただきました。このように柔軟にワインの数を調整してくれますので、行かれた方は是非マダムとよくお話されて下さい。
ペアリング四杯目として出していただいたのは、三つ星時代の「ランスブール」でお勧めしていただいたドメーヌであるオスタータグのアルザスリースリング(2018年)でした。派手さはありませんが、体に素直に入っていく美味しさがあります。
こちらは自然派ですが、シェフによると、かつては自然派でワインを揃えようとしていたとのことでしたが、そうするとバランスが悪いこともあったりして、必ずしも自然派だけにこだわっているわけではないとのことでした。

お魚の後に、これも今時珍しい、お口直しのグラニテが出てきました。お口直しは、トマトとグレープフルーツのグラニテでした。トマトは高知の名産でもありますし、何よりグラニテは口の中がさっぱりして良いですね。
メインの肉料理は、ハンバーグ、四万十ポーク、ホロホロ鳥、鹿もも肉(追加料金あり)からの選択で、フランス料理のメインでハンバーグは珍しいと思いつつ聞いてみると、肉の味を楽しむ料理というような答えでした。
他の料理や食材があまり魅力的には見えず、また、高知産という鹿に興味があったので、追加料金を払って鹿もも肉のローストをお願いしました。


高知産鹿もも肉を焼いたお料理で、カフェドパリという香草入りバターを使ったソースでした。見ての通り、焼き加減が抜群で美味で素晴らしかったです。最後なのでそこまでに結構な量を食べていましたが、美味しくてするするとお肉が体に入っていきました。美味しくて健康的な食べ物は体が拒否しません。
この鹿に合わせて出していただいたペアリング五杯目のワインが、カリフォルニアのピノノワール、オーボンクリマ(2019年)でした。名前は知っていたものの、これまで飲んだことがありませんでしたが、香りが良くて大変気に入りました。
また、この日は業者の方の宴会がテーブル席で行われていましたが、そちらの方々の持ち込みの山羊肉を少しだけ味見させてもらいました。自家製塩で食べる趣向でした。
ミルキーな香りがする肉で、これからコース料理に組み込む予定もあるとのことで、今後ますます目が離せないと思いました。
メインを最後まで頂いて、これから後のデセールとお茶は別料金になります。
デセールは、高知県産メロンを使ったシャーベットでした。

きめ細やかな氷で、メロンの旨味もしっかり味わえる質が高いソルベでした。ジェラートよりもきめ細やかで、上質です。別料金で頂く価値がありました。
食後のお茶は、ハーブティーがないのが残念でしたが、代わりに台湾の紅茶を頂きました。

華やかな香りで気に入りました。話を聞くと、ハーブティーはあまり出していないようでした。
冒頭書いたように、これからのさらなる変化や進化が楽しみなお店で、これからもリピートしていきたいと思いました。
少し気になったところでいうと、お値段を上げても良いと思うので、おしぼりとナプキンは紙ではなく、ちゃんとした布のものを使った方がお店の格に合うのではと思いました。
提案していただいたワインのペアリングはイタリアのものが多かったですが、全体的に良いマリアージュでしたし、色々と発見があり、それでいてとてもリーズナブルで、翌日いただいた別のお店よりもワインではこちらの方が満足度が高かったです。
その翌日訪ねたお店のサービスの方に、こちらに行ったことを話すと、今高知で一番勢いがあるお店と評されていました。
開店して5年とのことで、これからますます高知に根付いて、素晴らしい食材をフレンチの技法と独自のセンスで新しいお料理に仕上げて客を楽しませていってくれるかと思うと、そのうちの一人として楽しみでなりません。
(いただいたもの)
ディナーコース(デセールとお茶は別料金)
パン:ライ麦パン
フォアグラ芋けんぴ
ハマチと野菜のマリネ
鰹と焦がし玉ねぎのムース
ブーダンノワールと人参のピューレ
魚料理:白甘鯛鱗焼きと空芯菜のソテー
お口直し(トマトとグレープフルーツのグラニテ)
肉料理:鹿もも肉のロースト
デセール:メロンのシャーベット
食後のお茶:台湾茶(紅茶)
アルコール:アルコール五種のペアリング
・ フランチャコルタ(ロゼ)
・ モンテプルチァーノダブルッツォ(ロゼ)(2020年)
・ エミリヤロマーニャのオレンジ(白)(2018年)
・ アルザス リースリング(オスタータグ)(2018年)
・ カリフォルニア ピノノワール(オーボンクリマ)(2019年)
高知も、徳島同様お城巡りの旅で以前来たことがありましたが、駅舎などすっかり変わってしまっていました。
さて、こちらはゴーミヨー日本版に掲載されていてその存在を知ることができました。ただ、ゴーミヨーでの扱いは点数がつかない、popのカテゴリーです。また、店名からは分かりにくいですが、フランス料理のお店になります。
口コミサイトを見ると、口コミ数が一つだけで、点数もついておらず、点数ハンターがこのお店にたどり着くことは絶対に不可能です。また、日本各地の美食家が、食材の豊かな高知をこれまで頻繁に訪れていてもおかしくはないはずですが、口コミがない以上は、おのずと訪問の優先順位は落ちるでしょうから、地元民ではない人間がここにたどりつくことは、やはり難しいでしょう。

結論から言うと、私はとても気に入りました。お料理はフレンチの技法を駆使しつつも、高知や近隣の良い食材に光を当てて、高知の食文化をフレンチで解釈するとどうなるかという試行錯誤をされていることが、メニュー構成から伺えました。
その姿勢が個人的には好ましく、まだまだこれから進化し、変化し、深化していくという期待をもたせてくれるお料理でした。つまり、今後も定期的に訪れて、季節ごとの食の楽しみや料理の変化を楽しんでいきたいと思えました。

照明が暗めの店内は、カジュアルな作りで、カウンターが主体ですが、カウンター上は広く、空間も広いので席の間に余裕があり、落ち着いて食事ができる環境です。サービスについても、つかず、離れずでありながら、心がこもった丁寧な接客で不満なところはありませんでした。
シェフはあまり積極的におしゃべりする方ではなく、黙々ときっちり自分の仕事を全うされる誠実な方という印象でしたが、訪問した日のお客さん構成のバランスもあって、後半、結構おしゃべりする機会があり、食材や御経歴のことなど色々と教えていただけてとても有益でした。

この日は真ん中のコースをお願いしてありました。デセールと食後のお茶が別料金という、今時珍しい価格設定ですが、デセール又は(及び)お茶が要らないという人からすると、柔軟で助かるでしょうね。
一皿目は、ゴーミヨーでもスペシャリテとして紹介されているフォアグラ芋けんぴでした。
下に紙が敷かれていて、下から両手でフォアグラ芋けんぴを包むように持って、ハンバーガーを頂く要領でかぶりつくように言われました。二口で食べるイメージです。芋けんぴは通常拍子木状にカットされていますが、こちらはサンドするために変形した円形になっていて、食べ手のために工夫がしてあります。


カラメルの要領で甘辛苦いバルサミコソースがフォアグラに抜群に合い、芋けんぴとフォワグラと一体となり、とても美味しいです。
芋けんぴは高知の名物菓子で、その変化形、進化形のお料理は高知で食べてこそのものでしょう。甘味と合わせるフォアグラ定番料理のきれいな応用形でした。
ワインのペアリングを提案されていたので、乗ってみました。単純にグラスワインを足していくよりぐっとお得に提供してくれていたように思います。出てくるワインからすると、お値段はとても良心的です。

ペアリング一杯目は、フランチャコルタのロゼでした。これがまたとても美味しいです。甘味はあまり感じませんが、それでもフォワグラ料理と合っていました。
二皿目は、ハマチのお刺身を使った、ハマチと野菜のマリネでした。


多種多様な野菜とキノコが入っていて、野菜と言いつつ、後で聞くと梨も入っていたとのことでした。コリアンダーの実が香りの良いアクセントになっていました。これがあることで、奥行きというか、料理に深みが出ていたように思います。コリアンダーの実は初めて頂いたかもしれません。全体に塩気をしっかり浸透させてあり、まさにマリネ料理で、美味しく食べられました。美しくかつ美味しさもある一品です。

パンがこのタイミングで提供されました。ライ麦パンとのことでした。温めて提供してくれて、お心遣いが嬉しいです。普通に美味しいですね。バターやオリーブオイルの提供はありません。
三皿目に、またも高知といえばという食材あるいは調理法を使ったお料理が出てきてこれも嬉しかったです。鰹と焦がし玉ねぎのムースです。


焦がし玉ねぎのムースと食べることでフレンチの技法による鰹のたたきという新しいお料理を提案していただいたようでした。これはこれでとても美味しいです。
藁で燻した鰹のたたきがフレンチになっていても違和感はありません。たたきにした鰹は厚みが絶妙で、厚すぎず、薄すぎず、しっかりと主役を張っていて、存在感がしっかりありました。
たたきという伝統的な調理法に光を当てると共に、また、それをうまく利用してフレンチに仕上げるシェフの技法やセンスが素晴らしいと思います。
ここでペアリング二杯目のワインが提供されました。二杯目はイタリアのモンテプルチァーノダブルッツォのロゼ(2020年)でした。鰹の赤い身に、濃いめのロゼのタンニンが合っていたように思います。
四皿目は、ブーダンノワールと人参のピューレです。

こちらは、焼きリンゴが入っていて、ある意味ブラッスリ、ビストロでの定番料理ですね。ただ、単純にソーセージ状の通常のブーダンノワールとは違い、調理した形で提供しているのがやはりレストランの料理です。
実は、シェフの御経歴を伺った時に、「オーバカナル」での修業経験が長くて、そこで基礎を学んで、人脈やその後の経歴でも結構オーバカナル出身者と交流する機会が多かったようなお話をされていて、そういう御経歴がこの料理に表れているのかなと思っていました。
動物の血を使うブーダンノワールは好みが分かれる食材かもしれませんが、高校生の時に初めて食べて以来、好きな食材で、今回も美味しく頂きました。
ここで、ペアリング三杯目のワインです。またもイタリアのもので、エミリヤロマーニャのオレンジワイン(白ワイン)でした。香りとしては焼きリンゴと合っている感じでした。
続いて、いよいよメインに入ります。まずお魚ですが、この日はなんと甘鯛でも一番美味しいとされる白甘鯛でした。



瀬戸内の新鮮な魚を入手できるお話をされていましたので、おそらく愛媛のものなのでしょう。先日、神戸の「鮨かねさか」で愛媛の白甘鯛をお寿司で頂いています。今回は、火入れありでイカ墨のソースと一緒でした。
鱗焼きは結構派手に鱗を逆立てる調理が多いように思いますが、こちらはきれいに収まっていて、それでいてちゃんと火が入っていて、シェフの技量やセンスの良さを感じました。
ペアリングの基本は4杯で、ここまで3杯、泡、ロゼ、オレンジと飲んでいて、赤を飲むことは確定していたことから、メインのお魚に合わせてさらに一杯プラスするペアリングの提案をしていただきました。このように柔軟にワインの数を調整してくれますので、行かれた方は是非マダムとよくお話されて下さい。
ペアリング四杯目として出していただいたのは、三つ星時代の「ランスブール」でお勧めしていただいたドメーヌであるオスタータグのアルザスリースリング(2018年)でした。派手さはありませんが、体に素直に入っていく美味しさがあります。
こちらは自然派ですが、シェフによると、かつては自然派でワインを揃えようとしていたとのことでしたが、そうするとバランスが悪いこともあったりして、必ずしも自然派だけにこだわっているわけではないとのことでした。

お魚の後に、これも今時珍しい、お口直しのグラニテが出てきました。お口直しは、トマトとグレープフルーツのグラニテでした。トマトは高知の名産でもありますし、何よりグラニテは口の中がさっぱりして良いですね。
メインの肉料理は、ハンバーグ、四万十ポーク、ホロホロ鳥、鹿もも肉(追加料金あり)からの選択で、フランス料理のメインでハンバーグは珍しいと思いつつ聞いてみると、肉の味を楽しむ料理というような答えでした。
他の料理や食材があまり魅力的には見えず、また、高知産という鹿に興味があったので、追加料金を払って鹿もも肉のローストをお願いしました。


高知産鹿もも肉を焼いたお料理で、カフェドパリという香草入りバターを使ったソースでした。見ての通り、焼き加減が抜群で美味で素晴らしかったです。最後なのでそこまでに結構な量を食べていましたが、美味しくてするするとお肉が体に入っていきました。美味しくて健康的な食べ物は体が拒否しません。
この鹿に合わせて出していただいたペアリング五杯目のワインが、カリフォルニアのピノノワール、オーボンクリマ(2019年)でした。名前は知っていたものの、これまで飲んだことがありませんでしたが、香りが良くて大変気に入りました。
また、この日は業者の方の宴会がテーブル席で行われていましたが、そちらの方々の持ち込みの山羊肉を少しだけ味見させてもらいました。自家製塩で食べる趣向でした。
ミルキーな香りがする肉で、これからコース料理に組み込む予定もあるとのことで、今後ますます目が離せないと思いました。
メインを最後まで頂いて、これから後のデセールとお茶は別料金になります。
デセールは、高知県産メロンを使ったシャーベットでした。

きめ細やかな氷で、メロンの旨味もしっかり味わえる質が高いソルベでした。ジェラートよりもきめ細やかで、上質です。別料金で頂く価値がありました。
食後のお茶は、ハーブティーがないのが残念でしたが、代わりに台湾の紅茶を頂きました。

華やかな香りで気に入りました。話を聞くと、ハーブティーはあまり出していないようでした。
冒頭書いたように、これからのさらなる変化や進化が楽しみなお店で、これからもリピートしていきたいと思いました。
少し気になったところでいうと、お値段を上げても良いと思うので、おしぼりとナプキンは紙ではなく、ちゃんとした布のものを使った方がお店の格に合うのではと思いました。
提案していただいたワインのペアリングはイタリアのものが多かったですが、全体的に良いマリアージュでしたし、色々と発見があり、それでいてとてもリーズナブルで、翌日いただいた別のお店よりもワインではこちらの方が満足度が高かったです。
その翌日訪ねたお店のサービスの方に、こちらに行ったことを話すと、今高知で一番勢いがあるお店と評されていました。
開店して5年とのことで、これからますます高知に根付いて、素晴らしい食材をフレンチの技法と独自のセンスで新しいお料理に仕上げて客を楽しませていってくれるかと思うと、そのうちの一人として楽しみでなりません。
(いただいたもの)
ディナーコース(デセールとお茶は別料金)
パン:ライ麦パン
フォアグラ芋けんぴ
ハマチと野菜のマリネ
鰹と焦がし玉ねぎのムース
ブーダンノワールと人参のピューレ
魚料理:白甘鯛鱗焼きと空芯菜のソテー
お口直し(トマトとグレープフルーツのグラニテ)
肉料理:鹿もも肉のロースト
デセール:メロンのシャーベット
食後のお茶:台湾茶(紅茶)
アルコール:アルコール五種のペアリング
・ フランチャコルタ(ロゼ)
・ モンテプルチァーノダブルッツォ(ロゼ)(2020年)
・ エミリヤロマーニャのオレンジ(白)(2018年)
・ アルザス リースリング(オスタータグ)(2018年)
・ カリフォルニア ピノノワール(オーボンクリマ)(2019年)
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