レストラン訪問記:高知市(高知駅)「La primavorta(ラ・プリマヴォルタ)」
「balloon」でフランス料理を楽しんだ翌日の夜は、2005年開業で、高知では比較的古参と認識されているイタリア料理店の「La primavorta(ラ・プリマヴォルタ)」での食事を楽しみました。こちらも「balloon」同様、夜のみの営業となっています。

結論から言うと、前日の「balloon」とはまた違うテーストであり、店内の雰囲気でしたが、とても気持ち良く美味しい食事を楽しめて、季節を変えてまた是非再訪したいと思わせてくれるお店でした。
料理ももちろん良いですが、それと同じか、それ以上にサービスやしつらえが良かったです。サービスはおそらくメートルドテルに当たる方の良い影響が店内の隅々に及んでいて、スタッフの採用の段階からそれが始まっているのだと思われます。この方は、しっかり人を見ていて、相手を活かす対応ができていました。素晴らしいです。最も若いサービスの女性も心遣いがあるサービスをされていて、見事でした。

ただ、テーブルセッティングはカジュアルで、テーブルクロスがない、くだけたスタイルですが、タイルや梁、板張りの床など、いい感じにヨーロッパの隠れ家的な雰囲気が醸された店内の落ち着いた雰囲気とはマッチしていて悪い気はしなかったです。また、わざわざ言うまでもないことかもしれませんが、カトラリーは皿ごとに変えてもらえます。
こちらのお料理は、ジャンル上は一応イタリア料理となっていますが、その枠にこだわったり、とらわれておらず、典型的なイタリア料理の型にこだわる方にとっては、もしかしたら不満が残るメニュー構成かもしれません。ここでは、パスタ料理が前菜とメインの間に出されず、メインの後に最後の締めとして位置づけられていることが一番分かりやすい変形でしょう。
ここではそんなジャンルへの囚われよりは、その時の旬の素材をいかに美味しく楽しんでもらうかに心を砕いた料理が提供されているようで、私としては高知の今の旬を楽しむことができて、そのような料理の提供方法がむしろ好ましく、お店が好きになりました。高知は野菜を中心に多くの食材がとれる魅力ある土地なので、料理人としてもやりがいが感じられるのではないかと思います。
最初に着席して、ソムリエの方と相談しながら、結構長い時間をかけてワイン選びをして、昨日同様5杯のイメージでグラスワインリストから選びました。結果的には4杯で終わりましたが、昨日とは違う発見があって楽しかったです。

ペアリングという形ではやっていないとのことでしたが、結構品数が揃っていて、眺めているだけで楽しかったです。量もあるかもしれませんが、このレベルのお店にしては価格がかなり抑えめで、前日の「balloon」でも思いましたが、その点、良心的に感じました。
最初の食前酒は、イタリア・ヴェネト州のシャルドネのスパークリングワイン、シャルドネ・ブリュット(トッレゼッラ)でした。プロセコを作っている作り手のものとのことでした。泡のきめ細やかさはシャンパンに劣りましたが、フルーティーかつドライで良い味で、食欲を高めてくれる美味しいお酒でした。


秋果
〜無花果 葡萄 柿〜
最初のお皿は、「秋果」という名前で、サブタイトルが「無花果 葡萄 柿」となっていて、秋のフルーツを楽しむ一皿でした。甘味が支配するお皿でしたので、意外ではありましたが、秋のフルーツサラダとして楽しめました。真ん中の淡い黄色の植物はオクラの花でした。サラダの中の葉も味が濃くていい香りがしています。最初からなんとも贅沢でした。
ここで、パン二種類が提供されました。フォカッチャは、塩がやや強めでしたが、めちゃくちゃ美味いです。バゲットも美味しいですね。いずれも、ちゃんと温めてくれていて好印象でした。ただ、お代わりを最後まで出されることがついぞなく、こちらは不満が残りました。
ここでグラスの白ワインに移行します。以前どこかで飲んだことがある、南仏のお酒、ピクプール・ド・ピネでした。青リンゴの香りがするという白ワインで、さわやかで、かつ辛口で飲みやすくとても良いお味で好みでした。

畑の風景 〜本日のバーニャカウダ〜
続くお皿はバーニャカウダで、シェフのスペシャリテとのことでした。多彩なお野菜が美しく、当たり前ではありますが、それぞれに違った風味、食感が濃厚なバーニャカウダソースで楽しめて幸せでした。通年提供される料理とのことですが、野菜の種類が豊富なイメージの夏よりは、春や秋の方が野菜の調和があって、より楽しめるのだそうです。

南瓜
〜クミン ミルクフォーム 南瓜の種〜
いでたちを見ただけでシェフの意識の高さを感じることができました。スープの粘度が高いこともあったかもしれませんし、運ばれてきたスープが皿を汚していることはなく、厨房からテーブルまで短い距離ではありましたが、揺らさずにきれいなまま運んでくれた若いサービスのお仕事も素晴らしいです。お料理がとてもきれいなのはもちろん、お皿に指紋などついておらず、清潔感もあって素晴らしいです。南瓜の味も濃厚で、秋の到来を実感できるお皿でした。かぼちゃの種をスライスしてローストしたものが入っていましたが、これが良い香りです。クミンのおかげか、カレー風味をほのかに感じました。
次にこのタイミングで提供されたグラスワインも白で、こちらはオーストラリア・ビクトリア州のシャルドネでした。こちらは前のお酒と比べて濃い感じで、苦味をやや感じました。力強く良い味です。ただ、さわやかさはありませんでした。


アカハタ
〜天然舞茸 里芋 茄子 レモングラス〜
お魚はとても繊細に扱われていました。こちらは写真では分かりにくいかもしれませんが、熱い料理ではないです。魚に丁寧な半生の火入れがしてあって、ほぼ冷めた温度での提供でした。慣れていませんでしたが、これはこれで良いと思いました。焼き茄子とツガニのソースが独特の味わいで面白いです。里芋のフリットが入っています。また、天然舞茸のフリットも良い香りで、思いがけず食べられて良かったです。
お酒としてはまだ前の白が残っていて、最初にお願いしていたロゼワインは諦めて、赤にいくことにしました。お肉に合わせた赤は、ドイツのピノノワール(シュペートブルグンダー)でした。美味しいのですが、前日「balloon」で頂いたカルフォルニアのピノノワール・オーボンクリマほどの香りは感じられず、ピノノワールの味比べはカルフォルニアに軍配が上がりました。


山の実り
〜土佐和牛サーロイン 独活の花 薩摩芋〜
お肉はシンプルに、ポートワインのソースとのことでした。土佐和牛とは、赤毛の土佐あか牛のことで、あっさりめでありながらもしっかりと脂が感じられて、分かりやすい安定の美味しさです。量も、有り難みが感じられる量で、絶妙です。独活の花はフリットになっていて、薩摩芋はシルクスイートをゆっくり火入れしたもので、それぞれとても美味しかったです。


ウスバハギ 〜オリーブ バジル〜
ウスバハギという白身魚を使った締めのパスタで、50グラムでの提供とのことでした。細めのパスタを使っていて、繊細な味つけと相まってとても美味しく、いくらでも食べられる感じでした。


梨
〜様々な梨と塩のメレンゲ ジャスミン〜
上には梨のチップスが刺さっていて、下の梨のソルベはあきづきと八達という二種類の高知の梨を使ったもので、間のジュレはハーブティーのジュレとのことでした。また、一番下にも梨が潜んでいます。秋を感じさせる梨尽くしのデセールは食事の終わりを口の中をさっぱりしてくれて幸せでした。個人的にはあしらいの花がやや主張しすぎていたように思えました。秋桜とはいえ、好みが別れるでしょうね。

ここに至って、食後のお茶を選ぶ儀式がありました。御覧のように各種サンプルから、自ら香りをかいで選ぶことができます。フレッシュハーブティーをお約束で所望しますが、扱いがありませんでした。これはちょっと残念でしたが、致し方ありません。
そこで、個人的には高麗人参など独特な調合が気になった、コロナ禍期間の限定フレーバーという、プロテジェ(フランス語で「保護する、守る」という動詞あるいは「保護された、守られた」という形容詞)を追加料金が発生するものをお願いしました。お味としては、苦味が感じられましたが、それがとても体に良さそうで良かったです。香りも独特でした。

〆 〜桂月酒粕〜
メニュー表の最後、デセールの後に〆とあるので、どういうことかと思っていたのですが、小菓子を最後に合わせてその場で焼いて、それを食事の最後として出すという趣向でした。
この日は、酒粕が練り込まれた焼きたてのミニフィナンシェが提供され、お酒の香りは今ひとつしませんでしたが、焼きたての温かい焼き菓子を最後に提供してくれる心遣いに感動しました。こういう趣向は今まであまり出会ったことがありませんでした。
ただ、こちらのお店の食事において、全く不満がなかったという訳でもなく、気付いた点を挙げると以下のようになるでしょうか。
パンはとても美味しかったのですが、お代わりの提案がされませんでした。きっとこちらからお願いすれば出してくれたのでしょうが、パンは皿が空いていたらそのたびに必要かどうか聞いて欲しかったです。
それから、デセールに移行する際にカジュアルなお店でも、フレンチだと卓上のパンくずなどを掃除してくれるものですが、こちらでは卓上の掃除はありませんでした。
また、食後のお茶についてお代わりを頂きたかったですが、別料金になるとのことでした。こちらももう少し鷹揚に対応していただければ良いのにと思いました。
最後に、メニュー表のプリントミスです。わざとやっているわけではないですし、メニュー表をだしてくれるだけ有り難いとも言えるのであまり強く言いたくはないですが、やるなら最後まできちんとやっていただきたかったです。しかもミスが発生していたのは私だけとのことでそれも大変残念でした。
プリントミスについてはほぼ入店と同時に指摘していたのですから、お忙しいとはいえ、プリントアウトくらいすぐにできるものでしょうから、帰るまでに訂正したものを印刷紙直して出すことも可能だったでしょう。私はそれを求めることはしませんでしたが、そこまでやっていただけると完璧でしたね。次回以降の参考にしていただきたいです。
それでも、食事は全体として見れば、最後まで気持ち良く食事が楽しめて、食材という意味でも、お店という意味でも、良い発見ができて、満足してお店を後にしてきました。
(いただいたもの)
ディナーコース(三種類のうちの真ん中のコース)
パン二種:フォカッチャ、バゲット
秋果
〜無花果 葡萄 柿〜
畑の風景 〜本日のバーニャカウダ〜
南瓜
〜クミン ミルクフォーム 南瓜の種〜
アカハタ
〜天然舞茸 里芋 茄子 レモングラス〜
山の実り
〜土佐和牛サーロイン 独活の花 薩摩芋〜
ウスバハギ 〜オリーブ バジル〜
梨
〜様々な梨と塩のメレンゲ ジャスミン〜
〆 〜桂月酒粕〜
Caffe(食後のお茶)
(以上の記載は、パン及び括弧内の記載以外、頂いたメニュー表を転載)
お酒(いずれもグラスワイン):
・ 食前酒:シャルドネ・ブリュット(トッレゼッラ)N.V(シャルドネ100%/イタリア・ヴェネト州)
・ 白ワイン:ピクプール・ド・ピネ(ドメーヌ・アザン)2019(ピクプール100%/フランス・ラングドック地方)
・ 白ワイン:リトル・イエリング・シャルドネ(イエリング・ステーション)2019(シャルドネ100%・オーストラリア・ビクトリア州)
・ 赤ワイン:ハンド・イン・ハンド・シュペートブルグンダー(マイヤー・ネーケル)2017(シュペートブルグンダー(ピノノワール)100%/ドイツ・バーデン地方)

結論から言うと、前日の「balloon」とはまた違うテーストであり、店内の雰囲気でしたが、とても気持ち良く美味しい食事を楽しめて、季節を変えてまた是非再訪したいと思わせてくれるお店でした。
料理ももちろん良いですが、それと同じか、それ以上にサービスやしつらえが良かったです。サービスはおそらくメートルドテルに当たる方の良い影響が店内の隅々に及んでいて、スタッフの採用の段階からそれが始まっているのだと思われます。この方は、しっかり人を見ていて、相手を活かす対応ができていました。素晴らしいです。最も若いサービスの女性も心遣いがあるサービスをされていて、見事でした。

ただ、テーブルセッティングはカジュアルで、テーブルクロスがない、くだけたスタイルですが、タイルや梁、板張りの床など、いい感じにヨーロッパの隠れ家的な雰囲気が醸された店内の落ち着いた雰囲気とはマッチしていて悪い気はしなかったです。また、わざわざ言うまでもないことかもしれませんが、カトラリーは皿ごとに変えてもらえます。
こちらのお料理は、ジャンル上は一応イタリア料理となっていますが、その枠にこだわったり、とらわれておらず、典型的なイタリア料理の型にこだわる方にとっては、もしかしたら不満が残るメニュー構成かもしれません。ここでは、パスタ料理が前菜とメインの間に出されず、メインの後に最後の締めとして位置づけられていることが一番分かりやすい変形でしょう。
ここではそんなジャンルへの囚われよりは、その時の旬の素材をいかに美味しく楽しんでもらうかに心を砕いた料理が提供されているようで、私としては高知の今の旬を楽しむことができて、そのような料理の提供方法がむしろ好ましく、お店が好きになりました。高知は野菜を中心に多くの食材がとれる魅力ある土地なので、料理人としてもやりがいが感じられるのではないかと思います。
最初に着席して、ソムリエの方と相談しながら、結構長い時間をかけてワイン選びをして、昨日同様5杯のイメージでグラスワインリストから選びました。結果的には4杯で終わりましたが、昨日とは違う発見があって楽しかったです。

ペアリングという形ではやっていないとのことでしたが、結構品数が揃っていて、眺めているだけで楽しかったです。量もあるかもしれませんが、このレベルのお店にしては価格がかなり抑えめで、前日の「balloon」でも思いましたが、その点、良心的に感じました。
最初の食前酒は、イタリア・ヴェネト州のシャルドネのスパークリングワイン、シャルドネ・ブリュット(トッレゼッラ)でした。プロセコを作っている作り手のものとのことでした。泡のきめ細やかさはシャンパンに劣りましたが、フルーティーかつドライで良い味で、食欲を高めてくれる美味しいお酒でした。


秋果
〜無花果 葡萄 柿〜
最初のお皿は、「秋果」という名前で、サブタイトルが「無花果 葡萄 柿」となっていて、秋のフルーツを楽しむ一皿でした。甘味が支配するお皿でしたので、意外ではありましたが、秋のフルーツサラダとして楽しめました。真ん中の淡い黄色の植物はオクラの花でした。サラダの中の葉も味が濃くていい香りがしています。最初からなんとも贅沢でした。
ここで、パン二種類が提供されました。フォカッチャは、塩がやや強めでしたが、めちゃくちゃ美味いです。バゲットも美味しいですね。いずれも、ちゃんと温めてくれていて好印象でした。ただ、お代わりを最後まで出されることがついぞなく、こちらは不満が残りました。
ここでグラスの白ワインに移行します。以前どこかで飲んだことがある、南仏のお酒、ピクプール・ド・ピネでした。青リンゴの香りがするという白ワインで、さわやかで、かつ辛口で飲みやすくとても良いお味で好みでした。

畑の風景 〜本日のバーニャカウダ〜
続くお皿はバーニャカウダで、シェフのスペシャリテとのことでした。多彩なお野菜が美しく、当たり前ではありますが、それぞれに違った風味、食感が濃厚なバーニャカウダソースで楽しめて幸せでした。通年提供される料理とのことですが、野菜の種類が豊富なイメージの夏よりは、春や秋の方が野菜の調和があって、より楽しめるのだそうです。

南瓜
〜クミン ミルクフォーム 南瓜の種〜
いでたちを見ただけでシェフの意識の高さを感じることができました。スープの粘度が高いこともあったかもしれませんし、運ばれてきたスープが皿を汚していることはなく、厨房からテーブルまで短い距離ではありましたが、揺らさずにきれいなまま運んでくれた若いサービスのお仕事も素晴らしいです。お料理がとてもきれいなのはもちろん、お皿に指紋などついておらず、清潔感もあって素晴らしいです。南瓜の味も濃厚で、秋の到来を実感できるお皿でした。かぼちゃの種をスライスしてローストしたものが入っていましたが、これが良い香りです。クミンのおかげか、カレー風味をほのかに感じました。
次にこのタイミングで提供されたグラスワインも白で、こちらはオーストラリア・ビクトリア州のシャルドネでした。こちらは前のお酒と比べて濃い感じで、苦味をやや感じました。力強く良い味です。ただ、さわやかさはありませんでした。


アカハタ
〜天然舞茸 里芋 茄子 レモングラス〜
お魚はとても繊細に扱われていました。こちらは写真では分かりにくいかもしれませんが、熱い料理ではないです。魚に丁寧な半生の火入れがしてあって、ほぼ冷めた温度での提供でした。慣れていませんでしたが、これはこれで良いと思いました。焼き茄子とツガニのソースが独特の味わいで面白いです。里芋のフリットが入っています。また、天然舞茸のフリットも良い香りで、思いがけず食べられて良かったです。
お酒としてはまだ前の白が残っていて、最初にお願いしていたロゼワインは諦めて、赤にいくことにしました。お肉に合わせた赤は、ドイツのピノノワール(シュペートブルグンダー)でした。美味しいのですが、前日「balloon」で頂いたカルフォルニアのピノノワール・オーボンクリマほどの香りは感じられず、ピノノワールの味比べはカルフォルニアに軍配が上がりました。


山の実り
〜土佐和牛サーロイン 独活の花 薩摩芋〜
お肉はシンプルに、ポートワインのソースとのことでした。土佐和牛とは、赤毛の土佐あか牛のことで、あっさりめでありながらもしっかりと脂が感じられて、分かりやすい安定の美味しさです。量も、有り難みが感じられる量で、絶妙です。独活の花はフリットになっていて、薩摩芋はシルクスイートをゆっくり火入れしたもので、それぞれとても美味しかったです。


ウスバハギ 〜オリーブ バジル〜
ウスバハギという白身魚を使った締めのパスタで、50グラムでの提供とのことでした。細めのパスタを使っていて、繊細な味つけと相まってとても美味しく、いくらでも食べられる感じでした。


梨
〜様々な梨と塩のメレンゲ ジャスミン〜
上には梨のチップスが刺さっていて、下の梨のソルベはあきづきと八達という二種類の高知の梨を使ったもので、間のジュレはハーブティーのジュレとのことでした。また、一番下にも梨が潜んでいます。秋を感じさせる梨尽くしのデセールは食事の終わりを口の中をさっぱりしてくれて幸せでした。個人的にはあしらいの花がやや主張しすぎていたように思えました。秋桜とはいえ、好みが別れるでしょうね。

ここに至って、食後のお茶を選ぶ儀式がありました。御覧のように各種サンプルから、自ら香りをかいで選ぶことができます。フレッシュハーブティーをお約束で所望しますが、扱いがありませんでした。これはちょっと残念でしたが、致し方ありません。
そこで、個人的には高麗人参など独特な調合が気になった、コロナ禍期間の限定フレーバーという、プロテジェ(フランス語で「保護する、守る」という動詞あるいは「保護された、守られた」という形容詞)を追加料金が発生するものをお願いしました。お味としては、苦味が感じられましたが、それがとても体に良さそうで良かったです。香りも独特でした。

〆 〜桂月酒粕〜
メニュー表の最後、デセールの後に〆とあるので、どういうことかと思っていたのですが、小菓子を最後に合わせてその場で焼いて、それを食事の最後として出すという趣向でした。
この日は、酒粕が練り込まれた焼きたてのミニフィナンシェが提供され、お酒の香りは今ひとつしませんでしたが、焼きたての温かい焼き菓子を最後に提供してくれる心遣いに感動しました。こういう趣向は今まであまり出会ったことがありませんでした。
ただ、こちらのお店の食事において、全く不満がなかったという訳でもなく、気付いた点を挙げると以下のようになるでしょうか。
パンはとても美味しかったのですが、お代わりの提案がされませんでした。きっとこちらからお願いすれば出してくれたのでしょうが、パンは皿が空いていたらそのたびに必要かどうか聞いて欲しかったです。
それから、デセールに移行する際にカジュアルなお店でも、フレンチだと卓上のパンくずなどを掃除してくれるものですが、こちらでは卓上の掃除はありませんでした。
また、食後のお茶についてお代わりを頂きたかったですが、別料金になるとのことでした。こちらももう少し鷹揚に対応していただければ良いのにと思いました。
最後に、メニュー表のプリントミスです。わざとやっているわけではないですし、メニュー表をだしてくれるだけ有り難いとも言えるのであまり強く言いたくはないですが、やるなら最後まできちんとやっていただきたかったです。しかもミスが発生していたのは私だけとのことでそれも大変残念でした。
プリントミスについてはほぼ入店と同時に指摘していたのですから、お忙しいとはいえ、プリントアウトくらいすぐにできるものでしょうから、帰るまでに訂正したものを印刷紙直して出すことも可能だったでしょう。私はそれを求めることはしませんでしたが、そこまでやっていただけると完璧でしたね。次回以降の参考にしていただきたいです。
それでも、食事は全体として見れば、最後まで気持ち良く食事が楽しめて、食材という意味でも、お店という意味でも、良い発見ができて、満足してお店を後にしてきました。
(いただいたもの)
ディナーコース(三種類のうちの真ん中のコース)
パン二種:フォカッチャ、バゲット
秋果
〜無花果 葡萄 柿〜
畑の風景 〜本日のバーニャカウダ〜
南瓜
〜クミン ミルクフォーム 南瓜の種〜
アカハタ
〜天然舞茸 里芋 茄子 レモングラス〜
山の実り
〜土佐和牛サーロイン 独活の花 薩摩芋〜
ウスバハギ 〜オリーブ バジル〜
梨
〜様々な梨と塩のメレンゲ ジャスミン〜
〆 〜桂月酒粕〜
Caffe(食後のお茶)
(以上の記載は、パン及び括弧内の記載以外、頂いたメニュー表を転載)
お酒(いずれもグラスワイン):
・ 食前酒:シャルドネ・ブリュット(トッレゼッラ)N.V(シャルドネ100%/イタリア・ヴェネト州)
・ 白ワイン:ピクプール・ド・ピネ(ドメーヌ・アザン)2019(ピクプール100%/フランス・ラングドック地方)
・ 白ワイン:リトル・イエリング・シャルドネ(イエリング・ステーション)2019(シャルドネ100%・オーストラリア・ビクトリア州)
・ 赤ワイン:ハンド・イン・ハンド・シュペートブルグンダー(マイヤー・ネーケル)2017(シュペートブルグンダー(ピノノワール)100%/ドイツ・バーデン地方)
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