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レストラン訪問記:神戸市(三宮駅)「アッシュ」(掲載のみ)

今はテレビでも御活躍華々しい山口浩シェフの総本山、神戸北野ホテルのメインダイニングにて夕食を頂いてきました。


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北野ホテル(昼の外観)

同シェフは、かつての「コートドール」(現「ルレ・ベルナール・ロワゾー」)で修業をされた、故ベルナール・ロワゾー氏の弟子筋に当たる方として有名です。


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北野ホテル(夜の外観)

ホテルは古い洋館風で、神戸らしさが感じられる北野異人館街付近の坂道の途中にある立地も含めて、昼も夜もいい雰囲気です。

店内は、手前にカジュアルダイニング、奥にガストロノミーゾーンと分かれていますが、その境界は曖昧でした。


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サルの様子

入店時の検温、手指消毒は時節柄分かるとしても、しばしの待ちの後、すぐに席に通されたのが少し解せませんでした。荷物を預かるのがまず最初でしょう。そこを飛ばされて、違和感を感じつつ座席へ座ります。上着は空いている椅子にかけざるを得ず、(自称?)グランドメゾンではありえない珍妙な光景が現出していました。こちらがサルまで持っていきますといって上着を預けなかったわけではないです。


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卓上の様子

卓上は、古式ゆかしいごたごたとカトラリーを盛り込んだ光景で、こういうセッティングになかなか最近出会うことがなかったので、逆に新鮮な思いでした。皮肉が多めに入っています。

食事が進むにつれて、こちらは、サービスの根本が少しずれていて、そのずれた独自のサービスの形が大切に代々承継されているのだということに気付かされました。

古めかしいサービスの在り方を否定するつもりはありませんが、サービスが客を活かすためのマナーだとすると、どうも客をないがしろにするサービスを平気でしている印象で、こちらの独特なサービスの在り方に否定的な思いしか湧きませんでした。

それでいて、サービス料は13%も徴収されます。正直、その数値に値するだけのサービスを受けたとは到底思えず、むしろハードルが上がっている分、大いに不満が募りました。

例えば、この日は例のごとくフランスレストランウィークの特別メニューを注文していたのですが、そこにはデフォルトで食前酒が組み込まれていたようでした。

得意げにそれを説明するサービスマン(おそらくソムリエ)に、その食前酒は何か問い、予想通り普通のスパークリングワインだったので、それを追加料金を払うのでシャンパンに換えられないかと交渉したところ、怪訝そうな、露骨に不服そうな表情を見せてきました。

一応その交渉を受けてくれたのですが、自分の言うことだけしか考えられていなくて余裕が全くない対応とはっきり感じられて、その態度に失望しました。

また、これは好みや趣味の話だと思いますが、卓上にフィンガーボウルが置かれていて、それもこれで指を洗って云々と言われたのですが、今時そんなもの大仰に要りますか、と思ってしまいました。おしぼり一本置いてくれればそれで十分ですし、そちらの方がスマートで良いです。大半の気の利いた店はおしぼりの提供になっています。

また、この日食事で使うカトラリーがあらかじめ全て置かれている古式ゆかしいサービスで、こちらもネガティブな方向に驚かされました。

さらに、たまに今風のサービスを少し取り入れているかなという場面があったにはあったのですが、しょぼいソースならわざわざテーブルでかけるパフォーマンスなどむしろやめた方が良いと思いました。

そして、最後の最後にまた不愉快な思いをさせてくれました。こちらが求めていないのに、サービスマンが会計票を勝手に持ってきて、こちらに一瞥もくれずに一方的にテーブルにさっと置いてそそくさと去っていったのでした。どういうことでしょうか。そうかと思えば、その後、支払おうとすると、サービスマンの誰もこちらをケアする様子がなく、全く寄りつかずにかなり長いこと放置されていました。ありえないでしょう。

お料理については、全般的に味つけがきちんとしていなかったり(味が全くしない焼き茄子)、料理とお皿が明らかに不整合であったり(スープといいつつ一口分くらいの量のスープを大きな平皿で提供)と、不満に感じることがあまりに多くあって、三つ星で修業したシェフが出す料理とはとても思えませんでした。

山口シェフはもうこの店の料理を手掛けていないし、ちゃんと献立作りに絡んでいないのだとはっきり分かりました。テレビに出て名前を売るのも良いですが、拠って立つべき総本山がしっかりしていないと、シェフとして存在する意味はもはやないのではないかと批判的に思ってしまいます。

また、細かいですが、チーズを追加で頂きたく思ってお願いしたのですが、この日はなんと用意がないとのことで食べることができませんでした。グランドメゾンを装いながら、チーズがないとはなんという体たらくと、この店のレベルをそんなところでも知ってしまったように思いました。


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メインの魚料理(鰆)

サービスについても、料理についてもかなり否定的なことを並べましたが、メインとして出されたお魚とお肉はそれぞれとても美味しかったです。ただ、魚料理はつけ合わせの食材も含めて完全に和食の焼き魚でした。


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メインの肉料理(神戸高見牛(黒毛和牛))

お肉については、燻製にしている点で、新潟の玉城屋旅館の夕食で頂いたのとほとんど同じお料理でしたが、こちらは神戸高見牛という黒毛和牛を使っていた分、国産牛を使っていた玉城屋さんのお料理と味の違いは歴然で、こちらの方が明らかに美味しくて、そこは満足しました。

ただ、独特な発展を遂げ、客を大切にしないのにべらぼうに高いサービス料をとるサービスや、質のばらつきが大きい安定しないお料理を考えると、再訪したいとはとても思えませんでした。

フランスレストランウィークの特別メニューはまだリーズナブルでしたが、本来ここのディナーはなかなかいい価格設定がされていますので、残念ながら食通からは見放されていく運命にあるお店だと認識しました。


(いただいたもの)

フランスレストランウィーク特別ディナーメニュー

飲物:
・ グラスシャンパーニュ(ボランジェ スペシャルキュベ N.M.)
・ グラスシャンパーニュ(ボランジェ PNVZ16(ブランドノワール) N.M.)
(→濃厚な味です。グラスも違いました。封切りというのも嬉しかったです。)
・ グラス白ワイン(AOCアルザス リースリング トリンバック 2019)
・ グラス赤ワイン(ボルドー シャトー・タイヤック キュベ・ルビィ 2017)
・ グラス甘口白ワイン(ミュスカドボームドヴニーズ シャプティエ 2018)


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お楽しみのアミューズ(栗のスープ トリュフソース)
(→ぬるい上、味がぼやけていました。また、既述ですが、スープというなら深い器に入れるべきでしょう。あるいは一口なら、現代ではカプチーノカップ一択でしょう。また、質問をしたところスタッフが明らかに間違った説明をしていました。サービス料をとれるレベルではないです。)


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サスティナブルシーフード(金目鯛のセモリナ粉フリット 焼き茄子)
(→焼き茄子は味がないです。焼き茄子はペーストにして香ばしさを抽出するからこそ意外性があるのであって、焼き茄子そのものを出すならちゃんと美味しく仕上げて欲しいです。このお料理で、一つ星は絶対に無理だと感じました。また、既述ですが、ソースが少ないのに、わざわざソースをもってきてかけるパフォーマンスをする意味が不明でした。)


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〜歴史〜丹波黒豆とフォアグラのガトー仕立て
(→ごちゃっとして全く美しくはないのですが、味は美味しいです。)

〜アルチザン〜さわらのコンフィ しっとりと仕上げた葱とご一緒に
(→「ねぎと生姜と低温調理のサワラ かぼす ネギと生姜出汁ダレ」です。これは和食の焼き魚ですが、低温調理のおかげでしっとりしていてとても美味しかったです。)


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〜大自然〜神戸高見牛・藁の香り
(→「高見牛 56℃で7時間 高見牧場の銀杏 里芋 壬生菜 山椒牛蒡」です。藁の燻した香りが良く、とても美味しく、大満足でした。これには、大して美味しくもないこざかしいつけ合わせより、グラタンドフィノワなどのポテトが欲しかったです。)


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デセール(フォンダンショコラ・ヴァローナ社のチョコレートアイス)


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パン/バター
(→パンは美味しいですし、温めて提供してくれました。バターはふのり入りの岩塩バターです。美味しいですが、バターのお代わりはありませんでした。)


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小菓子(青リンゴとハーブのムース)
(→工夫があり楽しいです。ただ、小菓子一つはさみしかったです。)

コーヒーまたは紅茶(乾燥のスペアミントティー)
(→フレッシュではないのは明らかでした。デセールの途中にお茶をもってくる独特のサービスが炸裂していました。やはり、ここはサービスが分かっていないのだなと改めて思いました。)

(以上の記載は、飲物と括弧内の記載以外、頂いたメニュー表を転載したものです。)






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Author:VV George VV

La marque "***", "**","*"
signifie des étoiles de
Michelin au moment de la
visite.

長期フランス滞在中、さる”グランドメゾン”(高級料亭)での午餐を契機に”ガストロノミー・フランセーズ”(フランス流美食)に開眼。
爾来、真の美食を求めて東奔西走の日々。

インスタグラム始めました!→https://www.instagram.com/george_gastro/

* お店の名前脇の★はミシュランガイドでの星による評価(訪問時のもの)に対応しています。

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