レストラン訪問記:芦屋市「GENTO」(未掲載)
こちらは2020年7月15日開店とのことで、ミシュラン兵庫2016特別版には当然のことながら掲載はなく、未掲載表記となります。
今回、フランスレストランウィークの最後の食事ということで、お料理は特別コースでした。前から行ってみたいとは思っていましたので、少しリーズナブルなコースでお試しできると思って訪問しました。

お店外観
ジャンル分けや、サービススタイル、料理の内容、順序からするとフランス料理店ということになるのでしょうが、食べ終わってみて、シェフの多彩な経験からか、枠にとらわれないお料理を出す印象でした。
今時、フレンチでも、和食といえるような料理を平気で出す時代ですから、枠にはめることにあまり意味は無いかもしれません。ここのお料理の特徴の一つを挙げると、全てのお野菜が兵庫県産というように、お野菜に力を入れているというところでしょうか。付け合わせにしても、それぞれの存在感があって、野菜が好きな方はそれだけでも来店する価値があるかもしれません。
例えば、魚料理に合わせられたアレクサンドラという茄子ですが、野菜自体の美味しさもさることながら、中身がとろりとするまできちんとした調理がされていて、とても美味しかったです。つい先日、「アッシュ」で魂の抜けたような、正直味のない焼き茄子もどきを食べさせられていたので、茄子の美味しさを改めて感じられる体験ができて嬉しかったです。
そのようなわけで、お料理は美味しいのですが、お一人でされていることもあってか、お料理が出てくるのが遅めの印象でした。時間に余裕がない方には向かないお店でしょう。また、それとも関連するかもしれませんが、熱々であればあるほど美味しいお料理も、かなり温度が下がった状態で出てきていて、美味しさの旬を逃している点で、店への評価はその点やや下がらざるをえませんでした。

テーブルセッティング
サービスは、おそらくマダムと思われる女性が一人でされていて、入店時から笑顔で、丁寧に接して下さり、とても感じが良く、好印象でした。
また、もう一組のお客さんが、マナーモードにせずにLineの通知音を何度も店内に響かせていたので、お願いして注意してもらいました。その応対もきちんとされていましたので、感謝でした。
また、ここでは、一人であっても、料理と料理の間にはマスク着用するように言われていて、感染防止への意識が高いお店だと、ここでも良い印象しかありません。
それにも関わらず、件の客はマスクもせず複数名で大声で会話をし続けていたので、マダムに注意されていました。自分たちが世界の中心にいるという世界観は分かりますが、もう少し社会性をもっていただきたいとものだと、客層の悪さに辟易しましたが、それでも一応客なので、あまり邪険にしすぎることができないのがお店の辛いところでしょう。お察しいたします。
良いサービスの中で、一つ残念だったのは、卓上の美しいテーブルクロス上に、最初とても目立たないとはいえ、何か砂糖のようなくずがほんの少し残っていたことでした。
この日のお料理は、小さな秋と冬の味覚が詰まったアミューズから始まりました。


アミューズ:相生産牡蠣 菊芋のピュレ 春菊のピュレ 神戸市西区産銀杏
さほど大きくはない牡蠣ですが、アミューズとして楽しんでもらうためでしょう、2つに切ってあります。こういうところにシェフの気配り、力量を感じます。お料理自体はほんのり温かみがあり、優しいお味です。これも和食といって良いでしょう。
今年の初牡蠣は、旬の銀杏と一緒になってきて、いい出会いとなりました。適度な少量といい、優しい味わいといい、アミューズとしてはとても良い出来でした。

淡路島産ツバス(ハマチの幼魚) 塩ゆで新落花生、丹波産黒豆枝豆他旬のお野菜と果実 葡萄(紫玉)と玉葱のソース
見た目がとても鮮やかで華やかな、ツバスを使った旬のお野菜のサラダです。葡萄と玉葱を使った紫色の甘めのソースが良い味です。柿などの果物も入っていて、にぎやかです。短い旬の塩茹で新落花生、これも今が旬の黒枝豆がうれしいです。お野菜は、それぞれにきちんとした調理がされていて歯応え含めて楽しめました。ツバスのほのかな脂分もまたサラダにはちょうどいい感じです。見た目の華やかさだけではなく、美味しさも存分に感じられて良い前菜でした。

明石産スズキのグリエ モンサンミッシェル産ムール貝と神戸市西区産紅花のソース ラタトゥイユ(魚の下) 神戸市西区産トマト(左奥) アレクサンドラ(茄子)(右奥)
焼いてから時間が経っているせいか、魚がやや冷めていたのは残念でした。皿も温められていませんでした。火入れはしっかりめにしてあり、普通に美味しいですが、最近「Uozen」でとびきりのお魚料理に会ったので、少し物足りなさを感じました。でも、これはこれでとても美味しいです。また、魚に切れ目が入れてあるのは親切で良いですね。魚の味付けは、やや塩気が強めです。
ソースやつけ合わせですが、ムール貝とサフランのソースが良い味を出していて、ラタトゥイユも美味しいです。トマトも神戸市西区産とのことで、フランス産ヴァージンオリーブオイルで48時間75度で火入れしたものとのことでした。すでに書きましたが、アレクサンドラという茄子(写真右奥)がトロトロで美味しかったです。

フランス・ヴァンデ産ホロホロ鳥 ハンガリー産五種の野生キノコ(アミガサダケ(モリーユ)、クロラッパタケ(トロンペット・デ・モール)、シバフタケ、アンズタケ(シャントレル)、セップ)のクリームソース ピンクドラゴン(じゃがいも)のピュレ シャドークイーン 甘唐辛子 モロッコいんげん 里芋 れんこん 根付きニンニク
こちらも、魚同様提供された時点で冷めていて残念でした。焼き目もいい具合について、お肉自体の火入れは良く、そのお味も良いだけに残念さが増します。添えられた野菜はそれぞれにいいお味でした。ソースも、野生の茸が効いているのでしょう、香りがよく、濃厚でとても美味しかったです。
ただ、お皿に傾斜があったせいで、強くお肉を切ろうとすると(身質の関係で多少力を入れる必要があります)、皿が傾いてしまって危なかった(中身がこぼれそうになる又は飛んでいきそうになる)です。おしゃれを狙っていたのでしょうが、ここは安定する平皿を選択して欲しかったです。
ここまでパンの提供がありませんでしたが、メインのお肉料理の段階に至って初めてパンが提供されました。これは一般的なサービスではないので残念でした。この日のメニューであれば、ツバスのサラダの段階から提供するのが普通でしょう。

パン(加古川産全粒粉使用)
パンは、加古川産全粒粉を使用したというパンでした。バター、オリーブオイルなどありませんでしたが、本物志向のパンは、玉城屋で頂いたハイジの白パンの対極にあるいわゆる玄米パンで、味は好みなのですが、やや乾燥した食感なので、その点からもバターかオリーブオイルは欲しかったです。

丹波産黒豆のアイスクリーム 三田産ほうじ茶、シナモン、カルダモンのアイスクリーム 神戸市西区産シャインマスカット 水抜き丹波産ヨーグルト
アイスクリームが主体のデセールは、こくが感じられながらも、冷たくてさっぱりするので大好きなのですが、この日のデセールも、爽やかで美味しく、アイスクリームも、フルーツも、ヨーグルトもどれも好きでした。丹波産黒豆に郷土色が感じられます。アイスクリームの玉子と牛乳も丹波産とのことでした。

食後のお茶:レモンティー
小菓子:フランス産ラズベリーとドミニク共和国産カカオのミニタルト
ここでもハーブティーについて尋ねましたが、好みのフレーバーがなかったので、紅茶でお願いしました。最近訪れた「シェローズ」のレモンティーでもそうでしたが、ここのレモンも明らかに市場に多く出回っている輸入物のレモンではありません。そういう意識の高さが好きです。小菓子は一つと寂しいですが、きちんと作られた一品で、美味しいので満足でした。
お店を出る段になって、それまで厨房にいらしたシェフが急にこちらに結構なスピードで近寄ってきたので、ちょっと驚きましたが、そのままマダムと二人でお見送りをしてくれました。
店内も簡素ながら現代風で落ち着く空間で、料理は安定して美味しく、サービスもとても気持ちが良かったので、また機会があれば是非訪れたいと思います。
(いただいたもの)
フランスレストランウィーク特別ランチメニュー
淡路島産ツバス
明石産スズキ
フランス産ホロホロ鳥、ルーマニア産野生キノコ色々
全粒粉パン
神戸市西区産シャインマスカット
三田産ほうじ茶、シナモン、カルダモン
丹波産黒豆、ヨーグルト
食後のお茶(レモンティー)
フランス産ラズベリー、ドミニカ共和国産カカオ
(以上の記載は、パンと食後のお茶の部分以外、頂いたメニュー表を転載したものです。)
今回、フランスレストランウィークの最後の食事ということで、お料理は特別コースでした。前から行ってみたいとは思っていましたので、少しリーズナブルなコースでお試しできると思って訪問しました。

お店外観
ジャンル分けや、サービススタイル、料理の内容、順序からするとフランス料理店ということになるのでしょうが、食べ終わってみて、シェフの多彩な経験からか、枠にとらわれないお料理を出す印象でした。
今時、フレンチでも、和食といえるような料理を平気で出す時代ですから、枠にはめることにあまり意味は無いかもしれません。ここのお料理の特徴の一つを挙げると、全てのお野菜が兵庫県産というように、お野菜に力を入れているというところでしょうか。付け合わせにしても、それぞれの存在感があって、野菜が好きな方はそれだけでも来店する価値があるかもしれません。
例えば、魚料理に合わせられたアレクサンドラという茄子ですが、野菜自体の美味しさもさることながら、中身がとろりとするまできちんとした調理がされていて、とても美味しかったです。つい先日、「アッシュ」で魂の抜けたような、正直味のない焼き茄子もどきを食べさせられていたので、茄子の美味しさを改めて感じられる体験ができて嬉しかったです。
そのようなわけで、お料理は美味しいのですが、お一人でされていることもあってか、お料理が出てくるのが遅めの印象でした。時間に余裕がない方には向かないお店でしょう。また、それとも関連するかもしれませんが、熱々であればあるほど美味しいお料理も、かなり温度が下がった状態で出てきていて、美味しさの旬を逃している点で、店への評価はその点やや下がらざるをえませんでした。

テーブルセッティング
サービスは、おそらくマダムと思われる女性が一人でされていて、入店時から笑顔で、丁寧に接して下さり、とても感じが良く、好印象でした。
また、もう一組のお客さんが、マナーモードにせずにLineの通知音を何度も店内に響かせていたので、お願いして注意してもらいました。その応対もきちんとされていましたので、感謝でした。
また、ここでは、一人であっても、料理と料理の間にはマスク着用するように言われていて、感染防止への意識が高いお店だと、ここでも良い印象しかありません。
それにも関わらず、件の客はマスクもせず複数名で大声で会話をし続けていたので、マダムに注意されていました。自分たちが世界の中心にいるという世界観は分かりますが、もう少し社会性をもっていただきたいとものだと、客層の悪さに辟易しましたが、それでも一応客なので、あまり邪険にしすぎることができないのがお店の辛いところでしょう。お察しいたします。
良いサービスの中で、一つ残念だったのは、卓上の美しいテーブルクロス上に、最初とても目立たないとはいえ、何か砂糖のようなくずがほんの少し残っていたことでした。
この日のお料理は、小さな秋と冬の味覚が詰まったアミューズから始まりました。


アミューズ:相生産牡蠣 菊芋のピュレ 春菊のピュレ 神戸市西区産銀杏
さほど大きくはない牡蠣ですが、アミューズとして楽しんでもらうためでしょう、2つに切ってあります。こういうところにシェフの気配り、力量を感じます。お料理自体はほんのり温かみがあり、優しいお味です。これも和食といって良いでしょう。
今年の初牡蠣は、旬の銀杏と一緒になってきて、いい出会いとなりました。適度な少量といい、優しい味わいといい、アミューズとしてはとても良い出来でした。

淡路島産ツバス(ハマチの幼魚) 塩ゆで新落花生、丹波産黒豆枝豆他旬のお野菜と果実 葡萄(紫玉)と玉葱のソース
見た目がとても鮮やかで華やかな、ツバスを使った旬のお野菜のサラダです。葡萄と玉葱を使った紫色の甘めのソースが良い味です。柿などの果物も入っていて、にぎやかです。短い旬の塩茹で新落花生、これも今が旬の黒枝豆がうれしいです。お野菜は、それぞれにきちんとした調理がされていて歯応え含めて楽しめました。ツバスのほのかな脂分もまたサラダにはちょうどいい感じです。見た目の華やかさだけではなく、美味しさも存分に感じられて良い前菜でした。

明石産スズキのグリエ モンサンミッシェル産ムール貝と神戸市西区産紅花のソース ラタトゥイユ(魚の下) 神戸市西区産トマト(左奥) アレクサンドラ(茄子)(右奥)
焼いてから時間が経っているせいか、魚がやや冷めていたのは残念でした。皿も温められていませんでした。火入れはしっかりめにしてあり、普通に美味しいですが、最近「Uozen」でとびきりのお魚料理に会ったので、少し物足りなさを感じました。でも、これはこれでとても美味しいです。また、魚に切れ目が入れてあるのは親切で良いですね。魚の味付けは、やや塩気が強めです。
ソースやつけ合わせですが、ムール貝とサフランのソースが良い味を出していて、ラタトゥイユも美味しいです。トマトも神戸市西区産とのことで、フランス産ヴァージンオリーブオイルで48時間75度で火入れしたものとのことでした。すでに書きましたが、アレクサンドラという茄子(写真右奥)がトロトロで美味しかったです。

フランス・ヴァンデ産ホロホロ鳥 ハンガリー産五種の野生キノコ(アミガサダケ(モリーユ)、クロラッパタケ(トロンペット・デ・モール)、シバフタケ、アンズタケ(シャントレル)、セップ)のクリームソース ピンクドラゴン(じゃがいも)のピュレ シャドークイーン 甘唐辛子 モロッコいんげん 里芋 れんこん 根付きニンニク
こちらも、魚同様提供された時点で冷めていて残念でした。焼き目もいい具合について、お肉自体の火入れは良く、そのお味も良いだけに残念さが増します。添えられた野菜はそれぞれにいいお味でした。ソースも、野生の茸が効いているのでしょう、香りがよく、濃厚でとても美味しかったです。
ただ、お皿に傾斜があったせいで、強くお肉を切ろうとすると(身質の関係で多少力を入れる必要があります)、皿が傾いてしまって危なかった(中身がこぼれそうになる又は飛んでいきそうになる)です。おしゃれを狙っていたのでしょうが、ここは安定する平皿を選択して欲しかったです。
ここまでパンの提供がありませんでしたが、メインのお肉料理の段階に至って初めてパンが提供されました。これは一般的なサービスではないので残念でした。この日のメニューであれば、ツバスのサラダの段階から提供するのが普通でしょう。

パン(加古川産全粒粉使用)
パンは、加古川産全粒粉を使用したというパンでした。バター、オリーブオイルなどありませんでしたが、本物志向のパンは、玉城屋で頂いたハイジの白パンの対極にあるいわゆる玄米パンで、味は好みなのですが、やや乾燥した食感なので、その点からもバターかオリーブオイルは欲しかったです。

丹波産黒豆のアイスクリーム 三田産ほうじ茶、シナモン、カルダモンのアイスクリーム 神戸市西区産シャインマスカット 水抜き丹波産ヨーグルト
アイスクリームが主体のデセールは、こくが感じられながらも、冷たくてさっぱりするので大好きなのですが、この日のデセールも、爽やかで美味しく、アイスクリームも、フルーツも、ヨーグルトもどれも好きでした。丹波産黒豆に郷土色が感じられます。アイスクリームの玉子と牛乳も丹波産とのことでした。

食後のお茶:レモンティー
小菓子:フランス産ラズベリーとドミニク共和国産カカオのミニタルト
ここでもハーブティーについて尋ねましたが、好みのフレーバーがなかったので、紅茶でお願いしました。最近訪れた「シェローズ」のレモンティーでもそうでしたが、ここのレモンも明らかに市場に多く出回っている輸入物のレモンではありません。そういう意識の高さが好きです。小菓子は一つと寂しいですが、きちんと作られた一品で、美味しいので満足でした。
お店を出る段になって、それまで厨房にいらしたシェフが急にこちらに結構なスピードで近寄ってきたので、ちょっと驚きましたが、そのままマダムと二人でお見送りをしてくれました。
店内も簡素ながら現代風で落ち着く空間で、料理は安定して美味しく、サービスもとても気持ちが良かったので、また機会があれば是非訪れたいと思います。
(いただいたもの)
フランスレストランウィーク特別ランチメニュー
淡路島産ツバス
明石産スズキ
フランス産ホロホロ鳥、ルーマニア産野生キノコ色々
全粒粉パン
神戸市西区産シャインマスカット
三田産ほうじ茶、シナモン、カルダモン
丹波産黒豆、ヨーグルト
食後のお茶(レモンティー)
フランス産ラズベリー、ドミニカ共和国産カカオ
(以上の記載は、パンと食後のお茶の部分以外、頂いたメニュー表を転載したものです。)
- 関連記事
-
- レストラン訪問記:和歌山市「オテル・ド・ヨシノ」(★)
- レストラン訪問記:芦屋市「GENTO」(未掲載)
- レストラン訪問記:神戸市(三宮駅)「アッシュ」(掲載のみ)