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レストラン訪問記:和歌山市(紀和駅)「季節料理 八百亀」(★)

今年のミシュランの関西版は和歌山が特別版掲載とのことで、一つ星と認定され、新たに星が輝いたこちらの割烹店に伺ってきました。

ミシュランの評価対象になる前から予定されていた旅でしたが、せっかくなので美味しいものをと思い、予定が決まっていなかった夕食をこちらでとるべく、ミシュランの評価が出た直後に予約をお願いしてありました。


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お店外観

店内に入ると胡蝶蘭が置かれていて、ミシュランでの星獲得のお祝いということがすぐに分かります。カウンターの奥にも、贈られたと思しきお酒などが並んでいました。

この日のお客さんの会話もミシュランの星に関するものがちらほら聞かれて、まだ星獲得の熱気が冷めやらぬ中、という感じでした。

店主と奥様が調理をされていて、娘さんが給仕をするなど、家族ぐるみでの応接は気持ち良いものでしたし、皆さん感じが良くて、楽しい時間が過ごせる場所と思いました。

ただ私にとっては違和感を感じる部分がいくつかって、常連さんになるとまた違うのでしょうが、一旅行者としている限りは、再訪はないかなと思っていました。

まず、おしぼりが袋入りのもので、とても残念で、もったいないと思ってしまいました。経営の合理化という点からするとこれも一つの選択なのでしょうが、この小さなこと一つとってもお店の品格に関わることだと思います。再考されて、元の布のおしぼりに戻した方がよいと思います。

また、途中、お酒がなくなったタイミングで、追加を頼もうとしましたが、客席の方に誰も出てこず、10分以上も放置される時間がありました。あまりに長すぎます。その間、お造りがずっと手つかずなままで、どんどん乾燥して味が落ちていっていたわけですし、ここで私の食が進まないがために、時間的余裕ができて、本来なら私に割かれるはずの時間が、別の客のアラカルト注文の調理などに割かれてしまい、こちらはその調理のせいでさらに待たされるという悪循環が見事に発生してしまって、その犠牲になってしまいました。サービスの方が1人は常に客席側にいて欲しいものだと思います。

また、お料理ですが、良い面もありましたが、正直いって一万円という値段に見合うパフォーマンスは全く見られませんでした。

中でも、一番気になったのは、名物の名月豆腐のお椀に入っていた松茸が中国産だったことでした。

お店のホームページなど拝見すると、その時の良いものを仕入れて提供するとのことでした。果たしてこの時期に中国産松茸が最高の食材といえるのだろうかと大いに疑問でした。それでも、そこで出された松茸が美味しかったらまだ救いはあった(看板に偽りなし)でしょうが、そんなはずもなく、生で入れられていたその松茸は若干腐敗臭のような香りを放っていて、とても上質とはえいない代物でした。

松茸が入っていれば、何となく格好がつく、という程度の考えで、この松茸を使っていたのだとしたら、店の信頼を相当落とすことになる軽はずみな選択だったと思います。

食材の名前にだけ頼って、客が勝手に作り出す良い方のイメージに何となく乗っかっているような皮相な料理を出す店として、ここはないなとはっきり思ってしまいました。

それなら、無名でも、和歌山の山で採れた天然茸を提供してくれた方が、よほどお店の印象が良かったです。


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お造り(1):クエ レモン醤油 醤油


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お造り(2)(左下から時計回りに):白甘鯛、アオリイカ、メバチマグロ、鰹

普通の醤油とレモン醤油が提供されます。後者は悪くないです。山葵は質が良く、品がありました。二回に分けて提供されたお造りはいずれもとても良かったです。

ただ、焼き魚、寿司で太刀魚にかますって、この時期の旬で、それなりに美味しいお魚であったとしても、この価格で出すお魚かと少し疑問に思いました。

また、先ほど述べたように、料理のテンポが良くないことも相まって、その点で再訪は厳しいとの判断になりました。また、生ビールはこれまであまり出なかったとはいえ、これからは用意が必須でしょう。


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頂いたお赤飯

ただ、最後、お見送りをいただいた後に、女将さんが、ミシュランの星獲得記念と思われるお赤飯を走って持ってきてくださったのは、とても感じが良くて、有り難いことでした。翌朝、美味しく頂きました。


(いただいたもの)

おまかせコース
(以前あった安価な会席コースはミシュラン掲載と共になくなってしまいました…)


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先付け:帆立とアボカドの筑紫昆布巻き
(→旨味(昆布)と油分(フライドポテト)で幸せになれます。それでいてぬるっとした面白い食感もあったりして、意外性があって、楽しめました。酒のあてに最適でした。ただ、帆立の存在感がほぼ感じられませんでした。懐石料理では出ない皿でしょうが、でも面白かったです。)


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お椀 松茸と明月豆腐
(→松茸が中国産でした。スッポンの出汁を使っているせいで、味が濃厚だが、濁った汁という感じで、個人的には過剰に感じていました。名物という名月豆腐はただの平凡な玉子豆腐にすぎません。)

お造り(1):クエ レモン醤油 醤油

お造り(2)(左下から時計回りに):白甘鯛、アオリイカ、メバチマグロ、鰹


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焼き物:太刀魚のグランニスミス(リンゴ)巻き 銀杏 山クラゲ 梅 ほうれん草のおひたし 柿生ハム
(→グランニスミスが酸味、甘味を加える趣向でした。メインの魚が太刀魚というだけでテンションが下がります。)


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酢の物:毛蟹
そもそも大して美味しいとも思えない毛蟹であった上、さんざん待たされすぎてお腹一杯になってしまっていたことから、全く美味しく食べられませんでした。また、明らかに和歌山の産ではない食材を使っている点でも、やはり印象が良くないです。


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お食事
(→カマスは残念ですが、味は美味しいです。でも間延び問題が後を引いていて、残念な結末でした。また、個人的にはバーナーで炙るのは好きではありません。価格や手間などから無理かもしれませんが、一定の格式のお店なら、そこは炭を使って欲しいのです。)


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デザート(左下から):シャインマスカット、あんこ入り最中、胡麻のブランマンジェ、わらび餅
(→デザートは満足度高いです。胡麻のブランマンジェが繊細で良い味でした。また、最中はサックサクで、甘さ控えめのあんこが良かったです。)


飲物
・ ハートランドビール(瓶)


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・ 日本酒三種飲み比べ(左から;いずれも純米吟醸酒):龍神丸、雑賀、紀土
(→今回は和歌山の地酒で揃えてもらいました。リクエストに応じて三種を組んでくれます。そういう臨機応変なところはこのお店の良いところでしょう。)





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Author:VV George VV

La marque "***", "**","*"
signifie des étoiles de
Michelin au moment de la
visite.

長期フランス滞在中、さる”グランドメゾン”(高級料亭)での午餐を契機に”ガストロノミー・フランセーズ”(フランス流美食)に開眼。
爾来、真の美食を求めて東奔西走の日々。

インスタグラム始めました!→https://www.instagram.com/george_gastro/

* お店の名前脇の★はミシュランガイドでの星による評価(訪問時のもの)に対応しています。

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