レストラン訪問記:京都市左京区「草じき なかひがし」(★★)
前回こちらに伺った際に、主のおもてなしの心に感激し、それから再訪まで8年余の月日が経ってしまいました。

入口の様子
コロナのためでしょう、厨房とカウンターの間にアクリルの仕切りが入っていたり、携帯用空気清浄機を首から提げることを要請されたりと変化がありましたが、お皿の上には変わらず魅力的な京都の自然の恵みが健在で、心洗われる思いでした。
ただ、前回はあれやこれやと声を掛けてくださった中東さん、今回は少し距離を感じる接客で、そこは残念というより、前回良い思い出になっただけに、少しさみしかったです。それでも、最後には少しお話することができて、ほぼ最後の客になっていたこともあり、店外に出てくださって、年越しの言葉とともにお見送りをしていただきました。
8年前にはもう少し詰めて客が座っていた記憶でしたが、座席の間に少し余裕がありました。やはりコロナの影響でしょう。
また、前回にはなかった、自然薯とからすみのTKG(玉子かけご飯)が、追加料金(1000)ありのオプションとして提案されていて、せっかくなので乗ってみましたが、これが大正解でした。南魚沼のコシヒカリにあぐらをかいた工夫のない新潟「鍋茶屋 光琳」のTKGとは比べものにならない美味しさでした。それぞれの素材の良さがいい具合に引き立て合っていました。

カウンターから見える食事開始前の厨房の様子
今回は脇から料理を仕上げる姿を見られる、ある意味特等席に座ることができて、その意味でも楽しい体験でした。

まずはお茶のおもてなし
この日は同業(飲食関係ではないです)の先輩とご一緒させていただきましたが、とても喜んでくださって、京都在住の先輩もリピート確実という感じでした。
前に来た時にはあまり厳密に知らされていませんでしたが(そもそもそのような制度があったのか分かりません)、一度来た客については、5か月先まで予約ができるということでした。仕組みについては、どうぞ訪問時に中東さんから直接教えてもらってください。



八寸:(左上から時計回りに)カボチャと小豆 赤カブの絞り汁 カイワレ、ブロッコリとカリフラワー 諏訪の氷餅パウダー(雪に見立てて)、黒豆のから煎り、きんとん 銀杏 クワイ煎餅、アジメドジョウ、(真ん中)鹿肉の林檎サンド



強肴:新米の餅米と猪の燻製 零余子(むかご) 辛味大根
(→かすかな脂分を小腹に効く御飯と共に頂けて尊く感じました。)


お椀:白味噌 天然なめ茸 日野菜大根 日野菜の葉
(→寒い季節に入っていますので、体が温まる素晴らしいお椀でした。)


焼き物:新巻鮭燻製酒粕醤油漬け 大原産下仁田葱 蜜柑ジャム焼き 引き上げ生湯葉 サツマイモ レンコン 紫芋 餅米素揚げ
(→酒粕を使ったりしている分、鮭もお酒の香りがして独特の風味です。)



お造り:鯉(身・皮・鱗)の洗い 辛味大根 自然薯 岩魚の玉子 ラディッシュ 野蒜他
(→鯉は通年使用されているとのことですが、寒さが増して脂が乗っているとのことでした。これらを全てしっかり混ぜて頂く趣向で、混ぜれば混ぜるほど美味しくなるとのことでした。自然薯の粘り強いこと、混ぜるのに苦労します。)



炊き合わせ:聖護院大根 金時人参 堀川ゴボウ 壬生菜 海老芋素揚げ(虎柄) 柚子味噌 ふろふき ワラビの葉をしいて
(→こちらには出汁は使っておらず野菜の旨味だけが出た残り汁をスープとして最後に奥の杯に入れて飲むという趣向でした。)

お浸し:杓子菜
(→関東では小松菜、広島では広島菜というとのことでした。)

煮えばな

あけびの油炒め 小さな炒め物 香の物

あけびの皮と身の白味噌油炒め

香の物

小さな炒め物(根菜類、こんにゃく、大豆、紅芯大根の炒め物)

御飯とめざし 炒め物二品 香の物

おこげ

YKTKG(自然薯とからすみ入り玉子かけ御飯)

ニューヨーク(お粥仕立て)
お食事:御飯(煮えばな・白い御飯・おこげ・YKTKG・ニューヨーク) めざし 香の物 小さな炒め物(根菜類、こんにゃく、大豆、紅芯大根の炒め物) あけびの皮と身の白味噌油炒め
(→御飯は、煮えばなは一口だけ、できあがりのタイミングで出されます。その後、普通の御飯を頂いてから、おこげ、YKTKG(自然薯とからすみ入り玉子かけ御飯)、ニューヨーク(お粥仕立て)と様々な変化形を頂けて贅沢です。)
さりげない小さな一皿に、とてつもない価値がある料理や食材があったりして、それについて特に主張しすぎることもなく、さりげなく出してくださるその姿勢が好きです。
個人的には、新潟の「玉城屋旅館」の夕食で出されながらその使い方が今ひとつで満足をさせてもらえなかったあけびが、ここではまさにあけびの真価を味わえる形でお料理になって出てきていて、今年の新潟での忘れ物を京都で取り戻したような気持ちになりました。
さりげなく、地味で、少量で目立たないお皿でしたが、これを出せるお店がどれくらいあるのかというと、おそらくほとんどないはずで、そう考えると、やはりとても貴重なお店なのだとしみじみ思うわけです。個人的な感傷に過ぎないとは分かりつつ書かずにはいられませんでした。

水菓子:洋梨 干し柿 まめがき 柿 キウイ 人参の葉のシャーベットと冬苺
(→クリスマス前ということで、サンタクロースを意識したものとのことでした。)
お昼のコースは基本的にみな同じ内容で、値段が高いコースは、最後にお肉や魚などの焼き物が一品入るという違いがあるだけとのことでした。
今回は、寒い季節にふさわしいお料理、食材をもっておもてなしいただき、最後のお食事の数々の鉄板ネタも全てしっかりご披露いただいて、今回も最後まで楽しい時間を過ごすことができました。
こちらには季節を変えてまた寄らせていただきたいと強く思いつつ、帰宅いたしました。
(いただいたもの)
お昼のコース(焼き物なし)8800
八寸
強肴(猪の燻製御飯)
お椀(白味噌)
焼き物(鮭)
お造り(鯉の洗い)
炊き合わせ(根菜類各種)
お浸し(杓子菜)
お食事:御飯(煮えばな・白い御飯・おこげ・YKTKG・ニューヨーク) 香の物 小鉢二品
水菓子(季節の果物と人参の葉のシャーベット)
飲み物:お番茶

入口の様子
コロナのためでしょう、厨房とカウンターの間にアクリルの仕切りが入っていたり、携帯用空気清浄機を首から提げることを要請されたりと変化がありましたが、お皿の上には変わらず魅力的な京都の自然の恵みが健在で、心洗われる思いでした。
ただ、前回はあれやこれやと声を掛けてくださった中東さん、今回は少し距離を感じる接客で、そこは残念というより、前回良い思い出になっただけに、少しさみしかったです。それでも、最後には少しお話することができて、ほぼ最後の客になっていたこともあり、店外に出てくださって、年越しの言葉とともにお見送りをしていただきました。
8年前にはもう少し詰めて客が座っていた記憶でしたが、座席の間に少し余裕がありました。やはりコロナの影響でしょう。
また、前回にはなかった、自然薯とからすみのTKG(玉子かけご飯)が、追加料金(1000)ありのオプションとして提案されていて、せっかくなので乗ってみましたが、これが大正解でした。南魚沼のコシヒカリにあぐらをかいた工夫のない新潟「鍋茶屋 光琳」のTKGとは比べものにならない美味しさでした。それぞれの素材の良さがいい具合に引き立て合っていました。

カウンターから見える食事開始前の厨房の様子
今回は脇から料理を仕上げる姿を見られる、ある意味特等席に座ることができて、その意味でも楽しい体験でした。

まずはお茶のおもてなし
この日は同業(飲食関係ではないです)の先輩とご一緒させていただきましたが、とても喜んでくださって、京都在住の先輩もリピート確実という感じでした。
前に来た時にはあまり厳密に知らされていませんでしたが(そもそもそのような制度があったのか分かりません)、一度来た客については、5か月先まで予約ができるということでした。仕組みについては、どうぞ訪問時に中東さんから直接教えてもらってください。



八寸:(左上から時計回りに)カボチャと小豆 赤カブの絞り汁 カイワレ、ブロッコリとカリフラワー 諏訪の氷餅パウダー(雪に見立てて)、黒豆のから煎り、きんとん 銀杏 クワイ煎餅、アジメドジョウ、(真ん中)鹿肉の林檎サンド



強肴:新米の餅米と猪の燻製 零余子(むかご) 辛味大根
(→かすかな脂分を小腹に効く御飯と共に頂けて尊く感じました。)


お椀:白味噌 天然なめ茸 日野菜大根 日野菜の葉
(→寒い季節に入っていますので、体が温まる素晴らしいお椀でした。)


焼き物:新巻鮭燻製酒粕醤油漬け 大原産下仁田葱 蜜柑ジャム焼き 引き上げ生湯葉 サツマイモ レンコン 紫芋 餅米素揚げ
(→酒粕を使ったりしている分、鮭もお酒の香りがして独特の風味です。)



お造り:鯉(身・皮・鱗)の洗い 辛味大根 自然薯 岩魚の玉子 ラディッシュ 野蒜他
(→鯉は通年使用されているとのことですが、寒さが増して脂が乗っているとのことでした。これらを全てしっかり混ぜて頂く趣向で、混ぜれば混ぜるほど美味しくなるとのことでした。自然薯の粘り強いこと、混ぜるのに苦労します。)



炊き合わせ:聖護院大根 金時人参 堀川ゴボウ 壬生菜 海老芋素揚げ(虎柄) 柚子味噌 ふろふき ワラビの葉をしいて
(→こちらには出汁は使っておらず野菜の旨味だけが出た残り汁をスープとして最後に奥の杯に入れて飲むという趣向でした。)

お浸し:杓子菜
(→関東では小松菜、広島では広島菜というとのことでした。)

煮えばな

あけびの油炒め 小さな炒め物 香の物

あけびの皮と身の白味噌油炒め

香の物

小さな炒め物(根菜類、こんにゃく、大豆、紅芯大根の炒め物)

御飯とめざし 炒め物二品 香の物

おこげ

YKTKG(自然薯とからすみ入り玉子かけ御飯)

ニューヨーク(お粥仕立て)
お食事:御飯(煮えばな・白い御飯・おこげ・YKTKG・ニューヨーク) めざし 香の物 小さな炒め物(根菜類、こんにゃく、大豆、紅芯大根の炒め物) あけびの皮と身の白味噌油炒め
(→御飯は、煮えばなは一口だけ、できあがりのタイミングで出されます。その後、普通の御飯を頂いてから、おこげ、YKTKG(自然薯とからすみ入り玉子かけ御飯)、ニューヨーク(お粥仕立て)と様々な変化形を頂けて贅沢です。)
さりげない小さな一皿に、とてつもない価値がある料理や食材があったりして、それについて特に主張しすぎることもなく、さりげなく出してくださるその姿勢が好きです。
個人的には、新潟の「玉城屋旅館」の夕食で出されながらその使い方が今ひとつで満足をさせてもらえなかったあけびが、ここではまさにあけびの真価を味わえる形でお料理になって出てきていて、今年の新潟での忘れ物を京都で取り戻したような気持ちになりました。
さりげなく、地味で、少量で目立たないお皿でしたが、これを出せるお店がどれくらいあるのかというと、おそらくほとんどないはずで、そう考えると、やはりとても貴重なお店なのだとしみじみ思うわけです。個人的な感傷に過ぎないとは分かりつつ書かずにはいられませんでした。

水菓子:洋梨 干し柿 まめがき 柿 キウイ 人参の葉のシャーベットと冬苺
(→クリスマス前ということで、サンタクロースを意識したものとのことでした。)
お昼のコースは基本的にみな同じ内容で、値段が高いコースは、最後にお肉や魚などの焼き物が一品入るという違いがあるだけとのことでした。
今回は、寒い季節にふさわしいお料理、食材をもっておもてなしいただき、最後のお食事の数々の鉄板ネタも全てしっかりご披露いただいて、今回も最後まで楽しい時間を過ごすことができました。
こちらには季節を変えてまた寄らせていただきたいと強く思いつつ、帰宅いたしました。
(いただいたもの)
お昼のコース(焼き物なし)8800
八寸
強肴(猪の燻製御飯)
お椀(白味噌)
焼き物(鮭)
お造り(鯉の洗い)
炊き合わせ(根菜類各種)
お浸し(杓子菜)
お食事:御飯(煮えばな・白い御飯・おこげ・YKTKG・ニューヨーク) 香の物 小鉢二品
水菓子(季節の果物と人参の葉のシャーベット)
飲み物:お番茶
- 関連記事
-
- レストラン訪問記:奈良市「而今」(未掲載)
- レストラン訪問記:京都市左京区「草じき なかひがし」(★★)
- レストラン訪問記:西宮市(甲陽園駅)「子孫」(★★★)