レストラン訪問記:大阪・西区靱本町「ディファランス」(★)

昨年3月の訪問でした。外観から分かるように、店内は鰻の寝床状で狭いのですが、照明を落としていて落ち着いており、雰囲気は良いです。
サービスはどうでしょう。出迎えは不合格でした。こちらが名前を告げてるのにそれを無視してあくまで自分のルーチンをやり遂げようとする若いサービスマン。まだサービスのレベルに達していないとしか言えないです。
また、ソムリエあるいはメートルどちらなのでしょうか、客が一度聞き返したくらいで、ストレスを感じたような反応するのはいただけませんね。初めて店に来る人の方が多いくらいでしょうから、勝手が分からない分聞き返すことも多くなります。そんなことは日常茶飯事で、人を相手にする仕事なのですから慣れなければいけないでしょう。
サービスに苦言を呈しましたが、今時5900円(訪問当時)で前菜が5皿並び魚、肉とメインが両方出てきて、素晴らしいパフォーマンスでした。季節食材をふんだんに出してくれていて、それもまたプラス評価です。
料理については、ハーブ使いに個性があり、好き嫌いが分かれるかもしれません。ただこれがシェフの個性ということなら、無個性よりははるかに良いことだとは思います。
ただ、サービスの話に戻ると、サービスマンの手(腕)がテーブルに置かれた料理の上にかかる場面が二度もありました。おそらく意識がないのでしょう。またプロのサービスを学んだことがない。これを読んで何にだめ出ししているのか理解できない人もいるかもしれませんが、そういう人はサービスの仕事辞めた方がいいと思います。厨房から物理的に料理をテーブルに運ぶだけがサービスの仕事ではないです。

飲み物ですが、この日は個人的な事情でお酒を頂けない日でしたが、御覧のとおり、ノンアルコールドリンクの選択肢が多くて楽しめました。お酒が提供できない間にシェフが苦心したのでしょうが、大した用意がないお店よりははるかに良いと思いました。

ノンアルコールドリンク:パイナップルとレモングラス
甘いですが美味しいです。刺さっている棒がレモングラスになります。食前にぴったりでした。果肉がたっぷりで充実していて、そこにはサービス精神を感じました。氷を全て溶かしてもまだ甘さが残っていて二度楽しめました。

ノンアルコールドリンク:キウイとミント
こちらは甘さ控えめでした。ミントが入っているのが嬉しかったです。爽やかな飲み物で食中にぴったりでした。実は甘い部分があり、下の方に沈殿していました。


前菜1:山菜 昆布出汁よもぎ茶
クレープは塩味が強めでした。揚げてあるためこくがあり美味しいです。食べにくかったですが、なんとか巻いて一口でいきました。出汁 は味が濃いめで香り良く、苦い感じでした。


前菜2:フォアグラクリームのミルフィーユ 苺のマリネ
花山椒の新芽が新鮮でした。初めて食べたかもしれません。コーヒーの香るソースは甘くて良いです。赤ワインやハーブなどとマリネした苺とフォアグラのクリームがいいマッチングでした。ミルフィーユは食べにくいので、クリームをそれだけ少し味わってから一口で食べました。おそらくこれが正解の食べ方だったと思いました。


前菜3:鱒
鱒は真空調理で半生でした。普通に美味しいです。少し色々な味がしすぎにも感じましたが、しまらっきょやフェンネルなどハーブが味のアクセントになっていて楽しめました。フェンネルのアイスがあり、冷温のコントラストもまた良かったです。

ここからパンが提供されました。バターもあり素晴らしいですね。
パンはバゲットで温めて提供されました。バターは無塩でしたが香りが良くて美味しいです。岩塩も添えられていたので不服はありませんでした。


前菜4:蛍烏賊
旬の食材が嬉しいです。ただ少しピリ辛で刺激が強めです。金柑の皮があるため甘味や独特の苦味が強調されていて、菜の花のピリ辛と相まって添えられていた筍をあまり楽しめませんでした。鴨の生ハムについては最後まで良く分かりませんでした。


前菜5:アスパラガス
国産白アスパラガスです。良い加減に焼いてあってシャキシャキ感がありました。新じゃがいも、ミートソースでアスパラガスを食べたのは初めてかもしれません。ラギオールナイフを出してくれるあたりに、センス感じます。

メイン魚料理:真鯛
皿を熱々にして提供してくれていて、それは素晴らしいです。
鳥出汁ベースの赤ワインソースでした。ここでもラギオールナイフでした。最近はナイフすら出さない(スプーンで魚を切れという店多いです)怠惰なお店が増えているので、これは奇跡的と言えるかもしれません。
火入れが上手く半生に近いですし、皮はパリッとしていて良かったのですが、最後は少しぱさついた感じになっていて残念でした。また塩気が少し足りないため美味しく感じにくかったということもありました。
他の料理とのバランスは悪かったかもしれません。最近美味しい魚に会うこと多かったので、普通と感じてしまいました。豆の火入れはアルデンテか少し柔らかいくらいで絶妙です。春をここでも感じられ楽しめました。


メイン肉料理:鶏
但馬鶏でした。エスニックな香りの一皿で変化球という感じでした。鳥は柔らかい火入れで素敵です。皮目はやはりパリッとしていました。才巻海老も半生です。肉に海老を添えるのは賛否あるかもしれませんが面白く感じました。鳥が美味しいので変化球の味付けでもありだと思えました。


デセール:清見オレンジ
胡椒のピュレがけっこうのどを刺激していました。全体を口に入れて、口内でチーズケーキが完成する趣旨と理解しました。ただ、色々な風味がありすぎて少し混乱する印象もありました。もう少しストレートに出して欲しかったのですが、これもまた上を見るシェフの志のなせる業なのかなとも思いました。


食後のお茶:ジャスミン、レモングラスベースのドライハーブティー
正直あまり特徴を感じませんでした。
小菓子三種
ケーキは皿にへばりついて食べにくかったです。
この日の会計ですが、コースが5900円、2杯飲んだノンアルコールドリンクがそれぞれ950円でしたので、合計で7800円でした。各皿のポーションは控えめとはいえなかなかのパフォーマンスで満足できました。
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