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レストラン訪問記:銀座五丁目「ラルジャン」(★)

訪問は昨年3月中旬になります。

フランスの二つ星シェフティエリー・マルクス氏の東京支店が早々に撤退した後、そのカフェスペースがあった場所に入ったのがこちらのお店になります。かつて「スブリム」でシェフをされた加藤 順一シェフがオープンから厨房を指揮されていて、ミシュランの一つ星がついています。

入店案内は当然の到着順で、そつなくテーブルまで導いていただきました。

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テーブル席左手に見えるテラス席

飲み物ですが、最初の水の注文の際、「銀座の美味しいお水」をお願いしましたが理解していただき、ありつけました。

ところが有料のお茶のオーダーを間違えて烏龍茶でない緑茶を持ってきたミスがありました。しっかりと確認して欲しかったです。しかし本当は緑茶が飲みたかったので結果オーライではありました。

ここのノンアルコール飲料は少し高い印象でした。一方で、グラスワインの値付けは適正な印象でした。

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卓上のしつらえですが、御覧のとおりテーブルクロスがないためカフェのようです。特別な場所で食事している気分にはなりにくいでしょう。また、カンパチが出た後、スープの手前でおしぼりが撤去されてしまい残念でした。

シェフとも最後にお話する機会がありました。メートルの方ともお話しましたが、SNSでの情報発信にはかなり前向きな感じで、前のめりな印象でした。ネガティブではない会話が弾む分にはお客さんとしても悪い気はしないです。

お料理は、加藤シェフが以前指揮されていた「スブリム」のお魚料理がとても良かったので期待度も高かった分、感動はあまりありませんでした。お店としては平均的に一定レベルの高級料理を提供する志のようで、個人的には、しつらえも、料理構成も手作り感があって、例えばシェフの地元静岡の食材を積極的に推して、使ったりして工夫していた「スブリム」のスタイルが好きでした。

前者はフランスのグランドメゾン寄り、後者は北欧寄りということでしょうか。いずれもシェフのこれまでの料理遍歴で通られてきた場所ですが、銀座の超一等地のフランス料理店で、(経営陣の方針として)星を当初から目標とされているようなお店となると、前者のスタイルを当然求められ、それも致し方ないことだとは理解できます。

その日頂くものは、きれいな書体でその日のコースを書いた小さな正方形のメニュー表が卓上にあり、それによって知ることができます。とても気が利いていますね。お店にとっては負担でしょうが、客からするとあるとないとでは大違いで、食事の楽しみがぐっと増すというものです。

食後は、こちらで食事を楽しんだ余録があって、ここには京都「ムニ・ラ・テラス」から望める嵐山の自然の景色はありませんが、銀座の四丁目交差点を眼下に望む都会の絶景を楽しみながらの食後のお茶の時間を満喫することができます。この景色はまさに唯一無二のもので、ここでしか楽しめないものでしょう。このためだけにでも来る価値があるかも知れません。

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テラス席

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テラス席から望む銀座四丁目交差点と和光ビル


お料理の値段はお店の立地や料理の質に比例して相応なものですが、楽しむ要素が多くありますので、一度は行く価値があるお店だとは思いました。

この日のお会計ですが、昨年3月中旬の訪問時のランチコースが9350円、ノンアルコールカクテル(人魚姫)が2200円、コールドブリューの緑茶が1320円でした。これらにサービス料10%が別途ついて、合計で14150円でした。

現在のコース料金を見ると、土、日限定ランチコースが税込みサービス料別で15000円になっていますので、価格はうなぎ登りですね。トレンドとしては間違っていないのでしょうが、あまりに値上がり率が高いと、自ずと足が遠のくというものでしょう。そうこうするうちに客層も変わっていってしまいそうで、なんとなくさみしい感じもしました。

個人的には訪問時よりさらに値段が上がっていて(倍近く)敷居も高くなっており、カフェのような卓上のしつらえや、上質とはいえありきたりといえばありきたりな料理の内容を考えると再訪はないかなと思っています。


(頂いたもの)

ランチコース9350円(税込みサービス料別。以下同じ。)
*銀座の美味しいお水以外は追加料金あり。

おしぼり 
(レモングラスの香りがしたでしょうか。)


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食前ノンアルコールドリンク(カクテル):人魚姫(桜とハーブ) 2200円
(こちらのシグネチャーカクテルとのことでした。桜の香りはほんのりでした。予想外にソーダカクテルでした。)


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スナック:京都 七谷鶏
(見た目より濃厚な味でした。なめらかで美味です。シェフが自ら運んでくれました。意識の高さを感じました。)


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前菜:鹿児島 カンパチ
(カンパチの味が濃いです。ハーブがツマのような香りになっていました。ヨーグルトの発酵が醤油に通じるのかと気付きました。りんごのおかげで爽やかでさっぱりして良いですね。ちゃんと魚が切ってあるのも良かったです。)


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スープ:静岡 発酵マッシュルーム
(麻布十番の「スブリム」でも頂いたものでした。ただ銀座版はより洗練されていました。生のマッシュルームは旨味が椎茸の三倍とのことです。生はきれいですし、新鮮でたしかに美味しかったです。焼いたものやポーチドエッグも下に入っていました。スープが濃厚で美味しくて良かったです。)


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パンとバター
(小さめで温めてありました。水分があり、少しねっとりしています。パンというよりは甘くないおやつという感じでした。バターは、焦がしホイップバター(ヨーグルト入り)と自家製バターの2種類でした。)


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魚料理:和歌山 平目
(皿熱々に温めて提供されました。身質が繊細です。こくがあるチーズの皮が被されていて美味しいですし、いかにもフランス料理というお料理ですが、和歌山「オテルドヨシノ」の舌ビラメで既視感がありました。シェフの経歴を拝見すると「オテルドヨシノ」にもいらしたようで、この感覚もあながち突拍子もないものではないようでした。ただ、味については食材が違いを踏まえても「オテルドヨシノ」の方が美味しかったかもしれません。調理は「ラルジャン」の方がより繊細ですね。ただ、付け合わせは少ないですし、ありきたりでもあり、あまり良さを感じませんでした。欲を言えばソース用のスプーンが欲しかったです。)

コールドブリューの緑茶 1320円


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肉料理:岩手 ホロホロ鶏
(肉に旨味があり、皮の脂も嬉しいです。トリュフはペリゴール産とのことでした。よく香っていて嬉しいです。カシスソースも入っていました。キノコの付け合わせもまた良いですね。)


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デセール:静岡 ヨモギ
(静岡産よもぎのアイスと日向夏のクリームです。下から混ぜて頂く趣向です。よもぎですが、日向夏と相まって高貴な香りがしていました。冷たくて好きなデセールでした。カリッとした食感も良いアクセントです。旬の苺を使わなくても成功しているデセールで、素晴らしいですね。)


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食後のお茶(フレッシュミントティー)とミニャルディーズ(デンマークの焼き菓子、キャラメルのタルト、はちみつのケーキ、ポポーのマカロン、キウイのビスケット)

食後のお茶:フレッシュハーブティー
(最後のお茶は斜向かいの和光の時計塔と銀座四丁目交差点を眺めながらテラスで頂きました。テラスの席は食べ終えた順に好きな場所が選べます。この日はテラス一番乗りで、一番良い席を頂けました。お茶はまあまあよく出ていて、しっかり香りがして美味しかったです。フランスを思い出しました。)


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デンマークの焼き菓子


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キャラメルのタルト


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(左上から時計回りに)はちみつのケーキ、ポポーのマカロン、キウイのビスケット




 





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ジャンル : グルメ

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Author:VV George VV

La marque "***", "**","*"
signifie des étoiles de
Michelin au moment de la
visite.

長期フランス滞在中、さる”グランドメゾン”(高級料亭)での午餐を契機に”ガストロノミー・フランセーズ”(フランス流美食)に開眼。
爾来、真の美食を求めて東奔西走の日々。

インスタグラム始めました!→https://www.instagram.com/george_gastro/

* お店の名前脇の★はミシュランガイドでの星による評価(訪問時のもの)に対応しています。

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