FC2ブログ

レストラン訪問記:博多「鮨さかい」(★★★)

IMG_5619.jpeg

店の入口(ビル2階)

三つ星の寿司店には初めて訪問しました。ミシュランに寿司など分かるのかと正直疑問がありましたが、少なくともこちらのお店について言えば、これまで行った数は多くはない寿司店との比較で、全てではないにせよつまみの質も、握りの質も圧倒的な違いを感じさせられることがあり、これが三つ星と言われれば、そうなのね、と(経験が少なく)分からないなりにも一応納得させられた、そんな体験でした。

もちろん再訪したいと思いましたが、すぐにという立地でも、価格設定でもなく、この日客全員が次回予約を聞かれていましたが、パスするしかありませんでした。しかしまた伺いたいと、食べ終えたその日には思っていました。

つまみも寿司も素晴らしいですが、全てを決める大将の堺さんの人間力がすごいです。

移動の交通機関の関係でほんの少し遅れることは予定どおりで、その旨も店には事前に伝えて了解を得ていましたが、遅れて伺うことになった私に、店主はまずお詫びを述べました。もちろん事情がありました。

その日は熊本からバスで移動していて、当初想定では一斉スタートの時間に少し遅れることが分かっていました。その旨電話で伝えてあったのですが、上手く伝達ができていなかったようで、店を目指す途中で店から電話がありました。店に着くすぐ手前のタイミングでした。バスが想定より早く着いたため、遅刻時間は少なくて済みました。なんとか店を見つけて店内へ入りました。店内はもちろん既に満員です。ここで店主の堺さんから御挨拶がありました。

ようこそ、の前に、こちらの方で連絡が不行き届きで、(私が)遅れるという連絡を把握できておらず、先ほど電話を掛けてしまってすみませんでしたという内容でした。こういうことを大将が言われる時点で、このお店すごいとなりました。スタートが違います。安心して食事ができると、何も食べる前から安心でき、店や大将に対する評価はうなぎ登りでした。こちらがむしろ申し訳なくなりました。

また、カウンターの向こうで仕事をされている皆さん、お弟子さんですが、皆さんに対しても、大将はさん付けで呼ばれていました。今時普通なのでしょうか。このことだけでもすごいと思いました。

サービスについても配慮があって、トイレにはお香が焚かれています。そして、トイレから戻るとおしぼりが用意されていました。サービスの意識がとても高いです。形はもちろんですが、それだけではなくそこに心があることがこちらにもしっかり伝わってきました。

食事は一斉スタートですが、店内は適度な賑わいがあって、みなそれぞれに食事やおしゃべりを楽しまれていて、とても居心地が良い空間でした。これもひとえに大将の意識の高さゆえでしょう。

そしてその後の食事はその期待を裏切ることなく、素晴らしい質のつまみや握りで、大将のおもてなしの心も随所に感じられて、素晴らしい体験になりました。これも大切なことでしょうが、握りは大将の堺さんが一人一人に対して自分で握って出してくれていました。

大将は食事中もお客さんに対してつまみやネタについて結構説明をしてくれるのですが、色々と教えていただきたい方なので、個人的にはそれがすごくマッチしました。食後、エレベーターのところまで大将がわざわざお見送りくださって、その際にも結構色々なことを話してくれて、勉強になりました。おそらく全員に対してお見送りをされているのだろうと思いました。

お会計ですが、訪問当時の昨年3月末には今回頂いたおまかせコースの価格は3万3000円でした。ただ、現在はおまかせコースが3万8500円になっています。こちらのお店は志が高いところにあるので、昨今の情勢からすると仕方ない値上げでしょうね。

お寿司もすごいですが、お酒もシャンパンがグラスで3種類用意されていました。フランス料理店のグランドメゾンでも、日本ではなかなかないことでしょう。個人的にはワインとお寿司はどうなのか未知数なので、今回も日本酒を頂きましたが、ソムリエもいらっしゃるので、ワインと合わせる楽しみを見つけることもできるお店だと思います。そう考えると幅広く楽しめる素晴らしいお店だと改めて思います。


IMG_5620.jpeg

卓上の様子

さて、今回のお食事ですが、食事のスタートは食前酒選びからでした。せっかくグラスシャンパンが3種類もありますので、一番スタンダードなグラスシャンパンをお願いしました。まず頂いたのは、ルイロデレールのコレクションでした。写真は割愛しています。3種のグラシャンがあるのが驚きです。他の2種は、クリューグ、ゴセのロゼでした。

そうこうするうちつまみが運ばれてきました。


IMG_5623.jpeg

IMG_5622.jpeg

◯熊本筍 木の芽味噌

量が少な目で、味が分かりにくかったのは残念でしたが、普通に美味しかったです。

◎真鯛の白子 おひたし

優しい味付けでとろけました。繊細な一品でした。山葵が良い香りです。


IMG_5625.jpeg

◯富山湾ほたるいか 
◎唐津の鮑 


ほたるいかは炙ってありほんのり温かいです。味は悪くないのですが、少し小さい印象でした。
鮑 山葵と合うとのことでした。温かいです。驚きの柔らかさで、ふにゃふにゃ感がありました。ここまで仕上げるのに色々な手間がかかるのだろうと想像します。


IMG_5626.jpeg

◯長崎大村湾紫ウニ フランスオシェトラキャビア 塩
みょうばんなしにウニです。味に広がりがあるとのことでしたが、確かに上品で甘いです。塩をつけるとより甘さが引き立ちました。


IMG_5627.jpeg

◎苫小牧のホッキ貝炙り

ひたすら甘くてびっくりでした。火を入れると甘くなるとのことです。素材の見極めが良いのでしょう。


IMG_5629.jpeg

日本酒 而今 純米吟醸 無濾過生

安定の美味しさで満足しました。美味しいお酒で、最高のつまみがさらに楽しめます。


IMG_5631.jpeg

★萩産甘鯛若狭焼き 

ねっとりほぐれました。お酒をかけて焼く分旨味がすごいです。ここまで上品になるか、という味です。感動の一品で甘鯛は美味しかったのですが、骨が一本残っていたのは残念でした。


IMG_5632.jpeg

IMG_5633.jpeg

◎からすみ

炙りで良い香りがしていました。素敵です。


IMG_5634.jpeg

◎余市のあん肝 奈良漬

柚子の香りがしていて素敵です。しっかりと仕事を施されていますね。奈良漬も繊細でした。合わすと味変でさらに美味いです。奈良漬は外のものとのことでした。


〈ここから握り〉


IMG_5636.jpeg

がり


IMG_5635.jpeg

◯平目 

1日寝かせたものでした。山葵との相性が良いとのことでした。厚みがありすごいです。初めての厚み。ほんのり温かかったです。山葵は分かりにくかったです。


IMG_5637.jpeg

◎五島のアオリイカ


イカにも、脂が乗るという表現があるとのこと。甘みがあることをそう言うとのことです。ひたすらねっとりしていて、口の中にまとわりついていく感じがすごいです。ここまで口の中に広がる感じは初めてかもしれません。


IMG_5638.jpeg

◯天草の小肌

酢飯に負けないちょうど良い味がある時期とのこと。締め具合は浅めです。小肌自体の旨味を味わう感じがありました。


IMG_5641.jpeg

日本酒 山形正宗 稲造
香り穏やかで繊細で良かったです。15度なのに甘味すら感じました。


IMG_5639.jpeg

IMG_5640.jpeg

この日の鮪:須崎(静岡) 延縄 248㎏


IMG_5643.jpeg

★鮪 赤身

大当たりの鮪赤身でした。大将自身もなかなか出会えないレベルのものとおっしゃっていました。延々と続く旨味がすごかったです。口の中を制覇していく感じがありました。これに出会えて良かったと心から思えたネタでした。


IMG_5644.jpeg

◯鮪 中トロ

乳酸が回ってきているとのことでした。金目鯛食べているため甘いとのことでした。確かに静岡産だからそういうことかと納得です。もちろん美味しいのですが、脂は控えめでした。赤身の方が美味しく感じる不思議がありました。


IMG_5645.jpeg

◎鮪 大トロ ジャバラ

筋が柔らかくて美味いとのことでした。びっくりするくらいの脂の旨味、広がりでした。厚めで美味しさが堪能できて素晴らしかったです。それでも赤身の方が上でした。


IMG_5647.jpeg

◎増毛の牡丹海老

糖度が高いため温度低めで出すとのことでした。温度が高いと嫌な香りが出るとのことでした。口の中に広がるねっとり感がすごいです。


IMG_5649.jpeg

◎ノドグロ炙り 紅葉おろし入り

温かいです。脂がすごいね。分かりやすい美味しさでした。山葵もほんのり香り美味です。


IMG_5650.jpeg

IMG_5651.jpeg

◯牡丹海老とノドグロの頭の出汁の味噌汁 お茶


IMG_5652.jpeg

◎根室バフンウニ軍艦 有明海苔

有明海苔の使用は2年ぶりとのことでした。ウニの香り良く、甘味がありました。海苔の甘味に乗っかるとのことでした。ただ余韻が短いです。


IMG_5653.jpeg

グラスシャンパン:ゴセのロゼ

鮪の赤身のタンニンと合うとのことで、素敵なマリアージュでした。


IMG_5654.jpeg

◎中落ち軍艦 べったら漬け

甘みが強いです。脂と赤身の旨さの調和が素晴らしかったです。そして海苔の旨さも感じられました。


IMG_5657.jpeg

◎千葉九十九里のはまぐり 

握りの締めがはまぐりでした。穴子がシーズンオフで、出さないとのことではまぐりが締めを務めていました。6月で交代とのことです。

優しい甘さで柔らかかったです。充実したふっくら加減ですごいボリュームでした。江戸前の素敵なお仕事をされているのこ印象に残りました。


IMG_5658.jpeg

△芝エビと大和芋の玉子焼き

お弟子さんの仕事でしょうか。少しぱさつきがあり残念でした。


IMG_5660.jpeg

◯干瓢巻き

有明海苔が主役の巻物でした。香りが良いため使っているとのことです。甘みと塩味のバランス良くて美味しいです。一つだけだったので、正直なところもう少し欲しかったです。






関連記事

テーマ : グルメ情報!!
ジャンル : グルメ

コメントの投稿

非公開コメント

sidetitleプロフィールsidetitle

Author:VV George VV

La marque "***", "**","*"
signifie des étoiles de
Michelin au moment de la
visite.

長期フランス滞在中、さる”グランドメゾン”(高級料亭)での午餐を契機に”ガストロノミー・フランセーズ”(フランス流美食)に開眼。
爾来、真の美食を求めて東奔西走の日々。

インスタグラム始めました!→https://www.instagram.com/george_gastro/

* お店の名前脇の★はミシュランガイドでの星による評価(訪問時のもの)に対応しています。

sidetitleカテゴリsidetitle
sidetitle最新記事sidetitle
sidetitle最新コメントsidetitle
sidetitleランキング参加中sidetitle
クリックお願いいたします!
sidetitleFC2カウンターsidetitle
sidetitleサイト内検索sidetitle
気になるお店、お料理など是非こちらで検索してみて下さい。
sidetitleメールフォームsidetitle
個別のメッセージはこちらまでお願いいたします。

名前:
メール:
件名:
本文: