ミシュラン東京・横浜・湘南 2012 (1)今年のトレンド
さて、ミシュランの最新版が明日発売と言うことで、例年通り速報を基に簡単な記事にしてみようと思いました。発表当日はテレビでも報道されるなど、日本の晩秋の風物詩として定着しつつある感があります。
今年は二回に分けて、前編では三ツ星から一ツ星の昇格についてと、今年のガイドの新しい点、気になった点などをさらっと書いてみたいと思います。
新機軸
今年から湘南までエリアが拡大して、鎌倉は湘南の一部として扱われるようになりましたね。小田原、湯河原、葉山、逗子、横須賀などがここに入ります。
それから新しいジャンルの開拓も少しずつあるようで、沖縄料理(といっても庶民料理ではなくむしろ料亭といったお店)、韓国料理(基本、宮廷料理でしょう)といったジャンルのお店が初登場のようです。
★★★
東京について言えば、三ツ星は昨年と同じ顔ぶれに、新しい二店が加わったのみ。昇格一軒、初登場一軒という形。三ツ星の陣容があまりぶれず、降格はなしというのは★の信頼性の上でとても大切なことでしょう。
しかし、この初登場で三ツ星ができてしまうのが、日本のミシュランの大きな特徴。フランスではどんな名シェフの店でも一ツ星から刻んで三ツ星獲得までは三年かかるものですが(唯一の例外が、パリのガニエールのお店の初登場二ツ星?)。このせいで日本の三ツ星はややもすると軽い印象を与えてしまうかもしれません。
さて、昇格は「龍吟」、初登場は「鮨よしたけ」でしたね。前者には、今年の夏にうかがって(当時は二ツ星)、貧相な料理の内容にがっかりしただけに、なんとも意外な昇格。今年の昇格にはそんな要素が多いのですが、後述します。
さて、今年は湘南が対象となって、神奈川県初の三ツ星が誕生しました。藤沢の「幸庵」というお店。横浜、鎌倉ではなく藤沢からというのが意外な感じでした。
★★
悪い驚きの昇格は、「ベージュ アラン・デュカス」の二ツ星昇格。彼のお料理を全く評価していない身からすると、政治的な意図を感じる昇格かと。店名にいつの間にか自分の名前を入れているあたりもきなくさい…。
良い方は、一昨年二ツ星で登場した下村シェフのお店「エディッション・コウジ・シモムラ」の二ツ星復帰。シェフが一番ほっとしていることでしょう。
それから、気になったのは神保町の比較的リーズナブルな和食店、「傳」の昇格。ミシュランお気に入りな感じがしますので、近いうちに三ツ星への昇格もあるかもしれませんね。
★
流れ星(=降格)についてはまた後編で書きたいのですが、寿司店がけっこう整理されて★がなくなった一方で、かなりカジュアルな他ジャンル店が登場していますね。
例えば、代々木公園の「オストゥ」(イタリア料理)。夜は手打ちパスタなど有名なようですが、昼は光がたっぷりさしこむ明るい店内でカジュアルランチができるお店でした。志は感じましたが、一ツ星ですか…。
当時うかがった時もかなり人気でしたが(日曜日だったから?)、あの低価格のランチがあるならご予約の上、一度うかがってみてはいかがでしょうか。
また、前から気になっていた、前述下村シェフも以前働いていた乃木坂の「フウ」。こちらはしつらえなどからしても、メニュー構成からしても★を狙っていけるお店と思っていたので、よかったですね。今のシェフは、シャモニーの二ツ星「Albert 1er」(個人的に良い思い出のあるお店…)などで修業されたようで、一度うかがってお話をしてみたいなあと思います。
それから、今更という感じで、フレンチの老舗「コートドール」に二ツ星ではなく、一ツ星がつきました。シェフはうれしいよりあきれていることでしょう。ミシュラン東京発刊当初の四年前と今とでお店の料理の内容がそう変わったとも思えませんし、ミシュランの後手後手な対応が見て取れる気がしました。
銀座効果?
今年の昇格を見て、二店が少なくとも銀座に移転して初登場、★獲得をなしているのが気になりました。
三ツ星の「鮨よしたけ」と、二ツ星昇格の「カーエム」です。二店とも以前の立地では完全に無視されていたのに、何故突然かようにもちあげるのでしょう?昨年、さっそうと三ツ星として初登場した「あら輝」さんも、同じ口ですよね。
これ銀座という場所がなせる魔力の仕業でしょうか。そういえば、銀座で★をとりながら、意欲的に(?)移転して銀座を離れ、その後見かけなくなったフレンチシェフのお店がありました。
ミシュランの評価に関係なく我が道を貫くのが本当は良いのでしょうが、やはり気が大きくなってしまって今までのメニューを高いものだけにしたり、移転したり、支店を出したりして、ミシュランから評価されず、道を見失ったりするシェフが目につきます。特にフレンチのシェフに多いような。がんばっているのなら、いつかまた評価される時が来るとは思いますが…。
少し長くなってしまいましたので、後編で今年気になった点の続きと、流れ星(=降格)、神楽坂と周辺地域の★の変動についてコメントしたいと思います。どうぞお楽しみに。
今年は二回に分けて、前編では三ツ星から一ツ星の昇格についてと、今年のガイドの新しい点、気になった点などをさらっと書いてみたいと思います。
新機軸
今年から湘南までエリアが拡大して、鎌倉は湘南の一部として扱われるようになりましたね。小田原、湯河原、葉山、逗子、横須賀などがここに入ります。
それから新しいジャンルの開拓も少しずつあるようで、沖縄料理(といっても庶民料理ではなくむしろ料亭といったお店)、韓国料理(基本、宮廷料理でしょう)といったジャンルのお店が初登場のようです。
★★★
東京について言えば、三ツ星は昨年と同じ顔ぶれに、新しい二店が加わったのみ。昇格一軒、初登場一軒という形。三ツ星の陣容があまりぶれず、降格はなしというのは★の信頼性の上でとても大切なことでしょう。
しかし、この初登場で三ツ星ができてしまうのが、日本のミシュランの大きな特徴。フランスではどんな名シェフの店でも一ツ星から刻んで三ツ星獲得までは三年かかるものですが(唯一の例外が、パリのガニエールのお店の初登場二ツ星?)。このせいで日本の三ツ星はややもすると軽い印象を与えてしまうかもしれません。
さて、昇格は「龍吟」、初登場は「鮨よしたけ」でしたね。前者には、今年の夏にうかがって(当時は二ツ星)、貧相な料理の内容にがっかりしただけに、なんとも意外な昇格。今年の昇格にはそんな要素が多いのですが、後述します。
さて、今年は湘南が対象となって、神奈川県初の三ツ星が誕生しました。藤沢の「幸庵」というお店。横浜、鎌倉ではなく藤沢からというのが意外な感じでした。
★★
悪い驚きの昇格は、「ベージュ アラン・デュカス」の二ツ星昇格。彼のお料理を全く評価していない身からすると、政治的な意図を感じる昇格かと。店名にいつの間にか自分の名前を入れているあたりもきなくさい…。
良い方は、一昨年二ツ星で登場した下村シェフのお店「エディッション・コウジ・シモムラ」の二ツ星復帰。シェフが一番ほっとしていることでしょう。
それから、気になったのは神保町の比較的リーズナブルな和食店、「傳」の昇格。ミシュランお気に入りな感じがしますので、近いうちに三ツ星への昇格もあるかもしれませんね。
★
流れ星(=降格)についてはまた後編で書きたいのですが、寿司店がけっこう整理されて★がなくなった一方で、かなりカジュアルな他ジャンル店が登場していますね。
例えば、代々木公園の「オストゥ」(イタリア料理)。夜は手打ちパスタなど有名なようですが、昼は光がたっぷりさしこむ明るい店内でカジュアルランチができるお店でした。志は感じましたが、一ツ星ですか…。
当時うかがった時もかなり人気でしたが(日曜日だったから?)、あの低価格のランチがあるならご予約の上、一度うかがってみてはいかがでしょうか。
また、前から気になっていた、前述下村シェフも以前働いていた乃木坂の「フウ」。こちらはしつらえなどからしても、メニュー構成からしても★を狙っていけるお店と思っていたので、よかったですね。今のシェフは、シャモニーの二ツ星「Albert 1er」(個人的に良い思い出のあるお店…)などで修業されたようで、一度うかがってお話をしてみたいなあと思います。
それから、今更という感じで、フレンチの老舗「コートドール」に二ツ星ではなく、一ツ星がつきました。シェフはうれしいよりあきれていることでしょう。ミシュラン東京発刊当初の四年前と今とでお店の料理の内容がそう変わったとも思えませんし、ミシュランの後手後手な対応が見て取れる気がしました。
銀座効果?
今年の昇格を見て、二店が少なくとも銀座に移転して初登場、★獲得をなしているのが気になりました。
三ツ星の「鮨よしたけ」と、二ツ星昇格の「カーエム」です。二店とも以前の立地では完全に無視されていたのに、何故突然かようにもちあげるのでしょう?昨年、さっそうと三ツ星として初登場した「あら輝」さんも、同じ口ですよね。
これ銀座という場所がなせる魔力の仕業でしょうか。そういえば、銀座で★をとりながら、意欲的に(?)移転して銀座を離れ、その後見かけなくなったフレンチシェフのお店がありました。
ミシュランの評価に関係なく我が道を貫くのが本当は良いのでしょうが、やはり気が大きくなってしまって今までのメニューを高いものだけにしたり、移転したり、支店を出したりして、ミシュランから評価されず、道を見失ったりするシェフが目につきます。特にフレンチのシェフに多いような。がんばっているのなら、いつかまた評価される時が来るとは思いますが…。
少し長くなってしまいましたので、後編で今年気になった点の続きと、流れ星(=降格)、神楽坂と周辺地域の★の変動についてコメントしたいと思います。どうぞお楽しみに。
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