Ca Sento*** (Kobe) カセント(神戸・元町)★★★
少し遠い道のりをはるばる神戸へ。かつて住み暮らした地域でもあって、ここに至るまでに懐かしい地名がちらほら。震災をはさんでいるため大きく変わったものと思われます。

最近台頭しつつあるモダンスパニッシュの旗手のようなお店なのでしょうか。神戸がミシュランに載ってから三ツ星のお店でずっと気になっていました。
今回たまたま予約が取れたこともあり、ほんの少しの変更はありつつもちゃっかり美食体験をしてきてしまいました。
店先ではちょうど季節のミモザの黄色い花がきれいに咲いていました。

スタートはドラピエという作り手のシャンパン。"Blanc de noir"(ブランドゥノワール=赤いぶどうから作った白いお酒ということ)で、辛口で飲み応えがある美味しいシャンパンですね。「ドザージュゼロ(=補糖なし)」というのもまた酒飲みの心をくすぐります。

今回、最先端の驚きの調理法といったものは見られず、むしろお野菜主体のコースの中で、地味な野菜ながら香り立つものがいくつもあって、それが一番印象に残りました。百合根(左写真のコーンの中)、牛蒡(中写真のスープの下)、玉葱(右写真の黒い棒状のもの)、赤葫(右写真の白皿の中)…百合根と牛蒡はピュレ状で、玉葱と赤葫はグリーシーニにしたりシートにしたりスナックのように焼いたものでした。こういうところにシェフの技を感じます。

また、コース中盤にはタパススタイルで複数のお皿を同時に色々と楽しむことになるのですが、これもまた初めてで楽しい体験です。全く違ったそれぞれ美味しい食材の競演がすてきでした。ガスパチョ、鴨血のブダン、アブラメのモホソースなどなど。

一番のヒットはタパスに入っていたフォワグラサンドと、熟成した?シェリー酒との組み合わせ。フランスでいうと"vin de paille"(ヴァンドゥパイユ)のような濃厚でいぶしたかのような深みある甘みのお酒。ほんの少量でしたが、味を楽しむ分にはこれで十分でした。右写真の琥珀色のワインがそれです。


お昼は軽めに野菜がメインとなる少し変わった構成。
ご覧のお料理は下に調理されたお野菜がしかれ、上には色々な葉物があって、焦がしバターソースがかかっています。そこにサービスの方がエメンタールチーズの軽いソースをスープよろしく注ぐ趣向で、サラダ+スープのような不思議なお皿でした。
上の写真がソースを注いでいるところ。左が原形、右が葉っぱを食べ尽くした状態です。
野菜主体のコースはフレンチを食べ慣れた人だともしかしたら物足りないかもしれませんが、最近のヘルシー志向の潮流からするとこれもありなのかもしれませんね。
おじやがお料理の最後に出されるのですが、和食の〆の要領でしょうか。
スペインのお米料理というとやはりパエリヤですが、ここではおじや。
丁寧にだしをとったと思われる濃厚なビスク風のソースにたっぷりの甲殻類やたこなどとお米が入っています。上品かつ食べ応えのある味で、お代わりが自由です。

美味しいのですが、3杯頂いて終わりにしました。適度なところでやめておかないと美味しい味が台無しかなと思ったので。とにかく濃厚で食べ応えがあるおじやでした。

さきほど、フォワグラに合わせたシェリー酒について触れましたが、ワインはタパスに合わせて三種類ほどごく少量で出して頂いて、皿に合わせてマリアージュを楽しむとても良い体験になりました。
お値付けも本当に真っ正直な感じで、思っていたよりもはるかに低価格での提供でした。このワインのデギュスタッションコース?はソムリエの方とのおしゃべりから提案して頂いたのですが、お酒を楽しまれる方は色々な味が楽しめるのでお勧めです。
サービスは若い感じですが、きちんとしていますね。予約の時の電話の段階でとても感じが良く、良いお店なのだろうなと想像できました。実はお料理の知識が少し足りていないと感じる場面もあったのですが、まだお若い方なのでこれからさらに良いサービスできるようになっていくとよいなと思いました。
小さなサルのため、カウンター越しに料理人が立ち働く姿が見えるのですが、サルと調理場の連携がとてもよく、また調理場は気持ちよいくらい統率がとれている感じで、さすがと思いました。
最後、シェフにもごあいさつさせて頂いたのですが、5月に改装されて、一卓だけテーブルが増えるとのこと。またトイレが男女別になったり、調理場が大きめになってガラス張りで外から見えるようにするとのことでした。それから、こちらはこのクラスのお店では珍しくサルの様子が外から見えるのですが、手前のガラスのところがウェィティングスペースになるとのことで、この点も少し変わりそうです。
お野菜がメインだったこともあって大満足とはいきませんでしたが、お野菜の色々な香りを楽しむことができ、夜のメインはどんなものがたべられるのだろうと期待が高まったのも事実。
その点ランチはディナーへのうまく誘導する位置づけなのかなと思ったりしました。そう考えるとシェフは本当によく考えてメニューを組んでいるのだなとも思います。
質を落とさず、いいものを提供しつつ、値段は抑えめにして、それでもランチはランチなりの満足をしてもらう。なかなか難しいことですよね。
ディナーへの訪問はしばらく先になりそうですが、またの機会を楽しみにしたいと思いました。
(いただいたもの)
1.つきだし:百合根、松葉蟹、レモングラスなど入ったミニコーン(カレー砂にうずめて)
2.ピンチョス:ブリオッシュ生地、バルサミコ酢に漬けた新タマネギ、ほたるいか

3.スープ:ごぼうのフラン、野生のルッコラ、焼いたホタテ半分入り
4.タパス:
・ガスパチョ
・アブラメのモホソース(下に)空豆のピュレ
・赤ニンニクのテュイル、新タマネギばさみ、ルッコラ
・ブダン(河内鴨の血を使用)
・ブリオッシュ生地に載せたスペイン産アンチョビ
・フォアグラサンド
+焼き玉葱のグリッシーニ
+米粉と小麦粉のパン
5.メイン:サラダ+スープ(エメンタールチーズ)
6.海鮮おじや →えび、いか、たこなどたっぷり。濃厚なビスクスープ。
7.デザート1:りんごのコンポート(カラメリゼして)、ミントと青リンゴのアイス

8.デザート2:はっさく、濃厚なミルクアイス

プティフール:テュイル、マシュマロ、酒粕のトリュフチョコ、洋梨のコンポート入りチョコ

お茶:フレッシユハーブティー(ベルベーヌ、レモングラス、カモミール)

お酒(いずれもグラスで)
・シャンパン:ドラピエ(ブランドノワール)
・ワインのデギュスタッションコース:白、赤、シェリー(甘口)→いずれもスペインのもの
・シェリー酒(辛口)


最近台頭しつつあるモダンスパニッシュの旗手のようなお店なのでしょうか。神戸がミシュランに載ってから三ツ星のお店でずっと気になっていました。
今回たまたま予約が取れたこともあり、ほんの少しの変更はありつつもちゃっかり美食体験をしてきてしまいました。
店先ではちょうど季節のミモザの黄色い花がきれいに咲いていました。

スタートはドラピエという作り手のシャンパン。"Blanc de noir"(ブランドゥノワール=赤いぶどうから作った白いお酒ということ)で、辛口で飲み応えがある美味しいシャンパンですね。「ドザージュゼロ(=補糖なし)」というのもまた酒飲みの心をくすぐります。



今回、最先端の驚きの調理法といったものは見られず、むしろお野菜主体のコースの中で、地味な野菜ながら香り立つものがいくつもあって、それが一番印象に残りました。百合根(左写真のコーンの中)、牛蒡(中写真のスープの下)、玉葱(右写真の黒い棒状のもの)、赤葫(右写真の白皿の中)…百合根と牛蒡はピュレ状で、玉葱と赤葫はグリーシーニにしたりシートにしたりスナックのように焼いたものでした。こういうところにシェフの技を感じます。


また、コース中盤にはタパススタイルで複数のお皿を同時に色々と楽しむことになるのですが、これもまた初めてで楽しい体験です。全く違ったそれぞれ美味しい食材の競演がすてきでした。ガスパチョ、鴨血のブダン、アブラメのモホソースなどなど。


一番のヒットはタパスに入っていたフォワグラサンドと、熟成した?シェリー酒との組み合わせ。フランスでいうと"vin de paille"(ヴァンドゥパイユ)のような濃厚でいぶしたかのような深みある甘みのお酒。ほんの少量でしたが、味を楽しむ分にはこれで十分でした。右写真の琥珀色のワインがそれです。



お昼は軽めに野菜がメインとなる少し変わった構成。
ご覧のお料理は下に調理されたお野菜がしかれ、上には色々な葉物があって、焦がしバターソースがかかっています。そこにサービスの方がエメンタールチーズの軽いソースをスープよろしく注ぐ趣向で、サラダ+スープのような不思議なお皿でした。
上の写真がソースを注いでいるところ。左が原形、右が葉っぱを食べ尽くした状態です。
野菜主体のコースはフレンチを食べ慣れた人だともしかしたら物足りないかもしれませんが、最近のヘルシー志向の潮流からするとこれもありなのかもしれませんね。
おじやがお料理の最後に出されるのですが、和食の〆の要領でしょうか。
スペインのお米料理というとやはりパエリヤですが、ここではおじや。
丁寧にだしをとったと思われる濃厚なビスク風のソースにたっぷりの甲殻類やたこなどとお米が入っています。上品かつ食べ応えのある味で、お代わりが自由です。

美味しいのですが、3杯頂いて終わりにしました。適度なところでやめておかないと美味しい味が台無しかなと思ったので。とにかく濃厚で食べ応えがあるおじやでした。

さきほど、フォワグラに合わせたシェリー酒について触れましたが、ワインはタパスに合わせて三種類ほどごく少量で出して頂いて、皿に合わせてマリアージュを楽しむとても良い体験になりました。
お値付けも本当に真っ正直な感じで、思っていたよりもはるかに低価格での提供でした。このワインのデギュスタッションコース?はソムリエの方とのおしゃべりから提案して頂いたのですが、お酒を楽しまれる方は色々な味が楽しめるのでお勧めです。
サービスは若い感じですが、きちんとしていますね。予約の時の電話の段階でとても感じが良く、良いお店なのだろうなと想像できました。実はお料理の知識が少し足りていないと感じる場面もあったのですが、まだお若い方なのでこれからさらに良いサービスできるようになっていくとよいなと思いました。
小さなサルのため、カウンター越しに料理人が立ち働く姿が見えるのですが、サルと調理場の連携がとてもよく、また調理場は気持ちよいくらい統率がとれている感じで、さすがと思いました。
最後、シェフにもごあいさつさせて頂いたのですが、5月に改装されて、一卓だけテーブルが増えるとのこと。またトイレが男女別になったり、調理場が大きめになってガラス張りで外から見えるようにするとのことでした。それから、こちらはこのクラスのお店では珍しくサルの様子が外から見えるのですが、手前のガラスのところがウェィティングスペースになるとのことで、この点も少し変わりそうです。
お野菜がメインだったこともあって大満足とはいきませんでしたが、お野菜の色々な香りを楽しむことができ、夜のメインはどんなものがたべられるのだろうと期待が高まったのも事実。
その点ランチはディナーへのうまく誘導する位置づけなのかなと思ったりしました。そう考えるとシェフは本当によく考えてメニューを組んでいるのだなとも思います。
質を落とさず、いいものを提供しつつ、値段は抑えめにして、それでもランチはランチなりの満足をしてもらう。なかなか難しいことですよね。
ディナーへの訪問はしばらく先になりそうですが、またの機会を楽しみにしたいと思いました。
(いただいたもの)
1.つきだし:百合根、松葉蟹、レモングラスなど入ったミニコーン(カレー砂にうずめて)
2.ピンチョス:ブリオッシュ生地、バルサミコ酢に漬けた新タマネギ、ほたるいか

3.スープ:ごぼうのフラン、野生のルッコラ、焼いたホタテ半分入り
4.タパス:
・ガスパチョ
・アブラメのモホソース(下に)空豆のピュレ
・赤ニンニクのテュイル、新タマネギばさみ、ルッコラ
・ブダン(河内鴨の血を使用)
・ブリオッシュ生地に載せたスペイン産アンチョビ
・フォアグラサンド
+焼き玉葱のグリッシーニ
+米粉と小麦粉のパン
5.メイン:サラダ+スープ(エメンタールチーズ)
6.海鮮おじや →えび、いか、たこなどたっぷり。濃厚なビスクスープ。
7.デザート1:りんごのコンポート(カラメリゼして)、ミントと青リンゴのアイス

8.デザート2:はっさく、濃厚なミルクアイス

プティフール:テュイル、マシュマロ、酒粕のトリュフチョコ、洋梨のコンポート入りチョコ

お茶:フレッシユハーブティー(ベルベーヌ、レモングラス、カモミール)

お酒(いずれもグラスで)
・シャンパン:ドラピエ(ブランドノワール)
・ワインのデギュスタッションコース:白、赤、シェリー(甘口)→いずれもスペインのもの
・シェリー酒(辛口)

カセント (スペイン料理 / 県庁前駅、元町駅(JR)、元町駅(阪神))
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