料理店訪問記:祇園(南側)「祇園にしかわ」(★★)
以前予約を試みたものの袖にされていた祇園にしかわさんにランチを食べにうかがってきました。人気が高い感じの上、うかがったのは土曜日だったのでけっこう早めの予約でした。一番下のコースをお願いしてありました。

お店の入口から出口に向かうようにとった写真です。背中側にお店があります。
ランチはカウンターでしたが、一斉に供するということで12時の開始時間に遅れないようにと予約の際に言われていました。この日は5分ほど遅れて到着しましたが、まだ最初のお料理が出る前で何とかご迷惑をかけずに流れに乗ることができた感じでした。
最初に供される香煎入りの白湯を急いでいただきます。
それから飲み物のメニューをいただいてお酒を注文しました。メニューを見る限りバランスよく揃えている感じで、お店の格からするとお値段がとても控え目な感じが好印象です。もちろん「にしむら」さんから比べたら高い値付けになってしまうのですが。例えば、「黒龍の龍」(純米大吟醸)が両店ともリストオンしていましたが、「にしむら」さんの値付けは約半額でした。
から京都のもので、原酒でやや強いというお酒、「蒼空(そうくう)」の純米酒を半合でいただきました。強さはありつつもバランスの良い感じで、好きになれました。
こちらはワイングラスで日本酒を供されるスタイルのようで、個人的にはあまり好きになれないスタイルなのですが、飲み進むうち、香りを楽しむという意味ではこういう楽しみ方もありかなと思えるようになりました。
お酒は次に好みの「松の司」(滋賀)の純米酒をまた半合で頂きました。軽めの昼のコースにはこれくらいの酒量が丁度良いように感じました。
さて肝心のお料理ですが、王道の流れで美味しい京料理を堪能することができ総じて大満足でした。いくつもの種類が盛られた八寸などは見た目も美しく、京料理の楽しみの一つですよね。

わずかずつながらも季節の美味が色々と盛られていてこちらの八寸も満足度が高いです。
中でも生湯葉と生のいくら(筋子)を和えたものがやさしい味付けでとても美味しかったです。また、すでにこれまで二度出会っていた紫ずきん(黒枝豆)とここでも出会うことができ、この季節の食材としてご縁を感じていました。
この日は先日うかがった奈良の「にしむら」(★)さんでいただいたお料理と重なる食材が多く、その対比が面白かったです。それぞれのご主人の料理や食材に対する考え方や、食材の状態など色々な要素からそのお料理になっているのでしょう。
両店で重なっていた食材は、黒枝豆、鰆、鯛、かますでした。

「にしかわ」さんで頂いたかますの塩焼になります。
鯛やかますについてはいずれもそれぞれお造り、塩焼とどちらのお店も同じ仕上げでした。
かますはどちらも水分を抜いて供するというのが文法のようで、それでも身のふっくら感は「にしかわ」さんの方が感じられました。聞いたところによると、干すのではなく何かキッチンシートのようなもので水分を抜くとのことでした。一方の「にしむら」さんはふっくら感が少ない分より旨味が凝縮している感じがありました。また胡麻をまぶすという一手間がありましたよね。
黒枝豆、鰆などの異なる扱いの食材についてですが、「にしむら」さんは黒枝豆を枝豆豆腐にし、また鰆については湯霜の上お造りにしていましたが、「にしかわ」さんはそれぞれ黒枝豆は湯がいたままで、また鰆はお椀種として使っているという違いがありました。

写真は「にしかわ」さんのお椀の器です。豊臣家の家紋がきれいです。
「にしむら」さんは夜のコースで、「にしかわ」さんは昼のコースで、お値段が倍ほど違うので単純な比較は出来ないかと思いますが、両店の星の数ほどの技術や志の差があるようには思えませんでした。
お食事前最後のお料理がなんと蕪蒸しで、お昼のリーズナブルなお値段でまさか出して頂けるとは思っていなかったのでとても嬉しい驚きでした。

最後のお食事は一文字に盛られたご飯がきれいです。新米を楽しむ趣向とのことで白いお米に合うおかずが二品ほど用意されていて、出汁巻き玉子のなんとも上品なお味、素晴らしいです。ただ、ちりめん山椒は「にしむら」さんの方が好みですね。より自然なやさしいお味がする気がします。
お店は祇園の真ん中にあって、とても素敵な数寄屋造りで、古びた風を出しつつもやはり新しいと感じたのでうかがうと、二年前に建てられたものとのことでした。とてもきれいに、丁寧に保たれている感じがお店の隅々に感じられて、主の心意気を知ることができたように思いました。
お一人様でも気楽に美味しいものがいただけるお店だと思いますので、祇園を散策される際にはお勧めの一軒です。
(いただいたもの)
お昼のコース(一番下のコース)
香煎入り白湯
八寸:
・ 鯖寿司
・ 豆腐チーズ
・ 菊菜の白和え
・ 紫ずきん(黒枝豆)
・ 海老芋フライ
・ 安納芋のきんとん
・ 生湯葉と筋子
お椀:
鰆と銀杏豆腐
お造り:
・ 串本産天然鰹たたき(目の前で藁焼きにしていました!)
・ 紅葉鯛(2キロもので脂がのっています)
紅芯大根、煎り酒梅風味、モズクジュレ添え
焼き物:瀬戸内のかます塩焼き
舞茸、シメジと酸味を効かせた大根おろし
蒸し物:
かぶら蒸し(甘鯛、百合根、生きくらげ、香煎、わさび)
お食事:
・ ごはん(新米)
・ おかず(ちりめん山椒、出汁巻き玉子)
・ 香の物(こんぶ、白菜、きゅうりのぬか漬け)
・ お味噌汁
甘味:
・ 濃い抹茶のシヤーベット
・ 熱いわらび餅
・ 金平糖
おうす(お抹茶)
(料理名はお店で書かれているものではなく、自己流の表記になります。)

お店の入口から出口に向かうようにとった写真です。背中側にお店があります。
ランチはカウンターでしたが、一斉に供するということで12時の開始時間に遅れないようにと予約の際に言われていました。この日は5分ほど遅れて到着しましたが、まだ最初のお料理が出る前で何とかご迷惑をかけずに流れに乗ることができた感じでした。
最初に供される香煎入りの白湯を急いでいただきます。
それから飲み物のメニューをいただいてお酒を注文しました。メニューを見る限りバランスよく揃えている感じで、お店の格からするとお値段がとても控え目な感じが好印象です。もちろん「にしむら」さんから比べたら高い値付けになってしまうのですが。例えば、「黒龍の龍」(純米大吟醸)が両店ともリストオンしていましたが、「にしむら」さんの値付けは約半額でした。
から京都のもので、原酒でやや強いというお酒、「蒼空(そうくう)」の純米酒を半合でいただきました。強さはありつつもバランスの良い感じで、好きになれました。
こちらはワイングラスで日本酒を供されるスタイルのようで、個人的にはあまり好きになれないスタイルなのですが、飲み進むうち、香りを楽しむという意味ではこういう楽しみ方もありかなと思えるようになりました。
お酒は次に好みの「松の司」(滋賀)の純米酒をまた半合で頂きました。軽めの昼のコースにはこれくらいの酒量が丁度良いように感じました。
さて肝心のお料理ですが、王道の流れで美味しい京料理を堪能することができ総じて大満足でした。いくつもの種類が盛られた八寸などは見た目も美しく、京料理の楽しみの一つですよね。

わずかずつながらも季節の美味が色々と盛られていてこちらの八寸も満足度が高いです。
中でも生湯葉と生のいくら(筋子)を和えたものがやさしい味付けでとても美味しかったです。また、すでにこれまで二度出会っていた紫ずきん(黒枝豆)とここでも出会うことができ、この季節の食材としてご縁を感じていました。
この日は先日うかがった奈良の「にしむら」(★)さんでいただいたお料理と重なる食材が多く、その対比が面白かったです。それぞれのご主人の料理や食材に対する考え方や、食材の状態など色々な要素からそのお料理になっているのでしょう。
両店で重なっていた食材は、黒枝豆、鰆、鯛、かますでした。

「にしかわ」さんで頂いたかますの塩焼になります。
鯛やかますについてはいずれもそれぞれお造り、塩焼とどちらのお店も同じ仕上げでした。
かますはどちらも水分を抜いて供するというのが文法のようで、それでも身のふっくら感は「にしかわ」さんの方が感じられました。聞いたところによると、干すのではなく何かキッチンシートのようなもので水分を抜くとのことでした。一方の「にしむら」さんはふっくら感が少ない分より旨味が凝縮している感じがありました。また胡麻をまぶすという一手間がありましたよね。
黒枝豆、鰆などの異なる扱いの食材についてですが、「にしむら」さんは黒枝豆を枝豆豆腐にし、また鰆については湯霜の上お造りにしていましたが、「にしかわ」さんはそれぞれ黒枝豆は湯がいたままで、また鰆はお椀種として使っているという違いがありました。

写真は「にしかわ」さんのお椀の器です。豊臣家の家紋がきれいです。
「にしむら」さんは夜のコースで、「にしかわ」さんは昼のコースで、お値段が倍ほど違うので単純な比較は出来ないかと思いますが、両店の星の数ほどの技術や志の差があるようには思えませんでした。
お食事前最後のお料理がなんと蕪蒸しで、お昼のリーズナブルなお値段でまさか出して頂けるとは思っていなかったのでとても嬉しい驚きでした。

最後のお食事は一文字に盛られたご飯がきれいです。新米を楽しむ趣向とのことで白いお米に合うおかずが二品ほど用意されていて、出汁巻き玉子のなんとも上品なお味、素晴らしいです。ただ、ちりめん山椒は「にしむら」さんの方が好みですね。より自然なやさしいお味がする気がします。
お店は祇園の真ん中にあって、とても素敵な数寄屋造りで、古びた風を出しつつもやはり新しいと感じたのでうかがうと、二年前に建てられたものとのことでした。とてもきれいに、丁寧に保たれている感じがお店の隅々に感じられて、主の心意気を知ることができたように思いました。
お一人様でも気楽に美味しいものがいただけるお店だと思いますので、祇園を散策される際にはお勧めの一軒です。
(いただいたもの)
お昼のコース(一番下のコース)
香煎入り白湯
八寸:
・ 鯖寿司
・ 豆腐チーズ
・ 菊菜の白和え
・ 紫ずきん(黒枝豆)
・ 海老芋フライ
・ 安納芋のきんとん
・ 生湯葉と筋子
お椀:
鰆と銀杏豆腐
お造り:
・ 串本産天然鰹たたき(目の前で藁焼きにしていました!)
・ 紅葉鯛(2キロもので脂がのっています)
紅芯大根、煎り酒梅風味、モズクジュレ添え
焼き物:瀬戸内のかます塩焼き
舞茸、シメジと酸味を効かせた大根おろし
蒸し物:
かぶら蒸し(甘鯛、百合根、生きくらげ、香煎、わさび)
お食事:
・ ごはん(新米)
・ おかず(ちりめん山椒、出汁巻き玉子)
・ 香の物(こんぶ、白菜、きゅうりのぬか漬け)
・ お味噌汁
甘味:
・ 濃い抹茶のシヤーベット
・ 熱いわらび餅
・ 金平糖
おうす(お抹茶)
(料理名はお店で書かれているものではなく、自己流の表記になります。)
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