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Les Saisons* (Tokyo) レ・セゾン(帝国ホテル)

念願かなって帝国ホテルのメインダイニング、レ・セゾンへ。初回の今回は静かにランチにての訪問でした。

入って右手はシガーを楽しめるスペース。左に行くと小さなサロンがあり、そこを抜けるとそこがサルになっています。
パーティションを使ったサルは少し窮屈な感じもしますが、プライベート感が保たれるようになっているとも言えましょうか。壁際の席では、空間を経済的に使うためにレストランでよく見られる横一列の席はなく、二人組のテーブルが並んでいます。

店内は昼でも照明が抑えめで、ふかふかの絨毯や豪奢な調度品と相まってとても落ち着いた雰囲気。サービス陣の確かで、落ち着いた振る舞いもまたその場にふさわしいものでした。

お料理はランチの一番軽いコースを選択。それでも最後まで食べ終わると丁度いい量で、満足でした。
一番軽いコースの構成は、アミューズ、前菜、メイン一皿(魚か肉)、デザート、プティフールというもの。日本なので食後のお茶も入っています。前菜は三皿、メインのお魚は三皿から、お肉は二皿からの選択が可能となっています。

お昼は他に二つコースがあり、メインが二皿になるコース、さらにメインのお肉が牛ヒレ肉のステーキになるコースとなります。
お昼でも夜のコース、さらにアラカルトの注文も可能でした。
アラカルトをざっと見ると、季節柄、セップ茸を使ったものが目に付きます。
フランス人シェフのヴォワザン氏、日本の食材も色々と試されてはいるでしょうが、自分のルーツであるフランスの旬の食材にはやはり無関心ではいられないのでしょうね。

アルコールは白ワインをグラスで一杯だけ。ヒューゲル家のリースリング、2003年のもの。この年はヨーロッパがとても暑かった年、おかげでソムリエ氏曰く「酸がまろやか」で、とても美味しくいただきました。そういえば新宿のトロワグロでも同じヒューゲル家のリースリングをいただきました(こちらのミレジムは2001年でした)。やはり定番なんでしょうね。

注文してすぐにシェフのヴォワザン氏がテーブルを回ってこられ、あいさつを交わしました。以前彼がシェフをしていたフランス、シャンパーニュ地方ランスの三つ星(当時)「ボワイエ・レクレイエール」に客としてうかがったことがあることを伝えて一言二言会話。その流れで、向こうからお名刺を出して下さいました。

たまにこちらを見て若いとなると、あいさつもせずにテーブルを素通りするシェフもいたりするのですが、このシェフはやさしく、またとても誠実な感じでにこやかに話して下さり、好感度大でした。
考えてみれば、ヴォワザン氏がかつていたランスのレストランのシェフ(すでに引退されましたが)ボワイエ氏も、テーブルを回ってこられた際、とても丁寧にあいさつして頂いたのを思い出しました。

もう料理は選んだか聞かれ、一番軽いコースを頼んだ旨を言うと、ちょっとサービスしますというような言葉を残して厨房へ戻られました。
その時は付け合わせが増えるのかなと思っていたのですが、結局お昼のお魚料理をサービスして頂くことに(!)。一見さんにこのもてなし、感激でした。
食後にもいらっしゃったので、丁重にお礼を言って、さらにおしゃべり。日本のことが好きなのでしばらく日本にいたいとのこと、よかったです。

お料理はどちらかというとクラシックですが、随所にモダンなタッチがあり、とても安定感がある感じで、堪能させていただきました。
懐に余裕がある方であれば、フランスの旬の食材をアラカルトで楽しむ喜びもあるでしょう。これからの季節、ジビエやトリュフなどが皿に並ぶのでしょうね。

周りを見ると、一人客が二組あり、みなそれぞれにものすごいワインを開けている様子。さすがの私もここには一人で来る勇気はなかったのですが、慣れてしまえばなんていうことはないのでしょうか。

私の後ろ、丁度コーナーの席に座られていたのはどこかの脚本家とおぼしき女性の一人客。超常連のようで、年末のセレブな会の企画を楽しそうにお店の方と話していらっしゃいました。インペリアルスイートをとって、サロン(シャンパンの銘柄の名前)のヴィンテージをヴォワザン氏の料理に合わせて云々と…。いるところにはこんな方もいらっしゃるものですね。さすがです。

サービス陣はみな丁寧で、嫌味がなく、絶妙な間合いできっちりと仕事をして下さいました。さすが帝国ホテルということなのでしょう。
最後勧められるままにお茶を二杯もおかわりしてしまいました。
また、お店を出るまでは、店を出る直前でも席を立つごとに新しいナプキンを出していただけます。なんという贅沢。

帝国ホテルという確固たる日本のブランドと、フランスでも一級だったヴォワザン氏の料理の最高のコラボレーション。いい意味での共犯関係。成功しています。

幸せな食卓…。レ・セゾンの印象は胸に強く刻まれ、近いうちの再訪を心に誓っております。


(いただいたもの)
アミューズ:トマトのジュレと鮪、生ハム入りの小さなコロッケ

前菜:サルピコンに切ったロブスターとトマトのジュレ ハーブと色鮮やかな野菜を添えて
(ロブスター、すなわちオマール海老ですが、おそらくカナダ産でしょう。ですが、火の入れ加減が絶妙で、とても柔らかくさすが。お野菜は色々な種類が少量ずつで、ジュレがかかっている趣は日本料理の冷たい炊き合わせのよう。)

メイン(魚):赤座海老をシンプルにポワレ フランス産フレッシュジロル茸を添えて
(サービスして頂いたサプライズな一皿。海草の入った小さなパンが添えられますが、これを一緒にお料理をいただくと潮の香りが鼻に抜け、何ともいい味わいの調和があります。シンプルなポワレですが、甲殻類の火入れは抜群で、半生でテクスチャーを保ちつつ、素材の甘さを引き出しています。夏の名残のジロル茸もまたよし。シンプルなポワレですが、スープ状のバター・生クリーム系ソースが濃厚で、ボリュームありました。)

メイン(肉):鹿児島産黒豚ばら肉の低温調理 フランス産セープ茸を添えて
(セップ茸をいただきたくて頼んだお料理。バラ肉なので、豚の角煮を食べているよう。とても柔らかく調理されていて、食べやすい。しかし、すごいボリュームです。脂が苦手な人にはしんどいかもしれません。仔羊・鞍下肉のラベンダー風味も一口味わいましたが、料理としては仔羊の方が手が込んでいます。)

デザート:出来立て滑らかなソルベとグラスの盛り合わせ
(ソルベは、ココナツ、フランボワーズ、グラス(アイス)はバニラ、プラリネというオーソドックスな構成で、盛りつけ方はモダン。それぞれ丁度良い軟らかさで提供され、このあたりもさすがと思います。)

お茶菓子

食後のお茶:ヴォワザン氏調合のハーブティー(ドライ)

パン:白パン、黒ごまのパン
(いずれも温かく供され、美味しかったです。)
ワイン:アルザス、リースリング(ヒューゲル家)、2003年
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Author:VV George VV

La marque "***", "**","*"
signifie des étoiles de
Michelin au moment de la
visite.

長期フランス滞在中、さる”グランドメゾン”(高級料亭)での午餐を契機に”ガストロノミー・フランセーズ”(フランス流美食)に開眼。
爾来、真の美食を求めて東奔西走の日々。

インスタグラム始めました!→https://www.instagram.com/george_gastro/

* お店の名前脇の★はミシュランガイドでの星による評価(訪問時のもの)に対応しています。

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