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Kikunoi*** (Kyoto) 菊乃井本店(高台寺裏)★★★

お祝いの席で、京都・高台寺の裏手にある菊乃井さんへ。言わずと知れた京都の一流料亭ですね。

おぼろに名前を聞き知っていた時代を経て、最近は色々なところで情報発信する主のおかげで、京都の一流料亭として認識するまでになりました。
また、東京でもデパ地下に調理場つきのお総菜店が出ていたりして、知名度向上に貢献したのではとも思います。

いくつかお店がある中の本店がここ。割烹が京都に一軒、料亭の支店の位置づけで東京・赤坂に一軒あって、こちら高台寺裏手のお店が本店です。

その東山の山懐に包まれたような立地、ゆるい坂道を行ったその突き当たりにあってそこにたどり着くまでのアプローチに、すでに非日常体験の予感をさせてくれます。途中にはかつての西行にご縁のある場所などあったりしていかにも京都らしい。

下足番の方にお迎え頂き、担当の仲居さんが部屋に案内してくださいます。やさしく香が焚かれた店内は、とてもやわらかい雰囲気。数寄屋造りの自然な建材のおかげでもあるかもしれません。

今回通して頂いたのは、部屋を屋形船に、窓から見えるお庭を琵琶湖に見立てた独特なお部屋、木賊の間。純粋な書院造りのお部屋ではなくて、もしかしたら新しいデザインなのかも知れません。本物の舟材(細長い板)をお部屋にも使っていて、なかなか凝っています。

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しかし蘆に見立てた木賊の緑の鮮やかなこと。お庭自体が本当に美しく、月並みな表現ですが、大きくとられたガラス窓全体が一幅の絵のようです。
後で調べたところ、二年前に新しく整えられた三室の離れのうちの一つということでした。良い場所を用意していただいていたのだなと今になってしみじみ思います。

そして、着座するとわかりますが、掘りごたつ式になっていて、この季節ですから、当然に暖かい。凍えた身にはありがたい環境です。


さて、前置きが長くなりましたが、お料理について。

お祝いの趣旨についてはすでに伝えてあったため、サービスで出して頂いたお赤飯、紅白の膾が最初のお茶の後にスムーズに運ばれてきます。実は金塗りの杯が最初から置かれていましたが、女将に促されて手にとって初めて金塗りとわかるちょっとしたサプライズでした。

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赤と金のおめでたい色でいただく伝統のお祝いの品。女将の丁寧な祝辞が特別な時間をなお感じさせてくれます。

金塗りの杯に注いで頂いたのは、しっかりと冷えた柚子酒。
冷たさがすでに掘りごたつで暖まってきた身にしみいります。何とも絶妙な温度で、香りも良くとても印象に残りました。

今日お願いしたのはお昼の中では一番良いコース。贅沢な旬の食材が盛りだくさんで、期待していた食材、お料理もあって、最後には気持ちよく満腹になっていました。

食材で言うと、寒鰤、鯛、ふぐ、ぐじ(甘鯛)、蕪、帆立、海老芋、香箱蟹、…思い出してもうっとりします。

普段は楽しめないすてきな器で出して頂けるのもまた料亭の楽しみであることを初めて感じた機会でもありました。日本での料亭体験はこれがほぼ初めてだったと思います。

お酒は最初にシャンパンのハーフボトルをお願いし、菊乃井という名前の純米吟醸を二合。これくらいで丁度良かったでしょう。
二人で行かれる方は、このシャンパンのハーフボトルがお手軽でオススメですね。

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酒器の底にも菊乃井の紋が描かれていて、テーブルの黒と相まってとても美しい。目でも楽しませて頂きました。

サービスについては、申し分ないでしょう。お祝いということだったからか、そこそこ良いコースをお願いしていたからか、ということではなく、普段通りのサービスをしていただいとのだと思いますが、仲居さんと女将の連携、各人の所作や応答のきちんとしたところなど、さすがと思わせてくれました。

最初、食事が始まる前に女将が来てくださって、二度ほど丁寧に祝辞を述べてくださいました。美しい所作でそうしたことをして頂けるとこちらも襟が正される思いですが、一方でとてもよくもてなして頂いているという喜びがありました。

その後、女将自身がおしゃべりも交えながらゆっくりとシャンパンを注いでくださって、流れでさりげなくお部屋のコンセプトも教えて頂けました。何も知らない身としてはとても勉強になりました。


印象に残ったお料理は、まずはやはりお祝いの一式でしょうか。お赤飯、お膾、柚子酒の入ったそれぞれの器の色合いがまず美しく、あでやかで、特別な機会であることを印象づけてくれました。こうした機会でないと出会えなかったわけですから、やはりこれが一番ですね。

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ついで、期待していた蕪蒸し京都ならではのお料理。雲丹まで入って何とも贅沢な一品になっています。

さらには器が菊のご紋ということで(同伴者に指摘されて気づいた次第ですが…最初はずっと南瓜と思っていました(笑))さらに中央には高台寺にご縁あったねねの旦那様、豊臣秀吉の家紋が描かれていて、何か高台寺、菊乃井の浅からぬご縁を感じさせる特別な器という気がいたしました。

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そして最後のお料理になった鍋。九条葱の黄金の組み合わせ。旨味たっぷりのがとてもすてきな味わいでした。そして炭で保温する趣向がまたなんとも風流ですね。食後はしばし手をかざして暖をとっていました。

こうしてお料理を頂いて最後に思ったのは、最初の柚子酒から始まって、今回のお料理に通底する香りは柚子だったということ。時にさりげなく(食前酒の香り)、時に主役として(柚子釜で)、食事を楽しませてくれていました。


総じて大満足であった中、少し残念に思った点があるとすると、お料理を食べ終わらないうちに次のお料理が出てきてしまったこと。これは時間に限りがある以上は仕方ないのでしょうか。それでも、そのおかげでこちらもあまり遅くなりすぎずにお店を出られたという、プラスの面もありました。

もう一つは一品目のデザートで、スプーンがプラスチック製だったように思ったこと。今にして思えば、ガラスの器とミスマッチだったような…。フランスの三ツ星でスプーンといえば、銀製以外あり得ない(ルイキャンズの金製スプーンを除けば…)ので、格式を考えるとある意味破格なのかなあと。

食後の記念撮影はお約束のコースです。ここでは仲居さんが積極的に写真撮りましょうかと言ってくださいます。これは二重丸のサービス。
初めてのお客さんならなおさら(先方は当然それも把握しているはず)、菊乃井に何を求めているかをしっかりわかっていて頂いている。すばらしい。おかげでお部屋でも、お外でもとてもすてきな写真が撮れました。

初めての料亭体験は特別なことだらけで大満足でした。また行ってみたい、お祝いをここでしたいと思わせてくれる特別な時間が流れる特別な空間であること胸に焼き付けて帰路に就きました。


(いただいたもの)

お昼の懐石

お茶
食前酒 柚子酒
お祝いのしつらえ 赤飯、紅白膾

八寸 サーモン寿司、辛子蓮根、鮑とおろし、菜の花お浸し、鱈子の落雁仕立て、唐墨の烏賊巻粕漬
先付 くみ上げ湯葉 このわた蒸し
向付 (1)明石の鯛、寒鰤 (2)てっさ、てっぴ
蓋物1 蕪蒸し
中猪口 洋梨と山葵のソルベ
蓋物2 柚子釜(帆立、車海老、海老芋
酢物 香箱蟹と一品
強肴 

ご飯 河豚雑炊

水物 (1)キャラメルアイス、蕎麦粉のスポンジ
   (2)パッションフルーツの羊羹
お抹茶


菊乃井 本店懐石・会席料理 / 東山駅祇園四条駅蹴上駅



テーマ : こんなお店行きました
ジャンル : グルメ

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Author:VV George VV

La marque "***", "**","*"
signifie des étoiles de
Michelin au moment de la
visite.

長期フランス滞在中、さる”グランドメゾン”(高級料亭)での午餐を契機に”ガストロノミー・フランセーズ”(フランス流美食)に開眼。
爾来、真の美食を求めて東奔西走の日々。

インスタグラム始めました!→https://www.instagram.com/george_gastro/

* お店の名前脇の★はミシュランガイドでの星による評価(訪問時のもの)に対応しています。

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